No.86 2011年8月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (99)

メボソムシクイ(ウグイス科) Phylloscopus borealis

メボソムシクイはウグイスの仲間ですが、この仲間はどの種類も姿形・色彩とも似よく似ているので、識別が難しい鳥の一つです。その代わり、声の方は比較的解りやすい特徴を持っていますので囀りを聞けば識別がしやすくなります。メボソムシクイの囀りは、チョリチョリチョリといった感じに聞こえ、聞きなしでは「銭取り銭取り銭取り」という感じです。この鳥の亜種にはオオムシクイ、コムシクイがあり、更に春と秋の移動の時期には成鳥と若鳥が入り乱れますので更に識別をややこしくしています。

通常は、  目細鳴き大富士に向く火山灰の道 杉山 岳陽 にも詠われているように、亜高山地帯で繁殖して、秋に南へ移動します。山登りをしていて、この鳥の鳴き声が聞こえてくるとかなり上まで昇ってきたなという感じがします。富士山5合目の御中道などで聞くことが出来ます。

 

自然の記録:

 8月 1日 三ツ和の細沼公園脇の電線にオナガ15羽、ムクドリ30羽、ハシボソガラス数羽が並び騒いでいました。あたりを探しましたが原因はわかりませんでしたが、オナガの群れは飛んでもすぐに電線に戻ってくるので好みの餌でもあったのかも知れません。

家の庭では、今日もシマヘビを見つけました。昨日と同じような場所にいたので隠れ場所になっているのかも知れません。ボタンクサギの葉陰からホシホウジャクが勢いよく飛び出しました。

裏庭の朽ち木の陰から黒い体に薄いオレンジ色の4つの斑点があるゴミムシの仲間が出てきました。写真を撮ることは出来ませんでしたが、恐らくヨツボシゴミムシと思われます。

 8月 2日 7月の台風通過後は比較的涼しい日が続き、特に夜は気持ちよく眠れて助かります。25年ほど前までは、鳩ヶ谷市内の夏の夜はかなり涼しかった記憶があり、大阪から来た友人が鳩ヶ谷の軽井沢と言ったほど涼しい夜を過ごしていました。涼しさの影響かセミの声も少なく、庭の昆虫類も少な目です。今日はホシホウジャクが飛び回っていた程度で、蚊のみが元気に飛び回り外へ出るたびにまとわりついてきます。

ちなみに、日本で確認されているだけで100種、そのうち人間の生活に関わっているものは10種類と言われています。一般的には、蚊は全て血を吸うと思われていますが、吸血しない種類もいます。また、吸血する種類は血液を主食にしていると思われがちですが、蚊の主食は雄・雌ともに花の蜜と言われていますが、まだ花の蜜を吸っているところを見たことがありません。人や動物の血液は卵を成熟させるための栄養源であり、吸血するのは雌だけです。ヒトスジシマカ、アカイエカ、コガタアカイエカ、チカイエカ等が我々の吸血をする代表です。

 8月 3日 午後1時頃より激しい雨が降り出しました。久し振りにスコールのような雨でした。3時過ぎに雨が止んだ途端、アブラゼミとミンミンゼミの合唱が始まりました。昨日までセミの声が少ないと思っていたのに、一体どうしたのかと思うほど我が家の庭は賑やかでした。

最近は外来種の恐い植物が増えてきました。アメリカオニアザミ(写真左)やカルドン(写真中央)等も少しずつですが市内に蔓延り始めています。

湧水公園ではコウホネ、外来種のアマゾントチカガミ(写真右)およびオランダガラシが増加しています。

アメリカオニアザミ カルドン アマゾントチカガミ

 8月 4日 日中4回に亘って断続的に強い雨が降りましたが、その合間にナガサキアゲハの雄が飛来しユズの木の回りを飛び回っていました。鳩ヶ谷市内に侵入後6年、完全に市民権を獲得したようです。

 8月 5日 庭のエノキにゴマダラチョウが飛来しました。毎年飛来しますが、まだ幼虫を見たことがありません。雌が飛来しないためなのか、それとも幼虫が他の昆虫や鳥に食べられているのか?

