No.169 2018年7月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (182)

コヨシキリ(ウグイス科) Acrocephalus bistrigiceps

コヨシキリ(小葦切)はオオヨシキリに似るが、小さくて「黒い眉があり葦原に住むムシクイ」という意味の英名のとおり、淡い眉斑の上に黒線が走っており、きりりとしまった顔立ちである。鳴き声はオオヨシキリより細く金属的で、ピッピッピッ、ケケシケケシ、チカチカというような複雑な声で囀りをする。アジア東部で繁殖し、東南アジアで越冬する。日本では、アシの散在する湿地草原、高原の草原にすむ。草の茎に巣をつくる。茨城県の浮島湿原や千葉県のコジュリン公園などは個体数が多い。埼玉県ではさいたま市の荒川河川敷や川口市の芝川第一調節池ができる前の葦原などに生息していたが現在は両方の生息地から姿を消してしまった。埼玉県のレッドデータブック2018では絶滅危惧TB類(EN:近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種類)にランク付けされている。ちょっとした環境の変化で敏感に反応し生息が左右される小鳥である。

自然の記録:

 7月 2日 暑い日が続いていますが、庭に来る蝶の種類は毎日変化しています。今日はヒメアカタテハ、ナガサキアゲハ、ナミアゲハ、ヒカゲチョウ、ヤマトシジミ等が飛来しました。キイロスズメ(蛾の仲間)の幼虫が何者かにやられて落ちていましたが、1時間もするとアリの集団によってほとんどなくなってしまいました。

 7月 3日 庭のボタンクサギにクロアゲハの雄が飛来、近くの土の上に久々にヒシバッタを見つけました。トウキョウヒメハンミョウも今季初記録。夜になって部屋の中にヒゲブトクロアツバという小型で地味な蛾の仲間が入ってきました。

ヒゲブトクロアツバ ハグロトンボ タマムシ

 7月 5日 台風7号の影響で九州や北海道で大きな被害が出ており、関東地方でも天候が不安定な日が続いている。毎日オナガが飛来しイチジクの実を食べていくので、我々の口には一つも入らないでいるが、市内から減少しつつあるオナガを毎日見ることが出来ることを考えたら、まあいいかということになる。                                    鳩ヶ谷こども館で7日に行われる七夕飾りのイベントに使用する竹を数本、はとがやに里山をつくる会のメンバーが豊田の森より切り出しを行った。

 7月 7日 はとがやに里山をつくる会のメンバー5名で、7月28日に行われる川口市青少年ボランティアスクールの竹林整備作業の下準備のために、草刈り、竹の間伐、竹林の清掃、間伐するタケのテーピング作業などを行いました。終了後、鳩ヶ谷こども館に立ち寄ったところ、館内は家族連れや子供たちで満員でした。湧水公園ではハグロトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ギンヤンマなどが飛んでいました。また、倒木の上をキマワリが歩き回っていました。                                   自宅庭では数年ぶりにカラスアゲハが飛来し、カナブンが飛び回り、ナガゴマフカミキリの雌雄がサクラの木に来ていました。

 7月11日 朝、自宅裏庭でニイニイゼミの遺骸が落ちていました。数日前から鳴き声が聞こえていましたが雨のために姿が確認できずにいました。安行地域ではアブラゼミやミンミンゼミも鳴きだしました。前野宿川調節池ではカワウ4羽、カイツブリ2羽、アオサギ、ハクセキレイ、ヒヨドリ等がいましたが今の時期は野鳥が少なく寂しい限りです。安行から赤山地域を回って確認した蝶はクロアゲハ、ナミアゲハ、ツマグロヒョウモン、モンシロチョウ、ヤマトシジミ、ムラサキシジミ等でした。竹林では中国産セミの仲間のタケオオツクツクの羽化が始まっていました。

以下のグラフは、旧鳩ヶ谷市桜町6丁目でのセミの初鳴き初認日を示したもので、2004年から2010年位前まではニイニイゼミ>アブラゼミ>ミンミンゼミの順番で鳴き始めていましたが、気候変動の影響なのか2010年以降は混戦模様です。

 7月12日 朝のうち小雨が降っていましたが庭のキンミズヒキが開花しました。ハグロトンボが飛来、我が家の庭でハグロトンボを見るのは何年ぶりだろうか?40年以上前までは家の前を流れる三光稲荷からの湧水の水路ではハグロトンボは普通に見ることが出来、毎年ヘイケボタルの群舞がありましたが、流れが暗渠化されてから水生生物はほとんど見られなくなりました。また、キセキレイやセグロセキレイなどの水辺の鳥も全く姿を消しました。

 7月14日 イチジクの木はキボシカミキリの幼虫によってボロボロにされていますが、木くずが出た後にはカナブンが飛来、周りの草陰ではハラビロカマキリ、オオカマキリの幼生が数匹、庭中をアオスジアゲハ、クロアゲハ等が飛び回っています。

 7月15日 ここの所、連日クロゴキブリが出没し1週間で10匹以上処分、夜中に畳の上を10p以上もあるヤモリが歩いていました。家を守るという家守はお友達のようなものです。

