No.148 2016年10月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (161) 

ベニマシコ(アトリ科) Uragus sibiricus

ベニマシコは漢字で書くと紅猿子と書く。学名では属名がギリシャ語の「後衛隊長」とロシア語の「シベリアの」の意味になります。英名では「長い尾」「バラ」「小鳥」の組み合わせ。

夏鳥として北海道や下北半島などで繁殖する。冬は平地の湿地や低山帯の灌木林等に生息します。

ベニマシコは柔らかい地鳴きで「フイッフイッ」または「ピポッ」と鳴き、ピッポと愛称で呼ぶところもあるようです。囀りはホオジロに似たような囀りで澄んだ声で鳴きます。

マシコ類は鎌倉時代からベニマシコやオオマシコを区別せずに「猿子」と呼んでいたようです。

「猿子」とは、これらの鳥の特徴である赤い羽根の色をニホンザルの顔の色に見立ててつけられたと言われています。

川口市内では旧芝川、芝川第一調節池等での観察記録があります。

 

           鳥寄せの上手な翁猿子鳥  茨木 和生

自然の記録:

10月 1日 ボタンクサギ数株にシモフリスズメの幼虫が数匹見つかりました。ボタンクサギの上層部の葉が丸坊主になり糞が落ちていたので見つかりました。キンケハラナガツチバチも飛び回っていました。

10月 4日 7月中にジャコウアゲハの幼虫に食べつくされたウマノスズクサ6株が再び背丈ほどに伸び始めてきました。さらに、別の場所からも発芽して、3株が伸び始めているのでジャコウアゲハが産卵に来ても今期は大丈夫と思えるほどになりましたが、肝心のジャコウアゲハの姿が見えません。気が付かぬ間に産卵してくれれば来年以降も庭を飛び回ってくれるのではないかと思っているが。

10月 6日 10月に入って真夏日となり日中31℃を超えて暑くなりました、キチョウ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミ、ウラナミシジミ、ツバメシジミなどの蝶が飛び回っていました。街中の空き地では、アキノエノコログサ、アキノノゲシ、アメリカオニアザミ、ハハコグサ、ジュズダマ、ヨウシュヤマゴボウなどの植物が繁茂していました。

10月 7日 朝、庭のムベにアケビコノハの成虫がいました。止まっていると枯葉のようでわかりにくいが飛ぶと綺麗な蛾です。

久しぶりに安行にある花と緑の振興センターへ出会かけました。ブットレアの花にアオスジアゲハ、ツマグロヒョウモン、イチモンジセセリ、ナガサキアゲハなどが群れ、ハーブの花壇ではナミアゲハ、キアゲハ、ツマグロヒョウモン、アカタテハ、キタテハ、イチモンジセセリ、ツマグロキチョウ、キタキチョウ、モンシロチョウ、ウラナミシジミ、イチモンジセセリやハチドリのような感じのヒメクロホウジャク、ホシヒメホウジャク、ホシホウジャク、ハラナガツチバチ、キンケハラナガツチバチ、クマバチ、ヒメヒラタアブ等の昆虫類が集まっていました。花の少ない時期ですが外国産の園芸種の花に多くの昆虫が集まっています。

アケビコノハ 羽を閉じたところ ホシヒメホウジャク
ヒメクロホウジャク ホシホウジャク エビガラスズメの幼虫

              

10月10日 晴れる予想であったが一日中曇天となり、涼しかったのでウメの木の剪定を行った。枝垂れウメの枝が道路側へ張り出していたため剪定を行ったが折角伸びているものを切るのは忍びなかった。ウメの木の周りの叢にはマメノメイガ、シロオビノメイガ、ヒメセスジメイガなどの小さな蛾の種類が葉の裏に止まっていた。ボタンクサギの葉上にはアオドウガネガ止まっていました。洗濯物にはアオクサカメムシが止まっていました。近所の庭では秋の七草のひとつフジバカマの花も咲きだしました。

フジバカマ 大きなジョロウグモ ヒメアカタテハ

10月11日 庭の隅にキンミズヒキの花が開花し、ミズヒキソウ、イヌタデ、カタバミ、ボタンクサギなどの花が咲いています。ここの所ジョロウグモの数が増えてきて、全長10p(足の長さを含む)を超える大きなものもいます。

10月16日 晴れて暖かくなったためかセイタカアワダチソウの群落にヒメアカタテハ、キタテハ、キタキチョウ、モンシロチョウ、イチモンジセセリ、ヨーロッパミツバチ、ハラナガツチバチ、キゴシハナアブ、キョウコシマハナアブ、キオビツチバチ、コアオハナムグリ、ジュウジナガカメムシ、ハラビロヘリカメムシ等の昆虫類が集まっていました。

10月18日 庭の隅でエゾギクトリバいう十字架のような形をした小さな蛾の仲間が飛び回っていました。夜になって部屋の中をホシヒメホウジャクが飛び回っていました。どこから入ってきたのかわかりませんが、スピードが速く、いつものようにホバリングをしなかったので最初はスズメバチでも飛んできたのかと思いました。

