No.52 2008年10月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (65)

ユリカモメ(カモメ科) Larus ridibundus

「名にし負はば いざこと問はむ都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと」伊勢物語の中で在原業平が隅田川の「橋場の渡し」で詠んだと言われる歌であるが、この都鳥がユリカモメである。

夏羽は頭から顔にかけて黒く、背と翼は淡い青灰色。喉からお腹、尾の先までが白い。嘴と足が赤いのが特徴です。冬羽(写真)は変身して頭の黒色が消失するので全体に白い感じのカモメとなります。夏の間は、シベリアやカムチャッカ半島などで雛を育て、8月下旬頃には日本へ移動し、4月下旬頃まで荒川や芝川などで姿を見ることができます。近年、河川のゴミが増加してきた影響かユリカモメがかなり上流の河川流域でも観察されるようになりました。

自然の記録:

10月 1日 雨が小やみになったので三光稲荷ふるさとの森周辺を散策したところ、ムクドリの小群、キジバト、ヒヨドリ、オナガなどが集まって鳴いていました。周りの植木畑にはキュウリグサ、ザクロソウ、スベリヒユ、ヒガンバナなどの小群落がありました。茶の木でユウマダラエダシャクという蛾の仲間が2頭雨宿りをしていました。

10月 2日 久し振りに快晴となりました。ハラビロカマキリ、エンマムシが家の壁に、月下美人にシバスズ、門扉にカネタタキの雌がとまっていました。

10月 3日 9月にアカタテハと共に撮した毛虫の名前を調べずにいたのですが、今日、調べたところタケノホソクロバの終齢幼虫(体長約18ミリ、体は黄褐色または橙褐色で体の各瘤起は黒褐色で刺毛が放射線状に密生します。幼虫に触れると激しい痛みがあり痳疹ができます。)でした。家のイヌ走りのヘリを大きなイモムシが歩いていました。オオスカシバの終齢幼虫で、何時も見ている黄緑色の体と異なり暗緑色になって、体の皺がずいぶん増えたような感じがしました。少し目を離したすきに居なくなりましたが、蛹になる準備をしていることでしょう。

10月 4日 隣家の花壇に、ツマグロヒョウモン、ヒメアカタテハ、キタテハ、イチモンジセセリ等が飛来し、吸蜜していました。

10月11日 毛長川調節池にコサギ4羽、近くの毛長川にカルガモ4羽がいました。まだ、他のカモ類は来ていないようです。玄関のあたりをスジモンヒトリ(蛾)の終齢幼虫が歩いていました。

ムラサキツバメの幼虫が見つかった本町4丁目のマテバシイはアオイラガの幼虫が大発生し、かなりの葉が食べられていました。その後、殆どの枝が剪定され丸坊主になりました。来年もムラサキツバメが発生するかどうか?

10月12日 庭のヤマイモの葉や蔓に黄色のチャイロハバチの幼虫が8匹、幼虫が歩いた後の葉は丸坊主になりました。しかし、庭ではまだ成虫を見たことがありません。月桂樹の葉の裏側にウドンゲの花が50個ありました。クサカゲロウの卵ですが、ウドンゲの花は「法華経に、三千年に1度咲き、その時仏様がこの世に現れると書かれており」昔から吉兆とされてきました。

ツユクサの花にダイミョウセセリが飛来しました。今年は飛来しないかなと思っていましたが、まだ市内に生息していたようです。カナヘビの幼生2頭がイヌ走りで憩っていましたが、この時期に孵化したのを見たのは初めてです。

10月13日 近所の花壇に咲いているバーベナの花にホシホウジャクが飛来しました。ハチドリに似た小型の蛾の仲間で、下の翅に鮮やかな茶褐色の色彩をもっています。

桜町のHa氏より旧芝川で越夏したものと思われるコガモの情報を得ました。

10月14日 10月3日に蛹になりそうなオオスカシバを見つけましたが、イヌ走り脇の土の上と落ち葉の下で蛹を見つけました。イヌ走り脇の蛹は日向に出ていたので、猫が土を掻いだ時に出てきたようです。触るとお尻を振っていました。

ツユクサとカラスウリにいたスジモンヒトリの幼虫が葉を丸坊主にして、地上を歩いていました。そろそろ蛹になりそうです。柿の木にはハラビロカマキリがいましたが、そろそろ産卵の準備に入りそうです。

タケノホソクロバの幼虫 チャイロハバチの幼虫 スジモンヒトリの幼虫

10月15日 柿の葉にアオイラガの幼虫と共に、宝石のようなキイロテントウがいました。近所のテレビのアンテナでモズが高鳴きをしていました。この声を聞くと秋本番という感じがします。

キイロテントウ ホシホウジャク  オオスカシバの蛹

10月16日 久し振りに旧芝川を歩いてきました。コガモはエクリプスですが57羽、カルガモ38羽、オナガガモ雌1羽、イソシギ2羽、カワセミ1羽、コサギ4羽など。

水門から朝日橋までの間に見たミシシッピーアカミミガメは30頭、30cmを越える甲羅をもつ大きなカメから5cmくらいの子ガメまで、ずいぶん増えました。カダヤシは凄い数の群れを幾つも見ることができました。一見、メダカに見えますがメダカよりも太めです。

