No.77 2010年11月  

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『郷土はとがや』第66号 11月18日

  →「知っているようで知らないスズメ

  → 「里山の春を訪ねて

鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (90)

フクロウ(フクロウ科) Strix uralensis

フクロウはカラスくらいの大きさの鳥ですが、全体的に丸い感じがするので大きく見えます。白っぽい体に茶褐色の縦縞があり、顔は平らな感じでつぶらな瞳が印象的です。鳴き声はゴロスケホーコウという感じに聞こえますが、これを聞きなすと「ぼろきて奉公」となります。

フクロウは山深いところに生活する鳥と思われますが、鳩ヶ谷市内でも見ることが出来ます。夕方から夜にかけて大宮台地上にある寺社林を中心にして夜の世界で活躍しています。

夕刻から町中を歩く時には電線やアンテナなどの上に留まっているので見る機会があるのではないかと思います。写真のフクロウは都市公園で約150羽のカラスの追われて近くの枝に止まったところを撮しました。

 

自然の記録:

11月 2日 昨日までの雨が上がって、鳩ヶ谷小学校の校庭では銀杏が数百個も落下していました。学校の斜面林ではアキアカネが、校庭の花壇ではツマグロヒョウモンの雌やアカタテハが吸蜜していました。

11月 4日 午後になり暖かくなってきたためか16時10分に隣家のクリの梢でジョウビタキが囀ってくれました。野鳥を観察して50年以上になりますが日本でジョウビタキの囀りを聞いたのは初めてでした。35年ほど前にシベリアのハバロフスク郊外でジョウビタキの近縁種であるシロビタイジョウビタキの囀りを聞いたことはありますがジョウビタキの囀りは全く初めてであり、11月に囀りを聞くとは思っても見ませんでした。

11月 5日 南方系で大型の蛾の仲間であるクロメンガタスズメの幼虫が庭隅に積んである堆肥の上を歩いていました。ようやく蛹になり越冬の準備のようです。あと5匹残っていますが蛹になるには一週間ほど掛かりそうです。

植木鉢などを整理していたところマダラカマドウマ4匹がへばり付いていました。

枯れたキンモクセイにキノコの仲間が生えてきましたが、よく見ると隙間を埋めるようにナナホシテントウが越冬していました。テントウムシの仲間は一寸した空間があると集団で越冬する習慣があります。

ハスモンヨトウ エゾギクキンウワバ

11月 7日 本町4丁目付近の江川で今冬初めてのオナガガモ雄7羽を観察、東縁見沼代用水との合流点付近ではカルガモ15羽が採餌していました。

11月8日 三ツ和公園南側の芝川土手でクリーン作戦に参加しました。小型冷蔵庫、ブラウン管、車のタイヤ、等色々と捨てる人がいるものです。釣りのテグスなどはありませんでした。 

暑いくらいの日和でモンシロチョウ、モンキチョウ、キタテハ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ウラナミシジミなどがコセンダングサなどに留まっていました。

11月 9日 カキの実が熟し始めたのでハシブトガラス、オナガ、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメ等が交代で食べに来ます。毎年、人が食べるよりも早く食べにくるので、鳥が食べにくるのを目安にして収穫を始めます。

11月10日 廊下の壁に見慣れない蛾が留まっていたので、虫眼鏡で見るとヨトウガの仲間のハスモンヨトウでした。

11月14日 強い風が吹いて、カキの葉と共にカネタタキが落ちてきました。本町2丁目の民家では夕顔の花が咲いています。8月頃から咲き続けて3か月近くも咲いてるのは驚きです。

11月16日 毛長川調節池付近でキンクロハジロ12羽(初認)、江川と東縁見沼代用水の合流点でオナガガモ雄13羽、雌1羽およびカルガモ14羽を観察しました。合流点付近は見沼代用水からオーバーフローした早い流れが江川に流入しており、採餌しやすくなっているようで頻りに餌を採っていました。

11月18日 濡れた傘を庭において乾かしていたところエゾギクキンウワバというヤガ科の蛾が留まっていました。幼虫はエゾギクやヒメジョオンなどの葉を食草としているようです。

11月19日 隣家のクリの木に今冬初認のツグミを確認しました。見沼田圃では10日以上前に記録されていましたが町中では初めてでした。

ボタンクサギの葉上をホソヘリカメムシが歩いていました。

ナナホシテントウの冬越し クサキリ

11月20日 昨日ホソヘリカメムシがいたボタンクサギにクサキリがいました。寒いと動きが鈍いですね。クロメンガタスズメの幼虫は今朝3頭が消失していましたが蛹になったようです。

