No.64 2009年 10月

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『郷土はとがや』第64号に新投稿

  鳩ヶ谷の生物11 緑の多い住宅地に進出するオナガ

  川魚供養碑を見て感じたこと

鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (77)

ヒヨドリ(ヒヨドリ科) Hypsipetes amaurotis

漢字では卑しい鳥(鵯)と書きます。ヒヨドリは熱帯系の鳥で、南へ行くほど種類が多く、特に東南アジアには色とりどりのヒヨドリが生息しています。どの種類も共通して花の蜜や甘い果実を主食にしています。

日本では、山や公園、人家の庭などに生息しており、ピーヨ、ピーヨと特徴のある声で鳴きます。一説には、独特の鳴き声から名が付けられたとも言われていますが真意の程は解りません。

30年ほど前までは主に山地に生息しており、漂鳥として冬になると町中でも見られたようですが、現在は完全に留鳥化しています。伊良湖岬などでは秋になると集団で移動をはじめ数百羽の群れが海を渡って行きます。鳩ヶ谷市内でも数十羽の群れが移動しているのを見ることがあります。

冬になり、餌不足になると柿のヘタを食べたり、集団でキャベツ畑などに集まり葉を食べて穴だらけにしてしまいます。近所にあるセンダンの木には、毎年ヒヨドリが集まり実を食べ尽くしています。  

自然の記録:

10月 1日 隣家の花壇にヒメアカタテハ4頭、ツマグロヒョウモン雄2頭、雌1頭が飛来し吸蜜していました。ラクダ坂脇のサクラ並木では秋型のキチョウがひらひらと飛んでいました。

庭では落ちた熟し柿にヒメウラナミジャノメが飛来し、汁を吸っていました。

10月 2日 鳩ヶ谷小学校のイチョウの木に巣を造っていたミツバチは、木の隙間をセメントで塞がれてしまいました。国内のミツバチが減少しているとのことですが、子供達の安全のためにはしかたがないのでしょう。

10月 3日 雨の中、湧水公園で観察会を行いましたが15分ほどで中止。観察されたのはイチモンジチョウ、シオカラトンボ、ウスバキトンボ、アメンボ、タデマルカメムシ、イナゴ、アメリカザリガニ、メダカ、スズメ、ヒヨドリ、開花植物はクズ、アメリカセンダングサ、イヌタデ、ツユクサ、ヨシ、ヒメジオン、ジュズダマ、チカラシバ等でした。公園の面積がもう少し広いと多くの昆虫類が集まってくるのでしょうが、今の場所はあまりにも狭すぎます。

庭のヤマノイモの蔓でキイロスズメの幼虫が一生懸命葉を食べていました。中旬位には蛹になることでしょう。クロアゲハの幼虫も5匹が柑橘類の葉を食べていました(1週間後にいなくなっていました:小鳥やカナヘビなどに食べられたのか?)

本町2丁目にある市民農園のフェンスにはモミジバルコウソウの赤い花が満開となっています。外国産の植物ですが花の少ない時期には奇麗なので道行く人たちが楽しんでいます。

クロアゲハの幼虫  キイロスズメの幼虫

10月 4日 隣家の庭からツクツクボウシの声が聞こえています。今年はキンモクセイの開花が遅いのか?数名の方からどうしたのだろうと問い合わせがありました。確かに近所のキンモクセイもまだ開花していませんが多少遅れているのかもしれません。

家の上空をダイサギ2羽が通過していきました。

10月 5日 鳩ヶ谷小学校のコスモスの花にイチモンジセセリ、ホシホウジャクが飛来、校舎の窓ガラスにオオスズメバチが止まっていました。校庭の上空をカルガモ2羽、ハシブトガラス3羽は鉄棒に止まり、キジバトがフェンスに2羽、ヒヨドリが時々校庭を横切っていきました。

