No.151 2017年1月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (164) 

ミヤマホオジロ(ホオジロ科)  Emberiza elegans

ミヤマホオジロは眉斑と喉が黄色いホオジロの 仲間。雄には冠羽、胸、目を含む横顔に黒褐色があり、目立ちます。雌は褐色で、全体的に薄い感じです。警戒したりすると頭の羽毛がたちます。

繁殖地は、ロシアのウスリー地方、中国東北部および朝鮮半島等が知られています。日本でも広島県や長崎県対馬等で、繁殖が観察されたことがあるようです。冬期に飛来し、地表で採食することが多く、植物の種子など食べています。深山頬白という名前からは、深山幽谷に住む、幽玄な雰囲気を持つ野鳥という感じを受けますが、実際には平野部の開けた林や森に生息する開放的な小鳥といえそうです。個体数は多くないが、毎年同じような場所に訪れる傾向がある。

川口市内では過去に、西立野の植木畑で数年にわたって、越冬期に観察されたが最近の記録はない。

 

自然の記録:

2004年に始めてから昨年までに鳩ヶ谷博物誌に掲載した観察記録は、鳥や動物が162種類、昆虫類521種類、植物492種類で1175種類となりました。小さな町ながら意外と多くの生物が生息しているものです。今年は何種類増えるか楽しみです。

1月は、約2/3を大阪で過ごしましたので、大阪の情報を主に紹介します。

 

 1月 1日 今年も年末から帰阪して、大阪府豊中市などを散策。青池でヒドリガモ、ヨシガモ、キンクロハジロ、オオバン、バン、ハクセキレイ、メジロ、ジョウビタキ等、この池は豊中市内でも高台に位置しており、古代には焼き物をしていた竈の遺跡があるところです。

 1月 9日 大阪モノレールの柴原駅に近い大阪大学豊中学舎の構内を散策、この地には万葉集で知られる待兼山があります。古代のワニである大きなマチカネワニの骨格が出土されたところでもあります。幾つかの池がありマガモ、コガモ、オカヨシガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、アオサギ、カワウ、バン、ツグミ、ヒヨドリ、スズメ、ハシボソガラス等がいました。

待兼山はイノシシが出没するとのことで入山が禁止になっており散策できず残念でした。博物館もお休みでした。暦の上では小寒ですが比較的暖かい一日でした。

ゴイサギ(ホシゴイ) 同じ個体ですが光の加減で色が異なります。
ヒドリガモの雄と雌 ホシハジロの雌
オオバン バン

 1月10日 大阪の箕面山から流れる千里川を1時間ほど散策、カワウ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、ダイサギ、アオサギ、コサギ、ハシブトガラス、ハクセキレイ、セグロセキレイ、スズメ、ジョウビタキ等がいました。また、ヌートリア2頭が河原で草を食べていました。キズイセンの花があちらこちらで満開でした。

 1月13日 今日は暖かい一日でした。川口駅のリリア前の植え込みでシジュウカラ2羽がしきりに何かを探していました。川口市役所前の歩道ではサザンカの花にメジロが来ていました。

近くの電線にはオナガが休んでいました。川口市役所から旧芝川に沿って歩いてきました。

カルガモ、オナガガモ、ヒドリガモ、コガモ、キンクロハジロ、カワウ、セグロカモメ、ユリカモメ、オオバン、アオサギ、ダイサギ、コサギ等の水鳥類、ヒヨドリ、ムクドリ、ツグミ、ハクセキレイ、モズ、カワセミ、スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ウグイス、メジロ、アオジ等の小鳥類に加えてオオタカ、ハヤブサが上空を飛んでいました。

タネツケバナ、ハルノノゲシ、ホトケノザ等も開花して、紅梅も咲いていました。ミシシッピアカミミガメ(3頭)も日向ぼっこをしていました。

帰宅途中の辻バス停付近の畑地でブロッコリーの葉を食べている50羽以上のヒヨドリがいました。バスが通ったとたんに一斉に飛び立ったので道行く人が驚いていました。そばの田んぼではヤギが昼寝をしていました。

帰宅して裏庭を覗くと、落ち葉の間からウグイスが出てきました。ハエやチカイエカ等の幼虫や成虫を補食していました。

 1月14日 江川から毛長川沿いに散策、粉雪が舞うほどの寒さでした。天気予報では寒波の影響で上空5000m付近に氷点下36℃の強い冬型の気圧があるとのことでした。カルガモ3羽がどうしたのか3羽共に左の初列風切り1枚が負傷しているようでした。ハシビロガモ雄3羽、コガモ雌雄各1羽、ダイサギ、コサギ、ハクセキレイ、スズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、ハシブトガラス、ハシボソガラス等、鳩ヶ谷本町4丁目の民家の屋敷林でアトリ1羽がいました。町中では白梅、ツワブキ、ヤツデ等が開花しヒヨドリやメジロが飛来していました。我が家の庭のカキのヘタにヒヨドリ、ツグミ、スズメ、メジロ等が飛来していました。

江川と毛長川の両岸にはギシギシやセイヨウカラシナが一面に生えていました。そのため真冬なのに一面緑の絨毯のようでした。

 1月15日 東縁見沼代用水の緑道を歩いていたところ、夏の間は緑のコケが絨毯のようになっていた場所が数カ所ありましたが、今日は緑の絨毯が霜柱によって浮き上げっていました。行き交う人たちが珍しそうに見ていました。

