No.118 2014年4月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (131)

オオセグロカモメ(カモメ科)Larus schistisagus

オオセグロカモメ夏羽(7月)

オオセグロカモメは北海道や東北地方の一部などで繁殖する大型のカモメで、大きさや色合いがセグロカモメによく似ていますが、背面の色がセグロカモメに比べて“黒っぽい“のが大きな違いです。また、足の色が鮮やかなピンク色をしているのも特徴です。なんとなく、目つきが鋭く怖い感じがします。嘴は太くて長い。嘴の色彩は黄色で、下嘴の先端近くに赤い斑紋が入るのは大型カモメ類の特徴ですが、オオセグロカモメの赤点は大きめに見えます。

オオセグロカモメは喚羽が早く3月になると茶斑が消えて体色が白くなり、嘴の黄色も冴えて綺麗になります。4月頃には繁殖のため北に移動するため関東地方で見る機会は少なくなります。

旧鳩ヶ谷市内での記録はありませんでしたが、今年初めて4月7日に2年目の冬羽が観察できました。

 

自然の記録

 4月 1日 クサイチゴの白い花が開花し、ムベやシャガ等が花芽をつけてきました。

 4月 2日 近所の庭ではコブシ、ニオイコブシ、ユキヤナギ、シキミ、ボケ、サクラソウ、パンジー、アミガサユリ等が咲はじめました。

東縁見沼代用水沿いを散策しました。ソメイヨシノは満開となり、用水が見えないほどに覆いかぶさるように咲いていました。流石に見物客も多く今週いっぱいが見ごろのようです。

江川の岸辺セイヨウアブラナ、セイヨウカラシナ、ムラサキハナナの共演、それに加えてタンポポの仲間が彩を添えていました。坂下町の町中ではアゲハチョウが飛んでいました。今年初認です。昭和30年頃の記録では関東地方でのアゲハチョウの初認日は4月20日以降でしたが、近年ではずいぶん早く初認されるようになってきました。 

 4月 6日 庭のニリンソウが一株開花しました。今年は少し早く花をつけてくれました。キケンマンやナガミノヒナゲシもつぼみをつけています。庭のニリンソウは、この地が大龍寺山と言われていたころの名残です。私の父が15歳で志願兵として戦地へ行く前に、祖父と二人で開墾して植木畑にしていましたが、37年前に我が家を建てました。庭の片隅に一株だけ残っていたのが小群落として増加してきた自生です。我が家の庭は自然のままに放置しているために、年ごとにカキドオシ、チジミザサ、ドクダミ、シャガ等が変遷を繰り返しているために、ニリンソウの増殖が抑えられていたようです。

開花したシャガ クサイチゴ
ニリンソウ ムベ

 4月 7日 鳩ヶ谷地域のサクラも終盤を迎えましたが、三ツ和公園や見沼代用水、旧芝川土手などでは葉が出始めていましたが遠くから見ると綺麗でした。旧芝川ではカモ類の種類が少なくなりました。オナガガモやハシビロガモなどはすでに北帰行、残っているのはコガモとヒドリガモでした。ヒドリガモの群れの中に1羽だけアメリカヒドリのエクリプスが混じっていました。新芝川の汐入橋付近では鳩ヶ谷で初記録となるオオセグロカモメ(2年目の冬羽)が上流に向かってゆっくりと飛んでいきました。

旧芝川はセイヨウカラシナ、ナズナ、カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、イヌガラシ、タガラシ、ハコベ、ウシハコベ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、交雑タンポポ、オオカワジシャ、カワジシャ等が開花し花盛りでした。そして、これらの花々の間をモンシロチョウ、モンキチョウ、ツマキチョウ等が飛んでいました。中でもツマキチョウは個体数が多く、また初認でした。

川岸では小学生の女の子3人がカナヘビを捕らえて手づかみで遊んでいました。

 4月 8日 家の近くの路上でベニシジミが飛んでいました。また、自転車のカバーの上に羽化したばかりのオオカマキリの幼生が歩いていました。犬走の上ではヤモリが遺骸となりヤマトクロアリが群がっていました。庭を耕しているとムカデ、マルガタゴミムシ、ゴミムシ、コガネムシの幼虫等が出てきました。

