No.185 2019年12月

Loading

鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (199)

シロチドリ(チドリ科) Charadrius alexandrinus

シロチドリ(白千鳥)はスズメくらいの大きさで、背中は淡褐色、額から目の上(眉斑)も白色で、胸のKいバンドが途中で切れており、喉から胸、腹部が白く足が長い。クチバシは短く、大きな目で餌を探し、しばらく留まっては、さっと走り出し餌をつまんで捕らえる。 ユーラシア〜アフリカの温帯〜熱帯地域に広く生息する。南北アメリカには近縁で別種のユキチドリ( Charadrius nivosus) がいるが、日本での記録はない。ユーラシア大陸の中緯度地方で繁殖し、冬は北アフリカやユーラシア大陸南部などで越冬する。日本では夏に繁殖のため飛来、本州以南では周年生息(留鳥)する。シロチドリが繁殖するための砂浜のある海岸は都市近郊ではほとんどなくなっているために、全国的に個体数が減っていると思われる。特に東京湾、大阪湾などでは自然干潟は皆無といってよい状態であり、伊勢湾や三河湾でも減少しているために繁殖地の喪失がシロチドリの減少の大きな要因であろう。熊本県には広大な荒尾干潟があり、国内で最も干潟を保有している荒尾市の市の鳥に指定(2012年)されている。また、荒尾干潟はラムサール条約湿地として登録され、日本国内の干潟の約40%が現存する有明海で初めての登録となりました。川口市周辺では、過去に荒川河川敷、附島橋付近の芝川、芝川第一調節池等で数例の記録があるが、シロチドリが飛来して採餌できるような環境がなくなったことから近年の記録はない。

近江の海 夕波千鳥 汝が鳴けば 心もしのに いにしへ思ほゆ   柿本人麻呂 

自然の記録:

12月 2日 今日も一日中雨が降り寒い日でしたが、庭のカキの木にはメジロ、スズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、ツグミ、ハシボソガラス、シジュウカラ等が飛来してにぎやかでした。キカラスウリは12月になっても実が色づきません。例年ですと鮮やかな黄色になるのですが、熟れてきて割れてくるとヒヨドリの餌となり中の種が各地に運ばれていきます。我が家のものも最初は運ばれてきたもので今では庭中に蔓延りはじめています。自然の緑化作業を鳥たちが行ってくれています。人が住まなくなった家の庭では林のように庭を覆っているところもあり、自然回帰が進んでいるのでCO2吸収にも一役買っており、色々な生物の住処にもなっています。老朽化した空き家は危険ではあるが、場所によっては完全に崩壊して草や木で覆われている住宅もいくつか見られるようになってきました。

12月 3日 朝、戸袋の戸を開けるときにカネタタキの雌が落ちてきました。また、家の周囲の犬走でサトユミアシゴミムシダマシ(ユミアシオオゴミムシダマシ) が歩き回っていました。キマワリに似てやや細長く黒色で、長い脚を持った甲虫の仲間。上翅には、点々の縦筋があり、前肢のけい節が弓状に内側に曲がっているのでこの名がついたといわれる。自然の掃除屋と言われるゴミムシの仲間も年々減少傾向にあり、我が家の庭ではアオオサムシが見られなくなりました。

キカラスウリの開花後と結実 カキの実を食べるツグミ
シジュウカラ カワセミ ヒドリガモ×アメリカヒドリ

12月 6日 旧芝川を散策、漸くカモ類の種類が出そろってきました。ヒドリガモ、コガモ、オナガガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ヨシガモ(雄幼羽)等95羽、オオバン21羽など、小鳥類は相変わらず少ないようです。安行の興禪院では紅葉が盛りを過ぎていたものの、晩秋の参道がきれいでした。

