No.74 2010年8月  

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 鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (87)

オオバン(クイナ科) Fulica atra

クイナの仲間では一番大きく、光彩が赤く黒い体に白い嘴と額板が特徴です。足指にはヒレがついており泳ぐのも走るのも上手です。主に池や沼、河川などで生活をしており、採餌も水の中で行うことが多いが、水際で植物を食べる事も多い。近年では越冬する個体が多く、多いところでは300羽〜500羽ほどが集団で越冬している場所もあります。鳩ヶ谷市内では芝川の護岸でヒドリガモなどに混じって植物を食べているの姿が見られますが個体数は多くありません。40cmほどの大きさがありますがオオタカに襲われることもしばしばあるようで、時々遺骸が見つかります。

 

自然の記録

 8月 2日 小さなカナヘビが数匹、庭を走り回っていました。

 8月 3日 江川と見沼用水との合流点付近でカルガモ4羽が採餌していました。江川には沢山のコウガイモが繁茂し、見た目には綺麗な水が流れており、小魚などが泳いでいるのが目につくようになりました。

 8月 4日 隣家の庭からツクツクボウシの声が聞こえてきました。今年初鳴きです。ヒメシロモンドクガが門の扉に留まっており、危うく手で触れるところでした。ドウガネブイブイの遺骸が2つ、アリが沢山集まっていました。

八幡木2丁目のN氏宅の庭にナガサキアゲハの雌が飛来し、柑橘類に留まっていたとの情報をいただきました。5年ほど前から庭に飛来しているのを観察されています。

 8月 5日 我が家の庭も、ようやくセミ時雨を聞くことが出来るようになりました。ここ数日、セミの抜け殻が目立ってきたなと思っていたところです。

 8月 8日 外壁でモンクロシャチホコの成虫が交接中、写真を撮る前に離れてしまい残念でした。

成虫は白い体にチョコレート色の目玉模様があります。幼虫は黒い体に黄色い毛のある毛虫で、サクラやピラカンサに沢山発生します。(安行にある万葉植物園ではジャコウアゲハの雌を観察しました。鳩ヶ谷市内では見ることが出来ませんが、川口市内でも久し振りに観察しました)

モンクロシャチホコ ショウリョウバッタ ツマグロヒョウモンの雌雄

 8月 9日 今朝は久し振りに降雨がありましたが9時過ぎには止んだので湧き水公園に出かけました。

セリの茎にキアゲハの幼虫が2匹、ナガメが数匹、ナミアゲハ、クロアゲハ、モンシロチョウ、イチモンジチョウの他、ツマグロヒョウモンの雌雄が交接をしていました。トンボは少なくシオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ウスバキトンボの3種類、セミの抜け殻が多いのには驚きました。バッタ類ではショウリョウバッタ、オンブバッタ、クルマバッタなどが観察できました。

午後6時30分頃に我が家の庭でヒグラシの声を聞きました。我が家で聞くのは数年ぶりのことです。

 8月10日 今日は東京大学総合博物館で行われている昆虫展を見に出かける予定であったが、駅へ向かう途中で激しい雨に遭いびしょ濡れとなり這々の体で逃げ帰りました。帰ってくると玄関の前の木立でモンクロシャチホコが交接をしていました。見た目にはスズメガの仲間のイモムシかと思われました。

モンクロシャチホコの交接 キボシトックリバチ

 8月12日 台風4号の影響で時々強い風と雨が降りましたが、雨が止み出すとアブラゼミが一斉に鳴き出しました。玄関前のハルジオンの葉にヒメコガネが留まり、緑色の羽が輝いていました。

午前中に東京大学本郷の総合博物館で行われている昆虫展を見に出かけましたが、昆虫展と言うほどの展示ではなくがっかりしました。人骨や土器、火星に関しての展示が主で昆虫は2階の一部屋のみでした。標本そのものは珍しい物や標本作製の仕方などが展示してありましたが。

