No.42 2007年12月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (55)

ルリビタキ(ツグミ科)  Tarsiger cyanurus 

ルリビタキ
ルリビタキ(♂) 撮影地:秋ヶ瀬公園

主に本州中部以北の山地で繁殖し、冬は山地から山麓や都市公園等に移動して来ます。雄は上面が青く、下面が白いスズメくらいの大きさの小鳥。脇は黄橙色で、白い眉斑があります。

雌の上面は、オリーブがかった褐色です。繁殖期にはヒッチョロチョロリというような声で囀ります。聞き方によってはキョロキョロ・スルナと言うようにも聞こえます。冬の間は地鳴きとなり、ジョウビタキの声に似たヒッヒッと言う声で鳴くので、姿を見ないと識別に迷うこともあります。

鳩ヶ谷市内では桜町6丁目-15(ラクダ坂付近)で、1984年1月23日に雌1羽を観察した記録があります。

自然の記録:

12月 3日 Ha氏より、江川でオナガガモを観察したとの情報を頂き、16時頃出かけてきました。オナガガモ(♂2)、カルガモ(2)がいました。毛長調節池下流でもオナガガモ(♂10、♀2)、八幡木中学校裏でカルガモ(2)、コガモ(♂1、♀2)が泳いでいました。庭の柿の木にメジロ(2)、シジュウカラ(1)が飛来しましたが、数分で移動していきました。

12月 4日 今日も江川の極楽橋付近でオナガガモ(♂2)、毛長川調節池付近でホシハジロ(♂1)、オナガガモ(♂20、♀3)、カルガモ(6)、八幡木中学校裏でコサギ、カルガモ(3)、ヒヨドリ、シジュカラ、ハクセキレイ(3)、カワセミが観察されました。東縁見沼代用水の本町3丁目付近でメジロが数羽移動していました。川沿いに緑があるので小鳥類の移動には良い環境となっています。

鳩ヶ谷市環境保全課より、桜町1-10-16付近の空き地のフェンスに首を挟んで死亡したタヌキが環境センターへ収容されたとの連絡がありましたので、環境センターへ確認に行きました。タヌキは外傷がなく死体は綺麗で、全長76cmの若い雌タヌキでした。環境センターからの帰り道、八幡木の農地を見てきました。まだ昔の面影を残している農家があり嬉しくなりました。

死亡した雌タヌキ
  死亡した雌タヌキ  毛長川に飛来したホシハジロ
八幡木に残る広い畑地と天神社

12月 6日 本町2-4と桜町6-15の間の道路脇で、タヌキが蹲っているところを小学生数人が観察したとの情報がありました。

12月 7日 市役所の環境保全課より、南町5-4-14のガソリンスタンド前の路上で頭部を轢かれて死亡したタヌキが環境センターに搬送されたとの連絡がありました(今年3例目)。同じく、桜町6丁目-15(ラクダ坂付近)の竹藪でタヌキかハクビシンらしい野生動物が3日前に目撃され、捕獲籠を仕掛たとの連絡がありました。近年アライグマやハクビシンなどの外来生物が増加しているところから捕獲、等の対策が行われています。

早速現場へ出かけて目撃者に話を聞いて図鑑を見せたところタヌキであることがわかりました。昨日、小学生が観察した場所とは目と鼻の先ですので同じ個体と思われます。周辺を調査したところ、タヌキの糞があり、木の実の種子が入っていました。ここでは、ジョウビタキ、シジュウカラ、アオジも観察されました。家に戻ったところ、庭にウグイスが来ていました。

12月10日 江川と見沼代用水の合流点付近でカルガモ8羽、オナガガモ雄3羽、ハクセキレイ、コサギ1羽がいました。これらの鳥はここでは常連となっています。桜町のHa氏より午前中は少し上流の江川にオナガガモ雄6羽、雌1羽を観察したとの情報を頂きました。本町2丁目の小さな林にタヌキの溜め糞があり、中にはカキの種が沢山ありました。この時期、カキを主食としているようです。

