No.47 2008年  5月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (60)

ヤマガラ(シジュウカラ科) Parus Varius 

シジュウカラの仲間でスズメよりもやや小型、頭と喉が黒く下面と背は茶褐色のカラフルな小鳥です。同じ仲間のヒガラやコガラはシジュウカラに似た色調ですが、ヤマガラだけは異なっています。そのため、学名がVariusとなっています。鳴き声もシジュウカラに似たようなツーツーピー、ツーツーピーとよく通る声で囀ります。ヤマガラは雑食性で動物質も植物質も食べますが、雛を育てる春から夏にかけては昆虫類を主体とした動物質が食べ物の九割ほどを占め、木の実や草の実が実るころになると植物質と動物質が同じくらいの割合になります。また、秋になると冬の食糧難に備えて樹洞や木の裂け目などに木の実を蓄える習性があります。この様な習性を利用して、神社の“おみくじ引き“の鳥として古くから知られています。

鳩ヶ谷市内では、通過鳥または冬鳥として記録されていますが数は多くありません。過去には辻や桜町の地蔵院付近で観察されています。

ヤマガラのおみくじ引きは、神社へお参りに来たお客さんからお金をもらった飼い主が合図するとヤマガラがかごから出てきてお金をくわえ、小さなお宮に向かって跳ねて行き、鳥居をくぐり、かごの奥にあるさい銭箱にお金を入れ、鈴を鳴らしてお宮の中に入り、小さなおみくじを持って来てひもを解いて開くという芸で、江戸時代から行われてきました。近年は野鳥の飼育が禁止になっていますので行われなくなってきました。

自然の記録:

 5月 1日 ホオズキの葉にニジュウヤホシテントウ、その周りにツチカメムシ。昨日からスミレの葉に寄生したようにキベリクビボソハムシがいました。ハルジオンにはチャバラマメゾウムシという2mm位の小さなゾウムシが2匹飛来していました。ホオズキの茎にアオバハゴロモによく似て赤い斑点のある蛾がいました。コブガ科のベニモンアオリンガという蛾です。私は始めてみましたが2005年 5月2日に鳩ヶ谷市で観察された記録がPC画像に掲載されていました。

ヨーロッパ原産のコバンソウ(俵麦)の小群落が、本町3丁目の鳩ヶ谷・新田線の道路沿いにありましたが、5/21に通った時には刈られていました。小判を沢山吊したような感じの植物です。市内では初めて確認しました。

第二産業道路沿いのハナミズキの植え込みでツクシの小群落がありました。

チャバネツヤハムシ  ホソオビヒゲナガ コバンソウの小群落

 5月2 日 本町2丁目の林で久し振りにタヌキの溜め糞、ミズヒキソウの葉上で長い触角を持ったホソオビヒゲナガおよびヒメカメノコハムシを観察しました。家の周りでもナガミノヒナゲシやアメリカフウロがアスファルトの隙間から発芽して群落となりました。

庭においてある空き缶入れの中にカナヘビ、サビキコリ、チジミザサの葉上にオオヒラタシデムシがいました。夕方に小雨が降った後のブロック塀に100匹以上のナメクジが這っていました。

 5月 3日 雨が上がった後でエノキの葉を見ると1枚だけ、葉巻のように丸められた葉がありました。

この中に葉巻蛾という蛾の幼虫が入っています。

ナガミノヒナゲシの群落 アカバナユウゲショウ ベニモンアオリンガ

 5月 4日 本町2丁目のヤクルト販売所の裏手にある駐車場で、タンポポの種類を調べたところ56株全てが交雑タンポポでした。ここではアカバナユウゲショウの小群落もありました。ハルジオンの花にアオスジアゲハが飛来しました。

