No.72 2010年6月 |
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マミチャジナイはツグミの仲間で、アカハラによく似ていますが、雄の目の周りは白い眉と黒い下眼線があるのでアイシャドウをしているように見えます。背中は灰褐色で脇腹が奇麗なオレンジ色をしています。雌はアカハラと誤認しやすいくらいよく似ていますが、アカハラよりも全体に赤みが薄く、白い眉斑があるところから識別できます。春と秋の渡りの時期に市内を通過しますが記録は多くありません。木の実の他、昆虫類やクモ、ミミズ、カタツムリ等を食べます。特に、秋の渡りの時には大きな群れでイイギリの赤い実をむさぼるように食べたりするので、木の下には沢山の糞が落ちています。ちなみに、過去の鳩ヶ谷市内での記録は9月26日〜10月1日に通過しているようです。
6月 1日 ツツジの根元に直径1.5cm、長さ10cmほどのジグモの巣がありました。恐らく大きなジグモが入っていることでしょう。台所の外壁とプロパンガスのボンベにスジグロシロチョウの蛹が2つありました。
6月 2日 今日はいくつかの発見がありました。辻バス停傍の水田でムラサキサギゴケに隠れるようにして、ミゾカクシ(別名アゼムシロ)の小群落がありました。水田がなくなった鳩ヶ谷市内では消失したものと思っていましたが、見つけた時は嬉しかったです。小さいので見過ごされがちですが、よく見ると蝶のような形をしています。茎が地表を這い回るため草丈がとても低く,花が咲くまでその存在に気付きにくい。和名は「畦に筵(むしろ)を敷いたように一面に茂る」という意味だそうです。水田は丁度水を入れているところで、メダカやアメンボが泳いでおり、アカガエルが鳴いていました。
旧芝川では、これもビックリ、準絶滅危惧種(NT)に指定されているカワジシャの群落がありました。外来植物のオオカワジシャと在来のカワジシャの群落で、今までに何回も来ていたのにと思いましたが、ここ数年の河川改修に伴い持ち込まれたのか、元々存在していたものが発芽したのかわかりませんが?鳩ヶ谷博物誌4月号では、現在鳩ヶ谷市内では見ることが出来ませんと記載したのに、大きな見落としでした。
ミシシッピーアカミミガメは相変わらず個体数が多く、クサガメも1頭見つかりました。
大きなコイが数十尾とカダヤシの群れが泳いでいました。
野鳥はカモ類が渡去したためカルガモのみが目立ち、大きく育ったカルガモの雛が1羽のみ泳いでいました。芝川の護岸からクサシギが1羽飛びたちました。クサシギは平成3年に記録されて以来です。
江川と見沼代用水の合流点付近では、1mほどの大きさのアオダイショウが泳いでいました。近くにいたカルガモが警戒していました。
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カワジシャの群落 | 泳ぐアオダイショウ |
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6月 3日 湧水公園観察会の下見に行ったところ、キキョウそっくりで色鮮やかな紫色の小さな花が沢山咲いていました。今まで全く気がつかなかったのですがヒナキキョウソウ(雛桔梗草)というキキョウソウによく似た花でした。恥ずかしながら、この花については何も知りませんでした。花の大きさは1〜1.5cmほど、背丈は10〜25cmほどです。茎のいただきに1つの花がさいています。恐らく、市内では初記録ではないかと思います。カヤツリグサの仲間のミコシガヤもありました。
桜町1丁目10番地でカッコウの声を聞いたとの情報をいただきました。市内でのカッコウの記録は多くはありませんが、1993年6月3日、1996年5月10日、2004年5月23日等、声を聞いた日はかなりバラツキがあります。
6月 4日 法性寺山の墓地端で花が咲き終わったギンラン2株がありました。昨年は5株ほど見つかったのですが、来年はどうなるか?林の周りでコシアキトンボの雌が飛んでいました。
ついでに立ち寄った湧水公園では、セイタカアワダチソウの頂のあたりに真っ赤なアブラムシの塊があり、テントウムシの幼虫も数匹いました。このアブラムシは、セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシというアブラムシで、触ってつぶれると指先が赤くなりました。シオカラトンボ、キチョウ、チュウレンジバチ等がいました。
