No.50 2008年  8月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (63)

ツミ(タカ科) Accipiter gularis

埼玉県のレッドデータブックでは、準絶滅危惧第二類に指定されている小型の猛禽類(タカの仲間)です。雄はヒヨドリ大、雌はキジバト大の大きさです。全国の平地や低山の林などで繁殖しますが、最近は、町中の公園や神社などで繁殖するものが増加しています。珍しい例では、さいたま市の街路樹で営巣したものがあります。鳩ヶ谷市内でのツミの記録は少ないのですが、今年初めて市内で繁殖しました。餌は、ムクドリ、スズメ、昆虫類などが多いようです。4羽巣立ちましたが、残念なことに1羽が保護された後、肺炎のため落鳥してしまいました。小型とは言え流石に猛禽類、営巣場所近くに止まったハシブトガラスに威嚇攻撃を繰り返していました。

自然の記録:

 8月 1日 庭にヒメウラナミジャノメが飛来しました。ビンカン入れの容器内にアオオサムシ4匹とスジクワガタの雌1頭が落ちていました。

葉上のアズチグモの雌 オオスカシバの卵 ツマグロヒョウモンの蛹(撮影:Ha氏)

 8月 2日 今日は、カラスアゲハの雄が飛来、今年庭に飛来してくれた蝶は21種類になりました。

ネズミモチの葉の上にアズチグモがカニのような形をして獲物を待っていました。

本町2丁目の林の脇でミズヒキソウの小群落およびカラスウリの花が開花しました。

オオスカシバがクチナシの葉に産卵しており、毎日のように飛来します。何時も思うのですが蛾であるオオスカシバと鳥類のハチドリの形や飛翔姿がよく似ているのには感心します。以前に中何米のコスタリカで撮ったミドリユミハチドリとオオスカシバの飛翔図を並べてみました。

ミドリユミハチドリ(コスタリカ)  ハチドリに似たオオスカシバ

 8月 3日 桜町のHa氏より、ツマグロヒョウモンの幼虫が蛹になったとの情報と写真を送ってくれました。庭には久し振りにサトキマダラヒカゲが飛来、アブラゼミは10数匹が鳴きだし暑さを倍加しているが、これも夏の風物詩である。隣家に大きなクリの木があるので色々な昆虫が我が家に飛来しますが、シロスジカミキリを市内で見たのは数十年ぶりのことです。

 8月 4日 ビンカン入れの容器の中に、オオヒラタシデムシ5匹、キマワリ、スジクワガタ雌が落ちていました。柑橘類にはクロアゲハとナミアゲハの大小様々な幼虫が20匹ほどいて、新芽を食べていますが、食べることの早いこと。

 8月 5日 今日はビンカン入れ容器にアオオサムシと共にルリゴミムシダマシというキマワリに似た新顔が入っていました。庭で新顔を見つけた時は、まるで宝物を見つけたような気持になります。沢山のアブラゼミが1本の木に集まって鳴いているとうるさいほどです。

草むらでは小さなオンブバッタが数匹いました。毎年、子孫の維持が出来ているようですので我が家のビオトープ(放置放題)も温暖化防止や生物多様性のためには一役買っているのかも?

 8月 8日 7月中に調査していたツミの1羽が7月17日に保護され、動物病院に搬送されたが肺炎のため落鳥したとの情報を埼玉県生態系協会・鳩ヶ谷支部長より得ました。4羽の内の1羽だと思いますが残念な結果となりました。

今年22種類目のキチョウが庭に飛来しました。また、スミレの葉にツマグロヒョウモンの1cm程の幼虫が見つかりました。ビンカン入れの中にはアオオサムシ(3)、オオヒラタシデムシ、キマワリ等の甲虫類が入っていました。近くにはコガネムシもいました。 柑橘類にいたクロアゲハとナミアゲハの幼虫10数匹が全ていなくなりました。蛹になるにはまだ早いのでスズメか狩人蜂の仲間の餌食になった可能性が高いようです。

午後、散水のため庭に出たところ左手の上をマダニの仲間(フタトゲチマダニ?)が歩いていました。汗を掻いているので炭酸ガスが放出されていたのでしょう。足取りも軽く手の甲から腕の関節まで、行ったり来たりしていました。マダニの中には人間に重篤な感染症を引き起こすものもいるので野山へ出た時には注意が必要です。ダニに噛まれたら無理に引っ張ると頭から先だけが体の中に残るので、線香に火をつけてちょっと当てるとダニは自ら身をひきます。ちなみに今回のダニはマッチで焼却の刑にしました。

