No.117 2014年3月

Loading

鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (130)

タゲリ(チドリ科)Vanellus vanellus

タゲリは関東地方では冬鳥として渡来し、農耕地や河川敷などで集団あるいは数個体で越冬します。

身体の下面は白く、上面が光沢のある緑色をしている綺麗な大型のチドリの仲間です。飛ぶ時はふわふわと羽ばたき、飛び立つときには子猫に似たミューという声で鳴きます。漢字で書くと“田鳧”という難解な字で表します。翼の裏側は黒と白のツートンカラーで目立ちます。一番の特徴は後頭部にあるつんと立った冠羽や黒くつぶらな瞳の周りの隈取。警戒心が強く近づくことができないが、車で近づくと比較的近くまで近寄ることができます。同じ仲間にケリがいますが、タゲリは水田で見られることからタゲリという名がつけられたようですが、ケリも同じような環境に生息しています。旧鳩ヶ谷市内では水田や休耕田がなくなりましたので見る機会はありませんが、見沼田んぼのある差間や芝川第一調節池などではまれに飛来します。水田と共に生きてきた野鳥ですが、近年は水田が減少してきているので都市近郊で見るのは難しくなっています。

 

鳧飛びて田の耕転機威嚇せり     右城墓石

畦ゆけばさとき田鳧がまづ翔てり   土方秋潮

 

自然の記録

 3月 3日 3月に入り2日間雨もよいの日が続きましたが、晴れたとたんにヒメオドリコソウ、ハコベ、ホトケノザが開花しました。近所の庭ではマンサクが開花し、錦糸卵のような黄色い細い花びらがきれいでした。

 3月 4日 日中はかなり汗ばむほどに暖かくなり、本町2丁目の空き地ではネコヤナギの花芽が銀色に色づいてきました。

 3月 6日 毛長川調節池の細い溝にカワセミがいました。大雨の後のごみがたくさん残っていましたがムクドリ、ツグミ、ハクセキレイ、ヒヨドリ等が採餌していました。ごみが集まっていたので餌も採りやすかったのかもしれません。カモ類はカルガモのみでした。しかし、サクラのつぼみが大分目立つようになり、モモの花はかなり膨らんできました。

 3月11日 コンフォール東鳩ヶ谷の敷地ではキュウリグサが小さな青い花を咲かせていました。通常でも小さな花ですが開花を始めたばかりということもあり丈の高さも低くそれでも小さなお花畑的なイメージがありました。

 3月14日 昨日降った雨が道路上に水たまりをつくりました。道路わきにできた水たまりではハシブトガラスが気持ちよさそうに水浴びをしていました。多くの車が脇を走っていきますが全く気にもせず?都市鳥はこの位たくましくないと生きていけないのかもしれません。

 3月16日 今日は久しぶりにあたたかく、安行慈林にある薬師寺周辺の植木畑ではウメやモモの花が満開状態となり桃源郷を思わせる雰囲気でした。庭ではヤブカンゾウの新芽100株以上が一斉に萌出しました。また、ニリンソウも芽生えてきましたが、11日に出かけた石神井公園ではイチリンソウと早春の花であるアズマイチゲが早くも開花していました。

庭で芽生えたニリンソウ アズマイチゲ(石神井公園にて)

 3月17日 昨日に続いて暖かい日でした。そのお蔭か芝川土手付近では冬越しをしたキタテハに加えて、モンキチョウならびにモンシロチョウが早くも飛んでいました。また、陽だまりではカラスノエンドウ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ等が開花していました。場所によってはホトケノザが畑一面をピンク色に染めていました。

 3月18日 例年より遅い春一番が。吹き荒れて、ようやく満開になりかけた我が家のウメの花を吹き散らしていきました。近所の庭ではシキミ、ミモザ、ムラサキハナナ(ショカッサイ)レンギョウ、ウシハコベ、タネツケバナ、等が開花し始めました。

キカラスウリが乾燥して風に揺れていますが、ヒヨドリは飽きることなく毎日のように飛来して中の種子を啄んでいます。傷みかけたリンゴを庭に置いておいたところ毎日少しずつ食べています。