本町2丁目の樹林脇でセンチコガネが1頭、クサイチゴが赤いイチゴの実を沢山つけていました。庭ではルリチュウレンジバチが飛び回っていました。
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アリを捕らえたアオオビハエトリ | アリによく似たアリグモ |
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6月 5日 湧水公園で観察会を行ったところ、アオサギ、ツバメ、ハシブトガラス、ウシガエル、アメリカザリガニ、ヌカエビ、モツゴ、メダカ、ツマグロヒョウモン、モンシロチョウ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ショウジョウトンボ、ギンヤンマ等が観察されました。
自宅廊下をスジクワガタの雌が歩いていました。暗い場所にいたのでゴキブリかなと思いましたが、毎年庭で観察されているので最近出てきたものでしょう。
6月 6日 埼玉植物園脇の道路で、アメリカ原産のマツバウンランが咲いていました。外来植物ですがゴマノハグサ科の特徴を備えた優しい感じの植物です。
6月 7日 自転車のカバーの上をアリが歩いていましたが、よく見ると足が8本で頭の前に二本の鈎のようなものがありました。アリによく似たアリグモの雄でした。
6月 8日 ミスジハエトリ(蜘蛛)が庭を急ぎ足で歩いていました。小学校の児童4人が校門の近くでクモを観察していました。ギンメッキゴミグモという小さなクモですが銀色に輝いているのが珍しかったようです。
6月 9日 小雨が降っていましたが鳩ヶ谷小学校の校庭で植物採集をしていたところ、ビロードモウズイカの花が1株咲いていました。ヨーロッパの地中海沿岸が原産地といわれている植物ですが、市内では初めてみました。自宅庭のブロック塀にキマワリがいました。
6月10日 庭隅の植え込みに、燈赤色の翅が美しいミツテンノメイガ(メイガ科)という開長17ミリ程の大きさで、前翅の中央上部に3つの丸っこい斑紋がある蛾がいました。数日前から小さな蛾が飛んでいるなと思ったのですが今日はキョウチクトウの葉に留まってくれたので名前がわかりました。
6月11日 理科支援で毎日通っている小学校の理科室でヨツボシカメムシが歩いていました。花壇ではツマグロヒョウモンの雄が飛び回っていました。
我が家の裏庭でクロヒゲナガゾウムシを観察、台所の壁で蛹になっていたスジグロシロチョウが羽化し、付近を飛び回っていました。石段の陰から10cmほどのカラスヘビ(シマヘビ)が出てきました。今年も無事に何処かで孵化したようです。
6月12日 先日観察したアオダイショウと同じ個体と思われる蛇が江川の上流を泳いでいました。
6月15日 鳩ヶ谷小学校の敷地内で16株のウマノスズクサが見つかりました。鳩ヶ谷市内では、確認できなかったのですが驚きです。自生か、移植された物かはわかりませんが。
6月17日 鳩ヶ谷小学校の校庭にあるネズミモチの花にシロテンハナムグリが飛来しました。
我が家の雨水を溜めた容器にビロードコガネが落ちて泳いでいました。ドクダミの葉に乗せるとゆっくり歩いていきました。
6月18日 鳩ヶ谷小学校のサンゴジュが満開で、アオスジアゲハ、ナミアゲハ、ツマグロヒョウモン、キマダラセセリ、クマバチ、ハラナガツチバチ、クサカゲロウ、ヨツボシテントウ、
およびニホンミツバチとセイヨウミツバチが混群で吸蜜をしていました。
我が家の庭のイヌタデに、腹部に青い筋模様のあるアオスジハナバチがいました。また、クズの葉ではコフキゾウムシ4頭が交接をしていました。
6月19日 雨の予想を裏切って、良い天気になりました。梅の木の回りをユウマダラエダシャクという白い蛾が飛んでいました。遠目に見るとモンシロチョウのようですが飛び方が違います。
6月21日 桜町6丁目子供の遊び場付近でナガサキアゲハの雄が飛んでいました。我が家の庭隅のドクダミにミツテンノメイガが飛来し、キマワリとミミズの遺骸にアリが群れていました。
6月22日 3時過ぎに庭のハゼランが開花しました。三時草の別名がありますが本当に三時頃に咲くのは驚きですね。落ちたカキの実の周りをツチカメムシが歩いていました。
