No.112 2013年10月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (125)

イワツバメ(ツバメ科)Delichon urbica

腰が白いイワツバメ

ツバメよりも小さくて尾の切れ込みが浅く、頭上から尾までの上面は光沢のある黒色で、腹と上尾筒(尾上の部分)が白いのが特徴です。ツバメと一緒に飛んでいると腰の白さが目立ちます。

ツバメ同様夏鳥で、九州以北で繁殖します。本来はイワツバメの名が示すように岩場に営巣していました。そして、40年ほど前までは山間のホテルなどに集団営巣していましたが、30年ほど前から都市部のビルや高速道路あるいは電車の線路の高架などで集団営巣するようになりました。

川口市周辺では見沼田んぼにある大崎事業所の建物で繁殖したことがあります。埼玉県南部で繁殖が確認されていたので広がるかと思っていましたが、意外と分布が広がりませんでした。通常は移動の時期にツバメと共に数羽が観察される程度です。

 

自然の記録

10月 2日 久しぶりにシジュウカラのペアが飛来して柿の木や桜の木で採餌していました。

10月 4日 ここのところ、台風22、23、24号が続いて発生したために雨もよいの天気が続いており、自然観察も思うようにできません。庭のゲンノショウコが1か月近く開花していますが、すでに咲き終わったものはとんがり帽子型の種子をつけています。もう少し熟してくるとカタバミと同じように周辺に種子を飛ばすことでしょう。イノコズチ、キンミズヒキなどの種子は庭を歩くたびに衣類についてきますので、適当に分散しています。

      柿の木の下草の周りでは、ウラナミジャノメが健在です。

10月 6日 湧水公園では秋の花が真っ盛り、アメリカイヌホオズキ、アメリカセンダングサ、ミゾソバ、ハナタデ、ハギ、フジバカマ等、昆虫類は少なくなったもののヤマトシジミ、モンシロチョウ、キチョウ、ツマグロヒョウモン等の蝶類がたくさん飛んでいました。

   後背地の斜面林ではミズヒキソウの赤い花が目につきます。近くの民家のクチナシの葉が丸坊主になっていたので近づいてみるとオオスカシバの幼虫が3匹見つかりました。

斜面ではカラムシの小群落があり、アカタテハの幼虫が入ったゆりかごがたくさんありました。

見沼遊歩道では色とりどりのマルバアサガオをはじめ、キバナコスモス、コスモス等が盛りでした。庭の柑橘類の若葉にアゲハチョウの幼虫数匹が葉をむさぼっていました。

10月 8日 隣家の奥さんは華道が趣味ということから、庭中に多くの花を植えています。春夏秋冬、花を切らさずにしているようなので、花の種類もかなりあります。お陰様で昆虫類もいろいろ飛来しているようで、そのおこぼれが我が家の庭にもやってきます。今日はヒメアカタテハが長い間庭の周辺を飛んでいました。ダイコンの葉にはナガメとオンブバッタが来ています。桜町6丁目地内を散策したところ、コンフォール東鳩ヶ谷の敷地内でツマグロヒョウモンがたくさん飛んでいました。コナラやクヌギの苗が成長して結実するようになってきました。

湧水公園では、久しぶりにアカガエルを確認しました。ここでもツマグロヒョウモンが群れていました。アキアカネもまだ数頭飛んでいました。

10月10日 近所のブッドレアや庭のボタンクサギ等にシモフリスズメの幼虫が寄生しており、周辺に大きな黒い糞を散布しています。スズメガの幼虫が寄生すると枝や葉が丸坊主になります。数日前から近所のキンモクセイの花が開花し家の中にも香りが届きます。

10月12日 虫の声も聞こえなくなりましたが、昨日今日と30℃を超す暑さで真夏のようです。こんなに暑い日差しの中を、焼けたアスファルトの路上をツマグロヒョウモンの幼虫が歩いていました。庭ではヤマトシジミ、ヒメウラナミジャノメ、キタテハ、ツマグロヒョウモンが飛来し、エノキの葉ではアカボシゴマダラが頻りに産卵していました。

