No.39 2007年9月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (52)

ノゴマ(ツグミ科) Luscinia calliope

のごま
撮影場所:埼玉県の荒川中流域

ノゴマは、夏鳥として北海道に渡来し、繁殖します。渡りの途中で日本海側の離島などではよく観察されますが、秋の渡りの時期には市街地でも観察されることがあります。繁殖期には、草や木の頂で囀るので姿を見ることが出来ますが、渡り途中に立ち寄る公園などではヤブの中を静かに歩いていたりするので姿を見る機会が少ない。そのために、カメラマン達は餌付けをして写真を撮っていますが、野鳥のためには推奨されることではありません。

鳩ヶ谷市内では写真の記録はありませんが、2006年11月に八幡木の民家の庭で観察されています。雌雄共に白い眉斑があり、雄は喉の赤がとても綺麗で目立ちますが、雌はこの部分は真っ白です。英名のRubythroatは喉の赤い色をルビーにたとえて名を付けています。囀る時に大きな口を開けると、口の中が真っ黒で、まるでお歯黒を塗ったように見えます。

自然の記録:

 9月 2日  桜町6丁目〜公民館〜鳩ヶ谷中学校〜本町2丁目〜桜町6丁目を歩いている時に、ツマグロヒョウモン雄2、雌2を観察しました。夕方4時30分に庭をナガサキアゲハが飛んでいました。市内では3ヶ所目の確認です。ヤブガラシの花にコチャバネセセリが飛来しました、コチャバネセセリの幼虫は竹の仲間の植物を食草としています。

 9月 3日  6時30分頃、窓を開けるとナガサキアゲハの雌が飛んでいました。カメラを持って出ると柿の葉に止まりじっとしていました。庭で羽化したのかも知れないと思いサンショウの木を見ると、枝の陰に蛹の抜け殻がありました。

センチコガネ、コガネムシ(3)、オオスカシバなどが庭で観察されました。

毛長川調節池下流の毛長川で、ギンヤンマの雌雄がつながって飛んでいました。水面はどす黒く、泡だった水が流れていましたが、この様な場所で産卵をするのかと思うと可哀想になりました。調節池の上流側では多少水が綺麗で藻が生育し、アオウキクサが所々にまとまって浮いていました。八幡木中学校付近ではガマも生育し、コサギ(2)、カルガモ(2)が岸辺で憩い、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、ナミアゲハ等が川面を飛んでいました。

羽裏から見たナガサキアゲハ雌 柿の葉で休むナガサキアゲハの雌

 9月 4日  天神橋付近の芝川でアオサギの若鳥が休息しており、イソシギが飛んでいました。護岸の草地にはキクイモの黄色い花が満開でした。Ha氏より鳩ヶ谷中央病院の垣根に絡むヤブガラシの葉上にいるセスジスズメ(蛾)の幼虫の写真が送られてきました。黒い体に5つの赤い点と2つの黄色い点が並び、長い角を持っています。ノブドウ、ホウセンカ、サトイモ、サツマイモなど、色々な植物の葉を食べます。ラクダ坂付近ではヒメアカタテハも観察されました。また、見沼用水ではカワセミが観察され、毛長川でギンヤンマの雌雄がつながって飛んでいたとの情報がありました。

セスジスズメの幼虫(Ha氏) 交尾中のギンヤンマ

 9月 5日  台風9号が八丈島に接近すると共に、時々断続的に強い降雨があり、満潮と重なった芝川は、かなりの水量がありました。天神橋付近の芝川ではカルガモ25羽が浮かんでおり、アオサギ2羽とコサギ1羽が岸辺で休んでいました。

 9月 7日  台風9号が去り、蒸し暑さが戻ってきましたが夜になり、灯りを求めて1.5mm程のイエヒメアリと思われるハアリが50匹ほど家の中に侵入してきました。その中に女王アリが1匹混じっていました。

 9月13日 9時頃本町2丁目のヤクルト販売店横にタヌキが死んでいるとの情報をもらって、確認に行ったが既に死体は環境センターへ搬送されていました。環境センターで確認したところ若い雄のタヌキでした(2月14日に現場から200mほど先の中央病院付近の住宅で1頭が観察されています。また、安行慈林のマルエー近くの林でも3頭が確認されているので、以外と多くの個体が生息しているようです)。

毛長川と江川の合流点付近でハグロトンボの(雄1)、毛長川でツマグロヒョウモン3、マメアサガオが数カ所で開花していました。毛長川調節水池ではアオサギとダイサギを観察しました。帰りがけに湧き水公園に寄り道したところ、若いお母さん達が子供達を連れてザリガニ釣りをしていましたが、公園が狭いために駐車場の砂利地に座り休憩していました。その後には高層マンションが見えました。鳩ヶ谷市内で子供達が安心して生き物とふれあうことの出来る公園がないのは寂しいですね。法勝寺山の斜面にはタイワンホトトギスの花が開花し、ムラサキシジミが飛んでいました。17時30分自宅の庭に久し振りにオナガが飛来しました。

事故死した若いタヌキ 湧き水公園の駐車場で憩う フクラスズメの幼虫

 9月14日 Ha氏より、カラムシの葉を食べるカラフルな蛾の幼虫の写真が送られてきました。この幼虫はフクラスズメの幼虫で、カラムシの葉を食草としています。同じようにカラムシの葉を食べる幼虫にアカタテハの幼虫がいます。自宅庭の柑橘類にはナミアゲハの幼虫が1本の木を丸坊主にしてしまいました。

 9月16日 Ha氏より、見沼代用水のいつもの場所で、カワセミを5時38分から10分ほどゆっくり観察したと連絡がありました。この場所のカワセミ、私はまだ未確認です。初めて情報を頂いてから数十回出かけているのですが、運が悪いのか?

