No.69 2010年 3月 |
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エゾムシクイ(撮影:石川県舳倉島) |
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エゾムシクイはウグイス科のムシクイの仲間で、ウグイスをひとまわり小型にした感じの小鳥です。ウグイスに比べて尾が短いのが特徴です。この仲間はメボソムシクイ、センダイムシクイ、ヤナギムシクイ等、似たものが多く姿を見てもわかりにくいものが多いのが難点ですが、ムシクイ類中で最も褐色味があります。ムシクイ類は鳴き声がそれぞれに特徴があるので、声を聞けば名前がわかります。エゾムシクイの囀りはヒーツーキー、ヒーツーキーと高い声で、地鳴きはヒッヒッヒッと鳴きます。
夏鳥として、本州中北部以北の山地の林に渡来し繁殖します。
鳩ヶ谷市内でも5月の連休前後や9月〜10月頃の秋の渡りの時期に少なからず通過していますが、秋には囀らないので見過ごすことが多いようです。
3月 1日 昨年は全く発芽もしなかった庭のフクジュソウが、7つの花芽をつけて塀の陰に咲いていました。花芽がつくまで気がつかなかったのはうっかりも良いところです。自分の庭ぐらいは確実に把握しておかないと改めて考えさせられました。
3月 3日 庭のニリンソウが発芽して落ち葉の陰から緑葉が伸びてきました。その落ち葉の下に動くものがいたので落ち葉を持ち上げると体長10cmほどヤモリがいました。堆積した落ち葉の下で越冬していたのでしょうか?久し振りに暖かい陽射しに誘われて動いていたのかも知れません。本町4丁目付近の江川ではオオアラセイトウの紫の花が開花し始めました。
3月 4日 三光稲荷からの流れの中にキセキレイが1羽、久し振りに見ることが出来ました。奇麗な湧き水の流れを知っているようです。
3月 5日 中央病院の林でモズの高鳴きが聞こえてきました。秋に数回聞いただけでしたので、この周辺にはいないのかと思っていましたが、いてくれたようです。数年前には、近くの篠竹の林で繁殖が確認されましたが今年はどうでしょうか?
3月 7日 冷たい雨の中、本町3丁目の旧成田道の路上で轢死したヒキガエルがペチャンコになっていました。暖かくなって地上に出てきたところを轢かれたのでしょう。これから繁殖の時期だというのに、少なくなった貴重な野生生物がこの様な形で減少していくのは残念なことですね。
3月 8日 湧水公園ふるさとの森の斜面林でアオジ5羽が飛び交っていました。冬とは異なり顔の周りが黒くなり、胸・腹部等の下面がかなり黄色く奇麗になっていました。
池の周りではセリが沢山生育していましたが採る人もいないようです。オオイヌノフグリ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、タネツケバナ、ウシハコベ、スズメノカタビラなどが開花していました。ヤブソテツの葉裏には沢山の胞子が奇麗に並んでいました。
一方、三光稲荷の湧き水は細々とですが流れており数百b流れて、最終的には江川に注ぎ込んでいますが清涼な流れとなっています。元々、市内には湧き水が沢山あったのですが現在は殆どが消失してしまいました。周りの植木畑ではサンシュウが黄色い花を咲かせていました。
庭隅のブロック塀脇にシダ植物のイノモトソウが3株だけありました。イノモトソウとは井戸の周りに生えていたところから名が付けられたという説があるようですが本当のところはどうなのでしょうか?身近にあっても名前を知らない植物が結構あるものです。
植物の少ない時期から勉強していくと覚えるのにはよいかも知れません。
満開となった梅の木にはメジロやヒヨドリが吸蜜に集まってきます。
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梅の木の根元付近から湧水 | 湧き水流出口 | 道路に沿って流れる |