安行・興禪院参道の紅葉

12月 8日 久しぶりにあたたかい一日となりました。庭のカキの実もだいぶ減ってきて鳥たちの争いが激しくなってきました。メジロ、スズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、ツグミ、オナガ、ハシボソガラス等の常連が飛来し、庭の敷石の上は食い散らかしたカキの皮や糞が散乱しており、カキ、キカラスウリ、ノシラン、センダン、アオキ、マンリョウ等の種子が大量にばらまかれています。昨年、野鳥によってばらまかれた糞から発芽したと思われる植物はマンリョウ、ネズミモチ、ビワ、ケヤキ、シデ、ナンテンなどで10p〜20p程度に生育しています。イチジクの木ではキボシカミキリが健在です。

12月14日 イチジクのキボシカミキリは、まだ健在でした。今年はいつまで見られるか楽しみです。

12月16日 芝川第一調節池を歩いてきました。カモ類の種類数・個体数はい相変わらず少なくカンムリカイツブリ(26羽)、ハジロカイツブリ、ミコアイサが目立ちました。今冬、漸くオオハクチョウが2羽飛来し、カメラマンが集まっていました。小鳥類も相変わらず少なく、ベニマシコ、カワラヒワ、アオジなども少なく、オオジュリンの姿は見られませんでした。自然の家の庭では今冬初見のシロハラが落ち葉をひっくり返し採餌をしていました。2mほどの距離で見ていても落ち着いて餌を食べていました。人が動かなければ鳥の方も安心しているようです。

12月17日 一日中雨が降ったり止んだりであった。庭のカキの実が全て食べつくされたが、隣家に残っているので鳥の飛来は多く、今冬初めてのシロハラが飛来したが野良猫がいたためにすぐに飛び去ってしまった。

枯れ木に止まるベニマシコ カキを食べるシジュウカラ ツグミ

12月18日 旧芝川を散策、青木水門付近の芝川でカルガモ4羽と共にオシドリの雄を見ることが出来ました。旧鳩ヶ谷市内では初記録となりました。カルガモ(9)、コガモ(6)、ヒドリガモ(37)、オナガガモ(4)、キンクロハジロ(6)、ホシハジロ(10)、越冬している小鳥類は相変わらず少ない傾向にあります。

草を食べるオオバンの群れ オシドリの♂ イソシギ

12月20日 南町6丁目付近の芝川河川敷でオオバン19羽、ヒドリガモ60羽が集まって草を食べていたので見ていたところ、カモたちの前を足早に歩いていく鳥がいました。カモの群れに隠れてわからなかったのですがヤマシギでした。枯草と紛らわしい退色をしていますが、開けた場所なので隠れる場がなかったので警戒していたようです。過去には権現山(コンフォール東鳩ヶ谷)、桜町6丁目(旧)井田養鶏場付近、三光稲荷の歩道などでの記録があるのみ。

ヤマシギ ユリカモメ 青木水門付近

12月25日 旧芝川を散策、青木水門から市役所近くにある青木橋までを往復、そこから先は工事中で歩くことが出来ません。ここから先の右岸にちょっとした河畔林があるので数年前までは小鳥類やカモ類が集まっていました。青木橋の下ではカモ類が集まりオナガガモ、カルガモ、コガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ハシビロガモ等、この付近は川底が深めなので潜水性のカモ類も採餌が可能なのでハジロの仲間が時々見られます。11月過ぎからカワセミがよくみられるようになり多い時には4羽、ユリカモメも20〜40羽程度の群れが飛来しています。青木水門から汐入橋付近ではヒドリガモの群れが芝地で採餌していますが個体数に変動があり40〜60羽程度が常時見られます。

12月26日 一日中どんよりとして寒い日でした。午前中は庭に落ちているカキのヘタや皮などを目当てにツグミ、ヒヨドリ、スズメ、メジロ、ハシボソガラスが飛来していました。ブロック塀にタケノメイガという薄茶色の小さな蛾が止まっていました。

12月29日 庭のカキの実は全てなくなりましたが、定期的に飛来しているオナガの群れが飛来し、カキのヘタを食べていました。メジロも数が減りましたが毎日、飛来しています。

地球温暖化を考える(138)

気候変動に伴う水害?

