No.166 2018年4月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (179)

ヒレンジャク(レンジャク科) Bombycilla japonica

ヤドリギの中で休むヒレンジャク

 ヒレンジャクは越冬の為に日本に渡ってくる冬鳥です。漢字では「緋連雀」と書き、その名の通り羽の先端が鮮やかな赤色をしています。雌雄ほぼ同色で全体的にベージュ色をしており、頭には冠羽があります。同じ仲間で、羽の先端が黄色のキレンジャク(黄連雀)と姿も鳴き声もとても良く似ており、両者は一緒に混群を作ることもあります。レンジャクの仲間は飛来数が年によって異なり、姿が見られない年もあります。主に木の実を餌とし様々な植物の実を食べますが、特に好きなのはヤドリギの実です。ヤドリギとは他の落葉樹に寄生し養分を貰って成長する植物で、秋になると小さな黄色の丸い実をつけます。ヒレンジャクはこれを食べて糞をします。ヤドリギの実の果肉には粘り気のある成分が含まれており、消化されなかった種は納豆のような感じの粘り気のある数珠繋ぎのような状態で排出されます。そして落下の途中で樹木の枝や幹に付着し、そこから根を張って成長することが出来るというわけです。ヤドリギは他の樹木にとりつき、水や養分をもらい生きています。レンジャクの仲間は、種をまくという大切な役目を担っています。レンジャク(連雀)とは、群れが狭い間隔で止まる習性からつけられたとの説がある。川口市内では、1985年3月に鳩ヶ谷本町、1991年4月3日に差間、等での記録がある。

自然の記録:

 4月 3日 江川沿いのセイヨウカラシナの花にモンシロチョウとツマキチョウ(初認)が集まっていました。また、近所の民家の前の電線でツバメを確認、巣のある家に戻ってきたようです。

 4月 4日 さいたま市の荒川にある田島が原のサクラソウを見に出かけました。先週くらいから咲き始めていたようですが、以前のように多くはなく原全体がノウルシの黄色い群落で覆われていました。肝心のサクラソウは小群落がぽつぽつとある程度で寂しかったですね。近年は田島が原よりも川を隔てた対岸の彩湖脇にある戸田が原の復活地域の方がサクラソウは見ごたえがあると友人からメールがありました。

ツマキチョウ

 4月 5日 今年も庭のニリンソウが開花しましたが、株数は増加したが花が少ないようです。アケビの仲間のムベも白い花が満開となりました。隣家ではアケビの紫の花が開花。ムベもアケビも蛾の仲間のアケビコノハが好む食草で、我が家でも毎年のようにアケビコノハが産卵して数頭の幼虫が孵化するので、夏から秋にかけて楽しみにしています。

 4月 6日 4月3日に赤山歴史自然公園(イイナパーク川口)の一部が開園したので出かけましたが、ほんの一部の開園。大池にはカイツブリとアオサギがいました。工事中の場所が多く、荒れ地の状態でした。

赤山城址の林間部に僅かながらニリンソウが咲いていました。

 4月 7日 ここ2日ほどの暖かさの影響か、豊田の森ではタケノコの萌出が早く50本以上出ていました。はとがやに里山をつくる会のメンバー5人でタケノコの採取、シュロ抜き(60本)、土の中に埋まっていたガラスや陶器の割れ物などの撤去作業などを行いました。過去6年ほどで、かなりの廃棄物を撤去しましたが、大雨が降ると土の中に埋まっていたものが出てくるので撤去作業は当分続きそうです。

 4月 9日 庭でナミアゲハが飛んでいました。川口市内数か所でナミアゲハとキアゲハを初認しました。今年は蝶の出現時期が少し早いようです。ドウダンツツジ、アメリカハナミズキ、ハナミズキ、ライラック、ヤマブキなどの開花も早めですね。

 4月12日 鳩ヶ谷本町2丁目の路上をナミアゲハとクロアゲハが飛んでいました。クロアゲハは今年初認です。家の網戸にサビキコリが飛来しました。

 4月13日 昨日から今日にかけて、かなりの強風が吹きました。旧芝川を歩いているとケラが路上を歩いてきました。暑い日差しを避けるように日蔭へ移動していますが段差があり登り切れずに落ち葉の陰に隠れました。モンシロチョウ、モンキチョウ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ナミアゲハ、キタテハ等の蝶が飛んでいました。野鳥は種類数、個体数ともに減少、新芝川の干潟ではカワウと共に頭が黒くなりかけたユリカモメが5羽、汐入橋の橋桁で営巣するイワツバメ1羽を今年初認しました。植物は外来種のオオカワジシャの群落の隙間に在来種で希少種でもあるカワジシャが小さな花を咲かせていました。セイヨウカラシナは満開で、イヌガラシ、タガラシ、オランダガラシ、エゾノギシギシ等も咲いていました。

