No.51 2008年  9月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (64)

キビタキ(ヒタキ科)Ficedula narcissina

背と翼の黒、眉と胸の黄色、そして黒い翼に白い紋付きのある配色が美しいヒタキの仲間。姿同様に声も実に美しい。「ピッピクリ、ピッピクリ」「オーシーツクツク」などと変化に富んだ大きな声で囀ります。

数いる野鳥の中でも、姿と声の両方が美しい鳥はそうはいない。しかし、美しいのは雄だけ。雌は全体にオリーブ色の地味な色彩をしており、他のヒタキ類の雌やサメビタキなどの仲間との区別が難しい。学名のnarcissinaはスイセンのように黄色い、という特徴から。

夏鳥として全国の山地に渡来しますが、声が聞こえても慣れないと姿を見つけるのが難しい。鳩ヶ谷市内でも春と秋の渡りの時期に通過しており、稀に庭にも姿を見せてくれます。

渡り途中の腹ごしらえに、柿やサザンカの木の枝にいる蛾の幼虫(毛虫)等を食べてくれるので、大変有り難い。

自然の記録

 9月 1日 桜町のHa氏より、江川と東縁見沼代用水の合流点付近で、ミシシッピーアカミミガメとモクズガニを観察したとの情報を頂きました。市内でのモクズガニの記録は初めてではないかと思います。(9月23日に合流点脇の遊歩道にモクズガニが車に轢かれて、ぺしゃんこになっていました。恐らく、先日Ha氏が見たのと同じ個体かも知れません)

 9月 3日 9月に入った途端にアブラゼミの声が急に少なくなりましたが、雌の姿が目につくようになりました。狩人蜂の仲間も4種類ほど庭を飛び回っています。ブロック塀で蛹になっていたアオスジアゲハもいつの間にか羽化したようで、殻のみが風に吹かれていました。

桜町6丁目のHa氏の庭ではツマグロヒョウモンが羽化したとの情報を頂きました。ツマグロヒョウモンも市内全域で目立つようになりました。これから、11月頃まで盛んに飛び回ることでしょう。

羽化直後の蝶と蛹(Ha氏)  フクラスズメ ハラナガツチバチ

 9月 4日 ダイコンの種を播くために庭を耕していたらキチキチバッタ(ショウリョウバッタ)とツユムシが出てきました。ハラナガツチバチも毎日数匹が飛び回っています。

 9月 5日 台所の網戸にヤモリの子が2時間ほど張り付いていました。毎年、数匹が孵っていますが成長するまでに猫などに襲われているようです。

桜町から本町、坂下町と歩いて来ましたが、各所でツマグロヒョウモンの雌雄を観察しました。庭ではヒカゲチョウ、ウラナミジャノメ、アオスジアゲハ、ナミアゲハ、ヤマトシジミ並びにシオカラトンボ、オオカマキリ、ホシホウジャクの幼虫などが観察されました。自宅傍の安行慈林の住宅脇にあるカラムシにアカタテハが飛来し産卵していました。数年前までアカタテハの幼虫がいくつか見られていたのですが今年も見ることが出来るかも知れません。

三ツ和1丁目の工場敷地内にあるカラムシに、先月はアカタテハの幼虫がいくつか見られましたが、今日はフクラスズメの幼虫が沢山いて葉がボロボロになっていました。

通称、田中ビオトープのある休耕田では、ホウキギク、セリ、カヤツリグサ、ヨシ、ガマ等が生育し、エンマコオロギが鳴いていました。

夜、桜町のHa氏より、鳩ヶ谷中央病院の敷地内でヒグラシが鳴いているとの情報がありました。

 9月 6日 18時頃、家の裏でヒグラシが鳴きました。今年ようやく初確認です。夜は柿の木でカネタタキのリッリッリッリッリッの声が聞こえてきます。夜はすっかり秋の気配が漂っています。

 9月 9日 夜になり、柿の木でアオマツムシの賑やかな声が聞こえてきました、今年初鳴きです。

 9月10日 本町2-11付近の駐車場と民家のあたりをナガサキアゲハの雄が飛び回り、桜町6-12の路肩に咲いているオシロイバナにキアゲハ、鳩ヶ谷中学校沿いの植え込みにゴマダラチョウ、我が家のエノキにもゴマダラチョウが飛来しました。本町3丁目のリバーマンション裏のカラムシにアカタテハの幼虫が数匹(今年は市内数カ所でアカタテハの幼虫を確認)を観察しました。本町2-13付近で草丈1m以上に伸びたダンドボロギク数株が生育していました。