昨年・今年と2年連続で大型台風による被害が相次いだことで水害への備えに関心が高まっています。特に、今年は台風15号の傷もそのままに、更に台風19号によって全国各地に多大な被害が広まった。埼玉県内でも荒川水系の都幾川や越辺川の堤防が決壊し多くの被害が出ました。旧鳩ヶ谷市内を流れる芝川は氾濫することはなかったが、床上浸水や崖崩れが起きた場所がある。これは、人間が自然環境を破壊し続けてきたお返しなのか?自然のエネルギーの力は、東日本大震災をはじめ多くの自然災害を受けて学んできた。そして、いつも想定外という報道があるが、自然災害に想定外はない。災害対策として地形や土地の履歴、地質を知ること、また生物多様性や生態系への理解を考えることが重要である。常にグレイインフラによるコンクリートの巨大構造物を中心にした開発が優先されており、緑を守り、創生・復活というグリーンインフラがないがしろにされている。縄文・弥生時代等人々は氾濫原やがけ下などに住まずに、高台に住んでいた。地球温暖化は多くの対策を行っても過去の状況に戻すことは不可能である。市内の斜面林のほとんどが開発され宅地化されてしまいました、現在も西公団そばのR122号沿いの斜面林が伐採され更地になっており、いずれは宅地になるものと思われる。1960年代前半までは旧鳩ヶ谷市内にも多くの斜面林や農耕地が広がっていた。現在は、ほとんどの斜面林が伐採されて宅地化されている。農耕地や湿地帯も同様である。旧市内には多くの用水や悪水が至る所に張り巡らされていたが、現在は殆どが暗渠化されているため雨水の流れる場所が無くなっているため、雨が降ると道路にあふれざるを得ない状況である。これからも大型台風や大雨の降る確率は高くなっているという。

下の写真は、1960年代の諏訪山から法性寺山周辺の環境写真、現在は農耕地や斜面林も消失し、宅地化されている。

川口高校から諏訪山・法性寺山方面の風景(1960年)
R122号線の工事風景(1965年) 法正寺方面より西公団方面の風景(1960年)

生物の記録

野鳥:アオサギ、アオジ、イソシギ、イワツバメ、ウグイス、エナガ、オオバン、オシドリ、オナガ、オナガガモ、カイツブリ、カワラヒワ、カルガモ、カワセミ、カワウ、キジバト、キンクロハジロ、コガモ、コサギ、シジュウカラ、ジョウビタキ、シロハラ、セグロカモメ、センダイムシクイ、チョウゲンボウ、ツグミ、ツバメ、ツミ、ハシビロガモ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ハクセキレイ、バン、ヒドリガモ、ヒヨドリ、ホシハジロ、ムクドリ、メジロ、ヤマシギ、ユリカモメ、ヨシガモ、ドバト (42種類)

動物: イエコウモリ、ミシシッピアカミミガメ、イシガメ、ヒバカリ、トカゲ、カナヘビ、コイ、(モツゴ)クチボソ、アメリカザリガニ、ヌカエビ、クロイロコウガイビル、ザトウムシ、オニグモ、ジョロウグモ、ギンメッキゴミグモ、ゴミグモ、イオウイロハシリグモ(17種類)

