No.101 2012年11月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (114)

ツツドリ(トケン科) Cuculus saturatus

ツツドリはカッコウの仲間で頭部、体上面、胸は青灰色で腹は白く、ホトトギスよりは細めの横斑があります。三種類の中では中間の大きさです。尾は黒褐色で白斑があり、虹彩はオレンジ色がかった黄色。この仲間は托卵という習性を持ち、他の野鳥の巣に卵を産んで育ててもらいます。主にムシクイ類ですが、同じ生息域にいるアオジ、ビンズイ、メジロ、モズ、キクイタダキ、サンコウチョウ等にも托卵することが知られています。 

一般的には白地に淡色の小斑が散在する卵を産みますが、ホトトギスが生息していない北海道の中北部の旭川などではチョコレート色の卵をウグイスに托卵するようです。托卵する種類によって、卵の色も変わるようです。本州ではムシクイ類に托卵することが多いようです。鳴き声はポポポポポ、ポンポンポンと竹筒を叩いたような声で鳴きます。鳩ヶ谷地域では春秋に通過するようですが稀です。秋に通過する時には主にサクラの木で毛虫の仲間を捕っているところが観察されます。

 

自然の記録:

11月 2日 庭のボタンクサギのクロメンガタスズメの幼虫は1匹が昨夕からイチジクの枝にしがみついていましたがAM9時過ぎに消失しました。ベニカミキリは30日から月下美人の支柱に留まったまま全く動かず絶食絶水の状態です。

11月 3日 庭のジャコウアゲハの幼虫が姿を消してから蛹を探していましたが、台所のドアの上に1匹蛹化していました。毎日ドアを開け閉めしていたにもかかわらず全く気がつかずにいました。黒と白のツートンカラーの幼虫と異なり黄色味を帯びた複雑な形をしています。

ベニカミキリ  ジャコウアゲハの幼虫

11月 5日 鳩ヶ谷本町3丁目ではボケの花が咲き出しました。近くの畑ではコスモスが満開、市内各地でマルバアサガオの花が咲いており、鳩ヶ谷本町2丁目ではユウガオの花も咲いています。我が家の庭ではノゲシとオニノゲシが小さな蕾を付けて並んでいます。

ところで、鳩ヶ谷の植物に関して纏めた記録は少なく、最も古い記録は昭和8年に鳩ヶ谷高等尋常小学校理科部が纏めたもので336種類。この記録には現在市内に存在しない多くの植物の記録があり大変貴重な文献です。現存する標本としては鳩ヶ谷郷土資料館に保存されている船津金松(1998年寄贈)があります。その他、鳩ヶ谷市史通史編では植生現況量が記載されているのみで目録作成には役に立たなかったが、平成15年に行われた鳩ヶ谷市環境基本計画作成時の動植物補足調査報告書では88科311種類が記載されています。上記文献参考に比較的に自然環境が残っている法性寺および湧水公園周辺、地蔵院および三光稲荷周辺、大龍寺山(鳩ヶ谷中央病院敷地内)あるいは新芝川・旧芝川、東縁見沼代用水を中心に市内の都市公園、社寺林などについて1995年より現地調査を行い目録を作成した結果、701種類の目録となりました。まだまだ、精査する必要がありますが、旧鳩ヶ谷市のような狭い地域でも多くの植物が生育していたの驚きました。今後も新しい外来植物が加わっていくことと思われますが、出来れば在来の植物の増加が望ましいのですが。

11月 8日 湧水公園に出かけましたがヤマトシジミが飛んでいましたが、その他の昆虫類は全く姿が見えませんでした。タコノアシはようやく茹で蛸のように赤みをましてきました。池の中ではニゴイが1尾遺骸となり数百匹のモツゴの稚魚がニゴイを突いていました。メダカの数もかなり増加したようです。近くでジョウビタキの声が聞こえましたが姿を見ることは出来ませんでした。帰宅途中、慈林の交差点脇の小さな調節池で草刈りを行っていましたが、草刈り後に20羽ほどのムクドリが集まり採餌していました。