 8月13日 15時頃にナガサキアゲハの雄が2回庭に飛来しました。2006年に初めて観察してから5年目ですが完全に市内の蝶として定着したようです。

 8月14日 夕方、イチジクの葉裏にミスジチョウが留まって、羽を開閉していました。毎年、一回位は我が家の庭に飛来してくれます。

 8月15日 網戸にアオドウガネが飛来し、クロアゲハがボタンクサギの花で吸蜜していました。

 8月16日 今日も一日暑かった。部屋の中で40℃になりました。17時20分頃から軽い夕立がありましたが温度は下がりません。今朝は早くからナガサキアゲハの雌がボタンクサギやフヨウの花に数回訪れました。今日見られた蝶はナガサキアゲハ、クロアゲハ、ナミアゲハ、アオスジアゲハ、キアゲハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、ヒカゲチョウ、ヤマトシジミ、モンシロチョウ、イチモンジセセリの11種類でした。キアゲハは雌ですが19時頃から窓の網戸に留まっていました。

ボタンクサギの葉にキボシトックリバチも飛来し、雨樋の下にもぐり込んでいきました。恐らく巣作りの場所を探しているのでしょう。

桜町6丁目のS氏より、ラクダ坂脇の藪地でハクビシンを見たとの情報を得ました。市内でもハクビシンがかなり分布を広げているようです。

 ボタンクサギに飛来したナガサキアゲハの雌

 8月17日 裏庭の草むらでスグリゾウムシが活動していました。時々見かけるのですが葉から落ちると見つけにくく見のがしてしまいます。

 8月18日 連続4日の猛暑日となりました。オオスカシバがトマトの周りを飛んでいました。安行慈林の江川沿いの電線にムクドリ43羽と共に移動途中のコムクドリ9羽が留まっていました。

 8月19日 15時頃から15分ほど湧水公園で観察しました。ナガサキアゲハの雄を初認、ツマグロヒョウモン、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ウスバキトンボ等が飛んでいました。

 8月20日 玄関にスジクワガタの雌がいました。毎年、我が家の庭で見られますが、雄を見たことがありません。巣立ち直後のシジュウカラが柿に飛来し、虫を啄んでいました。

16時過ぎ湧き水公園でも巣立ちしたばかりのシジュウカラ3羽が池の周りで採餌していました。        

今日もナガサキアゲハの雄を初認、ツマグロヒョウモン、ナミアゲハ、アオスジアゲハ、イチモンジチョウ、ヤマトシジミ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ウスバキトンボ、ショウジョウトンボ、シロテンハナムグリ、オオスズメバチ、キイロスズメバチ等が観察されました。

 8月21日 湧き公園の自然観察会へ行く途中、本町2丁目の空き地で草刈りをしている人がいたので近づいて行くとセグロアシナガバチが沢山飛んでいました。道路脇に採ったばかりのセグロアシナガバチの巣があり、幼虫が沢山入っていました。

湧水公園ではザリガニ釣りを行いましたが、釣れたのは45匹、他に網で採ったものを併せると60匹ほどでした。その他、ヌカエビ、モツゴ、シオカラトンボのヤゴ、ショウジョウトンボ、シオカラトンボ、産卵中のギンヤンマ、ナガサキアゲハの雌雄、ナミアゲハ、イチモンジセセリ、ハクセキレイ、スズメ等が観察できました。

セグロアシナガバチの巣

 8月25日 中居小学校付近の芝川でイソシギ2羽、辻の水田でコナギ、アゼムシロの小群落およびミズキンバイの黄色い花が咲いていました。

 8月27日 朝、6時30分頃門のあたりに30cmほどの長さのシマヘビがいました。午後になって物干し竿にムギワラトンボが留まっていました。庭のボタンクサギの大きな葉が何かに食べられていたのですが、今日は沢山の糞が落ちていたので幾つかの葉を裏返してみると約8cm大のクロメンガタスズメの幼虫が2頭見つかりました。7月26日に市内で初めて成虫を確認しましたが、我が家の庭で幼虫を確認出来るとは思いませんでした。

クロメンガタスズメの幼虫(8/27) 二日後に変身しました (8/29) 