 1月16日 今日もかなり冷え込んで氷が張り、我が家の風呂場の窓も凍りついてしまいました。12時近くまで窓を開けることができませんでした。そんな寒さの中で近所の庭ではロウバイが開花しました。我が家の庭と近所の庭をシロハラが行き来しています。落ち葉をかき分けてミミズなどを捕っているようです。

 1月19日 今日から、大阪へ来ています。家を出るときはどんよりとした天気でしたが、名古屋を過ぎる頃は青空が見え、米原から彦根あたりは一面雪野原で伊吹山の冠雪が見事でした

 1月20日 今日は暦の上では大寒、大阪でもかなり冷え込みました。

 1月21日 全国的に大雪が懸念されましたが、大阪は風が冷たいものの天気は良好。大阪大学の構内を散策しました。キズイセンは満開状態。ところで、スイセンの花言葉は「うぬぼれ」とか「自尊心」と言われていますが、海外では「希望の象徴」とも言われているようです。文化の違いなのでしょうか?

大学の構内は緑地の占める割合が多いものの野鳥は意外と少なく、マガモ、オカヨシガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、ヒヨドリ、ジョウビタキ、ハシブトガラス等でした。

 1月25日 新大阪から御堂筋線の緑地公園駅を降りると服部緑地公園があります。1985年から1995年1月17日まで、ここに住んでおり、阪神淡路大震災の当日が転勤日でした。それから22年経ちましたが公園の風景はあまり変化はありませんでした。その分、緑地の木々は成長しアオバトの群れが飛んでいました。今冬は50羽前後の群れがいたと、公園で出会ったカメラマンが言っていました。1時間ほどでしたが33種類の野鳥とヌートリアを観察することができました。特にミヤマホオジロが見られたのがよかったです。ヌートリアは豊中市内の水辺では意外と多く生息しているようです。

 1月26日 千里中央からモノレールに乗ったついでに箕面山を1時間ほど散策、5頭のニホンザルと出会いました。20年ほど前まではサルによる被害が多く、奥山に追い払われていましたが近年は滝道の山道で大きな群れにあうことは少なくなったようです。その代わりにホンシュウジカの被害が多くなったそうです。真っ赤に実ったイイギリの実にはヒヨドリやツグミの群れが集まっていました。

ミヤマホオジロ ヌートリア
ニホンザル イイギリの実に集まるツグミとヒヨドリ

 1月27日 大阪城公園を2時間ほど歩いてきました。森ノ宮駅で下車後、公園入り口付近にある国際交流会館の林でニシオジロビタキに餌付けしている人がいて、ピーちゃんと呼ぶと近くに飛んでくるほどでした。あまり良いことではありませんが、カメラマンが鳥の後を追いかけまわして写真を撮るよりは良いかなと思っていると、数人のカメラマンが後を追いかけて写真を撮りまくっていました。昨年末に東京都の武蔵野公園で見たニシオジロビタキは鳥が来る場所にロープが張ってありカメラマンはマナーを守って写真を撮っていました。

大阪城公園は新装となり綺麗な姿を見せていましたが、観光客の大半が中国人であるのに驚きました。公園入り口で趣味でハリスホークを飼育している人が、放鷹の訓練をしており観光客の視線を集めていました。お堀ではユリカモメ、カンムリカイツブリ、ホシハジロ、キンクロハジロ、ヒドリガモ、オナガガモ、ヨシガモ、オカヨシガモ等が群れていました。

 1月28日 今日は一日中暖かさを通り越して暑いくらいでした。豊中市を流れる千里川沿いに箕面方面まで散策、セキレイ類が3種類、セグロセキレイの個体数が多く、川口市の河川との違いがあります。カルガモ、コガモ、ジョウビタキ、メジロ、ヒヨドリ、ツグミ、ハシブトガラスなど鳥相は都市型鳥類で川口市と変わりませんでした。

大阪城のニシオジロビタキ(若) 武蔵野公園のニシオジロビタキ
ハリスホークの放鷹実演 新装なった大阪城

 1月31日 今日もよく晴れましたが、風が強く寒い一日でした。我が家の庭にメジロ、シロハラ、ヒヨドリ、スズメの群れが来ていました。ホトケノザも開花しました。

 

地球温暖化を考える(104)

埼玉神社(行田市)

前玉神社はさきたま古墳群内に鎮座し、本殿も古墳群の方向に建てられています。これら古墳群の首長層が前玉神社における古代祭祀集団と推定され、古墳時代に古墳群を守護する形で祀られたのが創祀になると推測する説があります。墳頂に登る階段口の両脇には、高さ2メートルの石灯籠2基が建てられており、これらは「万葉灯籠」と称されています。この灯籠は、元禄10年(1967年)10月15日に前玉神社の氏子が祈願成就を記念して奉納したといわれています。灯籠にはそれぞれ『万葉集』に載る当地に関する歌が1首ずつ記載されています。

この林の管理の一部は、行田市の環境保護団体が下草刈りなどを行って管理しています。オオタカやフクロウなども観察されており、狭い地域ではあるが生物多様性豊かな場所となっていますが、どこのボランティア団体も高齢化しており作業が大変で若い人たちの力が望まれます。

神社のある池と古墳 高木の林
林内に広がるササの群落