No.147 2016年9月

Loading

鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (160) 

キアシシギ(シギ科)Tringa brevipes

ムクドリ大で、胴が長く、脚が黄色いところからキアシシギと名付けられている。上面は濃い灰色で下面は白い。春と秋、旅鳥として日本にやって来るシギの仲間、国内では渡りの時期は最も普通に観察できるシギです。しかし、キアシシギは世界的な分布を見た場合非常に棲息圏が限定的で、北米や欧州で観察されることは稀と言われている。

繁殖地はシベリア東部、越冬地は、東南アジア(インドネシア、フィリピン、ニューギニア島)からオーストラィア沿岸部で、国内では全土で観察されています。体長のわりに脚は短めで、シギのダックスフンドと形容されるほど短足なシギというイメージです。地上に降りて採餌しているシルエットは、決してスマートとはいえません。羽は長く、飛翔速度も結構速く、とても華麗です。鳴き声は、地上では「ピューイ、ピューイ」濁りのない特徴的な声で鳴き声ます。海辺、干潟、河口などの海水域や汽水域で多く観察されますが、ムナグロやキョウジョシギなどと共に水田や水のある休耕田でも見ることができます。カニ、小魚、水生昆虫などを餌とする動物食性です。

自然の記録:

 9月 1日 台風が過ぎたと思ったら急に暑さが戻ってきました。庭ではサトキマダラヒカゲ、ヒメジャノメ、コミスジ、ナミアゲハ、アオスジアゲハ、カノコガやハラナガツチバチが元気に飛び回っています。アブラゼミ、ミンミンゼミ、ホウシゼミの声が良く聞こえています。

湧水公園の菖蒲田では竹林外にある大木が根元から折れて菖蒲田に横たわっていました。折れた部分を見ると完全に枯れた状態で空洞となっていました。今までよく倒れずにいたなと感心するほどでした。関係者が市役所に連絡したところ、公園であっても市には関係ないので地主に連絡するように言われたと言っていました。池の傍にある外灯の柱も曲がっていました。

 9月 2日 玄関前のコンクリートのたたきにカレハガの成虫がいました。触ってもじっとしていました。その名の通り枯葉にそっくりなガで、木の枝にとまっていると枯葉がぶら下がっているように見える。幼虫は地味な毛虫で毒針毛の束が頭部付近に2束並んでいる。刺激を受けると、この束が膨らむが成虫にはない。サクラやウメに寄生するようです。キカラスウリの花が咲きだしました。6月頃に咲いたものはアヒルの卵大の実がついていますが、あとから発芽したものが開花し始めたようです。絹のドレスのような優雅な感じの花です。

オオミノガ カノコガ カレハガ
コクワガタの雌雄 ツメクサキシタバ キカラスウリの花

 9月 3日 今日も庭ではナミアゲハ、キアゲハ、ナガサキアゲハ、サトキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリが飛び回り、完熟したイチジクの実にはコクワガタの雌雄、サビキコリ、サトキマダラヒカゲ、アカボシゴマダラ等が集まっていました。叢ではキリギリスの仲間のクビキリギス(指に噛みつくと離さず、無理に引っ張ると首が抜けるのでこの名がついたらしい)やツメクサキシタバ(ヤガ科の蛾の仲間)、自転車のサドルの上にはキイロスズメの終齢幼虫がいました。蛹化するために移動途中のようでした。

キイロスズメの幼虫の顔 ウスアカクロゴモクムシ クビキリギス

 9月 5日 今日も庭ではツマグロヒョウモン、ルリタテハ、ナガサキアゲハ、サトキマダラヒカゲ、ヤマトシジミ等が元気に飛び回っていました。湧水公園ではトンボ類が少なくなりましたがシオカラトンボ、オオシオカラトンボは元気でした。植物ではタカサブロウが開花していました。

先日の台風で倒れた菖蒲田の大木が横たわっていました。

 9月 6日 今朝、庭のムベのツルにアケビコノハの終齢幼虫がいました。今年は見つからないなと思っていたところでしたので安心しました。ヒカゲチョウ、サトキマダラヒカゲは数日前までいたものと変わって羽根のきれいな個体が飛んでいました。その他、ナミアゲハ、アカボシゴマダラ、ヤマトシジミ、エノキにはルリシジミが久しぶりに飛来しました。また、ゲッケイジュではオオミノガが発生し50匹以上の小さな蓑虫が見つかりました。ツバキの葉ではチャドクガの幼虫が数10匹固まっていました。

 9月 9日 久しぶりにホシホウジャクがやってきました。ヒカゲチョウ、ヤマトシジミ、アケビコノハも健在で、ホウシゼミやサトオカメコオロギもよく鳴いています。17時過ぎに間欠的に強い雨が降り窓ガラスに吹き付けてきました。イチジクの実にはコスズメバチ、ブチカメムシの幼生、アリの仲間等が多数飛来してにぎやかです。

 9月10日 今日はオオスカシバが飛来し、昨日のホシホウジャクに続いてハチドリの仲間を見ているようでした。イチモンジセセリ、ナミアゲハ、アオスジアゲハ、ナガサキアゲハも飛来しました。

 9月13日 午前中、時々強い雨が降り犬走りの側溝があふれましたが、夕方になってカキの木でアオマツムシが鳴きだしました。一年ぶりに聞く声ですが、もうそんな時期になったかと改めて季節の移り変わりの早さを感じさせられます。