10月19日 今夜はスグリゾウムシがテーブルの上に落ちていました。虫眼鏡で見るととてもユニークな顔立ちをしていました。

10月20日 今朝、ジョウビタキの声を聞きました。今年は例年よりも10日以上早い記録です。14日には芝川第一調節池でツグミを観察しましたが、富士見市の方からはビン沼で10日にツグミが記録されたとの情報がありました。

久しぶりに旧芝川を散策しました。カモ類はヒドリガモの雌雄6羽、コガモの雌1羽が来ていました。渡り途中のツツドリも観察することが出来ました。昆虫類はモンシロチョウ、キタキチョウ、キタテハ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミ、ウラナミシジミ、ホシホウジャク、アキアカネ、ギンヤンマ、アジアイトトンボ、クマバチ、ニホンミツバチ等、その他、アカテガニ、クロベンケイガニ、コイ、カダヤシ、ミシシッピアカミミガメ、イシガメ(1)等。ミゾソバやセイタカアワダチソウの花がきれいに咲いていたので蝶の仲間もそこに集まっていました。

10月25日 カキの実が早熟でぼたぼたと落ちますが、その匂いに誘われてショウジョウバエが沢山飛来しています。ショウジョウバエが飛来し始めるとキタテハやアカタテハも飛来してくれます。

ボタンクサギの花芽 色づいてきた花芽
穴から出てきたアカテガニ クマバチ 渡ってきたヒドリガモ

10月27日 良く晴れて、時々強い風が吹いていたためか庭ではキタテハ3、ウラギンシジミ、ヤマトシジミが飛び回っていました。

久しぶりに赤山歴史自然公園予定地に出かけました。火葬場の予定地では土台の工事がかなり進行しており、公園予定地では奥の方の湿地の埋め立て工事や水路の工事が進行しており6月に確認したヘラオモダカの自生地が多くの土砂で覆われ始めていました。来年以降復活するかどうか危ぶまれます。大池ではコガモ、カルガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、オオバン、バン等の水鳥類が集まっていました。これらの内オナガガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ等はこの地で初記録となりました。

今後さらに種類が増加することが期待されます。暖かかったのでシマヘビにも出会いました。

火葬場予定地 大池の環境 湿地の埋め立て工事中

10月28日 裏庭に黒い紐状のものがあり、近づいてみるとクロコウガイビルでした。ヒルの仲間は色々ありますが、コウガイビルの仲間は無害といわれており主にミミズなどを食べているようです。

隣家が空き家となってから10年近くたち、今年の春に立木数本が大きくなりすぎたため、伐採されました。その後、日当たりが良くなったためかヨウシュヤマゴボウやキケマンが大きく蔓延っていましたが、いつの間にかほとんどの葉が無くなりました。何かの幼虫に食べつくされたようです。ヨウシュヤマゴボウは有毒植物で全体にわたって毒がありますが、食べても平気な昆虫もいるようです。

クロコウガイビル ヤマゴボウと蛾の繭

 

地球温暖化を考える(101)

御岳山麓にメガソーラー発電所計画

木曽温泉から御嶽山へ向かう途中の玄関口である御嶽ブルーライン道路の両側に2メガ(1万6千枚)のソーラーパネルを設置して、発電所をつくる計画があり、御嶽山の自然を守る会および住民が自然破壊と景観がかわると反対運動をしています。場所は、木曽温泉ホテルから御岳ロープウエイに向かう途中の一軒宿「鹿の瀬温泉」手前周辺道の両側付近です。ロープウェイ周辺にある開田高原の九蔵峠や木曽馬の里、木曽福島のキオビ峠などから裾野一帯にメガソーラーの発電所のパネルが見えるようになることを想像すると景観上あまり良い気持ちではありません。森林伐採に伴う土砂災害などの危険性も考えられます。

地球温暖化は環境の変化や生物多様性減少の要因になるので、メガソーラー建設による生物多様性のマイナスと、二酸化炭素削減効果によるプラスを総合的に評価する必要があります。実際に生物多様性の増減を評価するのは難しいでしょうが、少なくとも二酸化炭素の削減量くらいは評価すべきなのに、それが行われていないのです。

気候変動に伴い国が自然エネルギーを推奨しており、メガソーラーが悪いというわけではありませんが、昔から霊山として守られてきた御嶽山の豊かな自然を乱開発してまで作る必要はないのではないかと思います。

現在、反対運動として、署名運動が行われていますが、自然環境を破壊すると生態系が元に戻ることは難しく、生物多様性に必要な環境を維持することの方が大事ではないかと考えます。

木曽御嶽への往復で通過した、北杜市の中央高速道路脇には面積は約10haのメガソーラーが設置され、さまざまな種類の太陽光パネルが合計1840kW設置されています。八ヶ岳を遠望するこの場所は数年前までは秋を彩る黄金の稲田が広がっていました。目に映る景観が人工的なものか自然豊かな環境であるか精神的にも違ってきます。