豊田の森ではウラシマソウが開花していました、今年は少し早い感じがします。

 4月 9日 近所の民家ではドウダンツツジ、ポピー、ハクモクレン、ツツジ等が開花しました。本町2丁目の水道ポンプ場ではツクシが伸びていました。

ジュウニヒトエの小群落 ミシシッピアカミミガメの群れ
大きなコイの群れ 油で汚れて飛べないカワウ

 4月10日 久しぶりに安行の植物振興センターへ出かけました。ソメイヨシノはかなり散り始めていましたがヒカンザクラや黄色いサクラあるいは八重崎のサクラ等が咲き始めていました。その他、ヤマブキ、白花のヤマブキ、タチツボスミレ、ジロボウエンゴサク、ヒメリュキンカ等が満開になっていました。昆虫類は冬越しのキタテハ、ウラギンシジミ、春型のアゲハチョウ、モンシロチョウ、キチョウ、ルリシジミ、ヤマトシジミ等が目につきました。これからは多くの花が開花することでしょう。

 4月14日 江川沿いの安行慈林の小さな調節池でコガモ(雄1、雌5)、コサギ2羽、ハシボソガラス、ムクドリ等が採餌していました。小さな湿地でもガマやヨシが生え始めていました。

 4月17日 今日は暖かく、我が家の庭もはなやかとなりました。白い花ではシャガ、ムベ、ニリンソウ、クサイチゴ、黄色い花では交雑タンポポ、薄いピンクのヒメジオン、ヒメオドリコソウ、紫色のムスカリ、ムラサキハナナ等が咲いています。

 4月22日 我が家の塀の外側にある側溝の雑草が伸びてきたので除去しましたが、開花中の植物は抜くのが可哀想な気がして結局半分も除去することができませんでした。ハハコグサ、チチコグサモドキ、交雑タンポポ、ハルノノゲシ、コオニタビラコ、オッタチカタバミ、カタバミ、ナガミノヒナゲシ、ゲンペイコギク、ナズナ、ハコベ、タツナミソウ等が開花しており、小さな路傍のお花畑となっています。しかしながら、綺麗だねという人は少なく、雑草をはえ散らかしてたまには抜いたらどうなのだ、と言いながら通行していく人が時々いますので、花が終わったら除去するようにしています。昆虫類の出現は遅いようですが、オニグモ、ササグモ、コモチグモ等のクモの仲間は活発になってきました。

 4月25日 庭隅でカナヘビの遺骸が見つかりました。尾が切れており周りに野良猫数匹がいたので、おそらく猫にやられたものと思われます。最近のネコはあまり狩りをやらないようですが、我が家に来る野良猫は結構獲物を捕らえてきます。今までに確認されているだけでも、スズメ、ヒヨドリ、ツグミ、オナガ、ツツドリ、カナヘビ、ヤモリ等です。しかし、とらえても食べるわけではなく、その場においていきます。野鳥の遺骸は庭に埋葬していますが、カナヘビやヤモリなどはアリが処理しています。

 4月27日 日中は暑いくらいの暖かさでした。クロアゲハ、アゲハチョウ、アカタテハ、ヒメウラナミジャノメ、モンシロチョウ、ヤマトシジミ等の蝶が飛んでいました。物干し竿に干しておいた洗濯物にシロマダラノメイガという小型の蛾の仲間が止まっていました。キョウチクトウなどを好むので、我が家か隣家のキョウチクトウで発生したのかもしれないと思っていますが、今までに観察されたことがないので他の場所から飛来した可能性もあります

アスファルトの隙間から生えた植物群 シロマダラノイメイガ

 

地球温暖化を考える(71)

 川口市と合併前の鳩ヶ谷市の時代に土地購入の予算まで設定されていた、湧水公園脇の駐車場は宅地化され、住宅の建築がはじまっています。住宅建設によって市民の夢であった公園の拡張は完全に断たれてしまいました。公園化を夢見ていた人たちは会う人ごとに、どうして家が建つのですか?公園化される予定ではなかったのですか?と尋ねられます。

 そのたびに、川口市には何度も要望書を出して、「川口市としては、今後の都市計画の中で考えていきますと言っていましたが、初めから考慮の余地がなかったようです」と答えています。

吸収合併を賛成していた人たちの中にも、どうしてこうなるのだと言ってきた人もいました。

 私たちの身の回りから緑が消え、自然がなくなりつつあります。それを止めることはできなくても、今ある自然を大切にしていくことはできます。また、今ある自然を楽しむことができます。

 はとがやに里山をつくる会では、地主さんや市の公園課などと連絡を取り合いながら周辺の環境を整備しています。この場所が、旧鳩ヶ谷市にとって最後にのこされた身近な自然環境ですから。

緑を残すことは、クールアイランド現象を起こすことにもつながります。暑い夏を過ごすには、ヒートアイランドよりもクールアイランドの方が快適に過ごすことができるのではないでしょうか。

公園脇に建設中の住宅 伸び始めた菖蒲と法性寺の森
公園の直ぐ脇に建設される住宅 菖蒲田より湧水公園