 9月18日 家の外においてあるビンカンや空き缶入れの容器の下に、15cmほどのカラスヘビ(シマヘビ)がいました。アオダイショウは見たことがありますが、シマヘビは庭では見たことがないので初記録です。隣の庭がかなり広く殆ど手入れがされていないので生息場所としては適しているのかも知れません。自宅の庭だけでは狭すぎる気がします。容器の裏側にはヤモリが2匹、容器と同じような色に擬態していました。

辻のKさんから、旧芝川でカルガモ36羽を観察したとの情報を得ました。この時期は、繁殖期が終わり、成長したカルガモが集まって群れで行動するようになります。カワセミも2羽観察されたとのことで、旧芝川沿いの何処かで繁殖している可能性がありそうです。今まで市内でのカワセミの繁殖はおろか姿を見る機会も少なかったのですが、今年に入り、旧芝川(川口市と鳩ヶ谷市との境界付近)と見沼代用水(鳩ヶ谷市と赤井の境界付近)の2ヶ所で確実に生息していることがわかりました。

Kさんは8時30分頃にタヌキも観察されたようです。今年は3ヶ所でタヌキの生息が確認されました。

真っ黒なカラスヘビ 容器と同じ色に変化したヤモリ

 9月19日 コンフォール西鳩ヶ谷に面した斜面林上空をイエコウモリ数頭が飛んでいました。数日前、家の中で見かけたヤモリの子が玄関にいたので、捕まえて他のヤモリのいるところへ放したところ、仲良く物陰に隠れました。

 9月21日 Ha氏より自宅庭の植木鉢で育てているヒゴスミレを食べる毛虫がいると、写真が送られてきました。その毛虫は毒々しい色をしていますが、ツマグロヒョウモンというチョウの4齢位の幼虫でした。桜町周辺で多くのチョウが飛んでいるので、私も近所のパンジーなどで探していたのですが、幼虫が見つかりませんでした。

ツマグロヒョウモンの4齢幼虫 根元から食べられたヒゴスミレ

 9月23日 久し振りに肌寒い1日となったが、クチナシの木にオオスカシバが飛来した。ユズの木に移動したアゲハチョウの幼虫6匹は無事に成長していました。

辻在住のKさんより、旧芝川と新芝川の合流点付近で、カワセミ、アオサギ、カイツブリ、等の観察情報が寄せられました。

 9月24日 辻のKさんより、旧芝川で今秋、初記録のコガモ(雌)の観察情報、カワセミ、モズ(雄)、コサギ(10羽)、バン(1羽)などの情報が寄せられました。コガモの写真は、双眼鏡に携帯電話のカメラを押しつけて撮したそうですが、特徴がしっかりと写っています。こんな方法もあるのですね。大変参考になりました。

コガモの雌 ホシホウジャクの幼虫

 9月25日 庭のブロツク塀にホシホウジャクの幼虫がいました。裏庭に廻ってみると大きく成長したナガコガネグモの雌2匹が、大きな網を張っていました。スジグロシロチョウがクモの網にもかからずに上手くすり抜けていました。

 9月26日 一重のクチナシの葉が丸坊主になっているので、探してみるとオオスカシバの幼虫2匹が大きく育っていました。八重のクチナシではハラビロカマキリが大きく膨らんだお腹が重そうに歩いていました。

コンフォール東鳩ヶ谷の空き地の外周を歩いていたら、先月は見あたらなかったアサガオ、マルバアメリカアサガオ、マメアサガオ、の3種類のヒルガオの仲間がありました。

アサガオ以外はアメリカ産の植物です。草地の中をモンキチョウ、ツマグロヒョウモンが飛び、エンマコオロギが鳴いていました。

鳩ヶ谷から絶滅した生物・絶滅しつつある生物

ヤママユガ

ヤママユガは山地に多い大型の蛾です。市内では1970年代頃までは時々見ることが出来ましたが、近年は全く見ることが出来なくなりました。コンフォール西鳩ヶ谷のある諏訪山周辺の斜面林や雑木林ではよく見かけました。幼虫はクヌギ・コナラ・カシ等の葉を食べます。卵で越冬し、成虫の色彩は色々と変化がありますが、羽根に大きな目玉模様があるのが特徴です(写真は茨城県の霞ヶ浦にある浮島の公衆トイレで携帯電話で撮影したものです)。