No.155 2017年5月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (168)

ヨシゴイ(サギ科)  Ixobrychus sinensis

ヨシゴイは好んで葭原にすむサギの仲間です。頭上が黒く頸から背は褐色、雨覆は黄褐色、初列風切、次列風切および尾は黒色。胸の側部に黒色の大きな縦斑がある。嘴はやや長く黄色、脚も長めで黄緑色。雌は頸から胸腹部に褐色の縦斑がある。インドから東アジア,インドネシアにかけての温帯や熱帯に広く繁殖分布し北方で繁殖するものはインドネシアやパプアニューギニアに渡って越冬する。日本には九州地方以北の各地に夏鳥として渡来し,おもに平地の湖沼や河川のアシ原に生息する。警戒すると上を向いて頸を垂直に伸ばし,体を周囲のアシと同じようにかすかに動かして敵の目をあざむく特異な習性がある。近年、アシ原の埋め立てに伴い、生息数がかなり減少している。川口市周辺では芝川第一調節池で時々観察される程度であるが、年によって繁殖もしている。

 

自然の記録:

 5月 3日 先日、埼玉県が毎年行っている侵略的外来生物県民参加モニタリング調査の説明会に参加してきました。昨年度の調査では外来植物245種類が記録されていました。この中には、この種類も入れる必要があるのかなという種類もかなりありました。いずれにせよ色々な形で国外から持ち込まれた生物が勢力を張っていることは間違いありません。家の庭をみまわしただけでもナガミヒナゲシ、オッタチカタバミ、ハルジオン、ゲンペイコギク、ノハカタカラクサ、チチコグサモドキ、ウラジロチチコグサ、アイノコセイヨウタンポポ等在来植物よりも多いのが現状です。家の周りでは、どこかの庭から移出したアリウム・ネアポリタナムというニラの仲間の植物が増えています。

ここの所、シジュウカラの声が良く聞こえるなと思っていたところ空き家となっている隣家のブロック塀で繁殖をしていました。10分ほど見ている間に雌雄で10数回餌を運んできました。餌はジグモなどのクモ類や蛾の幼虫類でしたが、1分程度の間に見つけてくるのには感心します。庭の草木の間を探しても簡単に見つかるものではありませんが、流石にプロだなと思います。

アリウム・ネアポリタナム アリウム・ネアポリタナムの花(拡大)
ヒナに餌を運ぶシジュウカラ アトジロサビカミキリ

 5月 5日 色々な昆虫類が出始めていますが、ナガサキアゲハ、アオスジアゲハ等の蝶も姿を見せ始めました。

 5月 6日 子育て中のシジュウカラは今日も忙しく餌運び、クモ類の捕獲が多いようです。コミスジ、ナガサキアゲハ、モンシロチョウ、ヤマトシジミ等が飛来しました。家の道路脇でネアポリタナムというニラ科の白い花が30株ほど咲いています。園芸品種の逸脱種ですがアスファルト舗装道路の隙間から発芽して道路を少しずつ破壊しながら増殖しているようです。空き家となっている隣家の庭に丈が1m以上にも伸びたキツネアザミが開花しました。開花するまではブロック塀の陰に隠れていたのでわかりませんでしたが、背丈が伸びてきたのでわかりました。キツネアザミも市内の各所で見るようになりました。キツネアザミは茎にとげがなくアザミに似ているところから名がつけられたようです。

 5月 7日 庭の枯れ木にアトジロサビカミキリが今年も出現しました。5分ほど観察している間に5匹もでてきて、2匹は交接を始めました。毎年庭で発生するので見つけるのが楽しみです。

そのほかキマワリやコミスジなども飛来しました。

 5月10日 雨の中でツユクサの葉を食べている青くて小さなハムシの仲間がいました。お尻の部分がオレンジ色のキバラルリクビボソハムシというツユクサを好むハムシでした。アジサイの影にチチコグサモドキがあり、同じ場所にセイタカハハコグサがありました。ハハコグサに似ていますが草丈が30cm近くまで伸びて花のつき方が少し異なります。

隣家のブロック塀に営巣したシジュウカラは、雨の中でも頻繁に餌運びをしていました。

 5月16日 家の裏のブロック塀にキマエアオシャクという綺麗な蛾の仲間が止まっていました。湧水公園では、オランダガラシが繁茂し、ボタンクサギも数十株が生えていました。

 5月19日 ルリカミキリを見るべくベニカナメモチを探して歩いた所、昨年観察した場所で1頭だけ見つけることができました。昨年は18日に見たので、この時期が発生時期のようですが、昨年は10頭以上を見ることができました。ルリカミキリはハムシの仲間のクロウリハムシによく似ています。帰途、アブラムシに覆われたように見える樹木に、色々な成長段階のテントウムシが沢山いました。周りの草や木にはアブラムシの遺骸が落ちており、油で汚れたようになっていました。