マダニの仲間 2mm大 蜘蛛の巣にかかったアブラゼミ シオヤアブの交接

 8月 9日 庭のチジミザサにキマダラセセリ2頭が飛来しました。シロテンハナムグリがエノキやゲッケイジュの周りを飛んでいましたが隣家の花壇へ移動、花のある方が好みのようでした。

小さな暗紫色に光るサクラサルハムシが首筋を這っていました。恐らく桜の木から落ちてきたものでしょう。

江川沿いに生育している菊の葉にダンダラテントウの幼虫5匹がいました。正面から見ると昔よく使用されていた豚の蚊取り線香のような顔をしています。

 8月10日 ヤブガラシの蔓にセスジスズメとコスズメ(蛾)の幼虫がいました。物干し竿ではシオヤアブがアメリカミズアブを捕獲、ジョロウグモの網にはアブラゼミ3匹がかかっていました。庭の片隅でも弱肉強食の世界があります。ジグモの雄とクリイロコガネが空き缶の下で蹲るようにしていました。

 8月11日 毛長川調節池の縁でコサギとカワウの若鳥が並んでいました。カワウの方は暑いので嘴を大きくあけて、喉をゴロゴロ鳴らしていました。近くのフェンスでガガイモ、ヘクソカズラ、アオゲイトウ等の花が開花していました。南1-5-5の民家付近のカラムシでアカタテハの幼虫を数匹見つけました(工場の庭内にはもっといそうでした)。鳩ヶ谷市内ではアカタテハを見ることが少なくなりましたが、まとまってみられたのは数十年ぶりのことです。写真は携帯電話で撮しました。

アカタテハの幼虫 ジグモの雄 クズの葉上のイトカメムシ

ジョロウグモが7匹ほど庭の角に網を張っており、そのうちの一番大きなジョロウグモの写真を撮っていたら急に姿が見えなくなり、周りを探すとオオシロフベッコウというベッコウバチの仲間に捕らえられていました。体長15ミリ程度の大きさの蜂で黒い体に白い横斑紋が胸部前縁と腹部3箇所に点在します。クズの葉にはイトカメムシ(ガガンボのような細長いカメムシ)、家の壁にオオモンシロナガカメムシがいました。

 8月14日 湧き水公園に行きましたが暑いのとお盆休みが重なったためか人が少なく、3人の家族連れがザリガニを採っていました。ミソハギが満開で、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、コシアキトンボ、ウスバキトンボ、アジアイトトンボ、キアゲハ、ナミアゲハ、ツマグロヒョウモン、キタテハ、モンシロチョウ、等の昆虫類、池の中では食用ガエルの大きなオタナジャクシが沢山泳でいました。

法性寺山ではナツアカネ、オオシオカラトンボ、ムラサキシジミ、サトキマダラヒカゲ、クサギの花にクロアゲハ、アオスジアゲハ、キチョウなどがいました。墓地ではクロアナバチが一生懸命巣穴を掘っていました。写真のように掘り出した土が山のようになっています。

本町3丁目の斜面林ではアブラゼミのコーラス(騒音)がもの凄い、周辺には抜け穴と抜け殻の数もおびただしい。浅間橋を越えた用水の歩道ではツクツクボウシのコーラスがアブラゼミに優っているのが面白い。いずれにせよ、これだけセミのいるところは鳩ヶ谷市内でも珍しいですね。歩道上ではミンミンゼミが交接中で歩行者に踏まれないかと心配でしたが無事に飛んでいきました。アカメガシワの若木には最近減少したミノムシが6個ぶら下がっていました。見沼代用水にカルガモ6羽の家族連れ?がいました。

14時過ぎに庭のエノキにヤマトタマムシが飛来、数十年ぶりのことです。

穴を掘るクロアナバチ  アブラゼミの抜け殻 アカメガシワのミノムシ

 8月15日 真っ赤に熟れたトマトにカナブンが来て、汁を吸っていました。ツマグロヒョウモンとナミアゲハは庭の常連となり、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシが最盛期です。

