No.143 2016年5月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (156) 

コルリ(ヒタキ科)Luscinia cyane

囀るコルリ(♂)戸隠にて

コルリはスズメくらいの大きさで足が長く、青い鳥です。囀りはコマドリによく似ているが、小声でチッ、チッと続けて、チンチチュルルとかチュルチュルチュルというような声で鳴きます。しかし、普段は藪の中で鳴いていることが多く姿を見る機会が少ない鳥の一つです。渡ってきた頃は木の枝に止まって囀ることもあるので、声がする場所で待っていると見る機会があります。雌は上面がオリーブ褐色の地味な色をしています。

川口市内では 1960年代に安行慈林の薬師寺の境内で“花祭り”が行われた日に観察されたことがあります。満開のサクラの枝に止まっている青い鳥は美しい絵を見ているようでした。その日は安行の“花と緑の振興センター”でもサクラの枝に止まる雄を見ることが出来ました。コルリは、日本にいる青い鳥3種類の鳥オオルリ、コルリ、ルリビタキの中でも特に鮮やかなルリ色をしている。喉からお腹にかけての白色が瑠璃色を引き立てているようである。

 

自然の記録:

 5月 1日 庭のトマトの苗にセボシジョウカイという小さなカミキリムシに似た昆虫がいました。全体がオレンジ色で体長10mm前後の小さなジョウカイボンの仲間で胸部の背面に黒い点があります。個体により黒い斑点は頭部にもあるものもいます。小さな昆虫や花の蜜を食べているようです。アトモンサビカミキリという小さなカミキリムシの仲間がブロック塀を這っていました。コミスジチョウも初飛来でした。

月下美人の葉に沢山の稚グモがいました。息を吹きかけるとクモの子を散らすようにと形容するように、50p四方ほどのクモの糸伝いに分散しました。庭のあちこちでギンメッキゴミグモが網を張っていました。ジャガイモの葉にはササグモがいました。

安行の花と緑の振興センター付近を2時間ほど散策しました。林の緑がさわやかで、竹林では2m〜6mほどに成長した筍が沢山ありました。アゲハチョウ、アオスジアゲハ、ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、コミスジチョウ、キタキチョウ、スジグロシロチョウ、ムラサキシジミ等の蝶が飛んでおり、ミツバウツギの花にはハナアブや蝶の仲間が集まっていました。アトジロサビカミキリやハナムグリなども見られました。

 5月 6日 川口市民環境会議の“いち・に・散歩の会”のメンバー13名と共に鳩ヶ谷の歴史と里山の散策を行いました。地蔵院のタブノキと小谷三志の墓〜三光稲荷〜豊田の森・湧水公園〜法性寺を巡りました。地蔵院のタブノキの林では竹林の一部が伐採されてアジサイの若木が沢山植栽されていました。下草にはコナスビ、オッタチカタバミ、コオニタビラコ、クサイチゴの群落が目立ちました。三光稲荷では2年前にエノキの巨樹が伐採され明るくなっていました。豊田の森の竹林では400年以上もの歴史あるイチョウの巨樹に目を見張っていました。

お土産に林内に生えているフキを持ち帰った人もいました。湧水公園ではショウブ湯に使われるショウブの群落が小さな花をつけていました。コウホネもかなり咲いていました。法性寺では、外側から見ることが出来ない日本庭園のフジと斜面に生育している大クスに感激していました。日本庭園ではアオスジアゲハ、クロアゲハ、ジャコウアゲハ、アゲハチョウ等が飛び交っていました。その他、散策中にオニヤンマ、ツマグロヒョウモン等の昆虫類やアカバナユウゲショウ、セイヨウタンポポ、ヒルザキツキミソウ等も開花していました。

法性寺ではフクロウの声も聞こえるようです。法性寺や地蔵院の周辺ではフクロウの情報がありますが、まだ繁殖情報がありません。

 5月 7日 はとがやに里山をつくる会のメンバー4名で、豊田の森で斜面に生えている竹の間伐とタケノコ掘りを行いました。すでに6m〜8mほどに成長して竹になっているものも多くありましたが、地面から顔を出したものもあり収穫をしました。作業中にナガサキアゲハが何度か林内を飛んでいました。

 5月 8日 久しぶりに秋ヶ瀬公園に出かけました。サクラソウやノウルシは花期が過ぎてしまいましたがチョウジソウが開花し始めていました。昆虫類が少なくアゲハチョウ、ナガサキアゲハ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、アカボシゴマダラ、ヒメウラナミジャノメ等の蝶が目立ちました。サクラの幹ではヨコヅナサシガメが多く、枯れて横倒しになった木には無数の穴があいておりキセイバチの仲間のエゾオナガバチの雄やクロヒラアシキバチ、それに寄生するニホンヒラタタマバチ等が多くみられました。野鳥は少なく夏鳥のキビタキ、ムギマキその他20種類ほどでしたがウグイスとオオヨシキリの声が目立ちました。

クロヒラアシキバチ(♂) エゾオナガバチ(♂:2匹) ニホンヒラタタマバチ
ヨコヅナサシガメとナナフシ アカスジキンカメムシ ムネアカナガタマムシ

 5月10日 雨が上がった後でユキノシタの花が開花しました。雨に濡れていたので綺麗でした。犬走の上ではコクワガタの雌が背中を下にしてもがいていました。サビキコリやコメツキムシsp.等も出てきました。

 5月11日 風が強い一日であった。市内いたるところでノイバラやテイカカズラが開花、タチアオイも咲いていました。八幡木中学校脇の毛長川では大きなコイがたくさん泳いでいました。カキの花も咲き始めていましたが、強風によってかなり落とされていました。