10月13日 湧水公園と斜面林の観察に出かけたところ、シロダモの葉にウラギンシジミ雄1、雌2およびムラサキツバメがいました。風が強かったために陽だまりの静かな場所で止まっていました。アキアカネも数匹が林の中に風を避けていました。斜面林には400年以上も経ったイチョウの木があり銀杏が所狭しに落ちていました。途中の路上では移動中のセスジスズメの終齢幼虫が動いていました。庭のボタンクサギではクロメンガタスズメの終齢幼虫がいましたが、1匹は30分ほどのちに蛹化のために移動し消失しました。

クロメンガタスズメ シモフリスズメ キタテハ ウラギンシジミ 

10月17日 昨日の台風26号が通過した後、湧水公園の斜面林ではイチョウの大枝が折れていました。銀杏も13日にいった時の10倍以上の数が落ちて足の踏み場もないくらいでした。林内ではナガサキアゲハ、湧水公園ではアカタテハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、キチョウ、モンシロチョウ、ベニシジミ、ウラナミシジミ、ヤマトシジミ等が飛び回り、池の周りに張られたロープにはアキアカネとノシメトンボが止まっていました。アキアカネは交接し乍ら産卵をしているものも多くみられました。アジアイトトンボもまだ健在でした。

桜町にある鳩ヶ谷中央病院前の林が伐採されて半年がたちましたが、裸地の部分は全て多くの植物で覆われていました。アカメガシワやクワなどの苗が生育し、アメリカセンダングサ、アキノエノコログサが優先し、アゲハチョウ、モンキチョウ、モンシロチョウ、キチョウ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミ、ウラナミシジミ、イチモンジセセリ等がたくさん飛んでいました。ショウリョウバッタも数匹飛び回っていました。草丈が高かったので中には入りませんでしたが、しばらく宅地化されずに放置されていると良い環境になりそうです。

ロープで憩うアキアカネ ノシメトンボ

10月19日 午前中2時間ほどかけて、はとがやに里山をつくる会のメンバー3名で湧水公園の草刈りを行いました。殆どがイネ科の植物とアメリカセンダングサやヒナタイノコヅチでした。アメリカセンダングサとヒナタイノコヅチは、種子がたくさんできていて衣服や軍手について中々取れませんでした。共に種子が人や動物について拡散分布する種類だけに大変です。アメリカセンダングサはセンダン科の高木のセンダンと葉がよく似ている。両方ともに基部が太目の楕円形小葉が鳥の羽状につくことからセンダングサの名があります。本種の葉もセンダングサに似ていて北米原産であるところからアメリカセンダングサと名付けられたようです。別名をセイタカウコギと呼んでいます。

10月21日 旧芝川を散策したところ、昨日の降雨により通常の水位よりも約3m近い高さまで増水したようです。そのために河川敷内の樹木や護岸に多くのごみや草などが絡みついていました。10月も中旬を過ぎましたが、カモ類の飛来は遅いようでコガモ17羽を数えただけでした。数日前には芝川第一調節池ではマガン2羽が通過したようです。叢ではエンマコオロギがしきりに鳴いていました。

庭の物置のドアを開けたところ、大きなヤモリが落ちてきました。いつも小型のヤモリは目にしていましたが立派なヤモリを見ると目がほころびます。

10月22日 隣家の小学生の女の子がアゲハチョウの蛹があると言っていたので外へ出てみるとブロック塀にアゲハチョウの蛹がありました。庭の柑橘類に10匹ほどの幼虫がいたのを確認してはいましたが外壁で蛹化するとは思いませんでした。

芝川では、冬鳥のコガモの飛来を前日に確認しましたが、今日はノビタキの群れを観察しました。昭和40年代には秋になると稲刈り後の水田に、群れていることがありましたが水田がなくなった今は稲のハザカケや竹の先に止まって、フライング・キャッチをする風景は見ることができません。芝川では草刈り作業が行われていたので、刈り取った後の草地にたくさんの昆虫類がいたようです。

10月24日 夕方5時過ぎに裏庭でヒキガエルを見つけました。暗い所にいたので知らずに蹴飛ばしてしまいましたが、ヒキガエルはじっとしていました。カメラを持ってくると急いで物陰に隠れましたがレンズを向けると神妙にしていました。ここ数年自宅では見かけませんでしたが、庭の周辺で生活していたようです。

