No.157 2017年7月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (170)

トウネン(シギ科) Calidris ruficollis

トウネンとは変わった名前ですが、「鳥名の由来辞典」(柏書房)によると、江戸時代の呼び名は「とうねご」もしくは、「とうねごしぎ」で当年子という漢字が当てられ、「その年に生まれた子の意味でつけられたとされている」と解説されている。シギの仲間だが、鳥の体が小さいところから、その年に生まれた鳥、当年(トウネン)と言われています。英名のRed-neckedは、夏羽では首周りから顔にかけて赤褐色になることから付けられたようです。シベリア北部で繁殖し、東南アジアなどで越冬する。旅鳥として飛来し、海岸や河口の干潟、水田や蓮田などの水の浅い場所に飛来する。よく似た仲間にヨーロッパトウネン(ニシトウネン)がいる。川口市周辺では芝川第一調節池の工事中にできた干潟状の湿地で、数年に亘って飛来した記録があるが現在は飛来できる環境がなくなった。

      トウネンが我の股の間通り抜けまた足早に戻り行きたり

自然の記録:

 7月 1日 朝、7時30分頃に家の雨戸をあけていると庭先をアカショウビンが飛んで行きました。旧鳩ヶ谷市では初記録となります。埼玉県でも近年生息が減少している種類です。

サクラの枯れ木にナガゴマフカミキリが3匹、そのうち2匹は交接中でした。ジャガイモの葉の上には、黒色で腹部の側部と脚が白黒の縞模様になった、やや細身のシマサシガメがいました。

 7月 2日 サクラの枯れ木にナガゴマフカミキリが2匹とカタジロゴマフカミキリ1匹がいました。カタジロゴマフカミキリを自宅で見るのは初めてです。その他、アオスジアゲハ、ナガサキアゲハ、キマダラヒカゲ、ヤマトシジミ等が飛来し、ガスボンベにナガサキアゲハの蛹が付着していました。

 7月 3日 今日もナガゴマフカミキリ3匹、カタジロゴマフカミキリ1匹、アトモンサビカミキリ1匹が、サクラやアオギリの枯れ枝に来ていました。その他、キアゲハ、ナミアゲハ、コミスジなども飛来しました。午後になってサクラの木にセマダラナガシンクイという変った名前の小型の甲虫が2匹飛来しました。

セマダラナガシンクイ ナガゴマフカミキリ

 7月 5日 台風3号が過ぎて暑くなりました。サクラの木には相変わらずナガゴマフカミキリがとまっていました。オナガの声が騒がしかったので今日も来ているなと思っていたところ、イチジクの実に集まっていました。1週間もすれば食べられると思っていたところ大きく育ったものの殆どがオナガに食べられていました。一部の枝を網で覆いましたがオナガの嘴にはかなわないかも?

 7月 7日 ナガサキアゲハとクロアゲハが交代で飛来し、ナミアゲハはボタンクサギの花で吸蜜していました。ボタンクサギは庭中に蔓延り、歩く場所にも伸びてきたので抜こうと根元を引っ張ったところ1m以上もの根が横にのびており途中で切れてしまいました。

 7月 9日 江川から毛長川沿いに八幡木中学まで散策。昆虫類は殆ど見られなかったが、植物はアメリカオニアザミ、エノコログサ、ユウゲショウ、コセンダングサ、ハキダメギク、アレチノギク、アカザ、ハゼラン、ヨウシュヤマゴボウ、ヒナタイノコズチ、ホソアオゲイトウ、エゾノギシギシ、アレチギシギシ、ヤブカンゾウ、メヒシバ等がありました。

 7月10日 近所の道路上でツマグロヒョウモンの雌がいたので、近づいてみると30cm近くにも成長したアメリカスミレサイシンで産卵中でした。葉の大きさが5p程度で幼虫が育つには十分のようです。

 7月12日 何年振りかで自宅庭でトカゲを見ました。体長5pほどの小さなものでしたが、近くで繁殖したようです。3時過ぎに庭に出たところ三時草(ハゼラン)が咲いていました。三時頃に開花するのでこの名がついたようです。ボタンクサギの葉上にシオヤアブの雌が止まっていました。