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3月11日 桜町6丁目の周辺では、ウメ、モモ、ヒガンザクラ、ボケなどが開花し春の気配は充分整ってきました。江川沿いではカラシナの黄色い花も開花し始めました。コサギ2羽、カルガモ2羽、セグロセキレイ、ハクセキレイ、ツグミ等の野鳥の動きが活発になり、久し振りにジョウビタキの雌が飛来しました。庭を掘っていたら3cm大の白い幼虫が土の中から出てきました。昨年何度か成虫が見つかっているところから、恐らくコクワガタの幼虫でしょう。
3月12日 湧水公園の水路にヒキガエルの卵塊がありました。8日には無かったので、ここ数日のうちに産卵したのでしょう。アメンボも泳いでいました。
本町4丁目の斜面林ではタチツボスミレが48株開花していました。消失したと思っていたシュンランの株も僅かに残っていました。
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ウメにヒヨドリ | ヒキガエルの卵塊 | 開花したオオイヌノフグリ |
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3月15日 ここ数日春めいた陽気が続いたためかハクモクレン、コブシ、ユキヤナギ、ジンチョウゲ(チンチョウゲ)、乙女ツバキ、モモなどの花が近所の庭で咲き始め、江川沿いではカラシナの黄色い花が咲き始めました。
本町2丁目の水道局ポンプ横にある空き地では柳の花が咲いて奇麗になってきました。
この空き地は30年前までは畑地で、湧き水による細い流れがありました。今でもその名残があるようで、傍を流れる側溝に少しずつ流れ込んでいます。
鳩ヶ谷市内の湧き水は少なくなりましたが、探せばいくつか見つかるかも知れません。
庭ではヤブカンゾウが萌芽し、鮮やかな黄緑色の葉が伸び始めました。
3月16日 アシダカグモ科のツユグモという緑色の奇麗なクモが廊下を歩いていました。冬の間は落ち葉の下などにいるようですが、洗濯物にでもついていたのでしょう。クコの葉の裏にツマグロオオヨコバイが止まっていました。啓蟄が過ぎたので昆虫類の活動も活発になってくることでしょう。
3月17日 市内ではトサミズキ、ヒュウガミズキ、レンギョウ、サンシュウ、等の黄色い花が一斉に開花し始めました。桜の種類もいくつか早咲きのものが見られました。
梅の花も終わりに近づいてきましたが、数人の方から家の梅の木にウグイスが来たよ、と情報をいただきましたが、話を聞いてみると体の鶯色が奇麗ですねとのこと。この話の殆どがメジロでした。メジロは甘い物が好きなので花の蜜やジュースなどを好んで集まってきます。
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ウメの花で吸蜜するメジロ | 開花したムラサキハナナ |
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3月19日 2年前から庭に蔓延りはじめやキケマンが速くも開花し始めました。「ケマン(華鬘)は仏像や堂塔のいただきにつける花飾りと言われており、インドで沢山の花を糸でつづって首や身体の飾りとしたのにはじまり、仏前を飾るのに用いるようになったようです。インドでは多くは生花を用いますが、中国・日本では金・銀・銅などの造花が用いられています。そのケマン(華鬘)に似ていることからキケマンと名づけられたようです。」
コンフォール東鳩ヶ谷の敷地内では、カントウタンポポ4株と交雑タンポポ1株が開花しました。アメリカオニアザミのロゼットも葉を伸ばしはじめ、北側の崖地付近ではヨモギが沢山萌出していました。中央病院の敷地内では北アメリカ原産のビオラ・ソロリア(別名アメリカスミレサイシン)という帰化種のスミレが満開となりました。このスミレは性質が強く種子がたくさん飛ぶので増えるのも速く、根がワサビのように太くなります。その他、カラスノエンドウ、オオイヌノフグリが満開となりお花畑のようです。本町2丁目の水道局ポンプ場ではツクシが背比べをしていました。
ラクダ坂脇の樹林では、クサイチゴの白い花が開花し始めました。例年は4月初旬に咲くことが多いのですが、樹木の間伐をしたので明るくなり太陽が当たるようになったのが原因か?