 8月 8日 湧水公園と法性寺の社寺林が埼玉県のクールスポットに登録されたことから、温度の調査を行いました。そのついでに観察した生物は、アゲハチョウ、アオスジアゲハ、クロアゲハ、モンシロチョウ、コミスジ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、キイロスズメバチ、フタモンアシナガバチ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、コシアキトンボ、ウスバキトンボ、コノシメトンボ、オニヤンマ、ウズラカメムシ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、カブトムシ、コガネムシ、アメンボ、ヌカエビ、メダカ、スズメ、ヒヨドリ、ムクドリ、コムクドリ等でした(下線部は湧水公園初記録)。4種類の野鳥はハンノキに発生したケムシ類を沢山捕らえていました。

カブトムシの雌 ウズラカメムシ幼虫    ミソハギとヤマトシジミ

 8月 9日 暑い一日でしたが、夕方になりコミスジチョウが飛来しました。個体数は少なくなりましたが毎年、何度か姿を見せてくれます。石段の上に野良猫が吐物を吐いていたので見ると4匹のアブラゼミが入っていました。いずれも土の中から出てきたところを食べられたようです。

 8月11日 早朝にツクツクボウシの声が聞こえてきました。今年初鳴きです。ここ数年はヒグラシの声を聞くことが無くなりました。残念でなりません!

 8月12日 今日は蝶の飛来が多く、ウラギンシジミ雄、コミスジ、ゴマダラチョウ、アカボシゴマダラ、アゲハチョウ、アオスジアゲハ、モンシロチョウ、ヤマトシジミの8種類、下線のついた蝶は今期初記録でした。

 8月14日 午後4時、我が家の室内で温度計が38℃を示しました。室内での38℃の記録は今までありませんでした。扇風機と窓の開放で暑さをしのいでいますが、時々風が入ってくると

思わず涼しいと声が出ます。庭のボタンクサギの花の周りをキアシナガバチが飛び回り、大きな葉の下をかいくぐっていました。沢山の糞が落ちているので何かの幼虫がいるのかと思い、数枚の葉の裏を見るとクロメンガタスズメの幼虫がいました。しかし、体半分がとろけた状態で、残っている体にキアシナガバチがむしゃぶりつくような形で止まっていました。

外来種のボタンクサギに気温の高温下と共に分布を広げてきたクロメンガタスズメ、その幼虫を食べる天敵にキアシナガバチがいるようです。別の葉にはウスグモスズという小さなコオロギの仲間が隠れており、ピンク色の花にはホシホウジャクが飛来し長い舌を出して花蜜を吸ってました。ボタンクサギを軸に一つの生態系が成り立っています。

ホシホウジャクがホバリングしながら吸蜜しているところはハチドリによく似ており、コスタリカで見た多くのハチドリの仲間を思い出します。

ボタンクサギとホシホウジャク ウスグモスズの幼虫 キアシナガバチと
クロメンガタスズメ 

 8月15日 ラクダ坂付近の樹林のシロダモにアオスジアゲハの終齢に近い幼虫がいました。アオスジアゲハの幼虫は主にクスノキを食草としていますが、我が家の庭ではゲッケイジュに、シロダモで見たのは2例目です。写真を写していると幼虫から10cmほど離れた葉にはトックリバチ(ミカドトックリバチ)が止まりました。腰のくびれが何とも言えません。

桜町6丁目1番地の路傍に植栽されているオリーブの枝に8cmほどに成長したシモフリスズメの幼虫が3匹で頻りに葉を食べていました。路上に大きな黒い糞が沢山落ちていたので解りました。