ニイニイゼミ 抜け殻 オスグロハバチの♀

 7月16日 連日庭では直射日光下で40℃を超える暑さが続いており、物干し竿に触ると火傷をしそうなくらいです。そのような暑さでもシオヤアブやナツアカネが止まっています。ナガサキアゲハ、クロアゲハ、ナミアゲハ、スジグロシロチョウ、キマダラヒカゲ、ヤマトシジミ、等が訪れます。ボタンクサギの葉上にオスグロハバチの雌が止まっていました。

安行領家にある興禅院の林へ行くと、カブトムシ、ノコギリクワガタ、コフキコガネ、等の頭部や羽などが落ちていました。林内にはハシブトガラスの巣立った若鳥が多く、カラスの餌になっているようです。オオモンクロクモバチ(オオモンクロベッコウ)、ムネアカトゲコマユバチ、タマムシ等が元気に飛んでいました。

 7月18日 廃棄物を出すために裏庭を掃除していたところ、30cm程度のヒバカリが2頭出てきました。今年は、ヘビを見ないなと思っていたところでしたので感激です。また、赤と黒の派手な色彩のアカシマサシガメも出てきました。ウマノスズクサにはツマキヘリカメムシの幼虫がいました。庭隅ではキンミズヒキが開花しました。

 7月19日 今日、気象庁が梅雨明け宣言をしましたが、今年は何時が梅雨だったのか?

工事中であった前野宿川公園の工事が終了したので散策してきました。池の周囲は車椅子でも移動できるようになっています。池の周辺ではアオサギ、ツバメ、ヒヨドリ、シオカラトンボ、ナツアカネ、ヨツスジトラカミキリ、アオスジアゲハ、キタテハ、アオドウガネ等の昆虫類、植物はミコシガヤ、アオガヤツリ、コガマ、ヒヨドリジョウゴなどが開花していました。

庭のボタンクサギの下に多くの糞が落ちていたので葉の裏を探すとクロメンガタスズメの幼虫1頭が葉を食べていました。クロメンガタスズメの幼虫は一昨年以来です。昨年はシモフリスズメのみでした。

ヒバカリ ツマキヘリカメムシの幼虫

 7月20日 昨日、クロメンガタスズメを見つけたボタンクサギの周辺のボタンクサギを探してみると、8pほどに成長したクロメンガタスズメの幼虫が6匹いました。ハチの仲間が飛んでいたので成虫になるのは難しいかもしれません。

 7月21日 庭隅でアブラゼミの抜け殻を見つけましたが、近くで脱皮中のものがいました。ニイニイゼミもようやく庭のカキの木で鳴きだしました。今日の庭のお客様はクロアゲハ、ナミアゲハ、キタテハ、コミスジ、ヤマトシジミ、キンケハラナガツチバチなどでした。

 7月22日 今日は豊田の森で草刈り作業でした。5名で2時間ほど行いましたがかなり整備できました。29日には中学生のボランティア13名が来るのでその準備を兼ねて行いました。

林内は蚊が多いものの例年に比べ少ない感じでした。ミンミンゼミの初鳴き、アブラゼミの抜け殻がいくつか見つかりました。

アブラゼミの羽化 キヌガサタケ 中学生のボランティア活動

 7月24日 マメコガネが飛来し、クルマバッタモドキ、ショウリョウバッタ、オンブバッタがいました。オンブバッタは孵化して間もないようで小さいのでよく見ないと見過ごしてしまいそうです。ボタンクサギのクロメンガタスズメの幼虫は10匹以上。数日で葉を食べつくして枝のみが残っています。

 7月27日 ミンミンゼミとアブラゼミがそろって鳴きだしました。アブラゼミの抜け殻はいくつも見つかりますが、セミの姿が少なくておかしいなと思っていたところでした。

 7月28日 7時頃まで小雨が降っていたが止むと同時に昆虫類が飛来。マメコガネ、セマダラコガネ、ヒメコガネ、サビキコリ、ヤマトシジミ、ナミアゲハ、ハラビロカマキリ、ショウリョウバッタ、クルマバッタモドキなどでした。

