No.88 2011年10月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (101)

タヒバリ(セキレイ科) Anthus spinoletta

タヒバリ(田雲雀)の由来はさしずめ田んぼにいるヒバリに似た鳥と言うことでしょう。英名は Water pipit といいますが、いずれにしても水とは縁が切れない鳥のようです。この仲間は皆、姿形がよく似ており識別が難しいものもいます。冬鳥として10月頃に各地の農耕地や海岸、干潟、川岸、水田などの地上を歩きながら昆虫類を探して食べています。鳴き声がピッピッピッというというところから英名の Pipit がつけられたのではないかと言う人もいますが由来は?古くは犬雲雀などという名で呼ばれていたようですが、犬という意味には似たものという意味もあるようで、ヒバリに似るがヒバリよりも劣ったものというところから来たものと思われます。

他のセキレイ類と同じように、石や電線などに止まって上下に尾を振ります。

     たひばりの翔けて芝刈来たりけり  木津 柳芽

 

自然の記録:

10月 1日 庭においてある空き缶容器を動かしたところ、50cmほどのシマヘビ、ムカデ、センチコガネ、マルガタゴミムシ等がいました。冬眠の準備にはまだ早い気がします。

また、草むらにはキンケハラナガツチバチが飛来しました。

鳩ヶ谷中央病院のウドの花にキアゲハの幼虫が2頭、近くのエノキ3本にはアカボシゴマダラの卵、幼虫、羽化後の蛹の抜け殻、サトクダマキモドキ、カネタタキ、マエアカスカシノメイガ、アオドウガネ、サンゴジュハムシ等がいました。アカボシゴマダラの卵はまるで緑色のスイカのような形をしています。

東縁見沼代用水に架かる北谷橋付近を散策中にビロードハマキが右足に止まりました。市内で見るのは3例目ですが少しずつ増えているのかも知れません。

稲荷橋傍のクスノキでツクツクボウシが鳴いていました。そろそろ聞き納めかな?

アカボシゴマダラの卵 シマヘビ 葉と紛らわしいサトクダマキモドキ

10月 2日 黒い羽に1本の白線のあるルリガという蛾の仲間がムベの苗木に飛来しました。ここ数年、1度は庭に訪れるようになりました。

10月 3日 コミスジ、キタテハ、ヤマトシジミ、モンシロチョウが庭に飛来しました。シモフリスズメの幼虫は蛹化のためかボタンクサギの葉を丸坊主にして何処かへ消え去りました。

10月 4日 東縁見沼代用水沿いに生えているカラムシの葉でイガイガのある幼虫を見つけました。グロテスクな感じがしますがキタテハの幼虫でした。

10月 5日 今日は一日中雨が降り肌寒い日でした。庭隅で久し振りにハサミムシがいました。普段は落ち葉や堆肥、ゴミ捨場、石の下など日の当たらない湿気の多い場所に生息します。

筆者は見たことがありませんが、中には木や草に昇ってアブラムシなどを食べる種類もいるようです。

キタテハの幼虫(4齢位?)  ダイコンハムシ

10月 6日 夜になり台所の窓に10cm程の大きさのヤモリがやってきました。

10月 7日 裏のブロック塀にエゾギクトリバという細いガガンボに似た蛾がいました。この仲間はよく似ておりガガンボのように閉じた時に細い羽を持っています。

10月 8日 前記のヤモリと同じくらいの大きさの個体が出口のコンクリートの上で骸となっていました。昨晩は帰宅が遅くなり、気がつかずにヤモリを踏んでしまったのではないかと思っていたところ、給湯ポットの下から3cm程の小さなヤモリが落ちました。

10月11日 17時頃、庭の上空をアブラコウモリ3頭が飛び回っていました。しばらく見かけなかったので市内から消失してしまったのかと思いましたが一安心。

今日より、川口市との吸収合併により(新)川口市となりました。市内の庁舎案内なども鳩ヶ谷市役所から鳩ヶ谷庁舎と表示が変わりました。

3歳の時に母親に手を引かれて、何も解らず分離賛成の旗を振りながら鳩ヶ谷市内のたんぼ道を歩いた遠い記憶がありますが60年後に再合併となりました。その頃は市内の低地には水田地帯が広がっていたことだけが印象に残っています。

