No.61 2009年7月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (74)

ゴイサギ(サギ科) Nycticorax nycticorax

ゴイサギ 成鳥

五位鷺の名の由来は、その昔朝廷から五位の位をいただいた高貴な鷺であると言い伝えられています。一方、夏の夜空をガア―、ガアーと鳴きながら飛んでいくので夜ガラスとも呼ばれています。

また、幼鳥や若鳥は体が褐色で頭から上面全体にかけて星のように白い斑点があることから星五位とも呼ばれています。成鳥は頭に長い冠毛があり、体の上面は暗青色でおなかが白く体型や雰囲気から「ペンギンのような鳥」と表現されることもあります。他のシラサギの仲間と同じように、以前は夏鳥として春から夏にかけて日本に渡来し、冬には南の国で越冬していましたが、近年は厳冬期でも少なからず見ることができます。ゴイサギは夜行性で夕方から活発に活動を初め、池の金魚やコイなどの魚を獲ったりするので憎まれることもあります。鳩ヶ谷では芝川沿いで見られます。

自然の記録:

 7月 1日 全身黒褐色の羽を持つクロテンヨトウ(蛾の仲間)が洗面所の天井に張り付いていました。

八幡木2丁目のN氏より外来種のノハカタカラクサ(トキワツユクサ)が咲いていたとの情報を得ました。トキワツユクサはツユクサの仲間の常緑多年草で、白い花を咲かせます。この植物は花がきれいであることなどから放置されており、刈り取っても、残った茎から根を下ろして育ちます。

桜町でも6丁目12番地の民家、本町2丁目の放置林、三光稲荷などでも年々増加しているようです。

八幡木中学校脇を流れる毛長川ではカルガモ8羽、カワウ2羽、などが採餌していました。フェンスには中学生が調査した鳥や植物、ゴミの種類や量などが展示されていました。しかし、道行く人たちが何の関心もなく通っていくのは残念なことです。

 7月 3日 14時丁度に我が家の庭でウグイスが囀りました。近くの中央病院周辺では先週くらいから声が聞こえていたのですが、自宅まで来てくれるとは思っても見ませんでした。

台所裏の地面にオオモンクロベッコウが4つの巣穴を掘りました。昨年は2つでしたが、これからジョロウグモなどを運び入れるところが見られるかも知れません。

中国南部からインド北部に分布するボタンクサギ(別名:カシミヤブーケ、ベニバナクサギ(紅花臭木)、ヒマラヤクサギ、クスダマクサギ、タマクサギ、ベニクサギ、ニオイクサギなどの名前があります)が10本庭に侵入、そのうち2本は赤い蕾をつけています。そろそろピンク色の花が開花するのではないかと思います。本当はすぐにでも抜きたい外来種なのですが花の写真を撮りたい気持が勝っています。茎には羽が生えたアブラムシが沢山ついているので、抜く前に枯れるかも知れません。

ボタンクサギの蕾 開花前 花開当日

 7月 5日 20時頃、家の中に3mmくらいの小さな若い?アカヘリカメムシが迷いこんできました。虫眼鏡で特徴を観察してようやく名前が解りました。

 7月 7日 ボタンクサギ1株がピンク色の花を咲かせました。花の開花と共にブチヒゲカメムシが飛来しました。プランターのトマトの葉には150匹以上のニジュウヤホシテントウが寄生、今までジャガイモの葉にいたものが枯れると共に移動したようです。葉はボロボロになりましたが、毎日朝取りトマトを頂いています。

 7月 8日 夜に天井で動物の走る音がするというので、上がってみるとハクビシンの足跡がいくつかありました。屋根や壁周りをリホームしたので入り込む隙間がないと思うのだが、数年前にはイタチがセグロセキレイを銜えて天井裏に入っていたことがあるので、その頃に見逃していた足跡かも知れない?