3月20日 今年は庭のシャガが蔓延りいくつかの花が開花し始めました。キュウリグサ、クサイチゴ、ヒゴスミレなども開花しました。落ち葉の陰からマルガタゴミムシ、アオオサムシ、マルカメムシ等が出てきました。久し振りに見るアオオサムシの羽が光を浴びて宝石のように輝いていました。法性寺の斜面ではタチツボスミレが開花していました。
3月23日 庭隅でヘビイチゴの黄色い花が開花しました。今年初めてツマグロヒョウモンの1cmほどの幼虫がムラサキハナナの周りを歩いていました。
本町4丁目付近上空をツバメ2羽が飛び交っていました。今年初認です。
隣家の屋根裏にはムクドリが2番巣作りを始めたようです。屋根の庇のベニヤ板が風に煽られていたので見上げるとムクドリが顔を出していました。
3月26日 ここ数日の降雨のためか桜のつぼみも開きかけたものの開花が遅れたようで庭の桜はまだ一輪も開きませんでした。見沼用水沿いのサクラは2分咲きとなって通りすがりの人たちが見ていました。
庭のヤブカンゾウの芽が伸び出して10cm程の高さになりました。
3月27日 隣家のニワトコが白い花を沢山つけました。我が家の庭ではゲッケイジュの花が開花し始めました。あまり目立たない花なので例年見過ごすことがありました。
本町2丁目の空き地で沢山のツクシが生えていました。住宅用地として整備したのですが10年近くも放置されており色々な植物が芽を出していました。
3月28日 冬鳥であるツグミやジョウビタキの姿が見えなくなりました。北国へ飛びたったのか?
繁殖期に入ったため活動が活発になってきたのか、カラスの声と姿だけが多く見かけます。ゴミの収集日にカラスの姿を見るのが大分減少してきたように思いますが昨年、鳩ヶ谷市内で調べたカラスの巣は以下の通りでした。探せばまだ見つかると思いますが、見つけた方はおしらせください。
鳩ヶ谷市周辺の主なカラスの巣 | ||||||
巣の場所 | 地名 | 巣の高さ | 巣の数 | 種類 | 繁殖 | |
民家の庭O | 桜町6丁目 | 約10m | 1 | クリ | ハシボソガラス | × |
中央病院 | 桜町6丁目 | 約10m | 1 | クヌギ? | ハシボソガラス | ○ |
中央病院 | 桜町6丁目 | 約6m | 1 | サクラ | ハシブトガラス | ○ |
ロイヤルサロン | 桜町5丁目 | 約6m | 1 | サクラ | ハシボソガラス | × |
コンフォール 東鳩ヶ谷 |
桜町5丁目 | 約8m | 2 | サクラ | ||
地蔵院 | 桜町5丁目 | 約8m | 1 | スダジイ | ||
笠原書店 | 本町2丁目 | 約10m | 1 | ヒマラヤスギ | ハシブトガラス | ○ |
民家H | 辻バス停 | 約15m | 1 | ケヤキ | ハシボソガラス | ○ |
クロネコヤマト | 辻交差点 | 約10m | ||||
ウナギ湊屋 | 本町1丁目 | 約10m | 3 | ケヤキ | ハシボソガラス | 利用1 |
御獄神社 | 本町3丁目 | 約10m | 1 | スダジイ | ハシボソガラス | ○ |
約10m | 1 | クスノキ | ハシボソガラス | × | ||
埼玉植物園 | 本町3丁目 | 約13m | 1 | マツ? | ハシボソガラス | ○ |
民家S | 本町3丁目3 | 約10m | 1 | クスノキ | ハシボソガラス | ○ |
鳩中通りの パーキング |
本町4丁目2交差点 | 約7m | 1 | スダジイ | ハシボソガラス | ○ |
ヤクルト販売所 | 本町2−14 | 約15m | 2 | マツsp. | ハシボソガラス | 利用1 |
里郵便局付近 | 里 | 10m〜15m | ケヤキ | ハシボソガラス | 利用1 | |
民家F | 坂下町1-1 | 約10m | 1 | ヒマラヤスギ | ハシボソガラス | 利用1 |
ラクダ坂脇の林 | 本町2-12 | 約15m | 1 | ヒマラヤスギ | ハシブトガラス | ○ |
潟Nマイ | 三ツ和1丁目 | 約15m | 1 | ケヤキ | ||
法勝寺 | 桜町1丁目 | 約15m | 1 | ケヤキ | ハシボソガラス | ○ |
熊井H | 三ツ和1丁目 | 約15m | 1 | ケヤキ | ||