 9月11日 八幡木のNa氏宅の庭にゴマダラチョウが飛来したとの情報を得ました。9月に入ってから市内でゴマダラチョウが目立ってきました。

 9月12日 庭ではミンミンゼミの声が消えアブラゼミの声も少なくなってきましたが、ツクツクボウシだけは元気です。八幡木のNa氏より中井公園でヒグラシが鳴いていたとの情報がありました。中井公園は多少樹林的な感覚になっていますが、南町や八幡木方面はこんもりとした林が無くなってきたのでヒグラシの声を聞くことが少なくなってきました。

庭に飛来した蝶はヒカゲチョウ、アオスジアゲハ、コミスジ、ヤマトシジミなど、桜町6丁目の道路上をツマグロヒョウモンの幼虫が歩いていました。また、成虫3頭が民家の花壇に飛来していました。

 9月13日 庭のヤマノイモの蔓や葉にスズメガの仲間のコスズメが3匹、緑色の終齢幼虫はカナヘビに捕らえられましたが、褐色をした幼虫2匹は元気にヤマノイモの葉を食べていました。柿の木にはヒカゲチョウが、その他クロアゲハ、ナミアゲハ、アオスジアゲハ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ、コミスジ等が飛来しました。

柿の木に飛来したオナガが大きな毛虫の仲間を銜えていきました。近くで繁殖したので巣立ちした若鳥が飛来し餌を運んでいきます。

 9月14日 9月に入ったら甲虫類の飛来が少なくなり、蝶が多くなりました。キアゲハ、ナミアゲハ、アオスジアゲハ、クロアゲハ、コミスジ、ゴマダラチョウ、ツマグロヒョウモン、クロヒカゲ、ヤマトシジミ等、9種類が飛来しました。夜になり裏の民家の庭からチョンチョンチョンと言うウマオイの声が聞こえてきました。

コスズメの終齢幼虫 網戸に止まるヤモリ クワクサ

 9月16日 川口の中学生Ku君より本町4丁目で温暖化の指標となるムラサキツバメの成虫(蝶)2頭と幼虫を確認したとの連絡があり、現地へ行きマテバシイの若芽を食べる幼虫12匹を確認しました。成虫は見られませんでしたが、これからムラサキツバメは本番ですので蛹や成虫を確認できるものと思います。(1月14日にKu君より同地で昨年の食痕を見つけたとの情報を得ていたので今年は確認をと思っていましたので安心しました。これで鳩ヶ谷市内でも確実にムラサキツバメが生息していることが確認できました。)

庭のジョロウグモが大きくなり頭胴長3cm、足の長さが9cmを越えるものがいました。

ヒカゲチョウとウラナミジャノメが飛び回り、ツマグロオオヨコバイがクコの枝に16匹とスグリゾウムシが止まっていました。また、ウメの枝にコンボウツチバチの雌が飛来しました。

 9月17日 隣家の庭に鱗粉が落ちてみすぼらしくなったエビガラスズメがいました。また、14日の夜に咲いた月下美人の花の中に短い羽根をもったカネタタキの雄がいました。いつの間にか、庭の片隅にミズヒキが咲いていました。今まで我が家にはなかったはずですが、本町2丁目や桜町6丁目には各所に自生しているので鳥がもってきたのかも知れません。御獄神社の周りには、白い花のミズヒキも咲いています。こちらは園芸品種と思われます。

 9月18日 庭のマンリョウが緑色の実を沢山つけているので眺めていたところアオマツムシの雌がいました。アオマツムシの雄は樹上の高い場所にいるので見つけにくいのですが、雌は比較的低い位置にいるので見かけることがあります。クチナシの枝には小さなオオスカシバの幼虫がいました。

エンマムシ  ツマグロオオヨコバイ ムラサキツバメの幼虫
月下美人に止まるカネタタキ マンリョウの実に止まるアオマツムシ オオスカシバ幼虫

9月22日 夜、廊下にヤチグモの1種が徘徊していました。この仲間は30種類以上の種類があり棚網を張ります。

 9月23日 庭のチジミザサの小群落にクビキリギスがいました。ピラカンサにはモンクロシャチホコ(蛾)の毛虫が沢山いました、最初に見つけた時は台所の戸や門扉のあたりに数匹居たのですが探してみたら、いるわいるわ気持ち悪いくらい、ピラカンサの枝から道路を歩いている人の頭上に落ちなければよいがと思いました。ジョロウグモの蜘蛛の巣に10cm位のカナヘビがかかってもがいていましたので外して逃がしました。その脇ではナガコガネグモが網を張っていました。     