Ha氏宅のアケビコノハは、「蛹の入っている3枚のツタの葉の外側にさらに、2枚大きめの葉を添えて、ネットに入れて垣根のアケビのところに吊しました。雨が直接入り込まないように上部にビニールの覆いをつけました。」との心温まる情報を頂きました。来年の春、羽化するのが楽しみです。

アケビコノハの保護(Ha氏)    毛長川での水の放流     野生動物捕獲檻の設置

12月11日 Ha氏からカワセミ情報を頂きました。「ちかごろカワセミを見ないと思っていたら今朝KPにいました。7時45分から10分ほどです。今朝は道路から直接見える、左岸のコンクリート擁壁の上にいました。いつもと違って魚を狙っている様子がなく、しゃがみ込んだ状態(脚の見えない)で、ときどき体を上下させながら周囲を見回していました。10分ほど見ている間、ぼくの背後を人や自転車が通ったりしているのですが、逃げません。」筆者も11時に同じ場所でカワセミが止まっているのを観察しましたが、その時はすぐに赤井方面に飛び去りました。

10時30分頃、毛長川調節池の傍を通ったところ、大量の水が毛長川に放流されていました。久し振りに臭みのない、流れのある毛長川を見ることが出来ました。

12月11日 8時頃、市内で見ることの少ないカシラダカが、自宅上空を鳴いて通過しました。

12月13日 久し振りの降雨の中、残り少なくなった隣家の柿の木に、オナガ10羽、ムクドリ5羽、ヒヨドリ、メジロ、ハシボソガラスなどが群れていました。家の柿にもヒヨドリとメジロが飛来し、柿を食い散らかしたり、種を落としたりで玄関の周りが汚れていましたが、今日の雨で綺麗になりました。

12月15日 久し振りに旧芝川へ出かけました。暖かい日で、カワセミがほんの数bのヨシに止まって、サービスをしてくれました。カモ類も個体数が増加し、マガモ(♂♀各1)、カルガモ(12)、コガモ(♂28、♀39)、オナガガモ(♂62、♀39)、ハシビロガモ(♂3、♀1)、

キンクロハジロ(♂11、♀12)、ホシハジロ(♀1)計210羽、他にはイソシギ、スズメ、モズ、キジバト、ユリカモメ、アオサギ、コサギ、ハクセキレイ、ヒヨドリなどの常連でした。水門外の新芝川ではカイツブリ(1)、ユリカモメ(32)、汐入橋上流でヒドリガモ(♂8、♀6)、天神橋上流でゴイサギ(1)、アオサギ(2)等が観察できました。まだ、ヤマトシジミが飛んでいるのには驚きました。

10月28日に自然観察会を行ったコンフォール東鳩ヶ谷の草地は、宅地造成のための工事が進められて完全に更地になりました。来年には住宅が林立する事になるでしょう。

開発という名の下に破壊される鳩ヶ谷、将来はどうなるのでしょうか?全く歯止めが利きません。

12月21日 川口高校付近の見沼遊歩道上でハラビロカマキリが蹲っていました。後10日で新年を迎えるこの時期に、良く生きていたなと感心しました。

12月23日 氷雨する中をシジュウカラが餌を探して庭を移動していました。

12月25日 庭のエノキやゲッケイジュの枝を剪定したところ、ハラビロカマキリとコカマキリの卵塊が4個見つかりました。剪定した枝は、来春に孵化出来るように庭隅に置いておきました。

