No.142 2016年4月

Loading

鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (155) 

シマアジ(カモ科)Anas querquedula

シマアジはコガモ位の大きさのカモの仲間です。雄は写真のように顔と翼に白線が目立つ綺麗な姿をしていますが、雌は慣れないとコガモの雌との識別が難しい。川口市周辺では、秋に渡ってきた頃と3月〜4月頃に移動する時期に見ることが出来ます。特に、サクラの時期に見ることが出来るので公園のサクラ見物をしている時に、運が良いと見ることが出来ます。雌やエクリプスでは、眉斑と嘴の付け根の白い斑が識別ポイントです。飛んでいる時は雨覆羽の淡い灰色が目立ちます。

シマアジというと*魚のシマアジではないかと思われる人もいるようですが、同じ名前がカモの仲間にもついています。シマアジの名の由来は、カモの仲間のトモエガモは古くは「あぢがも」と呼ばれていました。「あぢ」は「味」の意で美味しいからとのことらしい。そして、シマアジはトモエガモに似ているから「しま」が付き「しまあぢがも」→「シマアジ」となったという説がある。しかし、トモエガモとは全く似ていません。他にもアジはカモの古名という説もあり、シマは珍しいを意味するところから「珍しいカモ=シマアジ」ではないかという説もある。どちらかというと後者の方がそれらしい気がします。川口市内でも珍しい鳥の一つですが、昨年と今年は芝川第一調節池で3月〜4月中旬ころまで滞在していました。

*魚のシマアジは、アジ類の中では味、姿形ともベストで、高級魚の中でもトップクラス。「幻の魚」とも云われている。

 

自然の記録:

 4月 1日 湧水公園ではカルガモの番が泳いでいました。ショウブの植え付け作業をしている人の足元まで来ても逃げる様子がありません。タネツケバナ、セイヨウタンポポ、コオニタビラコ、オニタビラコ等が咲きツクシも出ていました。そして、アゲハチョウ(初認)が飛んでいました。桜町6丁目の公園付近ではムラサキケマンが咲いていました。

 4月 6日 ここ数日天候状態が悪くサクラの花が散るのではないかと心配していましたが、暖かくなり各所で満開状態となりました。特に、三ツ和公園と見沼代用水沿いのサクラが見事でした。

旧芝川を散策、カラシナが満開となり、特に新青木橋から青木橋までの間は見事でした。

オオカワジシャ、ショカッサイ、カラスノエンドウ、タガラシ、イヌガラシ、オオイヌノフグリ、ツメクサ、タネツケバナ、ノゲシ、セイヨウタンポポ、交雑タンポポ等が開花し、モンシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、ツマキチョウ、ベニシジミ、ツマグロヒョウモン、キタテハ、アゲハチョウ、ハラナガツチバチ、アジアイトトンボ等の昆虫類、コイ、カダヤシ、ミシシッピアカミミガメ(99頭)、ウシガエル(5頭)等の動物、野鳥は26種類が観察されました。特に鳩ヶ谷市初記録となるカンムリカイツブリが青木水門の付近で観察され、イワツバメ、ツバメも今年の初認となりました。水門近くの鉄塔ではハシボソガラスが営巣し、針金のエモン掛けが沢山使われていました。

三ツ和公園のサクラ 鉄塔のハシボソガラスの巣

 4月 8日 庭の昆虫類を見て歩いた所、ナガメ、マダラカマドウマ、モンシロチョウ、スグリゾウムシ、ツチカメムシ等を見ることが出来ました。実家の庭では、今年もムサシアブミが開花しました。

安行の花と緑の振興センターでは、色々なサクラが満開となり、ニオイトサミズキ、シャクナゲ、ツバキ、ツツジ等が開花し綺麗でした。モンシロチョウ、キタキチョウ、アゲハチョウ、ヤマトシジミ、オオハナアブ、ハナアブ、ヒラタアブ、ホソヒラタアブ、ミツバチなどのハナアブの仲間がたくさん飛んでいました。ナガメ、マルカメムシ、クサギカメムシ、クリアナアキゾウムシ等の甲虫類もいました。

