No.139 2016年1月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (152) 

オナガ(カラス科) Cyanopica ciana

オナガは名前の由来でもある尾羽の長さとともに、「ゲーッ・ゲッゲ」 などという悪声が特徴です。このため「声がうるさい鳥」というイメージがあります。子供の頃母親に、今日はオナガ鳴いているから雨が降るから傘を持っていくようにと言われて小学校へ行く時に傘を持っていきましたが、降雨の確率はあまりよくありませんでした。オナガは雌雄同色でスマートな体形をしており、頭は黒く、翼や長い尾は青、さらには尾羽の先端に白のワンポイントと美しい鳥です。尾を除く体の大きさはムクドリ大です。外敵を警戒する時などはうるさい声で騒ぎたてますが、繁殖期には「キュルルル」といった甘い声も出します。オナガは、地球上ではユーラシア大陸の東西両端の2つの離れた地域に分かれて分布しています。分布の一方はロシア東部、中国東部、日本など東アジアで、もう一方はイベリア半島の一部です。この2つの地域のオナガは遺伝子的には種レベルでの差異がみられ、2つの分布域に隔離されてからかなりの時間が経過していることが伺われるそうです。日本国内でも、1970年代までは本州と九州に留鳥として生息していましたが、1980年代には西日本での繁殖記録が全くなくなり、急に姿が見られなくなってしまいました。この原因はわかっていません。現在は日本海側では石川県以北、太平洋側では、神奈川県以北、内陸部では長野県以東で見られ、これらの地域ではむしろ増加しているともいわれます。同じ1980年代に福島県付近などでは分布が拡大したことが報告されています。 オナガは、里山や市街地など人家の周辺に見られ、群れで生活しています。川口市内では、秋に柿の実などを、群れでついばみにくる姿が目立ちますが、留鳥で、一年中見られる鳥です。

自然の記録:

 1月 5日 今年に入って暖かい日が続いており例年になく過ごしやすいので助かります。元旦は大阪で過ごしましたが、豊中市を流れる千里川ではモンシロチョウが飛んでいました。

今朝は我が家の門扉の前でクロゴキブリの骸がありました。庭のハルノノゲシとアメリカセンダングサは草丈が低いけれど満開状態です。

 1月 6日 工事中の赤山歴史自然公園予定地を歩いてきました。ノスリ、ハイタカ、マガモ、カルガモ、コガモ、アオサギ、キジバト、モズ、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメ、カシラダカ、ホオジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、コジュケイ等16種類が観察できました。ブルトーザやコンポが動いているので鳥も落ち着きません。埋め立てられて整地されたところではタヌキの足跡が沢山ありました。

ハイタカの若鳥 飛ぶハイタカ 見つめるノスリ

 1月 7日 市内を散策するとスイセン、サクラソウ、パンジー等が民家の庭や玄関先で開花し、白梅や紅梅も咲いていました。東縁見沼代用水の斜面林にあるヤツデの葉にコバネイナゴが止まっていました、成虫で冬を越すのでしょうか。家の周囲のカキの実は全て食べつくされて鳥の声も静まりました。地蔵院の境内近くでオナガ、湧水公園ではメジロ、ヒヨドリ等が鳴いていました。17時過ぎに新芝川の天神橋をバスで通過する時に、橋の上でバスが止まり、川を眺めていたところ薄明りの中オオバン2羽が泳いでいました。

 1月11日 久しぶりにシジュウカラがやってきた。ピラカンサの実がほとんどなくなったので、庭へ来る野鳥も激減しました。ヒヨドリが近所の庭のツゲの実を食べているらしく、道路上に黒い糞が沢山落ちていました。

 1月12日 朝から小雨が降り出したかと思っていたところ、ほんの短い時間でしたが雪から霙に変わり初雪を経験しました。白梅、紅梅、ロウバイが満開になっているところもあります。

 1月13日 朝、外へ出ると庭が真っ白になるほど霜が降りていて驚きました。コンポストの蓋も凍って、しばらく開けることが出来ませんでした。

 1月14日 ノボロギク、オオイヌノフグリ、ツワブキ、等が開花し、カラスノエンドウやスズメノエンドウが生育して蕾をつけているものもあります。小春日寄りで土手などを歩いていると、厳冬期ということを忘れそうです。

満開のロウバイ カシラダカの雌 枝先に止まるシメ

 1月15日 新芝川の天神橋をバスで通過する時に、カイツブリとオオバンが泳いでいました。氷川神社の境内上空をキセキレイが鳴きながら飛んで行きました。

 1月18日 積雪の影響で餌がないのかシロハラ、オナガ、ヒヨドリ等が庭に飛来しました。オナガやヒヨドリは食べ残したカキのヘタをしきりに食べていました。

 1月21日 雪が解けてきたので旧芝川を歩いてきました。カモ類はカルガモ、コガモ、オナガガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ等107羽、その他の水鳥はカワウ、アオサギ、コサギ、バン、オオバン、セグロカモメ、ユリカモメ等、小鳥類ではスズメ、シジュウカラ、モズ、ジョウビタキ、ツグミ、ムクドリ、ハシボソガラス、ホオジロ、ハクセキレイ、キジバト等、カワセミは数個体がよく出現してカメラマンが右往左往していました。また、11月から見られているイソヒヨドリの雄も健在でした。ミシシッピアカミミガメも4頭が日向ぼっこをするほど暖かい日差しでした。南町の上空をチョウゲンボウが飛んでいました。市内で見るのは15年ぶりです。

 1月22日 18日に降った雪がまだ庭に残っており、シジュウカラ、ヒヨドリ、キジバト等が飛来しています。

餌をとるシジュカラ 獲物を狙うカワセミ 休息するアオサギ

 1月23日 さいたま市にある“埼玉県男女共同参画推進センターWith youさいたま“でICPPリポートコミュニケーターの研修会があり、参加しました。

ICPPリポートコミュニケーターとは何か?