11月21日 鳩ヶ谷郷土資料館友の会主催で、芝川探鳥会を行いました。参加者は10名でしたがまとまりもよく19種類の野鳥を見ることが出来ました。カモ類はカルガモ15、コガモ24、ヒドリガモ20+、オナガガモ3、その他水鳥類ではコサギ、ユリカモメ、小鳥類ではジョウビタキ、ウグイス、アオジ、カワセミ、ヒヨドリ、スズメ、モズ等でした。

新芝川と旧芝川の水門付近で河川内工事を行っているため、多少影響がありそうです。

11月23日 昨日からの降雨によりカキの葉がかなり落下しましたが、一緒にハラビロカマキリとオオカマキリが落ちていました。ハラビロカマキリは強く打ち付けられたらしく死んでいましたが、オオカマキリの方は無事でした。残りのカキにメジロが5羽、オナガが数羽飛来していました。

11月24日 毛長川調節池付近でキンクロハジロ11羽とホシハジロの雄1羽が泳いでいました。汚泥を浚渫した後で餌生物がいるのかもしれません。頻りに潜水していました。

11月27日 法性寺の竹林でアオジ2羽が採餌していました。市内でアオジを見られる場所も年々少なくなってきました。

家の周りのカキの木には熟した実が収穫もされずに沢山放置されています。鳥にとっては御馳走が山ほどあるという状況で、オナガ(5羽)が食べている間にムクドリ(30羽)、ヒヨドリ、ツグミ数羽、スズメ(10羽)等が待機しており、オナガがいなくなると一斉にカキの実めがけて集まります。その合間を縫うようにしてシジュウカラ2羽が採餌していました。

11月29日 庭の草刈りをしていたところクビキリギスが1匹歩いていました。また、オオカマキリの卵が3個、コカマキリの卵、ハラビロカマキリの卵、セグロアシナガバチの巣が2ヶ所にありました。

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 41

シダ植物 デンジソウ(デンジソウ科)Marsilea quadrifolia

漢字で書くと「田字草」、名は体を表すといいますが、四つ葉のクローバーのような形をした葉なので実にわかりやすい名前です。湿地や水田に生えますが胞子で増殖するシダの仲間です。 属名の Marsilea はイタリアの自然科学者(L. マルシーリ)の名をとったもので、種小名の quadrifolia は「四葉の」の意味です。(夏緑性多年草)。

鳩ヶ谷市内では昭和8年に鳩ヶ谷尋常高等小学校・理科部が纏めた郷土研究の誌上に記載されていますが、現在は全く見ることが出来ません。 宅地造成、農薬汚染、水田の放棄などが原因で減少し、環境庁編レッドデータブックでは絶滅危惧IB類に選定され、100年後の絶滅確率100%と記載されています。

 

地球温暖化を考える(32)

 赤山調節池(川口市)

赤山遊水池は、首都高速道路川口線のPAの西側にある小さな調節池です。この地域は伊奈家の居城である赤山陣屋を囲む自然の掘り割りが巡らされており、後に分断されていくつかの沼地となり、更に水田から休耕田へと様変わりした場所です。

赤山城址の南西堀の上方にある低地帯地域に作られた調節池で、現在は葦原で覆われていますが定期的に刈られています。以前は湿地状の休耕田でカモ類やクイナの仲間が生息していました。また、猛禽類であるオオタカやチョウゲンボウなどの重要な狩り場にもなっています。また、赤山城が自然の要塞として地形を利用して作られている事が窺われる場所です。この低地の3本の湧き水を源流とする江川が赤山調節池に沿って流れを作り、南側に創られた江川調節池(江川運動公園)脇で、綾瀬川清流ルネッサンス事業に伴ってつくられたポンプ場より定期的に大量の水が放流されています。

近年この周辺は植木畑や農耕地が買収されて墓地が幾つも建設されています。このまま放置しておくと都市近郊緑地としての機能も失われかねません。特に、下流域の江川沿いの地域では毎年のように大雨の時には床下・床上浸水被害が発生しています。湿地部分と周辺の林や植木畑を残すような形で将来的に残していけると良いと思います。

 

枯れたアシ原と後背地
首都高速のSA(右側)
アシが伸び始めた状態
アシが繁茂した状態
調節池内のアシが刈られた状態
北側より見た風景
調節池北側の湿地帯
最奥部の草地