我が家の道路脇ではオッタチカタバミ、コオニタビラコ、オニタビラコ、交雑タンポポ、ナガミヒナゲシ等が花盛りです。

日なたに出たケラ シュロの花 夏羽になりかけたユリカモメ

 4月14日 先週に続いて豊田の森でタケノコ掘り、シュロ抜き、ガラスや瓦などのガラクタ掃除、草抜きなど「はとがやに里山をつくる会」のメンバーを中心に12名で行いました。先週30cmほどに伸びていたタケノコが1mほど伸びて背丈とほとんど同じ高さになっていました。シュロ抜きは先週と合わせて175本でした。ヤツデ3本も抜きましたが、エノキやシロダモなども発芽していました。昨年まで斜面を覆っていたノハカタカラクサ(南アメリカ北部原産の重点対策外来種)、ショカッサイ(ムラサキハナダイコン)は、昨年から今年にかけて行った除草による影響か今年は全く見当たりませんでした。その代わりにシャガの株が増えて花盛りでした。

因みに、豊田の森で2015年から2018年までの4年間で除草したシュロの本数は2900本でした。これだけ多くのシュロの種子をヒヨドリが毎年糞と共に散布しており、放置しておくと竹林がシュロ林にと遷移しかねませでした。すでに竹林の外側では5m以上の背丈まで成長したシュロが数本あります。この竹林で生育しているシュロは大半がヤシ科のシュロ(ワジュロ)で南九州に多い植物ですが(中国から移入との説もある)、数年前まではシュロに似た中国原産のトウジュロも数本混じっていました。

シュロはCO2 を吸収するので、緑が少なくなった川口市内では貴重な存在ですが、竹林を保護する上では除草せざるを得ません。

 4月16日 赤堀用水斜面林のイチリンソウ祭りには一週間早いが、イチリンソウの林とその周辺の斜面林を歩いてきました。イチリンソウの林は2010年に約300株が盗掘の被害にあったのを境に株数を減らしてしまい、かなり減少していた。一方、万葉植物苑(約1500u)の後背地ではイチリンソウが増加していました。この林ではホウチャクソウ、イチリンソウ、ニリンソウ、ジュウニヒトエ等が開花し、スギの枯れ木にコガタスズメバチが止まっていました。イチリンソウは埼玉県の準絶滅危惧種に指定されている希少種。

 4月17日 庭では早くもゲンペイコギクが開花、家の外壁の縁にはニラ科の植物でアリウム・ネアポリタナムという植物が繁茂しています。毎年、除草していますが根っこまでは抜ききれずにアスファルトの下の根を伸ばしているために年々増加しています。白い小さな花が開花すると道行く人が「きれいね」「抜かないでおいて」などと声をかけていきますが、花が終わると「こんなに雑草をはやして除草したらいいのに」と話しながら通るのが聞こえてきます。

ホウチャウソウ イチリンソウの群落 ジュウニヒトエ
イチリンソウ祭り 林にいたコガタスズメバチ

 4月21日 庭で今年初めてのカミキリムシの仲間のアトジロサビカミキリ4頭を見つけました。大きさが1pにも満たないカミキリムシなので見逃しそうですが、ブロック塀の上を歩いていたので見つけることが出来ました。その他、ウリハムシ、クロウリハムシ等が飛んでいました。頸筋がむずむずするので触ってみると小さなヒラタハナムグリが歩いていました。

 4月23日 ツユクサが発芽して5pほどに成長してきたら、ツユクサハムシが数匹飛来しました。キイロテントウ、ナナホシテントウ、ニジュウヤホシテントウ等のテントウムシの仲間も。

ブロック塀にはスカシノメイガが止まっていました。枯れ木にはヒメバチの仲間が飛来しましたが、ヒメバチの仲間は800種類以上が知られており、よく似ているので同定が難しい。種類によって、いろいろな生物に卵を産みつけるところから産卵管が非常に長く体の倍くらいになるものもいます。エゾオナガバチやオオホシオナガバチなども枯れ木に集まってきます。

