No.56 2009年2月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (69)

ハシボソガラス(カラス科) Corvs corone

私たちの身近にいるカラスの仲間は、嘴の太いハシブトガラスと細めのハシボソガラスがいます。ハシボソガラスはガァーガァーと濁った声で鳴き、ハシブトガラスはカアー、カアーと澄んだ声で鳴きます。カラスはその声と黒い姿から忌み嫌われています。

一般にカラスの仲間は群れをつくって生活し、夜は塒に入ります。塒では多いところでは5千羽〜1万羽集まるところもあります。

日中は、河川敷や水田などで魚や蛙などの動物の死体を漁ったり、ゴミの中の残飯を拾ったりします。こうしたカラスの仲間の繁殖期は、他の野鳥が繁殖するよりも、ずっと早い厳冬期の1月〜2月に営巣を始めます。高い樹上に木の枝を集めて造巣しますが、木の枝以外に針金のエモンカケやビニールの紐なども利用しています。4月〜5月になると若鳥が巣立ちして行きますが、童謡で歌われている「可愛い七つの子」は、縫いぐるみのような、ふかふかの綿毛に包まれています。

現在、ハシボソガラスは、ハシブトガラスと同様に街の生態系の頂点にいますので、ゴミの収集日には、沢山集まってきてゴミを食い散らかして問題となっています。また、これからの季節は子育ての時期でもあり巣の近くを人が通ると襲ってきたりする可能性もあります。そこで、巣の中の卵や雛を取り除こうとしたり、市役所に頼んで巣を撤去したりする人がいますが、この様な行為は鳥獣保護法違反になりますのでご注意。例え、いたずら者のカラスでも捕ることは出来ません。近年は、猛禽類のオオタカが都市に出現するようになりカラスを捕食することも多くなりました。

昨年、鳩ヶ谷市内で営巣を確認した巣の数は、24ヶ所でした。主に、10m以上の大きな樹木に営巣していました。ちなみに、川口市の市街地で確認したカラスの巣は20巣でしたが、市街地外の緑の多い市域全体を含めるとかなりの数になるのではないでしょうか。

 

自然の記録:

 2月5日八幡木中学校脇を流れる毛長川でコガモ雌雄各10羽、カルガモ12羽、オナガガモ雄1羽、ハクセキレイなどがいました。

鳩ヶ谷に残る屋敷林(十二島) スノードロップの花

 2月に入り、生産緑地6ヶ所0.3fが消失、残り少ない市内の農地が消滅の危機に。

 2月 7日 久し振りに隣家の庭のサザンカにウグイスが飛来しました。今冬は暖かいのか。毎年4月頃に咲く君子蘭が一株だけ開花しました。厳冬期に花を見るのは初めてです。

 2月 8日 西公団東側(R122号脇)の保存樹林内は多くのゴミが投棄されており、散策路でも整備して活用すればよい場所であると思うのだが、鳩ヶ谷市内に残った最後の斜面林である。

スダジイ、クスノキ、アカマツ、などの大きな樹種が多く、ヒヨドリによって広がったと思われるアオキやシュロがかなり繁茂しています。枯れて残ったカラスウリが風に揺れているのが印象的でした。

地蔵院の駐車場でジョウビタキの雄、三光稲荷に面した畑の白梅にメジロが飛来していました。

 2月11日 各地でオオイヌノフグリや梅の花が盛りとなりました。庭のスノードロップも開花し、フクジュソウも落ち葉の下から花芽が見えてきました。

 2月12日 江川上流でコガモ(雄5、雌3)、セグロセキレイ、ハクセキレイ、見沼代用水との合流点付近で餌を与えている人がありカルガモ6、オナガガモ(雄2、雌3)が集まっていました。

 2月14日 今日は2月というのに何という温かさか?12時から30分ほど寒暖計を直射日光に当たる場所に置いておいたところ、なんと45℃まで上昇しました。厳寒期に真夏日のような感じでした。