本町2丁目34付近の植木畑からオナガ6羽が飛び立ち、御獄神社へ移動、今年観察した一番大きな群れでした。

家の壁に黒灰色のハスモンヨトウという蛾がいました。シンビジュームの花、ヤエムグラ、ヤブガラシ、シラー・カンバニュラータ等の葉が丸坊主にされているので調べてみるとハスモンヨトウの幼虫(茶色のイモムシ)が見つかりました。このイモムシは野菜の害虫として知られています。庭で沢山発生したのは初めてです。

 5月 6日 今日もまた、空き瓶入れの容器内にセンチコガネ、オオマルガタゴミムシ、マルガタゴミムシ、ビロードコガネ、オカダンゴムシ等が落ちていました。ヒメジオンの花には隣家のクリの木から落ちてきたと思われるトビサルハムシがいました。溝の落ち葉掃除をしていたらアカハラゴマダラヒトリという白色の奇麗な蛾が2頭いました。

夜になりトイレのペーパーの上をザトウムシが歩いていました。

 5月 8日 コミスジチョウとナミアゲハが庭に飛来しました。柑橘類の葉でナミアゲハの1齢幼虫6匹と産卵したばかりの卵を見つけました。梅の木の下のブロック塀を黒と黄色の斑模様をした尺取り虫が歩いていました。この虫はウメエダシャクという3cmほどの尺取り虫です。その付近の地上にアカシマサシガメという赤と黒の原色のカメムシがいました。チジミザサの葉にササグモが5匹、シャクヤクの蕾の周りにクロオオアリが群がっていました。また、石段角にクロヤマアリが巣を掘っているらしく細かな土が小山のようになっていました。私たちの身近には小さな生物がたくさんいますね。

辻のKiさんより芝川の鳥情報を頂きました。「旧芝川ではアオジが水浴びしていたのを見ただけですが新芝川ではクイナ、バン(若)、コサギ、ツバメ、スキップシティ寄りに来てからカワセミも飛んでいきました。」クイナが繁殖して留鳥になると良いのですが。

 5月 9日 ノイバラの花が開花しミツバチやクマバチが飛来、アカシマサシガメは今回は写真が撮れました。オオアラセイトウの莢でナガメが交尾、ハルジオンの花にアカハナカミキリが飛来したがすぐに飛んでしまいました。近所の玄関先においてあるパンジーの花の周りをツマグロヒョウモンの雄が飛んでいました。今年初認です。

プランタンに植えてあるスナックエンドウにヒメカメノコテントウの黄色タイプの♀がいました。柑橘類の葉が丸く穴を開けられていたので見ると、葉の裏にチャミノガの1cmほどのミノムシがいました。コンポストの上ではカバイロコメツキが跳ねていましました。ハルジオンやオオアラセイトウの花の間をホソヒラタアブが飛び回っていました。

カキの木の枝にデーニッツハエトリというハエトリグモが2匹、アジサイの根元に直径1cmほどのジグモの巣が2本ありました。

アカシマサシガメ シーラ・カンパニュラータ クロヤマアリ

 5月11日 15時頃、雨が上がったので自転車で市内を散策したところ、辻バス停付近でコンフリーの小群落がありました。コンフリーの葉は毛が蜜に生えていますが天ぷらなどにして食べることが出来ます。30年ほど前に食用として多くの家庭でも栽培されていました。

ヨーロッパ原産の帰化植物で「鰭張り草」の別名があります。

 5月12日 大小様々な黒い毛虫が庭を這っていました。先日成虫2頭を見つけたアカハラゴマダラヒトリの幼虫と思われます。成虫は真っ白な羽根に黒い斑点があり、胴が赤色をしている奇麗な蛾です。グラジオラスの葉に、三千年に一度咲くという"うどんげ”の花が咲きました。クサカゲロウという昆虫の卵です。

諏訪山通り(旧西公団付近)の路上でタンポポの調査を行ったところ、40株全てが交雑タンポポでした。

 5月13日 昼頃まで雨が降っていましたが午後は止んでくれました。本町2丁目の林縁でミスジマイマイという3cmくらいのカタツムリがいました。市内でカタツムリを見るのは久し振りです。

