No.106 2013年4月 |
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キレンジャクとは一般的には聞き慣れない名前であるが、よく似ている鳥にヒレンジャクがいます。どちらも冬鳥として飛来し、関東地方ではヒレンジャクが多い傾向がありますが、ヒレンジャクに混じってキレンジャクも少なからず飛来します。平安時代の頃から「連雀」という名で知られており、別名の「ほや鳥」は寄生植物であるヤドリギの古名を「ほや」と言いますが、連雀の仲間はヤドリギを食べた後、粘りのある糞と一緒に宿り木の実を排泄して、木に付着させます。この種子が芽生えてヤドリギ(宿り木)となります。 英名はボヘミアンワックスウイング(Bohemian Waxwing)と言いますが、キレンジャクは風切りの翼羽の先に、涙の形をした赤い部分があり、それが、翼の先に血がにじみ出た様に見えます。これを赤い蝋にみたてたことから、ワックスウイングという英名になったようです。赤く細い5ミリ程のハリ(針)状のロウ突起物を翼の一部に5個〜8個程付けているのです。鳴き声は「チリチリ」と言う感じ。鳩ヶ谷地域では過去に2例の記録があります。
緋連雀冠毛立てて群れ下りし 原田 浜人
4月 1日 今日は暖かくなったので久し振りに旧芝川を歩いてきました。サクラは散り始めているものの満開状態でした。開花している花も多く、カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、ハルジオン、セイヨウタンポポ、オオイヌノフグリ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、ナズナ、カラシナ、菜の花、オオアラセイトウ等が見事なお花畑となっていました。驚いたことにモンシロチョウに混じってツマキチョウが10頭以上、更にアゲハチョウの春型が飛び回っていました。ミシシッピーアカミミガメは川岸で日向ぼっこをしており38頭を確認しました。川の中では大きなコイが跳ねまわり、中には体全体を空中に跳ね上げているものもいました。コイも恋の季節のようです。
野鳥はカモ類の数が減少し、カルガモ14羽、マガモ雌1羽、コガモ雄15羽、雌11羽、ヒドリガモ雄19羽、雌12羽、その他カイツブリ、オオバン、アオサギ、カワウ、ユリカモメ、イソシギ、キジバト、ツグミ、ムクドリ、ヒヨドリ、スズメ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ツバメ、ウグイス、カワセミ、等でした。
4月 3日 昨日から降り続いた雨は、かなりの量になりました。お陰様で我が家の水瓶も潤いましたので、プランターなどへの水やりが助かります。サクラの花も何とか全て散らずにすみました。近所の家のヒメリュウキンカが黄色い花を咲かせています。この花は、尾瀬沼などに咲いているリュウキンカの花に良く似ています。早いところでは2月くらいから咲き始めます。この辺りでは、安行植物振興センターで小群落を見ることが出来ます。石川県・金沢の兼六園や尾山神社(前田利家の金鯰尾兜などがあります)等でも咲いていました。
4月 5日 リニュアールされた湧水公園ではセリを摘む人たちがビニール袋一杯に摘み取っていました。湧水の水路は埋まるほどでした。水路ではアメリカザリガニ、ヌカエビ、メダカ、モツゴ等が泳いでいました。公園の駐車場の周りではモンシロチョウ、モンキチョウ、ツマキチョウ、キタテハが飛び回り、芽吹き始めたハンノキにはハンノキハムシの成虫が飛来していました。竹林ではムラサキケマンやトキワツユクサの若芽が所狭しに生育していました。渡り間近のシロハラはまだ残っていました。
東縁見沼代用水の浅瀬では、スズメノテッポウ、イヌガラシなどが開花し、桜町6丁目の民家ではアミガサユリやフジの花が開花していました
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キカラスウリの殻に来るヒヨドリ | ヒメリュウキンカ |
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4月 7日 昨日の強い雨に続いて今日は一日中風が吹き荒れていました。気温が高かったので市内各地で色々な花が咲いていました。特に目立ったのはユキヤナギ、ドウダンツツジ、ヤマブキ、ハナニラ、タマスダレ、ニオイスミレなどの園芸種とカントウタンポポ、交雑タンポポなどでした。残っていたソメイヨシノも強雨の影響で殆ど散ってしまいました。