鳩ヶ谷から絶滅した生物・絶滅しつつある生物

トウホクノウサギ

  トウホクノウサギは、関東地方以北の山野に多く生息するノウサギです。市内では1965年の春に川口高校(諏訪山)の敷地内で観察したのを最後に、それ以後は観察したことがありません。ノウサギが生息できる環境が無くなったのが減少の原因です。最近はタヌキの観察例が増加していますが、鳩ヶ谷市周辺の開発が急速に進んでいるために移動してきている可能性があります。ノウサギも移動できるような緑地が出来ると良いのですが。広報はとがや(605号)では、川口市との合併のデメリットの一つに、都市化により、環境が悪化するのでは?の答えとして、広域的な街作りを行い、自然保護、緑化なども推進していきます。と書かれていました。しかしながら、環境基本計画の計画の中には、これらに関する数値目標や予算設定は全く記載されていません。今後、鳩ヶ谷市内でこの様な可愛い動物を目にすることはあり得ません。人と野生生物が共存できる街作りは、言葉だけでは出来ません。

2007年の記録(博物誌に登場した生物一覧)

自然が失われた鳩ヶ谷市内でも探せば色々な生物が見つかります。

野鳥:   カイツブリ、カワウ、ササゴイ、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、ゴイサギ、アオサギ、マ ガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、クイナ、バン、イソシギ、セグロカモメ、ウミネコ、ユリカモメ、アオバズク、キジバト、カワセミ、ヒヨドリ、コゲラ、サンショウクイ、モズ、ツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、ジョウビタキ、イソヒヨドリ、シロハラ、ツグミ、シジュウカラ、ウグイス、シマセンニュウ、メボソムシクイ、メジロ、ホオジロ、アオジ、カシラダカ、オオジュリン、カワラヒワ、ベニマシコ、ムクドリ、スズメ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト(54種類)

動物:   タヌキ、ハクビシン、ドブネズミ、アブラコウモリ、アオダイショウ、シマヘビ(カラスヘビ)、カナヘビ、ヤモリ、ヒキガエル、ウシガエル、トウキョウダルマガエル、アメリカザリガニ、シマイシビル、ミスジコウガイビル、アシハラガニ、オニグモ、ジョロウグモ、ナガコガネグモ、アシナガグモ、ジグモ、ハエトリグモ、ヨツデゴミグモ、メダカ、ドジョウ、ヘラブナ、コイ、モツゴ(クチボソ)、チチブ(ダボハゼ)、カダヤシ、ゴカイ(30種類)

昆虫:   クロアゲハ、ナミアゲハ、アオスジアゲハ、ナガサキアゲハ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、ツバメシジミ、コムラサキ、ツマグロヒョウモン、ルリタテハ、キタテハ、ヒメアカタテハ、アカタテハ、ヒオドシチョウ、キマダラヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ、モンシロチョウ、モンキチョウ、スジグロシロチョウ、ツマキチョウ、キチョウ、キマダラセセリ、イチモンジセセリ、コチャバネセセリ、オオスカシバ、セスジスズメ、ミノガ、チャドクガ、スジベニコケガ、トビイロスズメ、フクラスズメ、コスズメ、ホシホウジャク、ホシヒメホウジャク、ホウジャク、キイロスズメ、アケビコノハ、ゴマフリドクガ、オオウンモンクチバ、シロヒトリ(クマケムシ)、トビフタスジアツバ、イラガ、オビガ、エビイロカメムシ、マルカメムシ、ツチカメムシ、ハラビロヘリカメムシ、ヒメジュウジナガカメムシ、ホソハリカメムシ、ベッコウハゴロモ、アオバハゴロモ、ヨスジヒシウンカ、クロゴキブリ、ツマグロオオヨコバイ、セイヨウミツバチ、ミツバチ、フタモンアシナガバチ、シオヤアブ、アメリカミズアブ、ビロードツリアブ、ヒラタアブ、ハラナガツチバチ、カブラハバチ、アオオサムシ、カブトムシ、タマムシ、スジクワガタ、キマワリ、クロツヤハダコメツキ、クロフヒゲナガゾウムシ、チャバネツヤハムシ、ルリクビボソハムシ、ルリマルノミハムシ、クロウリハムシ、ヒメカメノコハムシ、テントウムシ、ナナホシテントウ、キイロテントウ、ニジュウヤホシテントウ、ヒラタシデムシ、マルガタゴミムシ、ヒョウタンゴミムシ、オオゴミムシ、キスジトラカミキリ、センチコガネ、ビロードコガネ、アオドウガネ、マメコガネ、オニヤンマ、ギンヤンマ、ノシメトンボ、ショウジョウトンボ、ウスバキトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、コシアキトンボ、ハグロトンボ、アジアイトトンボ、アメンボ、ワタムシの1種、アオズキンヨコバイ、イエヒメアリ、ニイニイゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシ、ツクツクボウシ、ショウリョウバッタモドキ、オンブバッタ、ショウリョウバッタ、トノサマバッタ、イボバッタ、ツユムシ、セスジツユムシ、カンタン、シバスズ、ハラビロカマキリ、オオカマキリ、コカマキリ、カヤキリ、クビキリギス、イナゴ、アオマツムシ、ハラオカメコオロギ、エンマコオロギ、シロアリ (124種類)