10月 6日 久し振りにウスグモスズを庭で見つけました。体が小さいので表に出てこないと存在すら解りません。

10月 8日 台風18号の影響で、かなりの強風が吹き荒れました。我が家では特に被害はありませんでしたが、柿の葉がかなり落ちて掃き集めたところゴミ袋一杯分程度が道路脇の側溝に落ちていました。この袋は来年の堆肥用に保管することにしました。今年は5袋溜まったのでトマト苗を育てるプランター用の土に使うことができます。

10月 9日 落ち葉を掃き集めていたら、クワハムシに似た真っ黒なハムシがいましたが名前が解りません。カメラを取りに行っている間にいなくなりました。残念。

ダイコンの葉にモンシロチョウが飛来しました。ルリタテハ・イチモンジセセリやオンブバッタも。それらの昆虫を狙ってカナヘビもうろうろしていました。

10月11日 羽化したばかりではないかと思われる奇麗なキタテハがカラスウリの葉に止まり、ウラギンシジミがクズの葉の周りを飛び回っていました。

10月14日 カブトムシを小さくしたような感じのクロマルエンマコガネが2匹、家のイヌ走りに落ちていました。前胸部が三角形に盛り上がった感じで体長8mm程度の甲虫の仲間です。

雨水を溜めている容器には、ビロードコガネが落ちていました。

鳥が運んできたネズミモチの苗にシマケンモンの幼虫が4匹いました。8月末にシモフリスズメの幼虫に丸坊主にされて、漸く若芽が育ってきたのに。 

柿の葉上のクロマルエンマコガネの雄 ネズミモチを食べるシマケンモンの幼虫

10月15日 改修工事中の旧芝川を歩いてきました。工事や草刈りの人たちが作業をしていましたが、

カルガモ7、コガモ58、オナガガモ28、キセキレイ2、等の冬鳥の他、イソシギ2、カワセミ、キジバト、ムクドリ、スズメ、モズ、ハシボソガラス、ハクセキレイ、オナガ、カワウ等が観察されました。昆虫類ではモンシロチョウ、モンキチョウ、ウラナミシジミ、ヤマトシジミ、キタテハ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン等がいました。

昨夜の雨でぬかるんでいた場所ではタヌキの足跡が鮮明で、糞も落ちていました。岸ではミシシッピーアカミミガメは重なるようにして日向ぼっこをしており個体数は増加の一方です。

10月16日 熟し柿にルリタテハとアカタテハが飛来し、秋型のキチョウが庭を飛び回っていました。熟し柿には鳥が突いた後でジュース状の甘い汁がしたたり落ちているので昆虫を呼び寄せる力があるようで、ミツバチやショウジョウバエの仲間などが集まってきます。

10月17日 キイロテントウは柿を好むのか?毎年秋になると柿の葉と共に数匹が地上に落ちてきます。廊下の網戸には左後肢がとれたウスグモスズが張り付き、廊下にはツツジグンバイが歩いていました。グンバイムシは軍配のような形をしています。

網戸に張り付くウスグモスズ ウラナミシジミ 秋型のキタテハ

10月24日 ダイコンの葉がずいぶん伸びてきました。葉上にはシロオビノメイガ、カブラハバチの幼虫、オンブバッタ、イエバエなどが集まってきました。ジョロウグモは各所に網を張り、数十匹が生息しています。

辻バス停付近の田圃では収穫後の稲が奇麗に並んで干してありました。市内では珍しくなりましたが、この様な風景が何時までも見られるとよいですね。

10月25日 霧雨が降る中、ホシホウジャクがヤマイモやヘクソカズラの葉裏に産卵していました。一個ずつ丁寧に産卵場所を選んでいるのには感心しました。

10月26日 台風20号接近のため一日中降雨で柿の葉が大分落下しました。まだ、緑色の葉からオレンジ色や黄色に紅葉した葉まで様々ですが、以外と奇麗に紅葉していました。

10月29日 葉の落ちた垂れ梅にメジロ7羽とシジュウカラの群が来て、頻りに枝を啄んでいましたが恐らくカイガラムシを食べていたのではないかと思われます。シジュウカラは緑色をした大型の毛虫の仲間を嘴にくわえていましたが、数回枝に叩けつけた後、一息に飲み込んでしまいました。彼らが庭に飛来し始めると冬になるのだという気持が沸いてきます。ツマグロヒョウモンも時々飛来してきます。