 4月 9日 昨年に続いてはとがやに里山をつくる会のメンバー6名で、豊田の森でシュロ抜きを行ったところ625本ありました。昨年は1250本でしたので、2年で1875本を抜いたことになります。これだけの数のシュロを放置しておいたら竹林はあっという間に、シュロ林に置き換わることでしょう。ヤツデやアオキなども数か所に生えていましたが、これらの植物は主にヒヨドリによって運ばれてきたものです。

600本のシュロ 斜面での作業 綺麗になった竹林

シュロを抜いた後で、タケノコ掘りを行いました。昨年よりも1週間早く行いましたが、タケノコはかなり伸びていました。温暖化の影響で成長が早くなっているようです。今頃はタケノコ梅雨とも呼ばれ、梅雨のような天気が続きます。孟宗竹は母竹から地下茎経由で栄養源を得るために、伸びるのが早く1日で30〜40cmも伸びると言われています。竹林を管理するためには大きく伸びた竹の間伐が必要ですが、タケノコの内に不要なものを抜いた方が作業をしやすいので、なるべくタケノコのうちにとるようにしています。枯れた竹の間伐は軽いので簡単ですが、青竹は重いので重労働になります。

竹林内ではウラシマソウも開花し、株数は50株を超えました。

夕方になり、我が家のカキの木にシロハラが来ました。まだ、滞在していたようです。

 4月12日 我が家の道路側の側溝に雑草がかなり生育してきたので。草抜きを行いましたが、孫を連れたお婆ちゃんがタンポポの花を指して、綺麗だね、タンポポっていうのだよと教えていました。しかし、一方では、先日通りすがりの人が、ここの家の人は草抜きもしないで汚らしいという声が聞こえてきました。本当は路傍の草花を放置しておきたいところですが、最近は汚いという声が多いので抜かざるを得なくなっています。生えていたのは交雑タンポポ、ホトケノザ、カタバミ、ハルジオン、ハナニラ、コモチマンネングサ、ドクダミ、ヒメオドリコソウ、ハコベ、等でした。作業中にツチイナゴが飛び出してきました。

 4月15日 久しぶりにあたたかい日となりましたが、北風が寒い一日でした。昨晩の熊本の地震の概要が分かって来たようで、TVのニュースは、どこのチャンネルを回しても熊本の地震を報じていました。

近くの家の軒下に、漸くツバメが姿を見せてくれました。今年、初認です。家の廊下ではリンゴツマグロアツバという蛾の仲間がいました。出現時期は5月以降のようですので、ちょっと早めに出てきたようです。庭のシャガの花には、毎日ツマキチョウの雄が飛来してくれます。

 4月16日 12日に続いて、豊田の森で草抜き、竹の間伐を行った後で、タケノコ掘りを行いました。この時期は伸びるのが早いので、竹林内のいたるところでタケノコが出ていました。

リンゴツマグロアツバ スグリゾウムシ

 4月18日 庭の草むしりをしていたところ、ウリハムシ、クロウリハムシ、ヨツボシハムシ、アカシマサシガメ等が出てきました。ここの所、草の伸びるのが早いので毎週のように作業を行っています。16日に掘ってきたタケノコは、刺身、豚肉と一緒に生姜焼き、タケノコご飯等で楽しんでいます。

