No.79 2011年1月  

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (92)

ジョウビタキ(ツグミ科) Phoenicurus auroreus

ジョウビタキ 雄 (撮影:自宅庭)

ジョウビタキはスズメくらいの大きさの小鳥で、翼に大きく白い紋があるところから紋付鳥と呼ばれています。雄と雌で体の色は異なりますが雌雄共に白斑があります。鳴き声はヒッヒッヒッと聞こえますが、鳴きながらカタカタという感じで尾を振るところから地方ではヒッカタあるいはヘッカタと呼んでいるところもあります。例年、10月下旬から11月初旬にかけて市街地の庭や都市公園などに飛来します。繁殖地は極東方面ですが日本でも1983年に北海道の糠平の空き家で繁殖した記録があります。渡りの時期には日本海の離島に大挙して渡来し、島中がジョウビタキで賑わうこともあります。そのような時にはシロビタイジョウビタキやクロジョウビタキと言った珍しい種類が混じっていることもあります。40年近く前に行ったバイカル湖沿岸の農村地帯ではシロビタイジョウビタキという種類が民家の郵便受けや巣箱などで繁殖をしていました。ちなみに、ヒタキという名前は「火焚き」のことで、ジョウビタキが尾を広げると赤い尾羽がパッパッと開く様子が火が燃えているように見えることにちなんでいるとの説があります。また、縄張り性が強く自動車のミラーや玄関ドアのガラスなどに映った自分の姿に対して攻撃することがよくあります。この行動はモズなどでも見ることが出来ます。

 

自然の記録:

 1月 6日 庭の柿の実が全て食べ尽くされました。木の下には食い散らかされた残骸が散らばっています。今日確認した野鳥はツグミ30羽以上、ムクドリ50羽以上、スズメ、ヒヨドリ、カラスなど100羽を越える野鳥が飛来しました。強い北風の中食欲旺盛でピラカンサの実も全て無くなりましたが、地上には1000個以上の実が落ちていました。食べるよりも落とす方が多い気がします。

 1月 7日 一日中寒い日でしたが、相変わらず近所の柿の実を求めてスズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、ツグミに加えてオナガなどの群れが飛び回っています。市内にこれほど多くの野鳥がいたのかと思うほどです。本町2丁目の市民農園が宅地化されるために土地がならされましたが、ハクセキレイと数羽のムクドリが何かを啄んでいました。

我が家の門柱の隅にアゲハチョウの蛹がありました。このまま春まで過ごせるかどうか疑問ですが?

 1月 8日 16時過ぎに外が騒がしいので出てみると、隣家のクリの木にツグミが73羽も飛来し、飛び回っていました。隣家の庭は500坪近くあるので色々な餌があるようです。

 1月 9日 今日も50羽以上のツグミに加えてメジロ4羽が飛来しました。江川ではオナガガモ(雄5羽、雌2羽)、カルガモ(5羽)とハクセキレイが寒風の中で採餌していました。

 1月10日 寒風の中、近所の路地でセイヨウタンポポの花が開花しました。葉はまだロゼット状態ですが5cmほどの茎の先に開花しました。

 1月11日 氷が厚く張っている池の岸でコサギが1羽体を丸めて佇んでいました。北風がかなり冷たいので人間が肩を丸めて歩いているのと同じようです。

 1月12日 朝方はかなり冷え込み近所の池面が凍りましたが日中は暖かくなりました。三光稲荷周辺の植木畑ではロウバイやウメ、キズイセンなどが開花し、ウメの花にメジロが飛来しました。毛長川沿いではジョウビタキ、オナガ、ヒヨドリ、キジバト、ツグミ、ムクドリ、スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、キンクロハジロ、カルガモ、アオサギ等を見ることが出来ました。

センダンの実を食べるムクドリ ヒヨドリ

 1月15日 裏庭のゴミ缶置き場とブロック塀の間にマダラカマドウマがいました。ここで冬越しをしているようです。

 1月18日 隣家の大きなコブシの梢にキアシナガバチの巣がありましたが、風に吹かれて落ちていました。部屋数は300室程度でした。

 1月19日 江川でコガモ(雌2羽)、オナガガモ(雄4羽、雌7羽)、コサギ(1羽)等が採餌していました。

 1月20日 市役所で会議中、窓外をオオタカが飛翔し3回ほど旋回した後に、消防署近くの鉄塔に止まりました。市内の中心部でオオタカを見たのは初めてでした。会議中に思わずオオタカが飛んでいると声を挙げてしまいましたが、会議中の皆さんも興味深く探しましたがわからなかったようです。