10月13日 江川と東縁見沼代用水の合流点付近でカルガモが8羽採餌していました。また、カモ類が集まる季節になってきたようです。

湧水公園ではツマグロヒョウモン、モンシロチョウが数頭飛んでいたのとイナゴの群が跳ねていたのが目立ったくらいで他の昆虫たちは見あたりませんでした。しかし、池の中ではメダカの群が泳いでいました。例年は猛暑の時期にアオコが発生していますが今年はブラジルトチカガミの増殖の影響でアオコの発生は全く見られず、その事が影響したのか、かなりメダカが増殖したようです。

10月14日 数年前に門の脇の花壇にハナカタバミを数株植えたところ、今年は半間四方に増えて現在満開状態です。その間に生えてきたハゼラン(三時草)も長い間花をつけており、三時頃になると可愛いピンク色の花をつけてくれます。花が終わった後には褐色の小さな実が沢山つきます。この実が小さなサンゴ玉に似ているところから「コーラル・フラワー」とも呼ばれています。

隣家の垣根沿いにはオシロイバナが満開です。オシロイバナは四時頃になると開花するところから四時草とも呼ばれているようですが、子供の頃は「花火草」と呼んでいました。沢山の花が花火のように広がって咲くところからつけられたという話を聞きましたが、よく見ればそのような感じもします。

10月16日 久し振りに湧水公園でカワセミの姿を見ることが出来ました。壊れた橋やフェンスに止まったりして、良く飛び回っていました。池の縁に繁茂しているタイヌビエにはスズメとメジロが群れていました。

10月17日 庭のエノキグサに見慣れない蛾が留まっていました。近くのクサイチゴの葉には茎と見間違うほど緑色の幼虫がいました。アカキリバという蛾の成虫と幼虫でしたが、同時に見つけるのは珍しいことだと感激しました。また、庭でアカキリバを見るのは初めてでしたが、幼虫までいるとは思いもよりませんでした。とは言っても、アカキリバは全国に分布する普通種で6月〜10月頃まで出現するようです。ヘクソカズラではホシホウジャクの幼虫を2匹観察できました。

アカキリバの成虫 アカキリバの幼虫 ホシホウジャクの幼虫

柿の木に絡んでいたイシミカワが色とりどりの実をつけました。そして柿の葉にはアオイラガの幼虫が沢山ついており、見ているだけでも痒くなりそうな雰囲気でした。

安行慈林薬師寺付近から鳩ヶ谷本町4丁目方面に向かって、オナガの50羽ほどの群れが飛んでいきました。市内で見るのは20羽前後が多いのですが、鳩ヶ谷地域のオナガが全て集まったような印象でした。

10月21日 柿の落ち葉の上にダイコンハムシが留まっていました。紅葉に変色した葉の上に黒色の小さなハムシ、目立たないようで以外と目立っていました。

16時過ぎに17日に見た群れと同じ群れと思われるオナガ50羽が柿に群れていました。数百個ある柿のうちオレンジ色に熟しているものは人の口に入る前に食べられてしまいそうです。

10月22日 夕方5時半頃に鳩ヶ谷本町4丁目のM氏宅にアライグマが出現、庭で飼育している小鳥を狙いに来たとのことです。鳩ヶ谷市域では初めての記録となりました。外来生物として埼玉県でもかなり増殖している問題児。見た目は可愛いがきわめて凶暴です。

鳩ヶ谷中央病院のウドの花が開花中で、まだかなり小さいキアゲハの幼虫が7匹いました。ここでは都合14匹の幼虫を確認です。

10月23日 久し振りに暖かい日になりました。暖かいと昆虫の活動も活発になるようで、ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、モンシロチョウ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリなどの蝶が庭を飛び回っていました。