 2月18日 イヌ走りの溝にヤモリの遺骸がありました。まだ行動するには寒かったのでしょうか。昨日の寒波の影響なのか、可哀想なことをしました。落ち葉の下から顔を出していたフクジュソウが黄色い太陽のような花を咲かせてくれました。たった一輪ですが庭が明るくなった気がします。その花にニホンミツバチが飛来しました。良く知っているものだなと感心しました。

 2月20日 午前中は雨が降り気温が下がりましたが、午後からは晴れてヒメオドリコソウやホトケノザのピンク色の花が開花しました。4時頃、庭にコサギが飛来し降りるかと思いましたが、そのまま飛んでいきました。残念でした。

 2月24日 江川ではオナガガモ雄3,雌5、カルガモ6、セグロセキレイが採餌、本町2丁目の荒れ地の雑草や篠竹を数日前に刈り取ったので、キジバト、ムクドリ、ヒヨドリ各5羽が地上で採餌していました。各種の雑草の種子が落ちているので貴重な餌場となったようです。

 2月26日 今月は雨の日が多く、寒い日も続いているためか咲き始めた植物や芽吹き始めた木々も伸びが遅くなっています。隣家のコブシの芽もまだかなり堅いのですが、ここ数日ヒヨドリの10羽以上の群れが来て芽を食べています。昨年は、殆ど花が咲きませんでしたので今年も咲くまでに食べられてしまうかも知れません。

魚供養塔 本町4丁目の保存樹林

ウナギ屋竹江の脇に小さな祠があり、魚供養の碑があります。この碑は食用にされた魚を弔うものですが、アイヌや昔の人は、草木や動物にも魂や精霊などが宿っていると信じて生活をしていました。今の人は、いきものに対する思いや、意識が殆どなくなっており、自然保護や環境問題に対する意識も薄れているような気がします。一方、本町4丁目の保存樹林は木々の枝が落ちて明るくなりましたが、そのお陰で下映えの生育状況がよく解るようになりました。占有しているのはシュロ、次いで多いのがアオキです。共に、ヒヨドリが運んできた種子が発芽したものです。昔から、鳩ヶ谷市内に多少のあったのですが、気候変動化に伴い、生育のための気温が上昇してきた事も一因となっています。

 2月27日 朝から降っていた雨が、10時頃から雪となりました。今年になって初めて雪らしい雪となりましたが夕方には止みました。餌が少なくなってきたのかヒヨドリやツグミが柿のヘタなどを食べて寒さをしのいでいるようです。

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 20

ミノムシ(蓑虫)は、ミノガ科のガの幼虫です。一般には、オオミノガの幼虫を指し、摂食後の枯れ葉や枯れ枝に粘性の糸を絡め、袋状の巣を作って枝からぶら下がることで知られています。   

昔、ワラで作った雨具「蓑(みの)」に形が似ている為に「ミノムシ」と呼ばれるようになりました。鳩ヶ谷市内でも20年以上前までは、何処でも見ることができましたが最近は見る機会が少なくなりました。家の庭では毎年、2種類の蓑虫がいくつか見ることができますが、市内に色々な樹種の樹木を植栽しないと、蓑虫もいずれ見られなくなるかも知れません。

 

地球温暖化を考える(12)

海洋投棄物の問題

カンガルー島の管理センターで被害状況の展示物の一部

今回は温暖化とは関係ありませんが、海洋投棄の問題です。日本近海でも多くのゴミや廃棄物が川や海に捨てられています。中でも自然に分解できないビニール袋、ビニールテープ、テグス、漁業用のネット、等々が投棄されています。オーストラリアのアデレードの沖合に浮かぶカンガルー島などでもこれらのゴミが海鳥や海獣類の脅威となっています。

日本でも不法投棄されるなどして流出したものと見られるゴミが海流に乗ってハワイやミッドウェーなどの太平洋諸島やアメリカ西海岸などに流れ着き、アホウドリなどの野生動物を殺傷する一因になっていることが以前より問題になっています。プラスチック類は消化できず、生分解しにくいため、海洋生物が漂流ごみを誤食してしまうことや、海底に沈んだゴミが分解されずに残ってしまうことで深刻な問題を引き起こしています。特に、釣り人が捨てるテグスは大きな問題にもなっています。