 9月14日 イチジクの木の枝が伸びすぎたので剪定をしていたところ、完熟してアルコール発酵しているイチジクの実にヒメアカタテハが飛来しました。ノシランの白い花も咲きだしました。

イチジクに来たコガタスズメバチ 湧水公園のギンヤンマ

 9月15日 門柱に全身黒色で、触角や腹部に青い光沢があるブドウスカシクロバという蛾の仲間が留まっていました。羽は半透明で翅脈の黒色が目立ち雄の触角は櫛歯状です。イチジクにはアカボシゴマダラ、コクワガタが飛来しました。

門の傍においてあったシンビジュウムの葉にキノカワガの蛹がついているのを宅急便の配達員の方が見つけて蛹があると教えてくれました。

市内の各所でアレチウリが繁茂しています。アレチウリの花に色々な昆虫が集まってくるので、少し粘って写真を撮りました。

イチモンジセセリ ウリハムシ コアオハナムグリ
セグロアシナガバチ ツメクサガ ナガコガネグモ

 9月17日 今日は豊田の森で竹林の整備を行いました。6名で約3時間大汗をかきながら、ヤブカと戦いながらの作業でした。林内にはキヌガサタケが5つありました。

キヌガサタケのカサは釣鐘型で直径は2、3cmほど。頂の部分に白色の環状の輪があり、そこに孔が開きます。表面はやや細かい網目状で、暗緑色のグレバ(胞子を形成する部分)で覆われています。グレバは悪臭を放ち、臭いで呼び寄せられたハエなどに胞子を運んでもらうという役目を持っているようです。カサの内側から伸びたレース状の白い部分は地面まで達しており、キヌガサタケが「キノコの女王」と呼ばれる所以にもなっています。また、縁の部分は多くの場合、直線的な形状をしています。幼菌の時は表面が白色〜淡紫褐色のブヨブヨした直径4〜6cmほどの卵形の袋に入っています。中国ではこのキヌガサタケは高級食材で、乾燥品は日本でも販売されています。しかし、林内で生えていても面白半分にけられたりしていることが多いようです。

林内ではアオスジアゲハやコミスジチョウが飛んでいました。オオスズメバチもいましたので刺激をしないように周辺のみの草刈りをおこなぃました。 

帰宅すると裏門のブロック塀にアトモンサビカミキリという小さなカミキリムシの仲間が留まっていました。近くにはハラビロカマキリやヨトウガも留まっていました。

ミンミンゼミやホウシゼミも元気に鳴いていました。

キヌガサタケ まるいのは幼菌 キヌガサタケ ハラビロカマキリ
ヨトウガ アトモンサビカミキリ キノカワガの蛹

 9月26日 漸く雨降り状態も落ち着いて庭のヒメウラナミジャノメが元気に飛び回っています。セミの声もいつの間にか聞こえなくなりました。

 

地球温暖化を考える(100)

ヒートアイランド現象

地球全体が温かくなっていますが、特に大都市に熱がこもってしまうという状態が続いています。 記録的な猛暑といわれる日も、日中で36度だったものが、ここ数年では太陽が隠れる夜でさえ35℃を超える熱帯夜になることがあります。これも昼間の熱が夜になっても発散されず、蓄積されてしまっていることがわかります。ヒートアイランド現象によって、日本全体の平均気温は、明治時代頃に比べて1℃程上がっています。特に、東京、福岡等の大都市ではこの100年で平均気温が2.5℃以上上昇しています。(気象庁「20世紀の日本の気候」2002年より)

「ヒート」とは「熱」、「アイランド」とは「島」のことです。つなげると「熱の島」になりますが、「ヒートアイランド現象」とは、ある限られた地域の気温がまわりとくらべて高くなることを、島にたとえて説明していることばです。

大都会には、ビルや家がびっしりと立ち並び、たくさんの自動車が走っています。これらは、夏になるとみんなクーラーをつけて、室内を冷やします。

クーラーは室内の熱をうばいますが、その熱を外へはき出しています。つまりエネルギーを使うことによって、熱と二酸化炭素の両方が出ます。人間の活動は、地球温暖化と「ヒートアイランド」の両方の共通の原因になっているといえるでしょう。また、大都会は緑が少なくて、用水などの水路を暗渠かして水が蒸発できる場所をなくしました。町中がコンクリートやアスファルトだらけです。コンクリートやアスファルトは太陽からの熱をためこんで、夜になるとその熱をはき出します。樹木や草など植物におおわれた地面は、水分の蒸発により気温が下がりますが、アスファルトなどは熱が閉じこめられて、水分が地面から蒸発しにくくなっています。その結果 、大都市では、まわりとくらべて平均気温が高くなっています。そして、このような都会に見られる温暖化現象を「ヒートアイランド」と呼んでいます。たとえば、東京の都心ではまわりの地域とくらべて年平均気温が2.5℃高くなっているそうです。この「ヒートアイランド」によって、都会の中に残された自然の生き物のくらしが悪い影響を受けたり、都会に暮らす人々が夏の暑さによって健康をそこねたりすることも問題となっています。

30年ほど前に大阪から来た知人が、夜になると鳩ヶ谷は軽井沢のように涼しくていいですねと言っていましたが、その頃の涼しさがウソのようです。これからはさらに過去の涼しさを求めることは難しいでしょう。高齢化社会に向けてさらに気温が上昇していくことを考えると熱中症の影響も今まで以上に出てくるのではないかと思います