No.82 2011年4月 |
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ドジョウを食べるタカブシギ |
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タカブシギは(鷹斑鷸)は、チドリ目シギ科に分類され、属小名のglareolaは「小石原」の意味で、羽の模様が小石が並んでいるように見えたことからタカブシギ、あるいは上面に鷹斑模様があるところから名付けられたと言われています。海岸よりも内陸の水田や湿地に好んで飛来します。
40年ほど前までは鳩ヶ谷周辺に休耕田が沢山ありました。特に、安行領家から東側の水田地帯(道の駅安行・樹里安や植物取引センター)には、休耕田と浅い池状の湿地があり、春秋には内陸性のシギ・チドリの休息場所として利用され、タカブシギは常連でした。農家の人たちが近づくとピピピピピピという特徴のある声で鳴きながら周辺を軽く飛び回ってまた元の場所へ戻ってきました。あぜ道に座っていると警戒もせず数bのところまで近づいてきました。現在、この辺りは宅地化され、当時の面影は全くありません。川口市は緑が多いといわれていますが、市域の50%は住宅地となっています。
4月 2日 庭の片隅でクサイチゴの花が1輪開花しました。その他、キケマン、キュウリグサ、ハナイバナ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ハコベ、ナズナ、コオニタビラコ、ヒメジョオン等が開花しています。ゲンペイコギクも蕾をつけており、6丁目周辺のソメイヨシノは1分咲きになりました。ソメイヨシノ以外の桜は満開のところもあり、ヒヨドリやメジロの群が吸蜜していました。
15時40分頃、鳩ヶ谷中央病院上空をオオタカガ旋回していました。ここ数年、鳩ヶ谷市内ではオオタカがよく見られるようになりました。
桜町2丁目ではハクビシンが数日前から出現しているとの情報がありました。ここ数年市内でも目撃情報が増えています。
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吸蜜するヒヨドリとメジロ |
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4月 5日 桜町2丁目のE氏より、自宅庭で撮影したニホントカゲの情報をいただきました。鳩ヶ谷市内では20年ほど前からトカゲの姿を見る機会がなかったので絶滅したのではないかと思っていましたが、確認できてよかったです。今後少しでも個体数が増加してほしいと思います。
4月 7日 見沼代用水沿いのソメイヨシノはほぼ満開の状態となりました。鳩ヶ谷中央病院のソメイヨシノはまだ3分咲き、ラクダ坂横の5本の古木は満開となりました。この古木は、桜街道がありし頃からの桜です。
湧水公園ではベニコウホネが大分成長してきました。ツクシも僅かですが見つかりました。水辺ではタネツケバナ、セリ等が目立ちます。林縁ではルリシジミ、オオキマダラヒメガガンボ、セイヨウミツバチ、アシブトハナアブ、オオクロバエ等が活発に飛んでいました。
桜町6丁目の駐車場ではカントウタンポポが咲き出しました。
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ニホントカゲ | クサイチゴの花 | 咲きほこるキケマンの花 |
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4月 8日 コンフォール東鳩ヶ谷の敷地内では、カラスノエンドウ、交雑タンポポ、オランダミミナグサ、ナガミノヒナゲシなどが咲き始めお花畑の様相を示しています。
4月10日 今朝家の近くの路上でアゲハチョウを見ました。今年始めてみるナミアゲハですが、もしかしたら我が家の門扉の蛹が羽化したのかと思って門扉を見てみると、寄生蜂にやられたようで蛹は空になっていました。
4月12日 漸く鳩ヶ谷市内でツバメを見ることが出来ました。カラシナの黄色い花が満開となった江川のあたりを6羽が飛び交っていました。江川ではカルガモ6羽、コガモ(♂3、♀2)が泳いでいました。桜町6丁目や法性寺の境内ではムラサキケマンが開花、法性寺の境内では植栽されたものと思われるチョウジソウがブルーの花を咲かせていました。
4月14日 クビキリギス、ナミアゲハが観察されました。クビキリギスは、ここ数年花をつけ始めたニリンソウの葉群の日溜まりに留まっていました。
4月16日 クコの葉にトホシクビボソハムシ、セアカクビボソハムシ、ニジュウヤホシテントウ等が飛来し、オニグモの巣の下にはアオオサムシの遺骸が2つ落ちていました。
