No.34 2007年4月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (47)

アオジ(ホオジロ科) Emberiza spodocephala

古来はアオシトドとも呼ばれたスズメ大の小鳥である。シトドとはホオジロ類の古い呼び名。 雄の顔が黒いところから英名はBlack-faced Buntingと呼ばれている。スズメよりやや大きく、背中は褐色、下面は黄色で、雄の頭部は灰色がかった黄青色、雌の頭部は緑がかった灰色をしている。シベリアや北海道などから冬期に飛来して越冬する。冬はチッ、チッという声の地鳴きだが、繁殖期や渡去前の囀りは複雑でチョッピン・ツルリ・チーツルリと言うような感じの綺麗な声で囀ります。

    アオジ鳴き新緑の霧の濃く淡く 水原秋桜子

自然の記録:

 4月 1日 サクラの花が開花し、ほぼ満開状態で既に散り始めたところもある。桜町の公団通りや桜町6丁目(中央病院)のサクラ(ソメイヨシノ)は毎年見事で大龍寺山を覆い尽くしている。残念なことに、住宅が増加したため遠景の風景は今ひとつものたりない。本町3丁目の見沼代用水沿いのサクラも見事に開花し、既に花が散り始めて見沼用水は「花筏」が流れている。

このあたりには、市内でも少なくなったムラサキケマンが開花し、カントウタンポポ10株も開花した。家の庭ではキケマンの花が開花し、廊下をシマイシビルの仲間が這っていた。

 4月 2日 庭に植えた月桂樹の木が10数年経って、開花した。モンシロチョウが時々飛来し、ゴミ箱の下でヒョウタンゴミムシが、じっとしていた(桜町6丁目)。

 4月 3日 雨の中、オナガ6羽が飛来した。昨年は10羽程度の群れであったが今年は4〜6羽の群れでいることが多い。市内での個体数は年々減少している鳥の一つである。以前は「オナガが鳴くと雨が降る」などと言われ身近な鳥であった。

 4月 4日 本町3丁目19の駐車場でタンポポ調査(交雑タンポポ26株)およびミミナグサ開花、本町3丁目31空き家屋の庭のタンポポ調査(カントウタンポポ16株、セイヨウタンポポ1株、交雑タンポポ300株以上)、桜町6丁目12(交雑タンポポ36株)、桜町5丁目(水道局)(交雑タンポポ20株)、地蔵院裏(交雑タンポポ20株)、いずれも交雑タンポポが増加しているようす。

桜町5丁目の民家のガレージにツバメが飛来し、ガレージに置いてある車のボンネットの上にはビニールシートが張ってあり、糞が蓄積していたがツバメは確認できなかった。

ラクダ坂より桜町6丁目のサクラ(中央病院周辺:旧大龍寺山)
本町3丁目(見沼代用水)付近

 4月 6日 市役所脇の鉄塔の敷地内でヘラオオバコ数株が開花していた。土のないところに根を生やしている逞しさに感心する。

 4月 7日 17時30分頃天神橋付近の芝川でキンクロハジロ35羽が泳いでいた。

カキの新芽に飛来したシジュウカラ ゲッケイジュの花

 4月13日 お腹の膨らんだカナヘビが栗の木で日向ぼっこをしていた。そろそろ産卵か?

草陰ではマルガタゴミムシやアオオサムシが隠れ、カキの新芽にツマグロオオヨコバイがじっと止まっていた。家の裏ではクサイチゴの白い花が満開となり、6丁目周辺の路上では近年増加している外来種のナガミノヒナゲシが開花している。

お腹の膨らんだカナヘビ ジョンソンズ・ブルー

 4月16日 雨の中ナメクジが各所で元気に活動していた。クコの新芽の葉裏でキイロテントウがじっとしていた。桜町6丁目12の道路脇にジョンソンズ・ブルーという園芸品種のフウロソウ科の花が咲いていた。通常、6月頃に開花する花であるが?このようなところに一株だけと思っていたら、近くの民家の庭に数株が植栽されていたので、何らかの形で飛散したものと思われる。近年、アメリカフウロを始め外国産の植物が幅を利かせており、名前を調べるのにも一苦労する。「日本の風土には大和撫子がよい」と思うが?