熊井(保存樹) | 三ツ和1丁目 | 約15m | 1 | ケヤキ | ||
南鳩ヶ谷バス停 付近の畑 |
南町 | 約15m | 1 | ケヤキ | ハシブトガラス | ○ |
八幡木氷川神社 | 八幡木3丁目 | 約15m | 1 | サワラ | ハシボソガラス | 営巣中 |
鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 33
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庭や畑にいつの間にか出来る土まんじゅう。誰でも知っている光景ですが今は見る機会が少なくなっています。土と共に生きるモグラが活発に活動している事が解り、土まんじゅうが沢山あるほどモグラが多く棲んでいる証拠にもなります。モグラはミミズを常食としており、世界中には1800種類のミミズが棲んでいるともいわれています。モグラやミミズが沢山生息していることは土の中の生態系が多様性に富んでおり、土の栄養価も高いということが言えるのではないでしょうか。
今、市内はアスファルトの道路とマンション、民家でも車庫を造るために家の周りをコンクリートで固めています。土を覆ってしまったことにより、温暖化現象も進み春になっても自然の息吹を感じることが少なくなっています。モグラの土まんじゅうは単なる土塊のように見えますが土の中で行われている貴重な生態系の食物連鎖が私たちの季節感や食物の重要な恵となっていることを忘れないようにしないといけないのではないかと思っています。
調節池とビオトープ
足立区都市農業公園
都市農業公園は荒川と新芝川の合流点に創られた公園で、解説書によれば「自然と遊ぶ、自然に学ぶ、自然共に生きる」をテーマに、春は五色桜やチューリップ、秋にはコスモスなどの四季折々の花を楽しむことができます。さらに、自然とふれあう機会として水田や畑を利用した農作業体験教室を実施。併設する緑の相談所では、ハーブ教室や植物に関する相談・講習会、自然環境館では、身近な自然や生き物について楽しみながら学ぶことができます。
今まで紹介したビオトープとは異なり人工的な施設が多いことが大きな違いですが、小学生などの環境学習や農業体験など日常では経験できないことが体験できる施設としては、コンパクトながら良くできているようです。
隣接した“荒川の河原町原っぱ”と会わせて活用することにより環境教育の場としても利用価値はありそうです。ただ、自然公園でなく農業公園としての都市公園ですので、生態系的な観点からは問題がありそうですが、それでも公園の荒川河川敷には若干ですが自然地もあります。前回紹介した、桑袋ビオトープ同様に足立区の管理になっています。これからの季節、お弁当を持って散策すれば一日を楽しく過ごすことが出来る場所です。
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民家前のお花畑 | 民家横の人工的な庭園 |
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レンゲの咲いている水田 | 足立区から鳩ヶ谷へ続く遊歩道 |
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新芝川(足立区側から朝日環境センターを望む) |
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鳩ヶ谷市内のツバメ(燕)とタンポポ(蒲公英)
調査協力のお願い
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各種タンポポの総苞片の形状 |
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ちなみに、植物は基本的には種子を造り繁殖するために受粉を必要とします。カントウタンポポなどの在来タンポポは花を訪れる昆虫によって花粉をつけてもらっていますが、セイヨウタンポポは受粉や受精をしなくても種子を造り繁殖するといわれています。性を越えた無配生殖なのです。この習性を活かして都市部に勢力を拡大してきたのではないかと考えられます。