No.170 2018年8月

Loading

鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (183)

ハジロクロハラアジサシ(カモメ科) Chlidonias leucopterus

ハジロクロハラアジサシはアジサシの仲間でクロハラアジサシ・ハシグロクロハラアジサシと共に沼アジサシと呼ばれている。ムクドリ大で翼が細長くコアジサシより尾が短い。湖沼や干潟等に、主に秋に飛来するが、少ない。飛びながら小魚などの餌を見つけると、水面に舞い降りてくわえとる。コアジサシなどがダイビングして魚を捕らえる行動とは異なるので採餌方法を見るだけで沼アジサシの仲間であることがわかる。日本には旅鳥として全国で記録されているが、8〜10月にかけての秋の渡りの時期によく観察されている。夏羽は頭部から腹にかけてと背中が黒く、肩羽は灰黒色、腰と下尾筒は白色である。冬羽では後頭部が黒褐色の斑がある他は、頭部から腹にかけて白色。幼鳥は背が褐色である。

川口地域での記録は、2000年10月19日、22日、2001年5月26日等、芝川第一調節池での記録がある。

自然の記録:

 8月 1日 昨日は火星が最も地球に近づくというので19時頃から空を見ていたが、肉眼で見ている限りではあまり変わらないようであったが、1200mmのカメラで写すとかなり明るく見えた。

花と緑の振興センターの建物の壁にはカブトムシ、コフキコガネ、コスズメ(蛾の仲間)等が張りついており、興禪院川口野鳥の森でもスダジイの樹液にカブトムシの雌雄やキマダラヒカゲ、ムラサキシジミ等が飛来していました。ホウシゼミが初鳴き、脱皮直後のヒグラシも見ることが出来ました。今年確認したセミはニイニイゼミ>ミンミンゼミ、アブラゼミ、タケオオツクツク>クマゼミ>ツクツクボウシ、ヒグラシ>クマゼミの順番でした。セミの声は夏の風物詩であるが見るよりも聞くことに主眼が置かれる。それぞれの声に特徴があるので意識しておきたい。

すでに、ナツアカネやウスバキトンボも飛んでいました。ヒガンバナも蕾をつけているものもあり、キツネノカミソリも20株ほど開花していました。我が家の庭では久しぶりにオオスカシバ(蛾の仲間)が飛来し、ハチドリを見ているような気分になりました。

 8月 6日 久しぶりに涼しい感じがしたので庭の手入れをしました。猛暑日が続いていたのでキカラスウリやヤブガラシが蔓延り庭の木々を覆って風通しが悪くなっていました。ヤブガラシの花にはいろいろな昆虫が来ているので少しだけ残しておいたところ、キマダラセセリ、ヤマトシジミ、アカボシゴマダラ等が飛来、イチジクにはキイロスズメバチ、カナブン、シオヤアブ、キンケハラナガツチバチ等が飛来し、ウスバカゲロウ、クサカゲロウ等も木陰を飛び回っていました。ヘクソカズラのツルにはセスジスズメの幼虫がいました。

火星 ヤモリ マダラマルハヒロズコガ幼虫
カブトムシ シモフリスズメ コスズメ

 8月 7日 台風13号が関東地方に接近とのことで朝から小雨が降っていたが、イチジクの葉にキボシカミキリの雌が止まっていました。今日は久々に涼しい一日で一息ついた感じです。プランターで栽培しているミニトマトの葉が殆ど枯れて結実していたものは赤く色づく前にひび割れができるか、ナメクジやカメムシなどにやられており、アオギリやクズの葉も枯れているものが多い。数年前からこのような傾向にあるが今年は短期間に発生している。今後は益々気候変動による変化が激しくなることでしょう。

 8月 8日 イチジクの木にコクワガタとサビキコリが来ていました。夜になって風呂場の中にウスグモスズが入ってきてしばらく壁に張り付いていましたが、どこかに消失しました。叢では小さなオンブバッタが跳び回っていました。

 8月 9日 台風が過ぎて暑さが戻ってきたが夜になり涼しくなるとエンマコオロギが鳴きだしました。暦の上では立秋の時期で、「涼風至る」涼しい風が初めて吹くころと言われています。ツユクサの色も暑さで白けた感じでしたが今日は多少瑞々しさがありました。

 