家の周りではヤマブキ、ドウダンツツジ、ゲッケイジュが満開となり、地蔵院に接した植木畑ではホウチャクソウが蕾をつけていました。
4月19日 雨の中、立てかけて置いた傘にヨトウガの成虫が留まっていました。しばらくして何処かへ移動しました。数日前にもそれと思われるが蛾が玄関脇で見られましたが、その時にはすぐに消失しました。
4月20日 庭のシャガが満開となり、共に体がオレンジ色をしたコンボウアメバチの仲間、シマバエの仲間や黒い体に白い小さな紋のあるミツボシツチカメムシなどが集まってきました。夕方になって、レンギョウの木の根元近くにスジモンヒトリの雄が留まっていました。クリーム色の地に黒い斑点がある蛾の仲間です。
湧水公園の池の中にアオサギの成鳥が1羽餌を狙っていました。また、脇の駐車場の水たまりでは3羽のツバメが巣材を探していました。
4月22日 先日撮り逃がしたコンボウアメバチが今日はキケマンの花に飛来したので撮すことが出来ました。ネコハエトリやササグモなどの行動も活発になってきました。久し振りにカナヘビも見ることが出来ました。
4月23日 一日中降ったり止んだりの天気でしたが、午後になり多少晴れ間が出てキマダラヒトリの成虫が風に吹き飛ばされて落ちてきました。羽化したばかりらしく飛翔力が弱そうでした。家の外壁にはキイロスズメバチとオオスズメバチが来ていました。ブロック塀には沢山のナメクジが這っていました。
4月25日 法性寺の杜でコミスジが飛んでいました。境内ではツボスミレ、ハハコグサ、アカカタバミ、ウラジロチチコグサ、タチツボスミレ、タチイヌノフグリ、等が開花中、湧水公園ではオランダガラシが満開となり、セリを摘んでいる人がいました。
庭のカキドオシの葉にマガリケムシヒキが飛来しました。
4月26日 湧水公園の池の水が放水されたのか干上がって、メダカ、モツゴ、コイ等が浅い水辺で泳ぎ、ヌカエビも土の上で跳ねていました。また、20cmほどの大きさのクサガメがコイの遺骸を食べていました。オランダガラシの葉上ではナガメが交接していました。
我が家の庭ではマルカメムシが増えてきました。また、スグリゾウムシも何頭か姿を見せるようになりました。桜町6丁目ではムサシアブミの花が3株開花しました。
14時過ぎに市の環境対策課から動物の轢死体が産業廃棄物センターに収容されたとの連絡があり、確認に出かけたところハクビシンの幼獣でした。本町1丁目のスカイハイツ・マンション付近の路上で拾得したとのこと。大きさは鼻の先から尾の端まで約1mありました。鼻口から僅かに出血していましたが、見た目には外傷はありませんでした。
4月28日 ツツジの木に黄色い体のベッコウバエが飛来しました。江川ではタガラシと共に外来植物で青紫色の花をつけるオオカワジシャが数本生育していました。コガモの雌雄もまだ残っていましたが、そろそろ北帰行のことでしょう。
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ハクビシンの轢死体 | キマダラヒトリ | ナメクジ |
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3月11日以降地震津波や原発による汚染などで東北地方からの野菜の入手が困難な状況が続きました。戦後は家の周辺にある植物を食べたり、薬草として利用していました。ゲンノショウコは胃腸薬として、ドクダミはタコの吸い出しの変わりに腫れ物の膿を出すのによく使いました。同様に春の七草を初め食べられる植物も沢山ありました。野草を食べる時には、よく似た種類の毒草があるので注意が必要です。
以下の表は鳩ヶ谷市内で生育している食べられる野草の一部を紹介します。
●印:我が家の庭でも自生しています。
食べられる野草 | 説明 |
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●ノビル | 球根/刻んでソバの薬味、味噌あえ |
●カキドオシ(カントリソウ) | 茎の先/茹でてサラダ・葉や花/天ぷら |
●ツユクサ | 若い茎/茹でておひたし |
●ナズナ | 若芽/おひたし、サラダ、七草粥 |
●ユキノシタ | 葉/天ぷら |
●ドクダミ | 若葉/天ぷら、乾燥してお茶 |
●タンポポ | 春の若葉/サラダ |
●ヒメジョン | 茎の先端(蕾)/天ぷら |
●アカザ | 茎先端の若葉/おひたし、天ぷら |
オランダガラシ | 茎の先/サラダ |
カラスノエンドウ | つる先、青い実/天ぷら |
●クズ | つる先、青い実/天ぷら |
レンゲソウ | 若葉、蕾/おひたし |
シロツメクサ | 若葉、花/おひたし、天ぷら |