アオギリの葉が葉巻のように巻かれていました。

 7月 9日 本町2-2-10道路脇の民家の庭のマテバシイの葉にアオスジアゲハの幼虫が止まっていました。緑の葉に緑色の幼虫は良くカムフラージュしており、気がつかなければ素通りするところでした。

庭では、キンミズヒキが開花し始めました。何時も不思議に思うのですがこれらの植物が何処から庭に侵入してくるのでしょうか。市内の何処を探してもキンミズヒキが咲いている場所が見つかりません。

 7月10日 午前7時頃、今年初めてナガサキアゲハが庭に飛来しました。柿の木の回りを一周した後、隣家の庭へ移動しました。16時頃に再度飛来しました。ブロック塀数カ所に数十匹づつ集まってヤケヤスデが発生、見た目にはとても気持ちの良いものではありませんが今年も発生したかと眺めていました。

アオスジアゲハの幼虫  ダイミョウセセリの雌 ナツアカネ

 7月13日 10時過ぎ、庭でミスジチョウを観察しました。9時頃に赤井の江川にかかる極楽橋付近の植木畑で飛んでいるのを見かけましたが、庭で見るとは思いませんでした。庭の柑橘類にはナミアゲハやクロアゲハの幼虫数匹が元気で葉を食べています。

 7月14日 庭のカサブランカの葉でヒメウラナミジャノメを初認しました。

 7月15日 ドクダミの葉にダイミョウセセリの雌が飛来しました。幼虫はヤマノイモやオニドコロを好んで食べるので、市内でも毎年僅かながら生息が確認されています。

庭で、ニイニイゼミの初鳴きを確認しました。夕方になりシオヤアブが飛来、コガネムシやカナブンも飛来しました。

 7月16日 本町4丁目のMさんより、朝5時頃に市役所付近の第二産業道路交差点で動物の遺骸を拾得したとの連絡を受け確認したところ、ハクビシンの若い雄でした。頭胴長約56cm、尾長39cmでほぼ1mほどの大きさでした。

ハクビシン ミソハギに止まるスジグロシロチョウ

 7月17日 湧水公園でシオカラトンボ、オオシオカラトンボ、コシアキトンボ、ウスバキトンボ、スジグロシロチョウ、ナミアゲハ、アオスジアゲハ、クロアゲハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、ベニシジミ、ヤマトシジミ、シオヤアブ、ナガメ、等を観察しました。声は聞こえませんでしたがアブラゼミの抜け殻もいくつか見つかり、穴から顔を出し始めたアブラゼミも見ることができました。ミソハギにはベニシジミやスジグロシロチョウが飛来し、外来植物のオオブタクサにはブタクサハムシが沢山寄生し、交接中のものや卵などが見られました。本種は1996年に関東地方で見つかったと言われています。黄色と黒の模様の小型の昆虫ですが、ブタクサの葉を食べる時は「ガツガツ」というほどに食べています。

見沼代用水では1羽のみ残ったヒナを連れたカルガモがいました。毎年繁殖していますが無事に育つのは少ないですね。  

庭のキンミズヒキにナツアカネとハラビロヘリカメムシが飛来しました。ハゼランの葉にコガネムシとドウガネブイブイが止まっていました。夜になって台所にブチヒゲカメムシの若い個体がいたので窓から放しましたが、手の平に悪臭を残して行きました。

交接中のブタクサハムシ ブタクサハムシの卵 羽化をしたホオズキカメムシ

 7月19日 最近、夕方になるとツマグロヒョウモンの雌がトマトの葉に止まります。塒にしているのかも知れません。コミスジチョウも時々飛来します。

 7月20日 庭のホオズキはホオズキカメムシに寄生され、花は咲いたが実は全く生らずに葉もボロボロに、それでも一株に数十匹のカメムシが集まり、周りの植物にまで産卵しました。

卵は茶色の宝石のようですが、一斉に幼虫が羽化しました。もの凄い数ですが駆除をせずに放置。現在、我が家の庭はカメムシ類とニジュウヤホシテントウが我が物顔に。しかし、自然とはよくしたもので、彼らを食べるハチ類やクモ類の数も増加中。自然にバランスがとれることでしょう。

ここ数年間見かけなかったヒシバッタを久し振りに確認しました。ジャガイモを掘った後の乾燥した土の上にいたので見逃すところでした。

市内で一時減少していたスベリヒユを各所で見かけるようになりました。

午後7時過ぎ、隣家の庭からアブラゼミの声が聞こえてきました(初鳴き)。

 7月21日 庭のゲンノショウコが開花しました。まだ、花は一つですが少しずつ開いていくことでしょう。この植物も何処から来たのか全く不明です。エノキにはヤサガタアシナガグモの幼生がいましたが,エノキの葉の緑にとけ込んでいて見逃すところでした。月下美人の葉には茶色の大きな目を持った小型のハラキンミズアブがいました。

