No.120 2014年7月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (133)

ハジロカイツブリ(カイツブリ科)Podiceps nigricollis

夏羽(左)と冬羽(右)

ハジロカイツブリはカイツブリに似ていますが一回りほど大きめで、夏羽は体が黒っぽくなり耳羽が金色に輝くような綺麗な黄色になります。冬羽は耳の後ろから喉にかけて白くなります。カイツブリの冬羽も全身が淡い色になりますので識別を誤る場合も少なくないようです。通常は海岸地域の海辺や湖沼などに飛来して越冬します。葛西臨海公園などでは数百羽の群れが集まることもあり、このような群れが一斉に潜水したり、浮かび上がってくる様子は統制がとれていて見ていても気持ちの良いものです。カイツブリの仲間は歩くのは苦手ですが泳いだり、潜水したりするのは巧みです。

川口市内では希ですが、近年になって芝川第一調節池では毎年数個体が観察されるようになりました。

 

自然の記録

 

 6月 3日 ウメエダシャクが飛び始めました。色々な草花の開花と共に蝶の仲間も活動が活発になってきました。ベニシジミやヒメウラナミジャノメ等も目につきます。

 市内の各所で空き家や空き地が目立ってきましたが、そのような場所には多くの雑草が生育してきます。中でも目立っているのがアメリカオニアザミです。花はきれいだし、緑が増えるので良いことのように思いますが、外来種であること、タネが風によって各地に飛ばされること、茎や葉に強力なとげがあり危険なことなど良いことばかりではありません。

シロツメクサに止まるヒメウラナミジャノメ ギシギシに止まるベニシジミ

 6月 7日 5日から梅雨入りとなり、雨が降り続いています。かなり強い雨の中で湧水公園のハナショウブ(アヤメ科)が咲き始めました。昨年、下の池に植栽したサンカクイ、オモダカ、ガマ等が生育し始めて池の雰囲気がかなり変わってきました。

上の池ではショウブ(サトイモ科)が花をつけました。他の植物と混じって生えているので目につきにくいのですが、全体に良い香があり端午の節句に飾ったり、菖蒲湯として使われていますが、一般的にはハナショウブやアヤメなどと混同しているかもしれません。ショウブの花は地味なものです。

ショウブの花 マダラアシナガバエ

 6月 9日 雨の晴れ間にクリの花を探して歩いたところ、開花真っ盛りの木を見つけることができました。3日間降り続いたことから昆虫類も晴れ間を待っていたようです。アカシジミ、ムラサキシジミ、キマダラセセリ、オオアオカミキリ、ベニカミキリ、コアオハナムグリ、オオスズメバチ、ミツバチ、ハナバチの仲間がたくさん集まっていました。

 6月13日 ここの所、雨が降り続いて外へ出られませんが庭のカキの実がボタボタと音を立てて落ちています。毎年のことですが、かなり多くの実をつけても半数以上が熟する前に落ちてしまいます。もったいないと思う一方落ちた実やヘタは土に還って肥料になることを考えるとしかたがないのかなとも思います。すべての実が結実しても食べきれないということもあります。落ちた実の間には先日孵化したばかりのウメエダシャクの遺骸や弱っている成虫が数匹落ちていました。

 6月14日 廊下のカーテンに綺麗な黄色のクモが張り付いていました。コウライササグモというクモの仲間で、庭で普通に見られる緑色のササグモと感じが似ていました。

 6月16日 朝、玄関を出たところ足元からシマヘビが勢いよく逃げていきました。踏みつけてはいなかったと思うのですが、かなり驚いたのでしょう。叢に逃げ込みました。

アカシジミ ムラサキシジミ
キマダラセセリ オオアオカミキリの交接

 6月19日 数本のサクラの枯れ木を見て歩いた所、ナガゴマフカミキリ、ヨツキボシカミキリ(3)、コクワガタ(2)、キマワリ、オオスズメバチ、アカスジキンカメムシ等がいました。ヨツボシカミキリは初めての観察です。3本の枯れ木で1時間ほど時間を費やして昆虫を観察していました。クズのツル上では白と黒の体色のオジロアシナガゾウムシというゾウムシの仲間が交接していました。

 6月20日 庭隅を素早く移動する蝶がいました。日当たりのよいところへ止まったので近づいてみるとヒメジャノメでした。

南町7丁目の民家ではビワの実がハクビシンに烏に食べられてしまったとの情報をいただきました。昨年はカキを食べられ、近所の家でも被害にあったと言っていました。

 6月24日 21時頃、鳩ヶ谷本町2丁目(ラクダ坂付近)の道路上でハクビシンと遭遇しました。道路脇にある小さな林から出てきて民家の庭へ侵入していきました。初めはネコかなと思いましたが、長い尾を引きずっていきました。

 6月25日 庭の叢の葉の上に数匹のトウキョウヒメハンミョウが止まっていました。夕立が来そうなので家の中に入りましたが、トウキョウヒメハンミョウも移動したようです。

夜になって風呂に入っていたところ窓ガラスの外側に大きなヤモリが張り付いていました。吸盤が大きく広がってしっかりと吸着しているのがわかりました。

 6月27日 雨止みの庭隅でヒカゲチョウが飛んでいました。今季初記録です。芝川では巣立ったツバメの若鳥が親から餌をもらっていました。上流の芝川調節池へ行く途中なのか、カワウも時々飛んでいます。

 6月29日 ヤブカンゾウが開花しました。庭のモクレンが今年も2回目の花をつけました、ここ数年は殆ど2回、年によっては3回咲いたこともありました。いずれにせよ、気候条件などがかなり影響しているようです。

湧水公園の斜面林ではミンミンゼミの初鳴きを聞くことができました。例年よりも1か月も早いので驚きました。過去8年間の記録をみても、一番早い時で2008年7月21日でした。たまたま、この個体が早く出てきたのか?いずれにしても早すぎます。

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飛翔するカワウ 親から餌をもらうツバメの若鳥

 

地球温暖化を考える(73)

 

川口歴史自然公園・火葬場建設が始まりました。

赤山歴史自然公園の計画予定地を含む神根赤山地域周辺は、川口における貴重な緑地空間としての位置付けにとどまらず、首都圏近郊緑地保全法に基づき、広く首都圏における広域的な自然環境を保全することを目的とした保全区域に指定をされているところです。また、埼玉県の川口鳥獣保護区かつ安行武南県立自然公園に指定されています。しかしながら、川口市の都市農業を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあり、貴重な農地、緑地が急速に失われつつあり、市域の緑地面積は20%を割っています。このような状況の中で歴史自然公園の計画ができたことは喜ばしいことですが、火葬場建設が先行されることになり、2013年11月上旬より、赤山調節池に建設予定の火葬場の敷地整備が始まりました。赤山サービスエリア側の水路はコンクリートでしっかりと護岸されていました。火葬場の建設は3年後の平成29年3月終了予定になっています。現在工事中の奥の草地が歴史自然公園予定地となっています。また、隣接する高速道路のパーキングエリアの横では埋蔵文化財の調査が行われていました。おそらく各種の工事が進む中で多くの埋蔵文化財や貴重な植物などが消失する可能性が考えられます。それでも将来的に見て、まとまった緑地が残されることになるのであれば、よいとする?

手前の更地が調節池で火葬場建設用地、工事中の場所が駐車場、奥が公園予定地
サービスエリア横で埋蔵文化財の発掘調査を実施中