No.122 2014年8月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (135)

オオセッカ(ウグイス科)Megalurus pryeri

飛翔するオオセッカ

オオセッカは、ウグイスの仲間で局地的に繁殖している鳥です。20年以上前に出版されている図鑑では「青森県と秋田県の海岸に近い湿原で繁殖し」というような記載が多かったが、利根川沿いの千葉県や茨城県の河川敷や霞ヶ浦周辺のアシ原のある湿地帯などで繁殖し、冬季は各地に分散しています。大きさはウグイスよりも若干小型であるが、尾が長く体の上面は褐色で太い黒色の縦斑があります。声と行動に特徴があり、美女美女美女美女美女と聞きなせる声で鳴きながら、放物線や弧を描いて勢い良く飛ぶ独特の飛翔をします。小翼羽に爪が残っている原始的な種類で、種の保存法「国内希少野生生物種」、環境省レッドリスト絶滅危惧B類、国際自然保護連合(IUCN)レッドリストの絶滅危惧種に指定されている絶滅の恐れのある鳥です。

川口市内の記録では、芝川第一調節池で1978年9月9日、17日、1996年8月1日に観察された記録がある。

自然の記録

  8月 1日 暑いので涼しいところへと思い、新郷貝塚〜安行原野鳥の森〜万葉植物園〜イチリンソウの森〜花と緑の振興センターを歩いてきました。林の中は涼しく、蚊が多いのが難点でしたが、昆虫類は楽しめました。カブトムシはどこでも多く、ヒラタクワガタ、シロテンハナムグリ、カナブン、クロカナブン、マメコガネ、アオオサムシ<近年減少>、ウスバカミキリ、ヨツスジトラカミキリ等の甲虫類、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ナツアカネ、ノシメトンボ、コノシメトンボ、コシアキトンボ、オニヤンマ等のトンボの仲間、アゲハチョウ、キアゲハ、アオスジアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ、ジャコウアゲハ(蛹)、アカボシゴマダラ(多い)、ツマグロヒョウモン(多い)、キタテハ、ヒメアカタテハ、キマダラヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ、ムラサキシジミ(多い)、ムラサキツバメ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、モンシロチョウ、キチョウ等の蝶の仲間、変わったところではシャチホコガの幼虫など。自然林があるところでは、昆虫類も多くの種類が生息しています。そして行くたびに新しい種類を見つけることの楽しみがあります。家の中で大汗をかいているよりは、道中は暑くても涼しい林の中を歩きながら自然に触れている方がよっぽど健康的であると、再認識しました。

特徴的なシャチホコガの幼虫 アカウスグロノメイガ
若いオオカマキリの顔 コフキコガネ

  8日 2日 台所のドアにアカウスグロノメイガという小さな蛾の仲間が止まっていました。旧鳩ヶ谷市内では初記録でした。蛾の仲間は種類が多く写真にとってもなかなか同定が難しいものが多く、過去に写した蛾の仲間でも未同定の種類が沢山あります。日中はカキの木にアブラゼミが集合して賑やかこと。町中のセミが集まってきたのかと思うほどです。

 8月 3日 鳩ヶ谷中央公民館の入口に暑い日差しを避けてオニヤンマが止まっていました。坂下町のHさんより、近所の公園でクマゼミが鳴いているとの情報をいただきました。クマゼミ情報は今年初記録ですが、少しずつ増加の傾向にあるようです。

 8月 4日 旧芝川を歩いてきました。暑い日でしたが河川敷の中は風の通りがよく意外と涼しく、散策する人もいました。アオモンイトトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ハラビロトンボ、ウスバキトンボ、ギンヤンマ、モンシロチョウ、ツマグロヒョウモン、アゲハチョウ、ヤマトシジミ等が目につきました。クロベンケイガニが増加傾向にあり、コイ、ヘラブナ、ボラ等の魚も多いようで暑い中で釣り人も並んでいました。植物の開花は少なくオオケタデ、フトイ、コガマ、スズメウリ、ヘクソカズラ、ヒルガオ、オシロイバナ、ノゲシ、エノコログサ、サンジソウ、アオガヤツリ、アレチマツヨイグサ等が目立ちました。

 8月 5日 家の壁にアケビコノハの成虫が止まっていました。風が強いうえに動きが早く写真には写せませんでしたが、ムベの葉にでも産卵してくれると良いのですが。幼虫は3年連続で確認していますが、成虫は中々見る機会がありませんでした。柿の木の周りに水をまいた所、日陰にいたキマダラヒカゲ2頭が飛び出しました。

 8月 9日 豊田の森ではミンミンゼミが賑やかに鳴いていました。人の出入りがないために昆虫類も安心しているのかキチョウなどもゆっくりと飛んでいます。湧水公園では、今年もタコノアシが開花しました。2か所に分かれて小群落があります。池の上では、ウスバキトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ等が飛んでいました。

鳩ヶ谷本町2丁目の林の縁でアメリカイヌホオズキが黒い実を沢山つけていましたが、葉の上にルリシジミの綺麗な♂が止まっていました。

 8月 9日 台風11号が九州地方に影響が出始め、このあたりでも時々風が吹いており、ヒメスジコガネが窓辺に張り付いていました。

 8月10日 時々強い風と雨が降りましたが、庭隅でシマヘビが走り回っていました。前回よりも大きく育っている感じで50p以上の長さになっていました。

ヒメスジコガネ オオスズメバチ

 8月13日 台風が去って、暑くなりましたが庭ではナガメ、クロコガネ、ウリハムシ、キチョウ等の昆虫類が目につきました。夜になりカキの木でカネタタキの声が聞こえてきました。