21時頃、アオバズクの声が7声ほど聞こえてきたが雨の音が激しくなり、その後は聞こえなくなってしまった。おそらく移動途中の個体と思われるが市内でのアオバズクの記録は1999年に地蔵院で繁殖していたアオバズクが飛来しなくなってから7年ぶりの記録と思われる。青葉の頃にやってくるフクロウの仲間と言うことでアオバズクの名が付いたと言われています。

 4月17日 雨が小やみになった合間を縫ってタンポポとツバメの営巣調査を1時間ほど行ったところ、里の台交差点付近の空き地でセイヨウタンポポ2株、交雑タンポポ100株が咲いていた。また、その場所ではスミレとカラスノエンドウも咲いていた。

ツバメの営巣は4ヶ所を確認したが、まだ古巣の手直し段階であった。

 4月18日 今日も雨、ヒルの仲間のクロイロコウガイビルが犬走りの上をゆっくりと動いていた。(クロイロコウガイビルは褐色〜黒褐色で、頭部がイチョウの葉のような形の細長い生き物。人家周辺にも生息し、普段は植木鉢の下や朽木の裏などに潜んでいるが、雨が降った後には地面を這っているのを見ることがある。ナメクジやカタツムリを食べる肉食性で、体の中央部に口がある。)

 4月19日 鳩ヶ谷中央病院裏の斜面林にウバユリが生育していました。市内での自生は貴重です。

近くの植木畑約1000m2が宅地造成中、家が5軒と貸し農園になるようです。

市内から貴重な緑が、消えていきます。10年後の鳩ヶ谷に農地が残っているかどうか?東京都心と同じようにコンクリートで固められてしまうのでしょうか?市内の温暖化も進む一方です。

見沼代用水と江川の合流点付近では、雨後にツバメ7羽が飛び交っていましたが、飛んでいく方向から、営巣は鳩ヶ谷市内ではなく川口市の赤井地区の可能性が大きいようです。

 4月21日 オオジシバリやカラスビシャクが開花した。クコの葉にニジュウヤホシテントウが飛来した(桜町6丁目)。

 4月29日 ラクダ坂付近でモズの雌雄を見たとの情報を得たので、調査したところ竹藪の傍で鳴く雛の声を確認、巣立つたばかりのモズ3羽が親に餌をねだっていた。市内でのモズの繁殖の確認は久し振りである。この地は農地であったが、今は荒れ地と竹藪、一部畑となっており、狭いながらもモズが生息するには絶好の場所である。環境的には十分にモズの餌となる昆虫類が生息している。

近くの樹林ではオナガが営巣しているらしく警戒している声が時々聞こえてくる。
 ムラサキハナナにセイヨウミツバチ、ヒラタアブ、ビロードツリアブなどが飛来し、頻りに蜜を集めていた。鮮やかな朱色と黒色に塗り分けられた印象的なデザインのヒメジュウジカメムシや全身褐色のケブカヒメヘリカメムシなどが飛来した(桜町6丁目12)。

特徴的なウバユリの葉 桜町5丁目の開発

鳩ヶ谷から絶滅した生物・絶滅しつつある生物

クマガイソウ

竹林に生える多年生草本で、かつて桜町2丁目の民家の竹林に自生していました。竹林の減少 や周囲に住宅が増加したことなどの環境の変化により、昭和30年代に絶滅してしまいました。 4月下旬頃に花をつけ、中世の武士が矢よけに背負った母衣に似ているところから、源氏の武 将熊谷直実の名をとってクマガイソウと呼ばれます。 現在埼玉県の絶滅危惧種とされていますが、鳩ヶ谷市周辺では僅かに残っています。