●ハコベ | 若葉/和え物、汁の実、天ぷら、炒め物、七草粥 |
●コニタビラコ(ホトケノザ) | 若葉/和え物、七草粥 |
●ハハコグサ(ゴギョウ) | 若葉/和え物、七草粥 |
セリ | 若葉/和え物、炒め物、七草粥 |
ツクシ | 若葉/和え物、おひたし |
ノカンゾウ、●ヤブカンゾウ | 若葉/ぬた |
ギシギシ | 若葉/おひたし |
イタドリ | 若葉/天ぷら |
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カキドオシとドクダミの葉(ハート形) | ハハコグサの小群落 |
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オランダガラシ(クレソン)湧水公園 | セリの群落(湧水公園) |
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ヤブカンゾウ | コオニタビラコの花 |
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ツバメシジミ(シジミチョウ科)
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草むらに住むシジミチョウで、ヤマトシジミによく似ているが、糸のような短い尻尾(尾状突起)が愛らしい。 尾の付け根には、橙色のアクセントがあり40年ほど前までは、小さな草地が有れば、鳩ヶ谷市内の至る所で見かけたものです。食草はシロツメクサやカラスノエンドウなどのマメ科の植物です。これらの植物は現在でも生育していますが何故かツバメシジミを見かけることがありません。ツバメシジミと同じように市内から消失した蝶にゴイシシジミがいます。こちらの方はササが食草です。
宙に浮いた「はとがや湧き水の里」公園構想
吸収合併に伴う川口市長の横槍が“ぐさり”と刺さりました
現在、鳩ヶ谷市は都市化の波の影響をまともに受けて、自然環境は完全に消滅したと言っても過言ではありません。現在残っている自然といえる環境は、社寺林や一部の斜面林程度で水田や畑などの農地も市域のほんの数%となっています。6年ほど前までは里小学校の脇に水田を借りて、市民が創成したトンボ公園がありましたが、ここも里地区の区画整理の影響で消滅しました。この時も、里小学校の校地内に取り込んだ学校ビオトープとして、残すことが出来たはずですが市政にも、議会にもそのような考えは0でした。
3年前に鳩ヶ谷市民会議で纏めた報告書が市長に提出されました。その後、市長より「湧き水の里構想」が提案され、昨年度に行われた「はとがや湧き水の里」計画委員会の報告書が上梓され、環境審議会にも図られたのちパブリックコメントも提出されました。
また、今年度の予算案が市議会で通過しましたが、川口との合併に伴う“すり合わせ”で、湧水の里の本年度予算(3795万円)は執行できなくなり(地権者との交渉に入れず)ました。また、複数年度にまたがる湧水関係の予算(約4億円)についても見込みなし。とのこと。川口市との合併によりこのような危険性は予期していたことではありますが、思わぬ横槍による展開に関係者は困惑しています。市の予算が運用できなくなったと言うことは、既に鳩ヶ谷市長も議会も存在していないのと同じです。
現在の湧水公園は規模も小さく、写真に示したように幼児達を引率してきた父兄は休憩する場所もなく道路脇で昼食をとっているような状態です。
今まで何度か子供達を対象に自然観察会を行ってきましたが、子供達からは“もっと虫のいる場所で観察会をして欲しい”との要望がありましたが、残念ながら無差別的な都市開発や区画整理を行ってきた鳩ヶ谷にはカブトムシでさえ取れる場所が無くなりつつあります。
鳩ヶ谷市内ではマンションや宅地を買いあさる業者が多く、公園予定地が切り売りされる前に何とか土地の借り上げや購入をして欲しいところです。また、地権者の方が何とか土地を維持して欲しいと願っています。
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@ 池の道路脇で休憩 | A 現在の湧水公園(池のみ) |
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B 自然観察会の参加者 | C 周囲を住宅が取り囲んでいる |
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D 駐車場でのアリの観察 | E 池の右側の地域(駐車場)が公園予定地 |
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