 7月29日 豊田の森で中学生のボランティア活動の一環として13名が参加して、竹の間伐や草刈りを行いました。湧水公園でシオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ウスバキトンボ、ショウジョウトンボ、アカボシゴマダラ、ツマグロヒョウモン、メダカ、ウシガエルの声、等を観察。竹林ではミンミンゼミ、クマゼミの声、セスジナガキマワリ、キヌガサタケ、ヒオウギズイセン、オシロイバナなどを観察。キヌガサタケは一株だけでしたが、これからまだ生えてくるのかもしれません。

キヌガサタケはスッポンタケ科のキノコ。キノコの女王ともいわれる綺麗なキノコで、笠をかぶっている感じからコムソウタケとも呼ばれています。幼いキノコは柔らかい殻に包まれて球状、カメの卵に似ている。殻を破って伸び出し円柱状で頂端に鐘状の帽子がある。帽子の内側で胴体と頂端から、純白でレースのカーテンのような美しいマントを垂らす。マントは長く豊かに広がり、帽子の表面には網目状のくぼみがあり、暗褐色で悪臭の強い粘液状の胞子がある。7月から10月にかけて竹林に多く生える。悪臭を放つ粘液を洗い落として食用とする。中国では乾燥して蓄え、貴重な食品とする。マントの色に変化があり、黄色のものはキイロキヌガサタケと呼ばれ日本、韓国、中国、台湾などに、桃色のものをベニキヌガサタケと呼び、アジアの熱帯地域に分布している。

帰宅して門を開けたところトカゲが死んでおり、無数のアリがたかっていました。おそらくネコにでも襲われたのでしょう。傍のブロック塀にはマドガが止まっていました。

除草前の斜面 除草後の斜面 除草下草の回収作業

 7月31日 ここ数日が涼しかったので今日の暑さが堪えます。庭の草むしりをしていたらキアゲハの雌が飛来、ミニトマトにはクサギカメムシとホウズキカメムシがついており、赤くなり始めたトマトの液が吸われて干乾びたり変色したりしています。

近所の駐車場ではコニシキソウ、コヒルガオ、ヒルガオ、ヨウシュヤマゴボウ、エノコログサ、グンバイナズナ、カラスウリ等の花が咲いており夏草の増殖の速さを物語るように繁茂しています。

15時頃に、今年初めてのツクツクボウシの声を聞きました。

地球温暖化を考える(110)

荒川運動公園遊歩道

 大久保浄水場の脇を流れる水路に沿って、鴨川から荒川総合運動公園までの間の総合運動公園通りにある親水公園です。周辺の暑い日差しの中でこの歩道に入ると涼しさを感じます。ホタルを育てる水路あり、木道のある湿地、トンボが集まる池、子供たちが水と親しむことのできる場所など、色々な施設が作られています。35度を超える日差しの中、水路沿いを歩くと非常に涼しく生き返った気分になりますが、荒川土手に上がると猛暑でした。緑地があることによる効果は、

「環境省のホームページによれば(平成19年10月4日)、皇居におけるクールアイランド効果の観測結果について、都内有数の都市内緑地である皇居のクールアイランド効果について検証するため、昨年に引き続き皇居内での気温観測を行いました。その結果、皇居内の8月の気温は周辺市街地より平均で1.8℃低く、また周辺市街地に向かって、昼間は風による冷気の移流、夜間は冷気のにじみ出しがそれぞれ観測されました。このことにより、皇居はヒートアイランド現象の顕著な都市の中心部にあって、明瞭なクールアイランドとなっていることが示されるとともに、周辺市街地の気温の低下にも寄与していることが分かりました。」 

緑地は面積が大きいほどクールアイランド効果があります。荒川総合運動公園遊歩道の場合は緑地としての面積は小さいものの、荒川河川敷と鴨川をつなぐコリドー(緑の回廊)としての役割は充分とはいえないまでも果たしているようです。

大久保浄水場のフェンスに沿った遊歩道
細い流れと遊歩道ホタルを育てる流れ