No.93 2012年3月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (106)

コジュケイ(キジ科) Bambusicola thoracica

コジュケイは小綬鶏と書きますが、キジやニワトリの仲間で体長は25cmほど。キジやヤマドリと違って尾が短く、ウズラに似ていますがウズラよりは一回り大きい。雌雄同色で褐色系の色彩だが、頬から喉にかけて鮮やかな赤褐色の部分が目立ちます。腹部は他よりも明るめの黄色い地に黒褐色の斑紋があります。チョットコイ、チョットコイあるいはピープルプレイ、ピープルプレイと聞こえるような独特な声で鳴くので其の存在がわかります。コジュケイは中国大陸に分布する亜種と台湾に分布する亜種に分けられる。台湾亜種はタイワンコジュケイ(別名でテッケイともいう)と呼ばれており、兵庫県の神戸市付近で野生化しています。日本各地に生息するのは中国産亜種ですが、両亜種ともの狩猟鳥として20世紀はじめに東京都や神奈川県で放鳥されたものが増殖しましたが、最近では声を聞くことはあっても姿を見る機会が少なくなっています。昭和60年代頃までは市内の鳩ヶ谷本町や桜町では、農地や植木畑あるいは空き地などが多かったので普通に見ることができました。現在はコジュケイが生息し、かつ安心して繁殖をできるような場所がなくなりました。地上に営巣しヒナを育てるのでイタチや野良猫の存在が、コジュケイの減少に大きく影響を与えています。

自然の記録:

 3月 1日 昨日の降雪は昼までに殆ど融解してしまいました。春の雪は解けるのも早い感じがします。

 3月 3日 ようやく近所のウメが満開となりました。一時開花が止まっていたヒメオドリコソウの花も大分開花し始めてきました。ジョウビタキも動きが活発になり、そろそろ北国への旅支度を始めることでしょう。

近所の庭では早くもキケマンが開花しました。どこから増えてきたのかわかりませんが、桜町6丁目の数件の庭ではキケマンが増え続けています。ところでケマン(華鬘)というのは花の輪をかたどった飾り物のことで、寺のお堂の中を飾る飾り物のことです。元来は花を糸で連ねて輪に結んだアクセサリーのことでしたが、仏さまを飾る仏具となり、花以外に糸・牛皮・金銅・木などで作られているようです。

 3月 5日 雨の中、湧水公園でカルガモ5羽が元気に泳いでいました。ここでのカモ類の飛来は初めてです。ダイサギとコサギもずぶぬれになりながら池のふちに佇んでいました。

雨の湧水公園 朽ち木から出てきたキマワリの幼虫

 3月 7日 今日は暖かかったので、アセビ、菜の花、サンシュウ、フキノトウ、カラスノエンドウ等が各所で開花しました。また、湧水公園ではホトケノザ、ナズナ、オオイヌノフグリ等も開花し始めました。スズメ(30<)、ムクドリ、ヒヨドリ、キジバト、ハクセキレイ、シロハラ、シジュウカラ等が湧水公園で採餌していました。

 3月 9日 3月に入り雨の日が多くなりましたが、湧水公園ではカルガモ(2)、ムクドリ(4)、カワセミ、キセキレイ、ハクセキレイ、キジバト、ハシブトガラス、ヒヨドリ等が元気に飛び回っていました。雨の日は訪れる人もいないので野鳥も安心していられるようです。

 3月12日 辻のH氏より、オオタカに関する貴重な情報を得ました。(最初のオオタカ目撃から2月末までに確認したのは4日で5回でした。3月11日 朝9時半頃に1回(北側にある銀杏の木にとまるところを目撃)、 昼12時半頃、バス通りに近いほうのケヤキにとまっているのを目撃。夕方4時頃、同じ木にとまっていました。 ほぼ3時間おきに確認できました。)オオタカはこれからが繁殖に入るので獲物探しに忙しくなることでしょう。 また、ウグイスの初鳴き情報もいただきました。流石に農家の周辺は良い環境が残っているようです。

 3月14日 家の周りではウメの花が5分〜8分咲となってきました。レンギョウやアオキは漸く花芽を付け、シキミの花もかなり開花してきました。アメリカスミレサイシンは紫色の花を咲かせています。

アメリカスミレサイシン ヒメオドリコソウ

 3月17日 雨の中、ヒヨドリ、メジロ、ジョウビタキなどが開き始めた垂れ梅に飛来、数少ないウメの花を食い散らかしています。このように書くと野鳥が悪役のように見えますが、一方ではミツバチが少なくなっていることから虫媒花から鳥媒花の役目もしてくれているのだと思えば多少目をつぶらざるを得ません。

今年は全国的に冬鳥、特に小鳥類の渡来数が少ないと言われていますが、鳩ヶ谷・川口地域でも同様です。また、新芝川で毎年群れているユリカモメも今年は全く見ることが出来ませんでした。いないわけではないのですが、せいぜい1羽〜数羽程度で飛来しているようです。昆虫類の出現も遅れています。レイチェルカーソンのサイレント・スプリング(失われた春)を想像します。