百に千に人は言うとも月草(つゆくさ)のうつろふ心我れ持ためやも

                          読み人知らず

 8月12日 朝のうち雨が降っていましたが雨が止むと台所の入り口にマダラマルハヒロズコガ(蛾の幼虫でツヅミミノムシとも呼ばれる)終齢幼虫が張り付いていました。自転車のカバーではサクラなどのバラ科植物に集団発生するモンクロシャチホコの雌雄が交接しており、窓枠にはスジベニコケガの成虫が止まっていました。また、イチモンジセセリとキマダラヒカゲが庭を飛び回っていました。夜になって早くもアオマツムシが鳴きだしました。

 8月13日 今年はイチジクの実が沢山実っているので訪れる昆虫類も多く、特にハナムグリの仲間のアオハナムグリ、コアオハナムグリ、シロテンハナムグリ、シラホシハナムグリは常連、カナブン、サビキコリ、コクワガタ等が頻繫に飛来、ハシブトガラスが来ると熟したイチジクはあっという間に食べられている。

ハナムグリの集団 キボシカミキリ幼虫のフラス モンクロシャチホコ

 8月15日 今朝は隣家の庭よりクマゼミの声が聞こえました。毎年、旧鳩ヶ谷市内のどこかでクマゼミの声が聞こえるのですが家の中で聞いたのは数年ぶりです。大阪にいた頃はうるさい程に鳴いていたセミの声ですが今は懐かしさを覚えます。

 8月15日 庭のイチジクの木にシロテンハナムグリとシラホシハナムグリ合わせて30匹以上が群がっています。コクワガタの雌雄はキボシカミキリの幼虫がフラスを出した穴から出てくる樹液を吸っていました。

タケオオツクツク ヒグラシ ミンミンゼミ
キボシカミキリ クワカミキリ ショウジョウトンボ

 8月29日 鳩ヶ谷台地には現在唯一の緑地帯が地蔵院周辺に残っています。地蔵院裏の屋敷林・植木畑などを所有する元屋敷園内で昆虫類を観察したところ旧鳩ヶ谷市内では少なくなった昆虫が多く見つかりました。カブトムシ、コフキコガネ、アオドウガネ、スジコガネ、クロビロードコガネ、クワカミキリ、キボシカミキリ、ウリハムシ、クロウリハムシ、ナミアゲハ、アオスジアゲハ、キアゲハ、ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、キタテハ、ヒメアカタテハ、ルリタテハ、コミスジ、キマダラヒカゲ、モンシロチョウ、モンキチョウ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ、シオカラトンボ、ウスバキトンボ、アキアカネ、ナツアカネ、オニヤンマ、カネタタキ等60種類以上。市内では記録が少ないツミの若鳥の翼も落ちていました。                                                          湧水公園ではショウジョウトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、クロスジギンヤンマ等のトンボの仲間がいました。池の中はコウホネで埋め尽くされ、菖蒲田は湿生植物が繁茂していました。1か月手入れをしないとあっという間に草丈が伸びてしまいます。コガマ、シロバナサクラタデ、タコノアシ、コセンダングサ、タイヌビエ、チョウジタデ、タマガヤツリ等 、背丈の高い草が繁茂しています。

地球温暖化を考える(122)

新郷貝塚(新郷若宮公園)

川口市内の貝塚としては、小谷場貝塚、新郷貝塚、前野宿貝塚、猿貝貝塚、東光院貝塚、石神貝塚、宮合貝塚、上台遺跡などが代表的なものである。貝塚から出土されたものは何れも淡水産の貝を主体にしたものである。新郷貝塚は縄文時代後期の淡水産の貝を主体にした貝塚で、庄和町神明貝塚、松伏町栄光院貝塚等と共に、埼玉県を代表する縄文時代後期の貝塚であるが、貝塚といっても解説版があるだけである。現在は雑木林に囲まれて薄暗い林となっている。

面積は広くはないが樹林の中に入ると意外と薄暗いと感じる。また、猛暑日に入ったこともあるが温度差は歴然としており、林の中に入ると、ああ、涼しいなという感じである。しかし、公園の周囲は植木畑がなくなり宅地化が進んでいるので、いずれは島状に取り残される可能性がある。安行緑地保全地域ではあっても相続税問題や後継ぎがいないなどで植木畑が消失している。

川口市内では平成7年〜平成29年までの23年間で207haの緑地が失われている。一人当たりの公園面積は全市域で3.22uであるが旧鳩ヶ谷市域の一人当たりの公園面積は2uと少なく、市の都市計画では今後も増加する可能性がない。植物は根から水を吸い、水蒸気にして葉から出すことによって周囲の気温を下げている。温暖化で猛暑が増える中、公園や街路樹の整備による緑の空間の拡大は一層重要になっている。川口市の緑の基本計画で生物多様性に配慮した緑地を保全するための計画と実行をしてほしいものである。