10月25日 台風27・28号の影響で一日中雨が降っていましたが、窓の下の壁にチャドクガの雌雄が止まっていました。また、数年前に枯死したキンモクセイの枯れ木にはカワラタケがたくさん生えてきました。名前のように瓦を重ねたような感じがするキノコの仲間です。

キンモクセイに生えたカワラタケ 久しぶりのヒキガエル

10月27日 今朝、友人のS氏より8時5分に南前川2丁目の上空をハクチョウ5羽が飛んでいたとの情報をいただきました。ベランダウオッチングで家に居ながらにして、ハクチョウを観察するなんて最高ですね。ちなみに川口市では例年見沼田んぼの一角にできた芝川第一調節池でオオハクチョウとコハクチョウの小群が越冬しています。

 

地球温暖化を考える(67)

 

竹林の効用

湧水公園の斜面林(通称、豊田の森)は殆どが竹林となっています。孟宗竹の竹林ですが、今頃は葉が生い茂り空は見えなくなるほどです。この時期を俳句の世界では「竹の春」といいます。逆に、春から夏にかけては葉が枯れてきますので「竹の秋」と呼ばれています。

竹は昔から、筍として食べられるだけでなく、籠やザル、玩具や楽器などに使われ万能の素材でした。ちなみに我が家では庭の垣根、水道管の凍結防止用のカバー、刺身皿、花瓶、丈の長い靴べら等に利用しています。これらの素材は庭の淡竹と豊田の森の孟宗竹を利用しています。仲間の間では七夕様の飾りや蝋燭立て、竹炭あるいは自然クラブなどでの竹トンボ、その他の玩具作りなどに利用しています。

越前竹人形などで知られるように地方では色々な竹細工を作製して民芸品や美術工芸品などに利用されているところもあります。アフリカでは竹の自転車もありますが、最近のニュースでは京都では車の車体にも利用しているとのことでした。

竹は太古の昔より我々の身近に存在し、生活の中で使われてきました。竹はイネ科の植物で木材ではありません。それが証拠に竹には節があり、木には節がありません。竹は土の中から筍として地上に現はれ、1年目には約6m迄成長します。春先には一日で約1mも伸びると言われています。その凄い成長力で最近、竹林被害という社会問題化している程です。

パンダは、孟宗竹の葉っぱや小枝だけを食べていても大きく成長します。また、竹には抗菌効果が有り例えば、肉はスーパーでトレイに入って売られていますが、肉屋で買うと竹の皮で包んで売られている所と紙に包んで売られている所がありますが、竹の皮の方が明らかに日持ちはする様です。子供の頃、おにぎりは竹の皮で包んでいました。それに笊や巻きずしを作るときに使う巻きす等、何れも竹自体に抗菌作用が強い為に使われています。また、最近の研究では竹の中に乳酸菌が含まれている事が判ってきました。そして竹自体を細かく粉砕し、密閉状態にすると竹の中の乳酸菌が自然発酵し始めます。最近、腸内細菌の仲間の乳酸菌が世間で注目を浴びるようになってきています。というのも乳酸菌には免疫力を高める効果が有り、その力を活用して細かく粉砕した竹パウダーを土壌改良剤として使用し、土本来の力を蘇らせたり、生ゴミを竹パウダーで分解したり、鶏や牛、豚飼料に添加する事により糞尿の匂いを減らす事も出来る事が可能となっています。

今年の夏は猛暑が続き、毎日35℃を超える日が続いたこともありましたが、豊田の竹林の中に入ると、全く暑さを感じませんでした。隣接する駐車場の直射日光下の温度と比べると竹林の中は5℃〜8℃も違いました。今の世の中は、ほとんどがプラスチックや金属などに取って代わられていますが、廃棄物が問題になります。竹は枯れれば土にかえります。

世界中には600種類以上の竹の種類があると言われています。竹は竹林としての美しさを見るだけでなく、水分を十分に吸収した緑が暑さを緩和してくれています。ヒートアイランド現象を緩和する役目も担っています。

市内にたくさんあった竹林が減少していますが植木畑や雑木林と共に、まとまった緑地としての効用を見直す必要があるのではないでしょうか。