植物:   コオニタビラコ、ヒメジオン、ハルジオン、ハハコグサ、カントウタンポポ、セイヨウタンポポ、交雑タンポポ、ノゲシ、セイタカアワダチソウ、オオジシバリ、ハルシャギク、ハキダメギク、ヒメムカシヨモギ、オオアレチノギク、キクイモ、ノボロギク、ヨメナ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、アメリカフウロ、アカバナユウゲショウ、マツヨイグサ、カキドオシ、ムラサキケマン、キケマン、カタバミ、アカカタバミ、ツルマメ、カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、カヤツリグサ、メヒシバ、スズメノテッポウ、ムラサキエノコロ、エノコログサ、ジュズダマ、イヌビエ、カンガレイ、コゴメガヤツリ、チャがヤツリ、アオガヤツリ、ヌマガヤツリ、ウシノシッペイ、ナルコビエ、アレチギシギシ、ヒメスイバ、オニドコロ、ヤマノイモ、ハコベ、ナズナ、オオアラセイトウ、オオイヌノフグリ、スミレ、シソ、アオジソ、ムシトリナデシコ、マルバルコウソウ、ウバユリ、ヤブカンゾウ、ネジバナ、ソメイヨシノ、ヒルガオ、スギナ、クサイチゴ、オヘビイチゴ、ヘビイチゴ、キンミズヒキ、ナガミノヒナゲシ、カラスビシャク、ツユクサ、ブタクサ、シロザ、アカザ、アメリカセンダングサ、センダングサ、ミゾソバ、ヨモギ、フトイ、サンカクイ、オナモミ、アブラガヤ、ムラサキツメクサ、アオゲイトウ、オオイヌタデ、ヨウシュチョウセンアサガオ、ヤブミョウガ、ハゼラン、ヤブガラシ、クサギ、ヤマモモ、アカメガシワ、ゲッケイジュ、タマサンゴ、ヨウシュヤマゴボウ、ヨシ、クワクサ、チジミザサ、イヌガラシ、ジュズダマ、トキワハゼ、ムラサキサギゴケ、セリ、ミコシガヤ、スズメノヤリ、オオチドメ、コニシキソウ、オオアブノメ、キュウリグサ、コウホネ、ワルナスビ、クズ、キバナコスモス、サンジャクバーベナ、ホトトギス、ムシトリナデシコ、アブラススキ、タケニグサ、ミズヒキ、スベリヒユ、セキショウ、ヒメヒオウギスイ、シソクサ、オモダカ、コナギ、イボクサ、セリ、タカサブロウ、チョウジタデ、ヨウシュチョウセンアサガオ、アオゲイトウ、アオウキクサ、ホトトギス、マメアサガオ、アサガオ、マルバアメリカアサガオ、ハゴロモルコウソウ、ヒゴスミレ、ゲンノショウコ、アケビ(138種類)