今日は暖かかったこともあり、蝶も多く飛んでいました。一番多かったのはツマグロヒョウモンで10頭以上、他にヒメアカタテハ、キタテハ、モンキチョウ、ヤマトシジミなど。帰りがけに、千歳橋付近の新芝川土手で辻小学校の生徒達が昆虫採集の課外授業を行っていたので仲間に入り、採集した昆虫類を観察したところ、クビキリギス、カヤキリ、ツユムシ、オンブバッタ、エンマコオロギ、ハラビロカマキリ、コカマキリ、ホシアサガオにエビガラスズメの終齢幼虫、マルガタゴミムシ、エサキモンツノカメムシ、等がいました。特に、クビキリギス、カヤキリ、ツユムシの個体数が多いのには驚きました。

10月17日 辻のバス停付近では、稲刈りが行われ小学生が大勢来ていました。農作業する人たちの手前の畦で2頭の山羊が草を食べていました。鳩ヶ谷市に残る長閑な風景です。昔は当たり前の風景でしたが今は珍しい風景となりました。

10月18日 湧き水公園から富士見橋まで、昆虫の観察をしてきました。見沼代用水の水路沿いにダイコンハムシ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミなどがいました。

10月19日 今まで、庭や外壁などで見かけていましたが気温が下がってきたので屋内に入り込んできたのか廊下の壁にヤモリが張り付いていました。

10月20日 かなり暖かい日が続いたためか庭の植木鉢のスミレが一輪開花しました。月下美人の葉裏に、葉が少し枯れたのかと思うような蛾が止まっていました。マエキトビエダシャクという蛾の種類です。本町2丁目の道路上にはシロツバメエダシャクという奇麗な蛾がいましたが、少し羽がいたんでいました。隣家のキクの葉上でダイコンハムシが2組交尾をしていました。また、江川沿いのフェンスでセスジスズメの終齢幼虫、ホシホウジャク、スジモンヒトリの幼虫などが歩いていました。

見沼緑道のケヤキ数本にヨコヅナサシガメの幼虫が50匹ほど群がっていました。木の根元では10匹ほどが群がってアオイラガの幼虫を襲っていました。

マエキトビエダシャク  シロツバメエダシャク ヨコヅナサシガメの幼虫

10月25日 ダイコン畑でオンブバッタ10匹が葉の上で日に当たっていました。

10月28日 キセキレイが家の上空を鳴きながら飛んでいきました。今冬初認です。オナガ数羽が熟し柿を狙って飛来しましが、アオイラガを食べてくれると有り難いのだが。

10月29日 Ha氏より、富士見橋上流の見沼代用水でコガモ1羽を観察したとの情報がありました。カモ類の渡りも本番になってきましたので、これから目にすることが多くなることでしょう。

羽化したばかりと思われるシロツバメエダシャクが、我が家と隣家の周りを飛んでいました。隣家のクリの木にはモズ、ヒヨドリ、オナガが飛来し賑わっています。

10月31日 庭の落ち葉や枯草を溜めて堆肥を作っていますが、堆肥の上下を入れ替えたところスズメガの蛹、コガネムシの仲間の幼虫、ヤスデ、ミミズの仲間が出てきました。長さ2m、幹周り20cmほどのプラタナスも2年で完全に腐り、触るとボロボロに崩れるようになりました。自然の力は凄いですね。腐食した幹の中にもコガネムシの仲間やクワガタの幼虫がいました。このまま越冬することでしょう。

流石に朝晩が冷え込んできたこともありますが、日中歩いていても昆虫類を目にする機会が少なくなりました。それでも、民家の花壇には各種の花が咲いているためかツマグロヒョウモンだけは元気に飛び回っています。

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 16

アオバズク

青葉の頃に日本に渡ってくるところから名付けられたというアオバズク。フクロウの仲間では小型です。主に蛾やカナブンなどの甲虫類を食べています。アオバズクがいる木の下には、カナブンなどの羽が混じったペリットが落ちています。鳩ヶ谷市内でも神社やお寺など数カ所で生息していましたが、1995年以降姿を見たことがありません。繁殖していた場所の営巣木や生息環境はそれほど変わっていませんが原因はわかりません。

 

地球温暖化を考える(8)

砂漠化

 何処までも続くアフリカの広大なセレンゲテイ国立公園。公園へ行くための道路の建設が行われていましたが、こんな所に道路を建設しなくても車は走ることができるのにと現地ガイドの弁。この道路は、現地人のための生活道路ではなく外国からの観光客のための道路です。

これだけの道路を造るお金があれば沢山の井戸ができるのにと言っていました。アフリカでは女性や子供達が頭に水瓶を載せて何キロも歩いて水を汲みに行くことは珍しくありません。観光客はロッジで風呂にも入ることができ、感染症の心配のない消毒されたペットボトルの綺麗な水を飲むことができます。

確かに、風が吹けば道路が土の下になるような場所に道路は入らないよと同行者。建設中の道路の先には広大な平原が続き、野生の王国が在ります。しかし、多くの動物たちが飲む水も砂漠化に伴い減少しているのが現実です。昔は広大な草原にもアカシヤの林が続いていたようです。人為的な影響もありますが、温暖化による変化が著しいなというのがわかります。

セレンゲテイへの道路工事中 水場を求めて歩くアフリカゾウ