 4月19日 赤山歴史自然公園予定地の造成地ではナガミノヒナゲシが満開となりお花畑が出来ていました。シオカラトンボやホソミオツネントンボ等も飛んでいました。

 4月20日 旧芝川を散策、カモ類は殆ど北帰行、コガモ7羽が残っていました。イワツバメやツバメはヘドロの干潟で巣作りの材料を集めていました。蝶はモンシロチョウ、モンキチョウ、キタキチョウ、ツマキチョウ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ツマグロヒョウモン、アゲハチョウが多く、アゲハチョウ9頭がヘドロの岸辺で吸水していました。近くの水際では大きなコイが10尾以上死んでいました。今は産卵の時期で、流れの緩い淵などで、1尾の雌に数尾の雄が追いかける様にして産卵します。産卵は水草、葦など水没した陸生植物の茎や根などに卵を産み付けます。1回の産卵数は20-60万粒と言われています。水温が約20℃あれば4-5日ほどでふ化するようです。産卵が終わったコイは体が傷だらけで見るも哀れな状態でした。

隣家の歩道に外来種のヒメフウロが咲いていました。最近は外国産の花が野生化しているので、識別するのに苦労することが多々あります。

 4月22日 庭の叢ではヨトウガの幼虫が数匹、ピラカンサではウメエダシャクの幼虫がいました。近所の庭ではコデマリやオオデマリが開花し、クロアゲハも飛んでいました。

友人からの情報では、川越市近くのビン沼で夏鳥であるオオルリ、カッコウ、オオヨシキリ、コムクドリ等が観察されたそうです。見沼田んぼでもオオルリ、キビタキの情報が入ってきました。

 4月25日 近所の路上で咲いているタンポポの花にカワラヒワが来ていました。花が終わった後の綿毛を食べているようでした。

 4月26日 街中ではコヒルガオ、オッタチカタバミ、ハルジオン、ゲンペイコギク、オニタビラコ、ナガミノヒナゲシ等が開花し、クロアゲハ、ナガサキアゲハ、アオスジアゲハ等の蝶の姿が見られるようになりました。庭のジャガイモの葉にニジュウヤホシテントウが寄生し始めました。隣家の屋根裏で繁殖していたムクドリは雛が孵化したようで、綺麗な青い卵の殻が落ちていました。ここの所、シジュウカラの囀りもよく聞こえるようになりました。

 4月27日 庭隅のドクダミの葉でスジモンヒトリが交接して夕方まで葉の上にいました。また、ホソミヨトウというヨトウガの仲間の地味な蛾が犬走りのコンクリートの上に止まっていました。

     

地球温暖化を考える(95)

清流ルネッサンスの旧芝川

埼玉県の荒川水系芝川・新芝川第二期水環境改善緊急行動計画によれば、芝川の上・下流域は都市化が著しく、都市排水が主要な水源となっているため水質汚濁が進行しており、排水負荷量の削減と共に平常時の流量の確保が課題となっています。

これまで、「埼玉県が芝川・新芝川清流ルネッサンス21計画を策定し、水環境改善のための施策を推進してきた結果、本川における水質は改善されましたが、本川の上流部や各支川では引き続き水質改善が必要であり、また(旧)芝川は閉鎖河川であるため未だ良好な水環境が満足されていないなど、流域内では水環境改善のための継続的な取り組みが必要な状況となっています。この計画は、生物生息環境の確保と人と自然の豊かなふれあい活動の場の確保を目標として、地域や住民の方々との連携・対話を進めながら水環境を改善していくための施策を示したものであります。」見た目にはかなりきれいな河川環境になっていますが、流入する家庭雑排水が多く、汚泥もかなりなものです。それでも、散策する人や自然観察する人たちが増えています。生物の種類も年々増加の傾向にあり、汚泥や家庭雑排水が無くなれば、さらに環境は良くなることでしょう。散策するには日陰が無いのが残念ですが、鳥が運んできたクワやヤナギなどの灌木が成長しているので多少変化が出来るかもしれません。

新青木橋周辺の旧芝川(青木橋から下流はカラシナの花畑となっている)
ヒドリガモの雌雄 ウシガエル ミシシッピアカミミガメ
ツマグロヒョウモン ツマキチョウ アゲハチョウの交接
ベニシジミ カンムリカイツブリ ケラ