「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」により作成された「第5次評価報告書(AR5)」の内容を、広く一般の国民に伝えていく「伝え手」として活動する人々です。「AR5」は、最新の科学的知見に基づいた信頼性の高い気候変動(地球温暖化)に関する情報を提供しています。コミュニケーターはAR5を基に作られたプログラムを使用し、それぞれの専門分野に関連のある最新の気候変動の情報を判りやすく伝える活動を行っています。コミュニケーターの活動は、広く一般国民に、積極的な気候変動対策への取組の機運を醸成し、個人の行動変容につなげることを目的としています。

21世紀の人類全体の大きな課題である『気候変動』。その影響は、世界を襲い、猛威を振るう強い台風や、熱波の来襲のニュースなどによって感じることができます。地球に何かが起きている。その“何か”について、人為起源による気候変動、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行 い、とりまとめた報告書として、2013年〜2014年にかけて第五次評価報告書(AR5)が発表されました。

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change : 気候変動に関する政府間パネル)は、 1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織で、現在の参加国は195か国、事務局はスイス・ジュネーブにあります。IPCCでは、人為起源による気候変動、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行い、報告書としてとりまとめています。「第五次評価報告書」(2013年〜2014年)は、世界中で発表された9,200以上の科学論文を参照し、800名を超える執筆者により、4年の歳月をかけて作成されています。

 1月24日 庭の片隅で2羽のシロハラが飛んだり跳ねたり、足を絡ませたりと激しいバトルを繰り返していました。まだ庭には18日に降った残雪がありますが、なにがしかの餌があるのでしょう。

江川では川の中にある錆びた鉄棒にカワセミが止まっていました。近くを通っても逃げる様子はなく、じっと水面を見つめていました。

 1月25日 今日は、冷たい風が吹いていましたが晴れていたので東縁見沼代用水沿いに1時間ほど散策しました。湧水公園の湿地ではカワラヒワ11羽、シジュカラ3羽、ヒヨドリ等が採餌していました。法性寺の藪地などでジョウビタキ♀、鳩ヶ谷小学校の付近の用水縁でメジロ、スズメ、ヒヨドリ、川の中ではコサギとハクセキレイ等がいました。川の中は水が少なく、タニシの仲間が歩いたとみられる細い筋道が沢山ありました。白梅、紅梅はどこでも満開状態でした。

 1月26日 所用で行田市にある古代ハスの里へ出かけたところ、フユシャクの仲間の蛾がいました。冷たい風が吹く中で路上に落ちていましたが元気でした。冬に成虫が発生するシャクガ科の総称をフユシャク(冬尺蛾)と呼び、多くの種類がいますが、その中でも最も普通に見ることが出来るのがウスバフユシャクです。

庭に来ているシロハラ ウスバフユシャク

 1月28日 今日は一日暖かくコートを着ていると暑いくらいでした。荒川にかかる新荒川大橋を渡る時に、ホシハジロ、カルガモ、オオバン等が泳いでいました。数十年前までは、このあたりには冬になると多くのカモ類が来ていましたが、最近はほとんど姿を見ることがありません。

 

地球温暖化を考える(92)

川口市赤山歴史自然公園予定地の工事の進捗

 (仮称)赤山歴史自然公園は、川口市が水と緑のオアシス空間の創出をテーマとし、自然環境や歴史的文化遺産を活用して、地域の振興や都市農業の活性化につなげる公園として整備を行っています。また、火葬場の整備も進められております。この公園は、川口市が国の社会資本整備総合交付金を用いて整備を進めています。この整備には約120億円が見込まれ、平成27年度までの主要な事業費約51億円は、国から約20億円の交付金が支出される予定とのこと。また、平成28年度以降に行なわれる残りの事業についても同様な交付金が見込まれている。さらに、火葬場については公園とは別に、国から約5億7千万円が既に交付されている。現在、火葬場の予定地は埋め立てが終わりましたが、その後の進展はありません。しかし、赤山歴史自然公園予定地は行くたびに変化が見られます。西側にあった植木畑は更地となり工事用の道路が数百メートルに亘って施設されました。その先ではブルトーザが唸りを上げて奥の湿地部分に土砂を運び込んでいました。折角良い湿地が出来て、来春の春の渡りにはオオジシギやタシギなどのシギ・チドリ等が期待できるかなと思っていたが、今後の埋め立ての状況に気をもんでいます。しかし、荒れ地が出来たためにカシラダカやホオジロなどの小鳥類が越冬しているので、ハイタカやノスリ等のワシタカが来るようになりました。広い水面が出来つつあるので、下流域への水害対策と周辺地域のクールアイランド化に少しは貢献してくれるかなと思っていますが、公園が完成するまでにかなりの年月がかかりそうです。

首都高速道路側から見た風景 右側は川口PA 火葬場側の池の工事
北側から見た大池予定地 南側から見た大池予定地
工事中の全景(左端が首都高速道路)  中央から右側の風景
(上の写真2枚は右側に位置する)