ヒメバチの仲間 エゾオナガバチ

 4月26日 庭の物干しにヒメアシナガコガネとコメツキの仲間が飛来しました。ボタンクサギの葉にはニホンカブラハバチとクロムネハバチが飛来しました。

 4月27日 早朝、ユズの葉にナガサキアゲハの雌、ゲッケイジュの葉にアオスジアゲハの雌が飛来して産卵して行きました。アオスジアゲハの幼虫の食草はクスが多いのですが、我が家の周辺にはクスがないのでゲッケイジュに産卵しているようです。

 4月29日 トマトのプランターにキアゲハ、壁にはスジベニコケガ、ムベの葉裏にはシロマダラノメイガ等がいました。土の上ではオオヒラタシデムシ2頭が動き回っていました。

スジベニコケガ シロマダラノメイガ コチドリ

 4月30日 風が強い日でしたが旧芝川周辺を散策、青木水門付近の葦原の前に干潟が出ており、コチドリ2羽とコサギが3羽、コチドリを旧鳩ヶ谷市内で見るのは数年ぶりです。カモ類の姿は殆どなく、野鳥の姿は殆どありませんでしたが、汐入橋の橋桁に営巣しているイワツバメが8羽飛び回っていました。カワセミも繁殖に入ったらしく姿を見ませんでした。

川の中ではボラの稚魚や大きなコイが群れており、クロベンケイガニやアカテガニ、ミシシッピアカミミガメ等が活発に動いていました。河川敷内はシロツメクサ、ムラサキツメクサ、キツネノボタン、コメツブツメクサ、オランダガラシ、ユウゲショウ、ハルジョオン、アメリカフウロ、キショウブ等の花が満開でした。

 

地球温暖化を考える(119)

イイナパーク公園(赤山歴史自然公園)

4月3日、神根地区の赤山および新井宿地域の約8.9ヘクタールを『赤山歴史自然公園』の区域として、一部が開園。また、約2.0ヘクタールを『川口市火葬施設』の区域として運営が開始されました。全ての公園の完成は4年後の予定のようです。 2012年4月号の「広報かわぐち」には、以下のように記載されています。

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地域特性を踏まえ、『広域的な集客性に配慮した「水と緑のオアシス空間」の創出』を計画のテーマとし、自然環境や歴史文化遺産を活用した、地域の振興や都市農業の活性化にも資する公園と、水と緑に囲まれた周辺環境と調和した火葬施設を整備します。 この地域は、豊かな自然環境に恵まれ、近隣には江戸時代に関東郡代を務めた伊奈氏の陣屋跡などの本市が誇る歴史文化遺産があります。また、赤山の枝物や安行植木など本市農業の中核的な役割も担っています。 周辺には市立グリーンセンターや川口緑化センターなどの観光・集客拠点があり、これを支える道路網や埼玉高速鉄道線などの交通インフラの面で高い利便性を有しています。

 (広報かわぐち 2012年4月号)

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赤山オアシスゾーン

 地域振興及び首都高速道路をご利用される人の利便性向上の観点から、高速道路を降りずに公園や地域を散策できるよう、川口PAと公園を一体的に整備(ハイウェイオアシス)するとともに、災害時には防災拠点となる空間を予定。

<主な導入検討施設>

・進入路、駐車場、休養施設、便益施設(飲食・物販等) 等

 

歴史探索ゾーン

赤山陣屋に代表される地域固有の歴史・文化資源や見沼に代表される近隣の豊かな自然環境等について情報発信し、公園周辺の良好な屋敷林や歴史・文化遺産に誘導する空間。

<主な導入検討施設>

・歴史・自然資料館(展示解説施設、公園管理施設等)芝生広場、

 

自然体験ゾーン

まとまった水面や、湿地、樹林等で構成され、多様な生物の生息空間の保全・育成を図り、家族連れや高齢者までが自然観察や自然体験等を楽しめる憩いの空間を予定。

<主な導入検討施設>

・水源かん養育成樹林、大池、湿性花園、湧水観察ルート、子どもの遊び広場 等

 

地域振興ゾーン

庭木・樹木の見本園を配置するとともに、地域の案内情報の発信や特産品等の紹介を行い、環境と共生する地場産業が提供する豊かさと楽しさを体感してもらう空間を予定。

<主な導入検討施設>

・地域物産館(地域情報室、カフェ・売店)、植木等緑化資材・農産物等直売所、・庭木・樹木見本園

火葬場の駐車場 奥の建物が火葬場 川口PA
大沼から火葬場を望む 奥に歴史自然資料館が見える 子供の遊び場
工事中の自然ゾーンの池 赤山陣屋全景模型
土の家展示室