 9月24日 ツクツクボウシの雌が網戸にとまり、キイロテントウが洋間に入り込んでいました。また、ナガサキアゲハの雄が久し振りに庭に飛来しましたが止まることなく消失しました。

ヤチグモの1種 大きくなったジョロウグモ 蜘蛛の糸にかかったカナヘビ

 9月26日 久し振りにシジュウカラの家族が柿の木に4羽で飛来しました。雄がコスズメの緑色型幼虫を銜えてきて枝にはたきつけ柔らかくしてから啄んでいました。ブロック塀に紫色に光るエンマムシが張り付いていました、ヘクソカズラにコスズメの幼虫とドウガネブイブイ、アオギリにはシリグロハマキと思われる葉巻蛾の幼虫と巻かれた葉が沢山ありました。

 9月28日 ピラカンサにいたモンクロシャチホコ(蛾)の幼虫が数匹、ジョロウグモの網にかかり乾燥していました。皆、体液を吸われてしまったのでしょう。蛹になるために徘徊していたのでしょうが?庭のジョロウグモは現在20匹を数えます。昆虫だけでなく顔や手にも蜘蛛の巣がかかり嫌な思いをしていますが、冬になるまで多少はしょうがないかと諦めています。

今夏、蜘蛛にかかった主なものはカナヘビ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ナミアゲハ、蛾の仲間数種類(網に巻き込まれていたので種は不明)、クロゴキブリなど、

本町2丁目の女性より、庭にお腹が白くて黒いネクタイのような縞のある小鳥が6羽来たけど何でしょうかと、電話がありましたのでシジュウカラでしょうと言うと大変喜んでいました。名前は聞いたことがあるが、姿を見たのは初めてとの事でした。これからの時期、メジロやウグイス、コゲラなどと共に混群をつくって庭に飛来することがあります。

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 15

                      タケトラカミキリ

2004年7月18日 桜町6(自宅庭)

 見た目には蜂の仲間に色や形がよく似ていますが、トラの模様をしたカミキリムシ。日本全国に分布し、竹を好み伐採されたタケ類に産卵し、 孵化した幼虫はそのまま竹を食べます。翌春にサナギとなり、初夏に羽化します。市内では竹林が減少しつつあるので、生息していないかなと思っていたところ家の庭で観察することができ驚きました。我が家にも20本ほどの竹がありますが、ここから出てきたとは思えないのでどこからか飛んできたのでしょう。

 

地球温暖化を考える(7)


砂漠化
ンゴロンゴロ平原(2002年撮影) セレンゲテイ国立公園

砂漠化は世界中の各地域で広がっています。現在、砂漠になりそうな地域は地球上の約 4 分の 1 に相当すると言われています。もしこれがすべて砂漠化してしまうと、砂漠を占める割合が現在の約 3 倍にもなります。国連の調査では、毎年約 6 万平方キロメートルもの大きさで砂漠化が進行しているという報告もあり、砂漠化の波は確実に広がっています。最も砂漠化が深刻な地域はサハラ砂漠を要するアフリカ大陸です。サハラ砂漠では毎年 150 万ヘクタールもの勢いで砂漠化が進んでおり、このまま進めばアフリカ大陸は砂漠大陸になってしまいます。また、中国では砂漠化が北京にまでおよんでいます。砂漠の砂が風で運ばれてきて、砂を降らせます。これらの地域だけでなく、他の地域に関しても砂漠化は進んでいます。

アフリカのタンザニアにある有名な国立公園(人類発祥の地と言われるオルドバイ渓谷からセレンゲテイを望む航空写真)右上の水色に見えるのがNatron湖、右下方にある緑の円形下のサークルがンゴロンゴロで濃い群青色に見えるのが干上がって縮小した湖です。フラミンゴを初め多くの水鳥類やジャッカルなどが居ましたが、私が行った時は、丁度乾季でしたが2日間滞在中にも湖が縮小していくのがわかるほど乾燥化が進んでいました。ホテルに泊まっている私たちは、風呂も入れるし、消毒されたきれいな水を自由に飲めましたが、現地の住民は泥水を飲んでいました。その泥水も1〜2km程歩いて汲みに出かけています。蛇口をひねると水が出てくる生活をしている人たちは、ほんの一握りの人たちだと現地のガイドが話していました。綺麗で安全な水を入手するのは大変なことなのです。

WHOとUNICEFによると、2004年現在で安全な飲み水を得られない人はアフリカ全体で3億3000万人いますが、2020年までにさらに7500万人から2億5000万人が、水を得にくくなるおそれがあります。