 7月20日 毎日暑い日が続いており庭に来る昆虫類も少ない。ナミアゲハ、アオスジアゲハ、ヤマトシジミが常連でキマダラヒカゲ、ヒメウラナミジャノメも目立ってきた。今日は、ムラサキシジミも飛来してくれた。カタバミの葉裏にはヤマトシジミの卵がいくつも産み付けられていました。窓の網戸にクロフヒゲナガゾウムシという小型のゾウムシの仲間が張り付いていました。

 7月25日 草加市の松原団地は建て替え中の建物や空き地が目立ちますが、サクラの古木が外来種であるクビアカツヤカミキリによる被害が出ていました。伝右川沿いのサクラの木では数十匹のアブラゼミの抜け殻が一列につながっていました。クマゼミも2か所で鳴いており、久しぶりに大阪にいた頃のクマゼミの大合唱を思い出しました。

 7月27日 安行氷川神社のサクラの葉に蛾の仲間のコスカシバが止まっていました。蛾の仲間ではあるが一見するとハチのように見えます。赤山歴史自然公園の池ではカイツブリ、カルガモ、バン等が繁殖していました。コチドリの繁殖も3年連続となりましたが、3年後の公園全面開園となったころには、コチドリが繁殖できる砂利地が消失することでしょう。しかし、赤山地域では今まで池のある湿地環境がなかったので水鳥類や水辺の昆虫類の復活が期待できそうです。今年になって前野宿川調節池でもカイツブリが繁殖し、カルガモやカワウなどが飛来しています。隣接する雑木林ではヨツスジトラカミキリ、ナガゴマフカミキリ、キマワリ等の甲虫類が観察されるようになりました。林内は沢山のごみが捨てられていましたが現在はかなりきれいになってきています。どこの林でもごみを捨てる人が後を絶たずに困っています。毎週ゴミの回収日が決まっていても車で捨てに来る人が多いようです。

 7月28日 台風12号の影響で予定していた豊田の森での川口市内の中学生によるボランティア活動が中止となりました。毎年、竹林の草刈りと竹の間伐を行ってもらっていたので助かっていましたが、今年は残念でした。

 7月29日 台風が過ぎて暑くなりました。庭のイチジクの木がキボシカミキリの幼虫によって、かなりの被害が出ており枝ごとにフラスが沢山落ちていますが、フラスが出てきた穴にはカナブンがよく来ています。今日はオオウバタマコメツキが飛来し樹液を吸っていました。市内で見るのは初めてです。その他、オオスカシバやシオヤアブ、ムギワラトンボなども飛来しました。                                                                

コウスバカゲロウ ニホントカゲ イチモンジチョウ
コスカシバ アブラゼミかの抜け殻 ヨツスジトラカミキリ

 7月30日 暑さが戻ったとたん庭のイチジクに集まる昆虫が多くなった。シラホシハナムグリ、サビキコリ、オオウバタマコメツキは今日も同じ場所に陣取り、カメムシの仲間も数100匹集まっている。

地球温暖化を考える(121)

桜町湧水公園(川口市桜町)

今年も世界中で異常気象が報告されている。世界気象機関の発表によればノルウェーでは北部の北極圏で33.5℃、アメリカのデスバレー国立公園では52℃を記録したという。日本では7月24日の読売新聞夕刊で、2040年には世界の気温が1.5度上昇(IPCC予測)との見出しがありました。温暖化により、2017年の世界平均気温は19世紀後半と比べて約1.0℃上昇。温室効果ガスの排出が現在のペースで続けば気温上昇幅は40年頃までに1.5℃を超えるという。

7月16日からの1週間は連日40℃を超える気温が続いており、毎日が殆ど熱帯夜の状態で20000人以上の熱中症の患者が出たという。家の周りでも毎日2〜3回救急車のサイレンが聞こえている状況である。

 旧鳩ヶ谷市内から緑が消失していき、商店街には大型マンション、駐車場が増加して土のある場所がほとんどなくなった。空き店舗や空き家が増える中、強いビル風が吹き抜け、これからさらにアスファルトジャングルの様相を示していくことでしょう。そんな街の中に残っている桜町の湧水公園では小学生や幼稚園児の自然観察の場所として利用されている。池の後背地にある菖蒲田は昭和63年より30年に亘り篤志家が身銭を切り菖蒲田を維持してきました。開花時期には東京都内からも見学に来る人も多くいましたが、今後は菖蒲田の維持が大変です。菖蒲田は葦原となっていた場所を切り開き、地主さんが無断使用を見て見ぬふりをしてくれていました。本来は市が緑地保全のために借り上げるか、購入する必要があるのですが、市はコンクリートの箱モノをつくるにはお金を出しますが、緑地保全のためにお金を使うことは消極的です。そのため、旧鳩ヶ谷市内での緑地保全の計画は都市計画の中でも計画されていません。合併前は鳩ヶ谷市としていろいろ計画がありましたが、合併後は“考える”の一言のみで実現性のある計画は全くありません。一方で、住む人の無くなった家の庭や空き地では外来植物や野鳥由来のアカメガシワ、ネズミモチ、ヤツデ、アオキ、エノキ、ケヤキあるいはシュロ等の樹種が蔓延り始めているところもある。空き地は放置しておけば自然の緑地となるのでマンションや駐車場になるよりは身近な自然の回復となり良いのかもしれない。

下の池 上の池とショウブ田 成長したハンノキ
繁茂したコウホネ群 タコノアシの小群落