 5月13日 昨日に続いて今日も暑い一日となりました。庭ではアカボシゴマダラの雌が飛び回り、まるでオオゴマダラが飛んでいるようでした。その他、ツマグロヒョウモン、アオスジアゲハ、クロアゲハ、アゲハチョウが飛び回り、クロアゲハとアゲハチョウは柑橘類に産卵していました。すでに孵化した幼虫も数匹見つかりました。枯れたキンモクセイの幹から木くずが沢山出ています。何が出てくるのか毎日観察していますが直径1pほどの穴が開きだしました。

 5月15日 鳩ヶ谷博物誌を始めた頃に比べて昆虫類が減少しているように思います。それでも草叢や葉の裏を探すと色々な蛾や蝶の幼虫などが見られます。庭のカキの木にキマワリがいました。

キバラモクメキリガ ナワキリガ ヨツボシホソバ
カバキリガ ツバメの巣と保護網 ルリカミキリ

 5月18日 桜町6丁目の住宅に営巣しているツバメの巣で6羽の雛が孵りました。こちらの民家では毎年ツバメが営巣していますが、最初の頃はカラスが飛来して巣を落とされてヒナが襲われていました。しかし、民家の人がカラス除けのネットを張り巡らして保護したところ毎年繁殖が成功するようになりました。ツバメを観察していたところ、上空をツミが通過しました。

ベニカナメモチの垣根に10匹以上のルリカミキリが集まっていました。古木の集積場ではムネアカナガタマムシという1p程のタマムシがいました。

 5月25日 シマヘビがブロック塀を超えて庭に侵入してきました。あっという間に草むらの中に消失して、写真を撮ることが出来ませんでしたが今年も確認することが出来ました。

 5月28日 安行の花と緑の振興センターへ出かけました。今は白色系の花が多く咲いており、アゲハチョウ、クロアゲハ、カラスアゲハ、ナガサキアゲハ、ヒカゲチョウ、サトキマダラヒカゲ、コミスジチョウ、ルリタテハ(幼虫)、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、ルリシジミ、ミズイロオナガシジミ、イチモンジセセリ、クサカゲロウ、オニヤンマ、ブドウスカシクロバ、ビロードハマキ、ウスイロオオエダシャク(約6p)、チャノウンモンエダシャク(約5cm)、ゴマフシロギバガ、ウスキミスジアツバ、ルリカミキリ、コクワガタ、サビキコリ、コメツキムシ、アオコガネ、マルガタビロウドコガネ、アカガネサルハムシ、チャバネアオカメムシ、ヤマトシリアゲ、スズメバチ、セグロアシナガバチ、クマバチ、等の昆虫類がいました。

台所の入り口にフトジマナミエダシャク(約2cm)という小型の蛾の仲間が止まっていました。

 5月29日 近所の民家で営巣していたツバメ6羽の雛の内4羽が巣立ちしました。2羽は途中で消失したようです。

ウスイロオオエダシャク チャノウンモンエダシャク フトジマナミシャク
ウスキミスジアツバ ゴマフシロギバガ ブドウスカシクロバ

 5月31日 久しぶりにアトジロサビカミキリがブロック塀を歩いていました。昨日の雨の影響でコメツキムシ3匹とマルガタビロウドコガネが空き缶の中で水死していました。

 

地球温暖化を考える(96)

千葉県大多喜・養老渓谷から濃溝隧道の滝

 千葉県大多喜町は「城と渓谷の町」といわれ、いすみ鉄道大多喜駅の近くには大多喜城があります。大多喜城は、徳川家康の四天王の一人である本田忠勝・忠朝親子が主であった。この周辺は山深く、渓流に囲まれ竹林の多いところです。大多喜町の春の名物は色白のタケノコ。

養老渓谷から亀山湖を通り笹川湖(片倉ダム)の近くに「清水渓流公園」があります。緑豊かな公園には一周15分ほどの散策路が整備されており、コナラの路を歩いて行くと「濃溝の滝」があります。濃溝の滝は、約350年前に*川廻しのために掘られたトンネルで円形にえぐられて(洞窟)、川の高低差によって滝となりました。なかなか趣ある景観でした。洞窟から日射しが入ると、さらに神秘的な風景で朝と夕方の光が差し込む時が一番美しいとのことでした。当日は、あいにく小雨が降っていましたが、差し込む光と、洞窟の中と外の明暗差が美しさを際立たせています。透き通る水の美しさもため息が出るほど。ちなみに、山ビルやマムシに注意の看板もあったので、季節によっては気を付ける必要がありそうです。

*「川廻し」とは房総丘陵の河川に見られる独特の地形であり、かつて蛇行していた川が短絡されて、もとの川の跡(フルカワと呼ばれる)が水田になっている(今は休耕が多い)。新しい川はシンカワと呼ばれる。短絡はトンネルや切り通しで人工的に行われた。時代性のある現象で、江戸時代に始まり、明治には大体終了したと言われている。

日本は雨の多い国ですが、地形が急峻で河川が短いため、必ずしも充分に水資源を使えるわけではありません。季節的・地域的な差もかなりあります。温暖化すると、降雪が雨になったり、融雪が早まったりするため、河川流量が1〜3月には増加し、4〜6月には減少します。このため、農業用水、都市用水などの水不足のおそれが高まると考えられます。また、現在雨の多いところはさらに多く、少ない所はさらに少なくなり、水害や渇水などの発生する危険性が増加します。今後は、豊かな森づくりと水資源の管理をすることが温暖化対策には重要となるでしょう。

清水渓流公園 濃溝の滝(洞窟奥からの光が美しい)   
奥の流れが濃溝の滝 園内の散策路