6月24日 ここの所、カノコガが急に増えてきました。小学校の理科の時間に植物の葉の澱粉を観察する予備実験に、サンゴジュの葉を数枚採取したところサンゴジュハムシが1頭見つかりました。サンゴジュの葉が地図を描くようにして葉緑素が抜かれていました。
6月27日 本町3丁目−1番地の民家の門柱にナガサキアゲハの大きな蛹がありました。蛹が良く動くので通りかかった小学生4人が興味津々で見つめていました。我が家の裏庭で、30cmほどのシマヘビがいました。先日見た個体と同じなのか体長が倍以上になっていました。
桜町3丁目の民家でイエコウモリの巣があるという情報をいただきました。タヌキが出没して猫の座布団の上に座っていたよ、等という情報が寄せられました。いずれも、午前中に行われた鳩ヶ谷宿見学会の参加者からの情報です。
6月28日 オオモンクロベッコウという蜂の仲間が庭を飛び交っていましたので、探してみると台所の裏の地上に穴が二つあいていました。恐らく彼らの巣穴と思われます。
小学校の顕微鏡を使って、湧水公園の水の一滴を覗いてみると、沢山のミジンコ、ツボワムシの仲間、ミカヅキモ、ナベブタ等のプランクトンが泳いでいました。顕微鏡の世界も見始めるとはまってしまいそうです。
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携帯電話で撮した ナガサキアゲハの蛹 |
ツボワムシとミカズキモ(池の水のプランクトン) |
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鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 36
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キランソウは、数十年前までは鳩ヶ谷市内の里山では普通に見ることが出来ました。今では全く消失したものと思っていましたが、今年になってから2ヶ所で見つけることが出来ました。1ヶ所では3株、もう1ヶ所は1株ですので来年以降も生き延びることが出来るか心配です。
この花の唇弁がランの花を思わせるところから、また、紫蘭草がなまってキランソウに変化したといわれています。地際に放射状にヘラ型の葉を広げて花も小さいので見逃しやすい植物です。
名も無き雑草と片づけられていたような野辺の草も、少なくなってから見つけると“ああ、まだあったのか”と安心します。
調節池とビオトープ
鳩ヶ谷市の湧水公園
何度か紹介した、鳩ヶ谷の貴重な自然湧水公園ですが、現在は規模も小さく子供達が自然観察会を行っても、満足できるような昆虫相が少ないのが残念です。観察会を行うたびに、カブトムシやクワガタムシがいるような場所で観察会をしてほしいとの要望が出てきます。それでも、今までの記録を見ると昆虫類は80種類以上、植物は斜面林を含めた記録が130種類ほどになりました。草刈りなどの作業が頻繁に行われるために、貴重な植物の生育維持が難しいのが問題ですが。
竹林の整備は地主さんの骨折りで行われていますが、種竹の維持が大変なようです。ゴミや瓦礫を捨てる人が多く困っています。
蒸し暑い梅雨時は、この斜面林と法性寺の樹林があることによって、この周辺の涼しさが違います。特に夜の涼しさは樹林のない場所と比べると別世界のように感じます。
一方、池の方では湧き水が数カ所から流れ込んでおり、オランダガラシ(クレソン)が蔓延ってきました。小さな公園の池ですが、池の中にも生態系がしっかりと構成されており、
ウシガエル−アメリカザリガニ−トンボのヤゴ−メダカ−プランクトン−水草の仲間
といった構図です。
この公園が今よりも10倍くらいに拡大されると多くの生物の住処になること間違いなし。子供達ももっと頻繁に自然に親しむことが出来るようになるでしょう。近い将来、そのようなことが現実になることを夢見ています。
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保存緑地の斜面林 | 湧水公園とショウブ田 |
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自然観察会 |
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赤が奇麗なショウジョウトンボ | 交接するギンヤンマ |
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