10月25日 湧水公園で昆虫観察。暖かかったのでこの時期としては蝶の飛来が多くツマグロヒョウモン(3)、キタテハ、アオスジアゲハ、モンシロチョウ、キチョウ、ヤマトシジミ(20<)、ベニシジミ、その他の昆虫類は少なくウスバキトンボ、キンケハラナガツチバチ、ホシホウジャク、イナゴなどが目についたていどでした。これらの昆虫の多くはタイワンホトトギスとフジバカマの花に集まっていました。

10月26日 庭に干してある洗濯物にアクセサリーにでもなったかのように奇麗なルリタテハが留まっていました。これから成蝶のままで冬越しに入るのでしょうが、冬の日溜まりで見るよりも一段と奇麗でした。

10月27日 朝日環境センター付近の芝川ではセンダングサの花が満開でモンキチョウ、ヤマトシジミ、キタテハ等が飛び回っていました。近くの中居公園にはクヌギ、コナラ、シデなどの植樹木がかなり生育して狭いながらも武蔵野の雑木林的な雰囲気を醸し出しています。地上にはクヌギやコナラのドングリが沢山落ちていました。スズメやヒヨドリなどがいましたが、近くの公園が緑道で繋がると多くの野鳥が飛来するのではないかと思います。

10月29日 ヤブマオにカラフルなフクラスズメの幼虫が2匹、イチジクの大きな葉の上でキタテハが日向ぼっこをしていました。

10月30日 柿の実を取っていたら、数枚の葉の裏にカネタタキと小さなアオイラガの幼虫がいました。

カラフルなフクラスズメの幼虫 フジバカマとキンケハラナガツチバチ

    

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 52

クスサン(ヤママユガ科)

クスサンはヤママユガの仲間で蛾の仲間としては大型の部類に入り、羽を広げると10〜12cmほどになります。羽の色は灰黄色〜赤褐色まであり、後翅に大きな黒い目玉状の模様があるのが特徴です。北海道などでは時々大発生してセブンイレブンなどのように一晩中点灯している場所に大挙して集まることもあるようです。鳩ヶ谷市内から消えて久しく、このような大型の蛾が生息できるような環境を取り戻すのが夢です。カイコ同様に繭から糸を紡ぐことも出来るので、昔は紡績の原料として使用されていたそうです。

 

地球温暖化を考える(43)

仮称・はとがやの湧き水の里に関連して(5)

 10月7日をもって鳩ヶ谷市庁舎が閉庁、9日には鳩ヶ谷西公民館で閉市式が行われ、11日にからは合併後の新川口市となりました。

 湧水公園も今後は川口市の管理となりますが、鳩ヶ谷市最後の仕事として湧水公園に3枚の解説板が出来ました。小規模ながら、鳩ヶ谷市の環境対策課と「はとがやに里山をつくる会」との協働で行ってきたものの成果?です。来年度以降に周辺の土地が確保できるとよいのですが?

 どんな小さな場所・環境でも身近な自然の中で生物が生息して、生活しています。

10月16日には、3月に確認されて以来2度目ですが、カワセミが観察されました。時々来ているような雰囲気でしたので、これから冬にかけて観察される機会が増えるかも知れません。

 湧き水の里策定委員会の会議では、将来来てほしい生物としてカワセミが候補に挙がっていましたが、これからは何とか定着してくれると良いですね。

 カワセミが来てくれたのですが、池の中はコウホネとアマゾントチカガミが増殖中でメダカやモツゴを捕るのに苦労しています。

先月かなりの量のアマゾントチカガミを除去しましたが、あっという間に蔓延りはじめ池面を埋めてしまいました。小学生の授業で時々ザリガニ釣りに来るのですが、池が狭いのとアマゾントチカガミの繁茂によりザリガニ採りの釣り糸が水底にまで届きません。

折角の環境学習の場も狭すぎますね。

粗朶を積んだ生き物の生活場所 ハンノキの植樹 池の中の石積み
カワセミ (♂)
池面を覆うアマゾントチカガミ(10/25) 大量に除去したアマゾントチカガミ