 5月21日 サミットへ買い物に出かけたところ、店の近くの植え込みにキキョウによく似た花を見つけたので自転車を止めてみたところ、ヒナキキョウソウという植物でした。茎の頂に綺麗な花を咲かせていました。2か所で15株ほど花が咲いていました。どこからか逸出してきたのでしょう。家の近くではオランダフウロが数か所で開花しています。最近は逸出した外来の植物が多くなり名前を調べるのも大変です。氷川神社のイチョウ並木にはアメリカオニアザミの大きな株がありました。触ると怪我をしそうなくらい大きくなっていました。南町2丁目ではがヒルザキツキミソウ、ムシトリナデシコ、ヤナギハナガサなども咲いていました。

庭の枯れ木にはアトジロサビカミキリ5頭が歩き回っており、セグロアシナガバチ数頭が飛び回っていました。

 5月25日 ブロック塀の間に落ちている枯れ木にアトジロサビカミキリ6匹が忙しく動き回っており、そのうち2組が交接を始めました。クロフヒゲナガゾウムシやアカアシクロコメツキ等も歩き回っていました。オオシオカラトンボの雌も飛来しました。

ルリカミキリ アブラムシの大群 テントウムシの幼虫
テントウムシの幼虫 テントウムシ アブラムシの遺骸

 5月28日 今日は天気も安定してきたのか、キマダラセセリ、モンシロチョウ、ルリシジミ、セボシジョウカイ、ミカドガガンボ、ツマグロオオヨコバイ、キマワリ、アトジロサビカミキリ、ニジュウヤホシテントウ、フタモンアシナガバチ、ヒメハラナガツチバチ等の昆虫やギンメッキゴミグモ、オニグモ、シラヒゲハエトリ、ネコハエトリ等のクモ類が庭を動き回っていました。家の周りの道路の草抜きを行いながら植物の種類を数えてみると、ウラジロチチコグサ、オッタチカタバミ、オニノゲシ、ノゲシ、ニワゼキショウ、ノハカタカラクサ、ハゼラン、ヒメジョオン、ムラサキカタバミ、ナガミヒナゲシ等の外来植物でした。在来種はオオバコとコオニタビラコの2種類でした。

 5月30日 今日の庭は、ナガサキアゲハやコメツキムシの仲間が飛び回り、キンケハラナガツチバチも出てきました。庭中ドクダミの白い花で覆われている感じです。以前はドクダミ茶をつくりたいという人がいたので使ってもらっていましたが、市販品も出回るようになりました。近所に営巣した2か所のツバメも共に3羽のヒナが孵化しており親鳥が頻繁に餌を運んでいます。隣家のブロック塀でヒナを育てていたシジュウカラもいつの間にか巣立ったようです。近くの民家のマツの梢に営巣したハシボソガラスも巣立ちが近いのか毎日にぎやかです。

 

地球温暖化を考える(108)

川口市赤山歴史自然公園

 赤山歴史自然公園の概要が見えてきました。火葬場全景も見えて、大池の護岸整備も終了したようです。 池には水がたまりはじめており冬のカモ類の飛来が楽しみになってきました。この周辺の地域にはカモ類の飛来するような環境がなかったので、かなり期待できそうです。公園側の池の環境が整ってくれば多くの生物の生息環境が創出されるのではないかと期待しています。少なくともグリーンセンターの環境よりもよくなるのではないかと思います。近隣に川口市グリーンセンターがありますが近年の宅地開発の現況を考えると、まとまった緑地とそれをつなぐ緩衝緑地帯は必要になってくることでしょう。最近、東京都では防災のための緑化道路を計画していますが、今まで計画性のないグレイインフラを優先してきた結果として付けが回ってきました。近年は、グレイインフラに変わるグリーンインフラが提唱されています。グリーンインフラ(緑のインフラ)とは、「緑」を都市のなかに上手に組み込み、その自然のプロセスを活かすことで課題を解決しようとする取組です。従来のインフラ(グレーインフラ)のように特定の目的のためだけに建設され、活用されることとは異なり、環境、経済、社会の各面の便益が得られるとされています。例えば、降雨量増加による雨水管理が必要な場合、ダムや堤防などの代わりに、植生や土壌を活用することで、雨水管理のみならず、洪水の緩和、水質浄化、レクリエーションのための緑地の増加など、多様な利益が得られ、費用対効果が大きいと考えられています。このような観点からも大規模な緑地の確保は生物多様性・防災・気温上昇の緩和など多くの利点が考えられます。

概要が見えてきた火葬場全景 大池から見た火葬場全景
自然公園予定地の池の全景 池奥にある湿性植物保存区域の芽生え