立冬を過ぎて冬も本番の兆しが出てきましたが近所の路上ではハラビロカマキリの遺骸が落ちていました。

11月 9日 里のK氏宅庭でキレンジャクの遺骸があったとの情報を戴きました。過去の記録としては1977年4月15日に本町2丁目の植木畑での記録があるのみです。

庭のボタンクサギにいたクロメンガタスズメの幼虫は蛹化のため移動したようです。

市内各所では暖かかったのか蝶の種類が多く見られました。モンシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、ツマグロヒョウモン、ヒメアカタテハ、ヤマトシジミ、ウラナミシジミ、ベニシジミ、イチモンジセセリ等9種類が確認できました。赤くなったアキアカネも飛んでいました。

センダングサに留まるウラナミシジミ 赤味が増したアキアカネ

11月 10日 昨日移動したクロメンガタスズメの変わりにシモフリスズメの幼虫が来てくれました。

カキの収穫をしていたらカネタタキの雄が落ちてきました。時々鳴いている声は聞こえていましたが、立冬を過ぎても元気です。

11月12日 雨の中でオニノゲシの黄色い花が開花しました。湧水公園ではジョウビタキの雌、ハクセキレイが元気に飛び回り、ヒヨドリが賑やかでした。近くの民家ではトラデスカンティア・シラモンタナ園芸名はシラユキヒメ(白雪姫)あるいはホワイトベルベットと呼ばれる美しいピンク色の花が咲いていました。ツユクサ科トラデスカンティア属の植物で原産地はメキシコで常緑多年草です。草丈は50cmほどで、見た目にもツユクサの仲間とわかる花ですが和名はわかりません。最近はいろいろな園芸種が増加しているので植物の名前を調べるにも一苦労です。

11月15日 道路上で褐色型のハラビロカマキリが人に踏まれたのか腹部から黄色い液体を出して弱っていましたが、お腹の中から細い針金のようなものが出てきました。ハリガネムシという寄生虫です。ハリガネムシはミミズや線虫などと違って体に伸縮性がなく、のたうち回るような特徴的な動き方で移動します。体は左右対称で、長さは20cmほどで直径は1〜3mmと細長い。表面は回虫などと同じようにクチクラで覆われていますが条虫類(サナダムシ)のような体節はありません。主にハラビロカマキリに寄生し、バッタ、ゴキブリ等の昆虫類の寄生虫として知られています。地方によっては「ゼンマイ」とも呼ばれています。

11月18日 庭ではハコベ、ナズナ、カタバミ、スズメノカタビラ、ノゲシ、オニノゲシ、アメリカスミレサイシン等が開花して春の気分です。

11月19日 木枯らしが吹いて一日中寒い日でした。天気予報では1月中旬の寒さということでしたが、コカマキリがブロック塀にじっと留まっていました。

11月20日 三光稲荷から江川への水路でヨメナが咲いていました。今まで何度か水路沿いは散策していたのですが観察したのは初めてです。市内各所でコウテイダリアが咲き始めました。一時期に比べ植栽する場所が増えたようです。

11月22日 クンシランの鉢を移動しようとしたところ、受け皿の影でブチカメムシが出てきました。寒さのためか動きが鈍く、殆ど移動しませんでした。江川と東縁見沼代用水合流点付近でようやくオナガガモ(雄4、雌1羽)が観察されました。

ハラビロカマキリとハリガネムシ ジョウビタキ(♂)

11月23日 梅の木にウグイスが飛来しました。今冬初めての訪問ですが一声も発せずに飛び去りました。その後へメジロ数羽が訪れました。

11月24日 近くの民家の庭は各種の花々が咲いており、ツマグロヒョウモンの雄が飛び回っていました。あと一週間で12月というのに蝶が飛んでいるのは不思議ですね。

11月25日 湧水公園ではアオジ、キセキレイ、ヒヨドリ、ジョウビタキ、ハシブトガラスなどが観察されました。池の中ではコイ4匹とメダカも大きな群れが泳いでいました。はとがやに里山をつくる会のM氏がハンノキの苗木を2本植樹したと連絡がありました。湧水公園のハンノキは、20年前に公園をつくった時に3本があり、昨年3本の苗木を植樹しましたので8本になりました。ハンノキは湿潤した土地を好むので発育はよいようです。公園傍の住宅を新しく建て替えるために旧宅を壊して整地していますが、田んぼと同じように湿潤していました。新築してもかなり湿気を伴うことでしょう。

