縦書き by 涅槃 『鳩ヶ谷博物誌』へ 『郷土はとがや』 第58号 平成18年5月18日
埼玉県生態系保護協会・
鳩ヶ谷支部の設立
藤波不二雄
去る四月九日、鳩ヶ谷駅ビル二階会議室において、名倉市長・市議会議長および石田県会議員、等の来賓出席のもと鳩ヶ谷支部設立総会が開催されました。 埼玉県生態系保護協会の支部としては三〇番目の支部設立となりました。
埼玉県生態系保護協会とは
一九七一年に発足した財団法人日本野鳥の会・埼北支部(今井昌彦)と川口市を中心に活動していた川口野鳥の会(鳥海勧彦)および秩父愛鳥会(宮崎章次)が、埼玉県の野鳥および自然保護を効率よく行うことを目的として話し合いを行い一九七八年十月に(財)日本野鳥の会・埼玉県支部(今井昌彦)として発足したのが始まりです。その後、一九八四年三月財団法人埼玉県野鳥の会(池谷奉文)、一九九三年四月財団法人埼玉県生態系保護協会(池谷奉文)と名称を変更して、埼玉県全域で活動を行ってきました。
会の寄付行為によれば「この法人は広く社会に自然保護思想を普及すると共に、自然環境に関する調査・研究を行うことにより、良好な生態系の保全を図り、もって人間性豊かな社会の発展に寄与することを目的とする」事を目的に活動をしています。
支部設立に関する経緯
現在、鳩ヶ谷市は三ツ和・八幡木地区に続く里地区の区画整理を中心として、高層マンションの林立、あるいは道路網の拡充により市内の自然環境や農地が極端に減少しており、開発行為は殆ど歯止めのない状態にあります。
四〇年前までは権現山(旧東公団)、諏訪山(西公団)、法性寺山あるいは大龍寺山(桜町六丁目中央病院付近)などの里山があり、それらの里山の谷地状になった水田地帯には幾重にも湧き水が流れ出ていました。また、旧一二二号線(御成街道)沿いには江戸の昔より続く松並木、浦寺交差点から花山下までの県道越谷鳩ヶ谷線の街道には桜並木がありましたが、いずれも道路の拡張に伴い消失してしまいました。
今まで鳩ヶ谷市には環境保護団体がなく、唯一埼玉県生態系保護協会・川口鳩ヶ谷支部がありましたが活動の拠点は主に川口市が中心でした。そこで、市内に在住の会員有志が集まり、鳩ヶ谷支部を設立・発足したものです。
鳩ヶ谷支部は自然と共生した持続可能な美しい街作りに向けて、鳩ヶ谷市・市議会・市民と共に様々な活動を展開して行きたいと考えています。
新支部役員は、三浦青児支部長、平野愛子副支部長でスタートしました。本格的な支部活動はこれからですが、支部設立以前の本年二月に鳩ヶ谷市から提出された「川口・鳩ヶ谷地域 都市・居住環境整備重点地域 特定地区(鳩ヶ谷駅周辺地域)整備計画(案)」に対するパブリックコメントを支部設立準備会の名称で提出しました。
設立後のイベントとして、七月九日(日)に「何が見えるの鳩ヶ谷駅から」というテーマで鳩ヶ谷駅西側で進む区画整理事業の問題点などを見て回り、白地図に色分けしながらスキップシテイまでの往復を歩きました。
この中でいくつかの問題点が浮かび上がりました。
(1) 駅前は高層ビルが林立し、緑地が少ない。
(2)昔からあった悪水、等の水田用水が不必要となり、暗渠化、あるいは途中で埋め立てられている事により降水の流れがスムーズでないため、大雨が降った場合、床下、床上浸水する可能性がある。
(3)台交差点から鳩ヶ谷小学校をのぞむ直線道路に街路樹が植栽されていない。
(4)芝川土手下を流れる側溝は家庭雑排水によりどぶ川と化して、悪臭を放っている。
今後の街作りにはこうした問題点を考慮していく必要があ
ります。