4月 8日 桜町3丁目の路地ではカントウタンポポ30株と交雑タンポポ30株、コンフォール東鳩ヶ谷の北側崖地では交雑タンポポ300株が咲いていました。300株のうち殆どの株はカントウタンポポに近いが交雑種でした。近くのだんだん公園から走り出てきた野良猫がクマネズミを銜えていました。ネコがネズミを捕るのは当たり前でしたが、最近のネコはネズミを捕らなくなりました。以前に観察した野良猫は頭胴長30cm近いドブネズミと対峙して襲うどころか逃げていきました。世の中変わったものですと言いたいところですが、ネズミが大きくなったのも問題です。
芝川の境橋と神根橋の間でコガモが1羽泳いでいました。
4月 9日 市内で林が残っている場所では、ウラシマソウが開花し、ホウチャクソウの芽が伸び始めています。今年はツマキチョウが各所で見られており例年よりも多いようです。ツマキチョウはなかなか留まってくれないので写真を撮るのが難しく苦労しています。ムベやミツバアケビも開花しています。
4月10日 辻の水田ではスズメノテッポウとゲンゲの群落が見られます。このような環境は鳩ヶ谷地域ではこの場所だけとなりました。川口市内でも貴重な風景です。これらの群落に隠れてコオニタビラコも生育していました。毛長川調節池ではカワウ、コサギ、ハクセキレイ等がいましたが、先日の降雨で溢れた土砂がテニスコートに流れ込んで清掃が大変な作業となっています。我が家の庭では渡去したと思っていたツグミが新緑のカキに飛来しました。
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葉によく似たアカボシゴマダラの幼虫 | セイヨウタンポポに留まるベニシジミ |
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4月11日 門柱の角に小さなヤモリが張り付いていました(5mmもないような空間にしっかりとへばり付いていました)。
4月12日 湧水公園の池際にアライグマの足跡がありました。ここでのアライグマの確認は初めてです。池の工事の時に池の周囲全体に雑草が生えないような素材を使ったとのことでしたが、オオバコ、ギシギシ、交雑タンポポ、オオジシバリ、ヘビイチゴ等が生育し始めていました。周辺ではベニシジミ、モンシロチョウ、ツマキチョウ等が飛んでいました。斜面林ではウラシマソウの小群落開花していました。
法性寺の境内ではシロハラが残っていました。桜町6丁目の桜並木ではコゲラのペアが頻りに餌を啄んでいました。市内での出会いは久し振りですが、何処かで繁殖をしているのかも知れません。
4月13日 庭のサクラの木にツグミが飛来、どうやら近所の猫用のキャットフードを食べていたようです。長旅の前の栄養補給なのか、野良猫に餌を与えるのも困りものですが餌の少ない時期には野鳥にとって良い食料のようです。
4月18日 まだ昆虫類が少ないのが残念ですが、ベッコウバエが庭を飛び始めました。クコの葉にはトホシクビボソハムシが群れていました。
4月19日 湧水公園では今年初認のクロアゲハがいました。タコノアシの芽も大分伸び始めていましたが、1か所では摘み取られていました。柵をしようと思っていた矢先に残念でしたが根は残っているようなので再発芽してくれるものと思います。昨年も1日の違いで抜かれてしまいましたが無事に生育してくれました。4月6日に「はとがやに里山をつくる会」のメンバーが植えたヨシも全て抜き取られてしまいました。隣の駐車場では5羽のキジバトが採餌していました。庭の柿の木にツグミが飛来しました。1週間ほど見なかったので、渡去したものと思っていました。
4月22日 近くの林ではアオジ、シロハラ、ツグミ等がまだ残留していました。しかし夏鳥はまだ姿を見せません。林内ではウラシマソウやホウチャクソウが咲き出しました。
湧水公園ではカルガモのペアが観察されていますが、営巣する場所があるかどうか?昨年は池の水面ぎりぎりに造巣したために大雨で卵が冷やされて失敗に終わりました。
庭ではゲンペイコギクとヒメジオンが咲き出しました。アゲハの羽根も落ちていました。
4月22日 トマト苗をプランターに植えるために、裏庭で造っている落ち葉の堆肥を掘り返していたところ、ヤスデ、ムカデ、オカダンゴムシ等が出てきました。120gほどの土を掘り返しましたが、コガネムシやクワガタムシなどの幼虫は全く見られませんでした。