本町4丁目の斜面林南側でタチツボスミレ5株が奇麗に開花していました。40年ほど前までの鳩ヶ谷市内のタチツボスミレの開花は3月初旬から中旬でしたので、2か月近く早く咲くようになりました。同じ場所でアブラナ科のタネツケバナも開花していました。

江川ではハクセキレイに混じりキセキレイが採餌していました。

テーブルの上を歩くセイヨウシミ 激しくなくヒヨドリ

 1月22日 久し振りに旧芝川を探鳥しました。新芝川との境にある水門付近は昨年の11月から工事中、暖かい日でしたがタネツケバナがちらほら咲いていた以外にはまだ冬の河川でした。カモ類はカルガモ(10羽)、コガモ(30羽)、オナガガモ(2羽)、ヒドリガモ(63羽)、キンクロハジロ(4羽)、その他の水鳥類ではセグロカモメ、ユリカモメ、カワウ、オオバン、コサギなど、小鳥類ではキジバト、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメ、ツグミ、ジョウビタキ、ハクセキレイ、メジロ、シジュウカラ、アオジ、カワセミ等が観察できました。特に、カワセミはカメラマンがセットした木の枝や枯れ木あるいはウメの花がついた枝などが10数カ所にあり、そのポイントごとにカメラマンが待っていました。

江川ではコガモ(雄2、雌1羽)、カルガモ(9羽)、オナガガモ(雄15、雌11羽)、ムクドリ、ハクセキレイ、スズメ、キジバトなどが浅瀬で採餌していました。50羽近くのカモ類が集まるのは江川では初めてです。

夜になって、テーブルの上をセイヨウシミ(西洋紙魚)が歩いていました。英名はSilver fishという節足動物です。セイヨウシミは1930年代にヨーロッパから渡来した種類で体色はやや黒味を帯び、急速に分布を広げて、現在ではヤマトシミに代わって優占種となっています。原始的な昆虫で脱皮をくり返して成長します。

ヒカンサクラとカワセミ 飛ぶカワセミ

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 43

ツバメの調査

1975年から続けている鳩ヶ谷市内のツバメの営巣調査ですが、昨年度は鳩ヶ谷郷土資料館・友の会のメンバーを中心にアンケート方式で調査を行いました。その結果、今まで確認されていなかった営巣場所が3ヶ所確認できました。繁殖が行われた巣は15ヶ所でしたが、無事にヒナが巣立った巣は少なく、カラスやヘビなどによる被害、特にカラスによる被害が多く巣立ち直前で全滅した巣もいくつかありました。しかし、10年前に比べると若干ですが営巣数が増加している傾向が見られます。今年も行う予定ですので、鳩ヶ谷市内でツバメの巣を見かけたら情報をお願いします。 

 

地球温暖化を考える(34)

安行赤堀用水沿い斜面林保全緑地と万葉植物園

万葉植物園の周辺は、赤堀用水沿いに連続した斜面林があります。大宮大地の東端にある傾斜地で、川口市の緑地面積が市域の25%以下になってしまった現在では貴重な緑地となっています。そして、連続した斜面林が保護されることにより、湧き水群も維持されています。

この周辺では貴重な生態系が息づいており、その頂点にはオオタカやフクロウなどの猛禽類が生息し、昭和40年代にはサンコウチョウが繁殖していました。また、植物ではイチリンソウの自生群落を初め、貴重な植物も生育しています。2009年4月、この様な斜面林のいっかくに地域の住民の手による万葉植物園が造成・維持されています。この保全緑地を管理・保護する地元のボランティア団体「安行みどりのまちづくり協議会」により、2008年に川口市が公有地化を行った土地を活用し緑地の整備がされました。この植物園には万葉集に詠まれている約160種の植物のうち、約120種が集められています。ここでは、各種の万葉植物の植栽と共に、斜面林から湧出する豊富な湧き水を利用した池や小川が流れています。この様な環境を創出することにより連続したみどりと一体になって生物の生息環境が広がると共にジャコウアゲハなどのように姿を消していた昆虫類が少しずつでも姿をみせるようになってきました。

今ある自然はそのままに、壊した自然は再生していくことが必要です。

2003年4月19日 撮影 2010年8月8日 湧き水原水
2010年8月8日 撮影
湧き水を利用した水路
若いフクロウの遺骸 (2010年8月8日)