庭のカキの木にメジロ4羽、シジュウカラ5羽の混群、ウグイス、スズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、オナガ等が飛来しています。家の柿を含め隣近所4軒で9本のカキがあるので順番に移動しているようです。

11月26日 冷たい雨の降る中で鳩ヶ谷中央病院の紅葉したサクラやイチョウが道路に落ちて奇麗でした。ドウダンツツジやニシキギも真っ赤になってきました。回りの畑地ではチャの花が咲き乱れていました。

11月28日 ツワブキやヤツデの花が咲き始め、木枯らしの影響で家のカキや隣近所の木の葉が落葉して我が家の回りに降り積もっています。玄関のドアを開けようとしたら何時もと違う感じがしたので強く押したところ、うずたかく落ち葉が溜まっていました。玄関ドアが吹きだまりの場所になったようです。ほぼ一日おきに掃いていますが追いつきません。落ち葉に埋まる庭の風情も良いなとも思っていますが、集めた落ち葉の上には猫が数匹寝床をつくっています。もっとも、これらの落ち葉はすべてビニール袋に入れたり、裏の堆肥置き場に積んだりして処理していますので、来年の春にはトマトやジャガイモなどの良い肥料になります。以前は、落ち葉を燃やして焼き芋を楽しんでいたのですが、最近は庭でのたき火や物を燃やすことは禁じられていますので、美味しい焼き芋はお預けとなっています。

俳句でも、謳われています。

   二度までは箒(ほうき)とりたる落葉哉(おちばかな)  几董(きとう)

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 65

ハグロトンボ(カワトンボ科)

ハグロトンボはオハグロトンボとも呼ばれ、40年ほど前までは東縁見沼代用水の川縁では、ごく普通に生息していました。特に浅間橋から稲荷橋あたりの浅瀬は子供達の魚採りによい浅瀬があり、ハグロトンボもごく普通に見ることが出来ました。しかし、見沼代用水が三面舗装されてフェンスが張られると共にハグロトンボを初め各種の昆虫類が極端に減少しました。数年前に江川と毛長川の合流点付近でハグロトンボを見かけてから、もしかしたら戻ってくるかも知れないとの期待を抱いていました。今年、湧水公園での観察会で確認された時は“やった”と思いましたが。来年以降も個体数が増えてくれることを期待しています。

 

地球温暖化を考える(56)

 

はとがやの湧き水の里に関連して(17)

 11月17日湧水公園の斜面林の管理作業とギンナン拾いを行いました。天気予報は雨が降る確率が高かったのですが、作業中は何とか降らずに保ってくれました。参加者は大人7名、子ども2名でした。竹の間伐、草刈り、落枝拾い、ゴミ拾い、ギンナン拾いと作業は色々ありましたが予定していた作業は降雨と同時に終了しました。

自然とふれあい手入れされた斜面林は、明るく開放的で竹の緑が美しく魅力的な場所です。林の中に入り、植物だけでなくいろいろなの生物に出会うことができます。レクリエーションや自然体験の場としてふさわしく、小さいながらも身近な里山での森林浴は健康にもよいです。斜面林を遠くから眺めるだけで中に入っていくことができないというのでは、景観としてだけの森であって、自然との触れ合いができない存在になってしまいます。そう言った意味では、地域の人たちが林に入って竹や木を伐採したり、何かを作ったりして将来的にも保存できるような保存樹林になったら良いと思います。行政としても、このような樹林の保存に力を入れてもらいたいものです。

竹林内部 竹林入り口付近
草刈り作業をする人たち 竹の間伐作業