 3月19日 キケマンの大株の陰に隠れて見えませんでしたが。ニリンソウの小さな葉が大分芽吹いてきました。今年は何とか多くの花をつけて欲しいものです。我が家が出来る以前から自生している株ですが、発芽したのが数十年経ってから芽を出したので増殖も今ひとつです。

 3月22日 雨の中、シジュウカラの囀りが春らしくなってきました。何時侵入したのか廊下にマルカメムシの遺骸が落ちていました。

 3月24日 2日間続いた雨が止み、太陽が出てくると隣家の白梅の木にはヒヨドリ、スズメが群れており花を散らしていました。その合間をジョウビタキの雄が飛び回っていました。このジョウビタキは隣家の庭を中心として越冬していました。

 3月25日 本町2丁目の水道局ポンプ場脇でツクシが出てきました。家の上空をコガモが通過し、江川ではダイサギ、コサギ、カルガモ(8羽)、仲居小学校付近の芝川では冬羽のカイツブリが頻りに潜水を繰り返していました。

辻の農家の田んぼは2週間ほど前まで枯れた田んぼのように見えていましたが今日は緑色が濃くなり、山羊がのんびりと草を食べていました。緑色の草の間ではタネツケバナが開花しました。

自宅の裏で今年初めてウグイスの声を聞きました。

鳩ヶ谷に残る唯一の長閑な風景です イラガの繭とマエアカスカシノメイガ

     3月27日 家の裏に剪定した枝や落ち葉を堆肥にするために積んでいますが、その中のサクラの朽ち木を掘り出してみると、茶色の細長い幼虫がいました。キマワリという甲虫類の幼虫でした。そして、小さなムカデも出てきました。落ち葉の間からはナナホシテントウが出てきました。

 3月28日 ここ数日の温かさの影響か、ウメ、ヒガンザクラ、ハクモクレン、レンギョウなどの花が各地で一斉に開花し始め、特に遅れていたウメの花も満開となり、本町2丁目では20羽以上のメジロが吸蜜していました。

 湧水公園では食べ頃のセリが生えています。池の周りではホトケノザ、オオイヌノフグリ、ナズナなどが一斉に開花しました。そして、今年初めてのキチョウを観察しました。 我が家の庭では交雑タンポポが一輪開花しました。

ハシブトガラスが頻繁に布団の綿を運んでいます。そろそろ産卵のようです。

 3月30日 強い風の中小さな白い蝶のようなものが飛んでいました。ツマグロチョウにしては早すぎるかなと思っていたらピラカンサの幹に留まったので近づいてみるとマエアカスカシノメイガという小型の蛾でした。

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 57

ノコギリクワガタ(ノコギリクワガタ科)

ノコギリクワガタは1960年代までは平地で見ることが出来るクワガタムシではきわめて普通種でした。しかし、雑木林や里山が宅地化されるにつれて消失し、近年では姿を見ることもありません。そして、カブトムシ同様に子供達の虫相撲の良い遊び道具として親しまれていました。

今、鳩ヶ谷地域で見ることの出来るクワガタは、コクワガタやスジクワガタといった小型のクワガタの仲間が時々堆肥の中から出てくることがありますが、このような昆虫類を再び見ることが出来るような環境作りをしていきたいものです。 

 

地球温暖化を考える(48)

 

仮称・はとがやの湧き水の里に関連して(10)

 松戸市にある21世紀の森博物館に行って来ました。以前にも行ったことがありますが、この公園はかなり広く入り口は博物館を通って公園に行くような形になっています。博物館を出ると古代の住居を模した建物が数棟あります。周辺は武蔵野の自然林や畑・水田・既存の池などをそのまま利用しています。いくつかある池の一つに丁度湧水公園と同じくらいの面積の池があります(写真左)。同じ面積の池でも、周囲が林に囲まれているか、住宅に囲まれているかで環境が異なります。

左の池ではアカガエルの卵塊が所狭しと産み付けられ、一部には小さなオタマジャクシが孵化して泳いでいました。数年前までは湧水公園の池でもアカガエルの産卵が見られましたが最近は見られなくなりました。

 池周辺の環境を少し変えるだけでも、多くの生物を呼ぶことが出来ます。特にトンボのヤゴが孵化するために池から上がってくるための水生植物の存在が欠かせません。

21世紀の森博物館の池(松戸市) 現在の湧水公園

 例えば、湧水公園の自然環境を整備すると、春になるとガマ合戦なども光景も見られるようになります。以前にはアカガエルやヒキガエルの産卵も観察されましたが現在の環境では難しくなっています(カエルの写真は仮称赤山歴史自然公園予定地で3月19日撮影)。

春の小川に集まるヒキガエル 抱接中のツーペアー
雌をしっかり抱えて産卵を促す雄 大量に産卵されたヒキガエルの卵