 5月15日 昨日の寒さと異なり今日は25℃を越えました。クロアゲハ、スジグロシロチョウ、ヤマトシジミが飛来し、ムラサキハナナの葉の上をスジグロシロチョウの青虫が歩いていました。庭の至る所で昆虫類の動きが活発となり、テントウムシ、キイロテントウ、カバイロコメツキ、センチコガネ、ナガメ、ホソヒラタアブ、ミツバチ、クマバチ、スジベニコケガ、などが見られました。

 5月17日 オオスズメバチが庭を飛び回っていました。本町4丁目の江川沿いの道にゴマダラチョウの遺骸が落ちていました。市役所の敷地内ではツマグロヒョウモンの雄が飛んでいました。桜町6丁目の民家にダイコンソウが咲いていました。

桜町のHa氏より中央病院敷地内でウグイスが囀っていたとの情報を頂きました。今頃のウグイスの囀りは、俳句では老鴬あるいは夏鴬と詠んでいるようです。初春のウグイスに比べ声がしっかりしているところから来ているのではないでしょうか。「老鴬」は漢詩にいう言葉で、老いた鶯という意味ではありません。 

 5月18日 桜町のHa氏より、中央病院の敷地内でホトトギスが鳴いているとの情報を頂きました。家の庭では久し振りにヒメジャノメとゴマダラチョウが飛来しました。また、7時頃自宅屋根にカルガモが飛来し、その後隣家の屋根に2羽がしばらくの間休息していました。ツチカメムシ、オオツマグロヨコバイ、ミカドガガンボ、センチコガネ、チュウレンジバチ、マガリケムシヒキアブ、などが今日のお客様でした。

 5月19日 淡い黄褐色地に茶褐色の複雑な筋模様が入った翅を持つワタノメイガという奇麗な蛾が庭の植え込みの中を飛び回っていました。最近は蛾の幼虫や成虫が目に付くようになって来ました。ゴミ入れの水たまりの中に1cm位のカミキリムシが落ちていました。アトシロサビカミキリとう後翅に薄くて白い斑があるカミキリムシです。

ワタノメイガ ヒメジャノメ  隣家の屋根のカルガモ

 5月20日 台風4号通過によりかなりの降雨がありました。家の壁にゴミグモが網を張り、食べかすが7cmほどの長さになっていました。ドクダミの花が開花しました。

 5月23日 庭をヒメジャノメ、スジグロシロチョウ、ナミアゲハ、ツマグロヒョウモン(♀)が飛び回り、アオオサムシとオオヒラタシデムシの遺骸がありました。また、クロフヒゲナガゾウムシという小さなゾウムシが20日に降った水たまりの中で泳いでいました。おそらく、隣家のクリの木から落下したのではないかと思います。

 5月24日 月桂樹の葉にトビイロトラガという羽を広げるとオレンジ色の奇麗な蛾、チジミザサの葉にはウスキクロテンヒメシャクという薄クリーム色の蛾がいました。桜の朽ち木にはムネスジノミゾウムシという3mmくらいの大きさのゾウムシが3匹。

アオスジアゲハ、ナミアゲハ、ゴマダラチョウ、ヒメジャノメが飛来し、アオオサムシの遺骸を沢山のアリが巣へ運んでいました。

擬態するトビイロトラガの成虫 クロフヒゲナガゾウムシ コミスジ

 5月26日 24日の夕方から降り始めた雨のお陰で、庭の緑は際だって美しく見える。地上は湿っているのでナメクジやダンゴムシ、ハサミムシ、ツチカメムシ、アオオサムシの幼虫、等が多く、オオミスジコウガイビル、クロイロコウガイビルの動きも活発です。オオミスジコウガイビルは体の中央部に口がありミミズを巻き込むようにして捕食していました。