町内の道路の各所でアブラゼミの遺骸が目立つようになりなりました。

 8月16日 庭のブロック塀にアオスジアゲハの終令幼虫がいましたが、蛹になる準備をしていたようで翌日には蛹になっていました。

 8月18日 夜になり、庭からリッリツリツリという虫の声が聞こえました。流石に夜は涼しくなってきました。

 8月20日 オオシロフベッコウが台所の入り口に2ヶ所の穴を掘り、ジョロウグモを引き込んでいました。

 8月21日 庭にルリタテハが飛来、今年22種類目の訪問者でした。また、ホシホウジャクが飛び回っていましたがフェンスのヘクソカズラあたりで羽化したものと思われます。写真を写すことが出来ませんでしたがヨウロウヒラクチハバチという大きなアシナガバチに似た蜂が飛来しました。庭での初記録です。緑色で奇麗な光沢のあるヒメコガネが窓のシャッターに止まっていました。先日はコガネムシが下敷きになり可哀想なことをしました。

桜町6-8付近の路上をセスジスズメの終令幼虫が歩いていました。翌日通った時にも同じ場所にいました。

セスジスズメ 穴を掘るオオシロフベッコウ ジョロウグモを穴に引き込む

 8月25日 ここ数日雨天が続いていますが、雨の合間の庭にサトキマダラヒカゲが飛来しました。

近所の家のプランターにツマグロヒョウモンの幼虫が10数匹と蛹が一つ、これだけ多くの幼虫を見たのは初めてです。南町1-5のO氏よりヒグラシが鳴いていたとの情報を頂きました。通常ヒグラシの初鳴きは7月中旬ですが、今回の情報が市内で今夏初記録となりました。桜町6-7の空き地で2m程に伸びたシロザがありました、今年の暑さと雨による水分の補給で大きく生育したようです。

 8月26日 一日中雨が降っていましたが、カノコガ5頭が庭を飛び回っていました。

 8月29日 昨夜から今朝にかけて、かなりの降雨がありました。水たまりの中にカオジロヒゲナガゾウムシが落ちていました。触ったりするとすぐに逆さになって死んだ振りをしますが、すぐに活発に動き出し元気に飛んでいきました。ビロードコガネも水たまりの近くにいましたが私の手に止まった後、飛んでいきました。アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシも雨が止んだ途端に賑やかに鳴き始めました。

近くの駐車場でアオゲイトウの葉にイチモンジセセリ(蝶)が羽を広げて止まっていました。隣家のサンシャクバーベナ(ヤナギハナガサ(柳花笠)、タチバーベナ(立バーベナ)とも呼ばれています)の花にツマグロヒョウモンの雌が飛来し、吸蜜していました。

キマダラセセリ ホウズキカメムシの害 アブラゼミの合唱

鳩ヶ谷から消えた生物、消えつつある生物 14                 

コガネグモ 

埼玉県のレッドデータブック絶滅危惧1B類に記載されているクモの仲間です。以前は市内でも時々見かけましたが、ここ10年以上見たことがありません。黄色とこげ茶色の縞のある熱気球のような体をしています。南方系の蜘蛛で、関東地方南部から南に多く、地方名が多くジョロウグモと呼ぶ地方もあるようですが、本物のジョロウグモは今でも家の周りに普通に生息しています。

 

地球温暖化を考える(6)


流出した氷だまり 雪と氷に覆われたアラスカの山々

北極では2007年9月に、海氷の面積が観測史上最小を記録しました。近いうちに、夏の間完全に海氷がなくなってしまう予測もあり、北極の氷に依存して生きているホッキョクグマも、100年以内に絶滅する可能性が指摘されています。

2枚の写真は2007年3月11日、コスタリカからの帰路にアラスカ上空より撮影したものです。

アラスカの山脈の間の渓谷では氷が薄くなり水が流れ(右)、河口域では、溶けた氷が海へ大量に流出し氷だまりができていました。本来ならば、山から海にかけて完全に氷で覆われているはずの地域ですが、広範囲に亘って溶けていました。

 色々なニュース・ソースで知っていましたが、現実に眼下に見たものはすさまじいものを感じました。氷は太陽光を反射しますが、海はほとんど吸収します。氷が減れば、その分太陽の光を吸収して熱を蓄えることになり、海水温が上がって、さらに氷が減っていくことが予想されます。海氷の減少、そして海水温の上昇は、気温の上昇にもつながります。つまり、北極海の海氷が減っていることは、地球全体の温暖化を加速することにもつながっていると考えられます。