 7月22日 今日は皆既日食でしたが、曇りのため全く雰囲気を味わうことができませんでした。夕刊には奄美大島の日食の写真が掲載されていました。

 7月25日 9時から10時まで湧水公園で観察を行いました。池の中ではメダカ、アメリカザリガニ、ヌマエビ、小型のオタマジャクシ(外国産?)、アメンボ等、トンボの仲間はシオカラトンボ、オオシオカラトンボ、コシアキトンボ、ノシメトンボ、オニヤンマ、チョウの仲間はナミアゲハ、ツマグロヒョウモン、スジグロシロチョウ、ヤマトシジミ、ルリシジミなど、鳥はツバメ、スズメ、ヒヨドリ、ハシブトガラス、開花植物はヤブミョウガ、セリ、キクイモ、ミソハギ、ムラサキサギゴケ、ヒメジオン、エノコログサ、ジュズダマ、コウホネ(園芸種?)等、他にはアブラゼミの抜け殻、ブタクサハムシ、ヒゲナガカメムシ(エノコログサに5匹)等、が観察されました。

 7月26日 柿の木の根元に黒い紐のような物があるので近づいてみると、カラスヘビ(シマヘビの黒色型)でした。焦げ茶色と黒色がまじったような色彩でした。今年も庭で確認することができました。隣家が広い庭で放置してあるため我が家では色々な生物を楽しみ事ができます。

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 25

ルリボシカミキリ 

体はもちろんのこと触角から足の先まで美しい青色をしており、さらに全身に黒い模様がある美しいカミキリムシです。飛び方は比較的ゆっくりしているので簡単に手で捉えることができるほどのスピードで飛んでいます。7月から9月にかけて出現し、木の切り株などで見かけることが多い。体長は16-30mmで、日本のカミキリムシとしては中型の部類に入るようです。雌雄による体色差はありませんが、緑色がかった青から淡い水色まで、さまざまな色の個体がいます。前翅に見られる3対の黒い紋様の形・大きさにも地域変異があります。市内では1960年代以降観察していません。

 

地球温暖化を考える(17)

学校緑地の推進

地球温暖化が叫ばれる中、埼玉県内で年々緑地の減少が続いており、全く歯止めが利かない状態です。一部では新しく緑化をしたりトラスト地を購入したり、と言った努力が見えますが、その陰で増やした緑地の数十倍の緑地が減少しています。水田や畑、休耕田あるいは林地などが宅地化されたり、大規模企業誘致などの名目で埼玉の緑地は減少一方です。鳩ヶ谷市に残っている緑は公園・神社・学校緑地等ですが、これらを点のみでなく線でつなぐ努力がされていないのが現状です。

今でこそ学校ビオトープなどと言う言葉と共に、小規模緑地の復元が行われるところも出てきましたが、鳩ヶ谷小学校には昭和30年代に築山という緑豊かな林がありました。しかし、校舎を増設のため消失しましたが、斜面林だけは今でもその当時の面影を残しています。

一方、ベランダなどを利用してバケツやプランターなどで水稲やキュウリ・トマト・ゴーヤなどの野菜を栽培したり、緑のカーテンを作ったりと言った取り組みも行われています。鳩ヶ谷小学校は、幸いにして氷川神社の参道と森が隣接しており、さらに鎌倉街道沿いに見沼緑道とが一体化されていますので、学校内でも色々な昆虫類を見ることができます。

できれば、学校に隣接した空き地があれば学校菜園なども可能ですが、環境教育を行っていく上で更なる緑地の推進が望まれます。

市内の学校緑地を増やすことによって、子供達が自然に接する機会が増え環境教育にも良いのですが。

なかよし門を入った右側の斜面林 なかよし門の左側
校庭西側斜面林(遊歩道が設置されている) 遊歩道(ハミングロード入り口)
校舎前の花壇と氷川神社の杜(右奥)  中庭の緑化
バケツを用いた水稲栽培 ベランダでの花や野菜の栽培