湧水公園ではシオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ウスバキトンボ、ショウジョウトンボ、コシアキトンボ、アオスジアゲハ、キアゲハ、キタテハ、コミスジ、イチモンジセセリ、フタモンアシナガバチ、ナガコガネグモ等が見られました。植物はタカサブロウが開花し始め、ホテイアオイが30株になっていました。恐らく、誰かが放棄したものと思われます。草むらではオレンジ褐色と黄色の混じったトビイロトラガの成虫に出会いました。鳩ヶ谷で見るのは2度目でした。

オリーブに寄生したシモフリスズメ トックリバチ ニセオレクギエダシャク

 8月18日 窓の網戸にニセオレクギエダシャクという地味な蛾が止まっていました。3年ほど前に鳩ヶ谷中央病院の白壁に止まっているのを見たことがありますが、止まっている場所により同じ蛾でもイメージに違いがあります。

 8月20日 ここ数日急に涼しくなり室温も27℃〜28℃、数日前に比べると10℃も気温が下がって過ごしやすくなりました。庭のヘクソカズラに5cmほどに成長したホシホウジャクの幼虫がいました。鳩ヶ谷中央病院の敷地内ではアブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシの声がセミ時雨となっていました。この夏は市内でセミ時雨を聞くことが少なかったので涼しくなってから聞くとは思いませんでした。

 8月22日 3日間降り続いた雨の影響で涼しく、過ごしやすいが昆虫類の活動は極端に鈍くなってしまいました。ウメの木にコフキコガネが飛来しましたが、しばらくの間全く動かず。夕方になりツクツクボウシの声が聞こえてきました。夜には秋の虫も鳴き出しました。チョンチョンチョンチョンという感じでウマオイの声が聞こえて来ました。

 8月23日 雨が止んだ途端に昆虫類の活動が活発になり始めました。ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、コミスジ、アゲハチョウ、キアシナガバチ、ハラナガツチバチ、ウスグモスズ等、ミスジコウガイビルも雨に濡れたコンクリの上を歩いていました。夜にはカキノキでアオマツムシが鳴き始めました。大きな声でリーリーリーリーと鳴きますので多少賑やかですが、この虫が鳴き出すと他の虫の声も聞こえるようになります。

 8月24日 湧き水公園に出かけたところ、夏の間アオコなどの発生で池の底が見えませんでしたが、今日は奇麗に底まで見えるほど水が澄んでいました。誰かが放したのか大きなコイが6匹ほど泳いでいました。

 8月25日 午後から雨が止んで、クロアゲハが何度が飛来しました。町中では各所でアブラゼミの遺骸が見つかるようになってきました。ツクツクボウシの声が何となく秋を感じさせるような感じに聞こえてきました。湧き水公園では、15日に行った時にホテイアオイの数が30株でしたが、今日は60株になっていました。ここの所、色々なものを池の仲に捨てる人が増えているようです。池に放棄されたホテイアオイは回収して、池角に纏めて入れておきましたがメダカの産卵場所になって小さなメダカが泳いでいました。うまく利用すれば外来生物も時にはよいこともありますが、増加するようでしたら回収して堆肥にするのが良いかも知れません。

 8月27日 昨日の雨の影響で市内の住宅で床上、床下浸水が60件近くあったようです。江川沿いに散策したところ本町4丁目ではブロック塀2段目くらいまで浸水していたようで広範囲に水が溢れた状況でした。

散策途中でヒヨドリが運んできたと思われるエノキの苗木3本でゴマダラチョウ2頭とアカボシゴマダラ1頭、それぞれ終齢幼虫を見つけました。正面から見ると羊のような顔をしています。

ゴマダラチョウの終齢幼虫と正面の顔 アカボシゴマダラの終齢幼虫と正面の顔

 8月28日 昨日午後3時頃にプランターで栽培しているミニトマトの葉にツマグロヒョウモンの雄が飛来し、葉裏に止まりました。恐らく翌朝までここで休むであろうと思っていたら午前7時過ぎまで止まっていましたが、その後庭を飛び回っていました。14時過ぎにルリタテハが飛来しました。