4月23日 家の壁の間で越冬したジャコウアゲハの雄が羽化しましたが、狭い場所で羽化したために後翅が縮れており飛べる状況ではありませんでしたが、伸び始めてきたウマノスズクサに留まらせておいたところ、いつの間にか消失しました。ツグミもまだ残っています。
4月24日 昨日羽化したジャコウアゲハはハチの仲間?に捕食されたようで前翅2枚のみが落ちていました、自然界は厳しいですね。
4月25日 庭のカタバミが咲きそろい、カタバミ、アカカタバミ、オッタチカタバミの3種類、オッタチカタバミは、何時侵入してきたのかわかりません。
台所のドアの上で越冬していたジャコウアゲハの蛹が黒ずんできたなと思っていたら、16時頃に羽化していました。1時間ほどじっとしていましたが17時に見たら消失していました。裏庭の堆肥の上でカナヘビを確認、今年初めての観察でした。
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後翅が縮れたジャコウアゲハ | 羽化したばかりのジャコウアゲハ |
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4月28日 江川ではコガモ雄2羽、雌10羽がまだ残っていました。そして川筋ではコミスジを初認しました。
4月29日 辻の水田では、レンゲの花が満開の状態でカワラヒワも花の間を飛び回っていました。ハハコグサ、ユウゲショウ、タガラシなども咲いていました。この辺りに残っている田園風景のみが昔のはとがやのイメージを感じさせてくれるところです。
●エコライフDAY埼玉2012
昨年、埼玉県下で行われたエコライフDAYの参加者は122万2350人で過去最高の参加者とのことです。二酸化炭素削減量に換算すると約918トンで、さいたまスーパーアリーナの約45個分のブナ林が1年間で吸収する二酸化炭素量に相当するそうです。エコライフDAYの参加者は年々増加していますが、県内の緑地が減少していくのが気になります。植樹をする人が増えてくれると良いのですが。埼玉県が5年間に植樹した面積は4170f(ディズニーランド約82個分)とのことですが、減少した面積は?
●旧芝川の環境
新芝川の青木水門より青木橋付近までの工事が終了し、散歩コースになっています。大都会の中のオアシス的な緑地空間となり、低河川敷の工事終了後2年経過して周辺環境が少し良くなりました。
4月1日はサクラの花とカラシナが各所で満開となり多くの人たちが散歩をしていました。冬の間、300羽ほどいたカモ類は大分減少しましたが、マガモやコガモが残っていました。冬の間は2時間ほど散策すると25種類ほどの野鳥を観察することが可能です(ちなみに2007年から旧芝川で記録された野鳥の種類は56種類)
ミシシッピーアカミミガメはかなり増加している様子で、至る所で日向ぼっこをしています。低河川敷の工事と同時に行われたヘドロの浚渫の効果は半年ほどで汚染が目立ち始めました。河川敷内には色々な浄化設備が設置されていますが、浄化設備を上回るほどの汚れがあるようです。大きな原因は家庭の雑排水や工場などの排水の汚れが流入していることが原因と考えられます。
川口市内は年々都市化が進んでいますが、全く歯止めがありません。河川と緑地をつなぐための、まとまった緑地としての公園が欲しいところですが、市政にはそのような実行力は全くありません。
緑の基本計画も環境基本計画も冊子を造った段階で終了です。どのような緑地を何時までに増やしていこうというような計画が作成されないために何年経っても基本計画が動かないのです。環境基本計画がしっかり計画をされて、実行されることが出来れば地球高温化対策などを別枠で考える必要はないわけです。
どのような良い計画書を作成しても行動が伴わなければ「絵に描いた餅」です。今後、川口市では緑地は減少しても増えることはないでしょう。
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青木橋付近より元郷方面を望む | 新青木橋下流付近 |
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散歩や釣りをする人達 | タコノアシの小群落(昨年確認)も芽生え |
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日向ぼっこするミシシッピーアカミミガメ | マガモ♀(奥)とカルガモ(手前) |
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