 8月30日 16時頃にナガサキアゲハ、ルリタテハ、キマダラヒカゲ、ウラギンシジミ、ナミアゲハ、ヤマトシジミの6種類の蝶が庭に飛来しました。クロメンガタスズメの幼虫は更に大きくなり長さ約12cm、胴回り6cmの太さになりました。朝は地上に近いところにいたので、蛹になる準備かと思っていたところ午後になりボタンクサギの葉を食べ始めました。食欲は旺盛で見ている間に半分ほどの葉を食べてしまいました。近いうちに蛹になるために土の中にはいることでしょう。

 8月31日 湧水公園と法性寺周辺を散策しましたが、湧水公園の斜面林でクマゼミの声が聞こえました。竹林内ではウスバカゲロウ、クロアゲハ、アオスジアゲハ、ナミアゲハ、ヒカゲチョウなどが観察できました。ヒヨドリが運んできたと思われる沢山のシュロが発芽し、その他アカメガシワ、エノキ等もありました。法性寺の境内ではクロアゲハ、ナミアゲハ、アオスジアゲハ、ナガサキアゲハ、ノシメトンボ、ナツアカネ、湧水公園ではギンヤンマ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ等が観察されました。   

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 38

アカタテハ(タテハチョウ科)

幼虫と蛹

 アカタテハは同じ仲間のヒメアカタテハとよく似ていますが、少し大きめで赤い部分がヒメアカタテハの方が多いのが特徴です。カラムシの葉を筒のように丸めて産卵し、揺りかごのような形で幼虫時代を過ごします。市内では草地が少なくなったためカラムシも減少しました。その影響でアカタテハも一時極端に減少しましたが、ここ数年、路地裏の民家の庭などに僅かに残っていたり、空き家となった家の庭などに生育しているところが見つかりました。そのために、時々成虫の姿を見かけるようになりました。温暖化の影響で、ツマグロヒョウモン、ナガサキアゲハ、ムラサキツバメ、等が市内で増加の傾向にありますが、昔から身の回りにいた蝶を見かけると嬉しくなります。

カラムシはイラクサなどの仲間ですが戦国時代に麻の代わりに使用したようです。

 

地球温暖化を考える(30)

大相模調節池(越谷レイクタウン調節池)

「新しく水との共存文化を創造する都市」をスローガンに、越谷市が推進する越谷レイクタウン事業の一環として、レイクタウンの地区中央に39.5ヘクタールという広さの水害対策を視野に入れた調節池を設置されました。JR武蔵野線の駅北側で徒歩数分のところに位置し、名称は「大相模調節池」で、広さは上野公園不忍池の約3倍に相当します。調節容量は120万立方メートルで、地域住民の憩いの場として池の一部を開放し、周辺には遊歩道や桟橋などを設けて自由に利用できるようになっています。池の北側には人が入れないようにして、植生を維持しています。夏には、池の一角にハスが繁茂し、ヨシゴイやカワセミなどが飛来するためカメラマンのスポットにもなっています。駅の南側にある池は、現在も工事中ですが水路で繋がっているため野鳥の行き来があります。

 しかし、大きな街作りにしては緑地部分が少ないため殺風景な感じがします。この傾向は新都心の街作りにも見られますが、関西大震災の折りに緑地のある公園が避難場所として役だったことを受け、都市作りには緑地の多い公園作りをという話題が出ていましたが、“のど元過ぎれば熱さ忘れる“。大きな箱物とアスファルトで固めた道路が基本の都市作りが先行しています。どこかで、緑地を主とした街作りを行うような自治体は無いのでしょうか。地球温暖化対策に家庭生活の燃料や水の節約を中心にしているところが多いのが気になります。青い稲穂の水田を渡ってくる風の涼しさは、クーラーの風よりもよっぽど良いのではないかと思います。

レイクタウン左側手前の古代蓮より、対岸を望む
レイクタウン右側 噴水の向こうには駅よりイオンに続く建築物が望める
池の名物のヨシゴイ 暑い日はアオスジアゲハも吸水