 8月30日 ここ数日はアゲハの飛来が頻繁で2頭でのランデブー飛行が目につきます。ホウシゼミの声も頻繁になり、ミンミンゼミの声が少なくなりました。この夏は一度もヒグラシの声を聞くことが出来ませんでした。

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 50

トラフコメツキ(コメツキ科)

 コメツキムシの仲間は殆どが褐色〜黒色の種類が多いのですが、鞘翅に模様を持つものも少なからずいます。上翅の表面に多くの溝状の縦筋があり、体の中心線に近い部分が色濃く、また、辺縁部に3対の暗色斑があります。かなり特徴のハッキリしたコメツキで、早春に出現することが多いようです。一般的にコメツキムシはお腹を上にして、そっとおくとしばらくして弾けるようにして飛び上がり元の体制に戻ります。子供の頃の虫遊びとしてカブトムシやクワガタがよく使われましたが、コメツキも跳躍する時の高さを競ってよく遊びました。

 

地球温暖化を考える(41)

 

仮称・はとがやの湧き水の里に関連して(3)

7月30日(土)に環境対策課主催の平成23年度第3回週末自然教室「水辺の生きものの不思議」を行いました。参加者20名 

 

第1部・ふれあいプラザさくら

・ダンボールコンポスト(戸沼雪江氏)

・水中の微生物(三浦晴児氏)

・鳥を呼ぶ庭づくり(水編)〜ミニウォーターガーデンのつくり方〜(江口勝康氏)

第2部・桜町湧水公園

・水中の生きものを見てみよう「顕微鏡で見るプランクトン」(三浦晴児氏)

・ソダの持ち上げ(江口勝康氏)

・水の中の生きものの住処づくり(江口勝康氏)

・ネイチャーゲーム(戸沼雪江氏)

小さな生き物たちのために湧水の池に石積みで浅瀬を作る作業を行いました。 作業1週間後にホテイアオイ3株が放棄され、15日には30株に増えていました(8/15)。恐らく家庭の水槽で育成していたものではないかと思いますが、外来生物の放棄は困りものです。とりあえずは、この三角部分から出なければメダカの産卵場所には良いかも知れませんが、外へ出始めたものはすべて排除しなければなりません。観察された生物はアゲハチョウ、キアゲハ、クロアゲハ、アオスジアゲハ、ツマグロヒョウモン、キタテハ、ヒメアカタテハ、モンシロチョウ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、オオスカシバ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ウスバキトンボ、アキアカネ、コシアキトンボ、ショウジョウトンボ、キイトトンボ、アジアイトトンボ、クビキリギス、ツユムシ、サトオカメコオロギ、オンブバッタ、ヒシバッタ、イナゴ、アブラゼミ、ニイニイゼミ、キバラヒラタアブ、ルリハナアブ、シマハナアブ、セイヨウミツバチ、フタモンアシナガバチ、キイロスズメバチ、アメンボ、ブチヒゲカメムシ、ホソハリカメムシ、ブタクサハムシ、ツマグロヨコバイ、コモリグモ等。 開花植物はミソハギ、ヘクソカズラ、ヒメジオン、ヤブミョウガ、アカバナユウゲショウ、ツユクサ、エノコログサ、セイヨウタンポポ、セリ等でした。

●湧水公園と法性寺の社寺林が埼玉県のクールスポットに登録 

8月8日、埼玉県のクールスポット一斉調査で、湧水公園の駐車場の温度を基準にして、下記三箇所の温度を測定して比較したところ、藤棚の下では駐車場に比べ−2.9℃、斜面林付近では−6.1℃、法性寺では−4.9℃の温度差がありました。しかし、3箇所の温度は34.3℃で一定の温度で差がありませんでした。温度計の表示温度に比べ、実際の体感温度はさわやかな風が吹いておりかなり涼しく感じました。

  13:00 13:30 14:00
クールスポット外 37.2℃ 40.4℃ 39.2℃
クールスポット内 34.3℃ 34.3℃ 34.3℃

藤棚付近 斜面林下の案内板付近   法性寺林