門の表札にオオカマキリが止まっていましたが、羽がボロボロで行動も緩慢でしたが、お腹が大きいので最後の力を振り絞って産卵場所を探しているかのようでした。

10月30日 埼玉県民710万人一人一本植樹運動に参加、を

鳩ヶ谷市内でも一人が1本植樹をすると市内全体が里山のようになりますので、5万本を目標に折にふれ声をかけています。ちなみに、今年庭に植えた木はネズミモチ2本、マンリョウ5本、イチジク1本、サンショウ3本、シデ1本、その他小鳥が運んできた小さな苗木が10本ほどありますので植木鉢で育てています。2年前に小鳥が運んできたマテバシイは幹は細いが3mを越え、各種の蛾の幼虫が葉を食べているので夏の間は何時も丸坊主です。

20年ほど前に小鳥が運んできたエノキは余り大きくならないように3mの高さに押さえていますので、幹周りだけは太くなっています。

10月31日 これから冬になるというのに植木鉢のマルバスミレが開花しました。落ち葉の陰にあったので気がつくのが遅かったので数日前に咲いていたのかも知れません。

スミレの葉上にはお腹の大きなハラビロカマキリが乗っていました。

カブラハバチの幼虫とオンブバッタは相変わらずダイコンの葉に群がっています。

内からは流石に鳴く虫の声も聞こえなくなり、昆虫の種類も少なくなってきました。

これからは、町中を歩いても寂しい季節になりましたが、近隣地区では冬鳥のジョウビタキ、アオジ、オオジュリン、シメ、タヒバリ等が、既に飛来したとの情報があります。

環境省の「いきものみつけ」のホームページでも10月30日〜31日にかけて、数カ所からジョウビタキの確認情報が報告されています。市内で確認されるのも時間の問題でしょう。

ジョロウグモ シロオビノメイガ 稲かけの風景

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 28

 オオムラサキ(タテハチョウ科)

羽化直後のオオムラサキ(♀)

国蝶でもあるオオムラサキは、40年前位までは鳩ヶ谷市内でも採集することができましたが、今では採集どころか見ることもできなくなりました。市内でオオムラサキが生息していた場所は現在宅地化され、オオムラサキが好んで飛来したクヌギが無くなりました(幼虫の食草であるエノキは各所にありますが)。子供の頃に捕虫網の中にオオムラサキを捕らえた時は標本にするのが惜しいほどでした。

 

地球温暖化を考える(20)

旧芝川の改修工事

 旧芝川は、「川の国埼玉魅力100選」にも選ばれており、数年前のテレビ朝日「素敵な宇宙地球号」で紹介がありました。現在、旧芝川では河川工事が4月から6月まで浚渫と低河川敷の工事が行われる予定でしたが、10月を過ぎても進行中でした。

護岸の“のり面”には最近屋上緑化で行われているイワダレソウの改良種と言われるクラピアで覆われていましたが、以前に生育していたクコやセイヨウタンポポ、イネ科の植物等が生えてくるので、“雑草”の除去作業が大変なようで10名ほどの作業員が作業をしていました。堅川から旧芝川との合流点付近では、ショウブの仲間が植栽されていました。恐らく浄化目的と思われますが?流入してくる家庭雑排水や洗剤などの泡で溢れた水が流入していますので、しばらくすると河川内はヘドロで満たされるようになるでしょう。清流になるのは何時のことでしょうか?せめて50年前の見沼代用水のような流れが戻るとよいのですが。あの頃の川はゴミもなく子供達が裸足で歩いても怪我をすることもありませんでした。

クラピアが各所に植栽されています 堅川〜旧芝川への合流点付近
クラピアが植栽されたのり面と雑草除去作業 低河川敷の工事風景
低河川敷の工事風景 朝日橋下流の工事風景
家庭雑排水の流入(泡だらけの水が流入)  魚の遺骸を食べるハシボソガラス