 3月24日 隣家では菜の花が咲いてモンシロチョウが飛来しました。市街地でモンシロチョウを見かけたのは初めてです。数名の方から近郊でツバメを見たとの情報がありますが、旧鳩ヶ谷市内ではまだ確認できていません。バードリサーチのツバメ調査では、軒先に飛来した日を初認日としています。

 3月25日 今日は暖かかったので、安行桜を見に密蔵院へ行ってきました。昨年は21日に行ったときに満開でしたので今年は遅いかなと思っていましたが開花時期が遅れていたようで、ちょうど満開となっていて堪能しました。彼岸桜、ユキヤナギ、コブシ、ミモザも開花していました。

近くにある万葉植物園では、ミツマタが開花しツクシが伸びていました、そして林の中ではキクザキイチリンソウが満開でした。また、ビオトープの池ではミズバショウやヒメミズバショウ等が開花し始めていました。花の開花につれてキチョウやオオツマグロヨコバイ等が飛び始めました。

川口市前川町に住む知人より、南前川2丁目の民家にツバメが飛来したとの情報をいただきました。

そろって伸びたツクシ 美味しそうなミツマタ
満開となった安行桜 万葉植物園のミズバショウ

 3月27日 東公団バス停前の安行桜が満開となり、公団通りのソメイヨシノが1分から5分咲になりました。

 3月29日 我が家のソメイヨシノも開花して一日で8分咲きとなりました。こんなこともあるのですね。2日間暖かかったのでこのような開花になったのでしょうが、今まではこのような咲き方はしませんでした。

 3月31日 市内のソメイヨシノはどこも満開になりました。昨日今日と強い風が吹いていますが、咲はじめということもあり、散らずに済んでいます。今週いっぱいが見ごろかな?

家の周りではハルノノゲシ、コオニタビラコ、カントウタンポポ、交雑タンポポ、ノボロギク等のキク科の植物の開花が目立ってきました。その他ハナニラ、ムラサキサギゴケ、スミレ、ヒメスミレ等が開花しました。ヒメスミレは比較的都市公園などの市街地の環境を好むのか道路際などでよく見られます。花期以外の季節にもつぼみのようなものを常に出していますが、花が開かないままいつの間にか結実してタネを飛ばしています。

15時30分に廊下の網戸にクロスジヒゲナガコメツキという2p足らずの小さなコメツキムシが張り付いていました。

 

地球温暖化を考える(70)

浮谷の里(加須市)

平成2年「浮野の里・ふるさとの道」加須市の整備構想の中で使用された、加須市北篠崎及び多門寺両地区にまたがる、125ヘクタールに及ぶ地域です浮野の里は「武蔵野の面影」を残す美しい農村地域であり、周辺には屋敷林や田掘り、クヌギ並木など田園環境が保全され、平成7年度には全国「水の郷百選」に認定され、平成19年度には埼玉県より「緑のトラスト保全 第10号地」に指定されています。加須のインターと羽生インターの東側に位置しますが、バスの便が悪く車を持っていない人には行きにくいところです。春にはなにがしかの祭りが模様されるので、その時期には多少行きやすくなるようです。このような広い水田や湿地帯が県北部にはまだまだ残っています。

このような原風景を、開発される前に何とか保存する手立てを考えていく必要があります。誰もが心の中に懐かしい風景を持っています。「いかなる思想も自然を欠いて語ることなど不可能である」この言葉は、日本野鳥の会の初代会長である中西悟道が残した言葉です。環境破壊と文明の行く末に警鐘を鳴らし、自然との共生を模索したことが窺われますが、開発優先の今の時代を先読みしていたようです。

 厳冬期には訪れる人もなく寂しい限りですが、アシ原や枯れたく叢ではカシラダカ、ホオジロ、オオジュリン等が採餌し、アカハラやツグミが時々混じっています。林道ではシジュウカラ、シメ、カワラヒワ、アカゲラ、アリスイ等が飛び交い、水辺ではアオサギ、ダイサギ、タシギ、バン等が元気です。時々オオタカが飛び回っていますが、そのような時には小鳥類が一斉にとび立ちます。冬枯れの浮谷の里でも、しっかりと生態系が息づいています。

浮谷の里案内図 中央の林道 入口の水路
林道右側の湿地 入り口付近 駐車場付近の環境
枯れたアシ原のアオサギ 水路を泳ぐバン