ほんの少しの間でしたが、ハラオカメコオロギの声も聞こえてきました。昆虫の世界では秋の気配が漂っています。カネタタキは鐘つき虫とも呼ばれています。

三好達治の句に、「十ばかり叩きてやめぬ鉦叩」があります。

 8月14日 三光稲荷の林縁を歩いていたところ、コフキコガネの遺骸がありました。コフキコガネは毎年確認していますが、なぜか遺骸で見つかります。スダジイの根元にはカブトムシやクワガタなどを探したと思われる堀跡がありました。掘った後は土を戻してくれると良いのですが、どこの場所でも掘りっぱなし。根が露出してしまうので木が枯死する場合もあるのです。

 8月15日 庭のボタンクサギに10pほどに成長したシモフリスズメの幼虫がいました。葉の裏にいたため全く気が付かずにいましたが、大きな糞が沢山落ちていたので見つかりました。

 8月18日 庭の叢に色々なハチやアブの仲間が訪れています。特に目立つのはハラナガツチバチ、キンケハラナガツチバチ、シオヤアブ、マガリケムシヒキ、アメリカミズアブなどです。

 8月20日 近所の植木畑の中を覗いてみたら、ザクロソウ、ニシキソウ、スベリヒユ等の小さな植物が生育していました。市内では、珍しい植物の一つになっています。ザクロソウは庭先や道端に、ごく普通にあった植物でした。花は早朝に開花して朝のうちに閉じてしまうのでなかなか開いたところを見るのが難しいが暑くてもしおれる様子もなく咲いているところが良い。名前はザクロソウの葉がザクロの葉に似ているところからつけられたと言われています。

 8月21日 気象予報では先週くらいから涼しくなるとのことであったが、相変わらずの暑さが続いています。それでも夜になると鳴く虫の声が多くなり、アオマツムシの声も聞こえるようになり秋の気配は一段と近づいています。

三ツ和公園では巣立ちしたばかりのオナガの雛が激しく鳴きながら枝移りをしていました。真夏に巣立つのを見るのは初めてです。

 8月22日 コンフォール東鳩ヶ谷のバス停付近にある緋寒桜が開花していました。11月頃に開花する時は一重なのに今回は八重咲となっていました。

 8月24日 庭ではサンジソウ、ノゲシ、キンミズヒキの花のみが開花しています。アゲハ、キアゲハ、ツマグロヒョウモン、キマダラヒカゲ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ等の蝶が飛び回っています。ビワの葉裏にウスグモスズがいました。例年に比べて今年は少ない気がします。

 8月26日 15時頃に久しぶりの夕立がありました。あっという間に犬走の側溝があふれる勢いでしたが、10分もせずに小降りになりアブラゼミが鳴きだしました。

夜になってから、リッリッリッという声で鳴くツヅレサセコオロギの声が目立ってきました。

  8月29日 我が家の私道沿いに多くの植物が生育しています。交雑タンポポ、ハハコグサ、チチコグサモドキ、サンジソウ、エノコログサ、アキノエノコログサ、ピラカンサ、サンショウ等、特に目立つのがアキノエノコログサ「ねこじゃらし」と呼ばれて親しまれていた植物ですが、8月までは普通のエノコログサが目立っていましたが、ここの所、大型で穂が長く垂れ下がるアキノエノコログサに変わってきました。普通のエノコログサは穂が短くて直立しています。庭のイチジクの実にコガタスズメバチが来ていました。熟した実より果汁が滴っていたので集まってきたようです。我が家の庭で見られるスズメバチは、オオスズメバチ、キイロスズメバチ、コガタスズメバチの3種類ですが飛来数の多いのはコガタスズメバチのようです。

 

地球温暖化を考える(75)

守られた大津池(大阪府)

大津池は、南海高野線初芝駅の南西に位置する周囲480b、面積約18fで東区最大のため池です。池の中央には縦50b、横20b程の楕円形の島がありカワウの繁殖地になっていました。

池の周囲は遊歩道が整備されていましたが、フェンスに囲まれていました。この池のアシ原がツバメの塒になっていたことから、泉北野鳥の会会員や周辺の市民と共に塒入りのツバメの数を数えたところ約12000羽が集まりました。

塒入りまでの間に雑談していたところ、この塒のアシ原は「なみはや国体のアクセス道路」と「都市計画駅前道路の延伸計画」があり、風前の灯火であるとのことでした。そこで、朝日新聞および産経新聞などで、ツバメの塒が見つかったことや道路計画により池が埋め立てられることなどを大きく掲載してもらいました。翌日に急遽ツバメの観察会を行なったところ新聞報道の反響もあって100名を超す参加者が集まりました。その後、地元の人たちの努力により大津池は現在も当時の環境を保持しているようです。

ため池やアシ原などは、利用価値がないということで埋め立てられて宅地化、道路などのグレイインフラに変えられてしまうケースが多く発生しています。しかし、地球の気温変動が叫ばれている今、グレイインフラからグリーンインフラを活かした街づくりをして行かなければいけない時代に来ています。昔からある自然環境を残し、さらに新しく緑地環境を増やしていくことが、これからの町づくりに求められます。

大津池全景(1994年撮影)
大津池のオニバス 中の島