昆虫類:アオスジアゲハ、アオドウガネ、アオマツムシ、アカウスグロノメイガ、アカスジツチバチ、アキアカネ、アジアイトトンボ、アシブトクチバ、アブラゼミ、アメリカミズアブ、ウスグロアツバ、ウスバキトンボ、ウリハムシ、エゾギクトリバ、エンマコオロギ、オオイシアブ、オオカマキリ、オオクシヒゲコメツキ、オオシオカラトンボ、オオスカシバ、オオチョウバエ、オオヒラタシデムシ、オナガコバチの仲間、オニヤンマ、カノコガ、カネタタキ、カバイロトガリメイガ、カラスヨトウ、キイロテントウ、キタテハ、キボシカミキリ、キマダラヒカゲ、キマワリ、ギンヤンマ、クサカゲロウ、クサキリ、クサギカメムシ、クビボソハムシ、クマゼミ、クマバチ、クロアゲハ、クロウリハムシ、クロオオアリ、クロコガネ、クロゴキブリ、クロハグルマエダシャク、クロバネツリアブ、クロビロードコガネ、クロヤマアリ、クロツヤコメツキ、クロバネツヤアブ、クワカミキリ、コクワガタ、コハナコメツキ、コフキコガネ、コミスジ、サトキマダラヒカゲ、サトユミアシゴミムシダマシ、シオカラトンボ、シモフリスズメ、ショウジョウトンボ、シロアリ、シロオビノメイガ、スカシノメイガ、セグロアシナガバチ、セグロカブラハバチ、セスジスズメ、セスジナミシャク、ソトウスグロアツバ、タケノメイガ、タマムシ、ツクツクボウシ、ツヅレサセコオロギ、ツチカメムシ、ツマキチョウ、ツマグロオオヨコバイ、ツマグロヒョウモン、トウキョウヒメハンミョウ、トホシテントウ、ナガゴマフカミキリ、ナガサキアゲハ、ナガヒョウタンゴミムシ、ナナホシテントウ、ナミアゲハ、ニイニイゼミ、ニジュウヤホシテントウ、ノコギリカミキリ、ハグロケバエ、ハラオカメコオロギ、ハラナガツチバチ、ハンノキハムシ、ヒメアカタテハ、ヒロオビトンボエダシャク、ヒメジャノメ、ブドウトリバ、ベッコウクモバチ、ベッコウバエ、ベニシジミ、ホシホウジャク、ホソオビヒゲナガ、ホソハリカメムシ、ホウズキカメムシ、ホソバヒメカゲロウ、マエアカスカシノメイガ、マガリケムシヒキ、マルガタゴミムシの仲間、ミンミンゼミ、ムラサキツバメ、モンキクロノメイガ、モンシロチョウ、モンキチョウ、ヤマトゴキブリ、ヤマトシジミ、ヤマトヒメカゲロウ、ルリタテハ、ルリチュウレンジ、ワタノメイガ (116種類)  

植物 :アキノエノコログサ、アミガサユリ、アメリカスミレサイシン、イヌガラシ、ウラシマソウ、ウラジロチチコグサ、エゾノギシギシ、オオカワジシャ、オオキバナカタバミ、乙女ツバキ、オッタチカタバミ、オランダガラシ(クレソン)、ガマ、カヤツリグサ、カワジシャ、カントウタンポポ、キカラスウリ、キケマン、キュウリグサ、キンミズヒキ、クサイチゴ、クサヨシ、クワクサ、ゲンノショウコ、コウホネ、コオニタビラコ、交雑タンポポ、コガマ、コハコベ、コマツヨイグサ、サンカクイ、シキミ、シソ、シャガ、セイヨウカラシナ、セイヨウタンポポ、セキショウ、センダン、ソクズ、タガラシ、タコノアシ、タネツケバナ、ツワブキ、ナガミヒナゲシ、ナズナ、ナンテン、ニリンソウ、ノゲシ、ハキダメギク、ハクモクレン、ハゼラン、ヒナタイノコズチ、ヒメオドリコソウ、フキ、ヘクソカズラ、メヒシバ、オヒシバ、ボタンクサギ、ホトケノザ、マメアサガオ、ミコシガヤ、ミズヒキ、ミチタネツケバナ、ムベ、ムラサキハナナ、モモ、ヤツデ、ヤブカンゾウ、ユウゲショウ、ヨウシュヤマゴボウ、レンギョウ(70種類)