トマトやジャガイモの葉にはニジュウヤホシテントウ、クロウリハムシ、ヤマイモハムシ、ダイコンハムシ、ツマグロオオヨコバイ等の小型の昆虫類が活動していました。

庭の朽ち木の中にカブトムシ1匹とクワガタムシsp.2匹の幼虫がいました。

15時頃に夕立があり、久し振りにシジュウカラの姿が見えました。

桜町6丁目の民家にあったツバメの巣がカラスに襲われ破壊されていました。毎年市内ではツバメの巣がカラスの被害にあっており、巣立ち率が悪くなっています。

 5月27日 今日は気温が上昇し、地蔵院および自宅付近でツマグロヒョウモンの雌雄をそれぞれ観察しました。

今日までに確認したツバメの巣は9ヶ所17巣ですが、実際に使用している巣は7ヶ所でした。

 5月28日 朝食時に野菜サラダの周りに小さな瑠璃色の虫が歩いていました。触ると跳ねたので虫眼鏡で見るとルリマルノミハムシという3mm程度の昆虫でした。時々トマトやオオアラセイトウなどの葉上で見てはいたのですが、いつも飛び跳ねて見失っていました。庭ではハラビロカマキリの卵鞘から孵化したばかりの小さなカマキリが歩いていました。

ブロック塀にはキイロガガンボの雌がとまっていました。

辻のKiさんより「今日、辻の田んぼでは田植えをしているところを通りました。複数のシオカラトンボが飛び交っていました。こんな早い時期からいるのですね。カルガモも2羽来ていて、ムクドリが水浴びしていました。水が入ると生物も生き生きしますね。」生物は環境の変化に敏感ですね。

 5月29日 ここの所よく雨が降り見沼代用水も増水しています。本町4丁目の保存樹林から見沼代用水に伸びている桜の枝に沢山のサクランボが実っており、雨の中ムクドリが頻りに啄んでいました。小さなサクランボなので一口で飲み込んでは次の実を、見ているこちらも“よだれが”でそう。 

鳩ヶ谷から絶滅した生物・絶滅しつつある生物 11

 ニホントカゲは1980年代初期までは、鳩ヶ谷市内でも普通に見ることが出来ましたが、現在は全く見ることが出来なくなりました。ニホンカナヘビに比べると体が太くてつやがあるので区別できます。成体の体色は褐色で、体側には濃い褐色の縦線がありますが、幼体は黒褐色の体に5本の金色の縦線があり、尾が青い。以前は野良猫がよくトカゲを銜えて台所の扉の前に置いてありました。トカゲが減少した原因は猫による影響が大きいのではないかと思っています。よく似た種類のニホンカナヘビは現在でも市内に生育しており、我が家でも毎年繁殖しているようで色々な大きさのカナヘビと出会います。 


地球温暖化を考える(3)

 地球上で起こっている、かつてない規模の気温上昇。それはこの星に棲む様々な生態系にも影響を及ぼしています。2006年7月にアラスカへ氷河を見学に行きましたが、その折りデナリ国立公園で2泊しました。アンカレッジからデナリまで、アラスカ鉄道で8時間の旅でした。その間、素晴らしい森林原野を見ることが出来ましたが、途中の湿原の森林帯があちこちで枯死していることに気がつきました。現地ガイドの説明では、温暖化の影響により永久凍土が融解して、四方八方に揺らいで“酔っぱらいの木”と呼ばれて枯死している、もう一つの原因は、アラスカは寒く長い冬というのがあたり前の現象であった。しかし温暖化により暖かい期間が長くなりキクイムシの発生の周期が、気温の上昇により2年から1年に短縮。爆発的に増加したキクイムシの勢いは森を食べ尽くしてしまいそうなほどです。ここ60年間で、アラスカの内陸部と南中央部においては、驚くべき温暖化傾向があると言っていました。

アメリカの元副大統領であるアル・ゴア著「不都合な真実」でもこのことが指摘されています。

アラスカヒグマの親子 温暖化の影響で枯死する森林地帯