No.100 2012年10月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (113)

キクイタダキ(ヒタキ科ウグイス亜科) Regulus regulus

体長10cmほどの日本で一番小さな小鳥です。名前の由来は頭頂に菊の花をのせたような冠羽があるところから菊戴、頭は黄色で雄は天辺に鮮やかな赤色がありますが、野外ではなかなか見せてくれません。松毟鳥という別名は、松などの針葉樹の葉を啄みながら虫を食べるところから来ているものと思われます。

本州中部以北の山地の針葉樹林で繁殖し、冬になると市街地の公園などに降りてきます。市街地の公園でもマツやスギなどの針葉樹にいることが多い傾向がありますが、シジュウカラ、メジロ、ヤマガラ等と混群を作り木の枝を渡り歩いています。

 

  雨あとの寺内広きに松毟鳥(まつむしり)  村沢 夏風

 

 

自然の記録:

10月 1日 昨日、台風17号が通過して晴れ間が出たので、安行の花と緑の振興センター方面へ観察に出かけました。晴れ間と言うよりは30℃を越す真夏日となりました。

ホウシゼミはまだ健在でよく鳴いていました。温暖化に伴う御三家3種(ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、アカボシゴマダラ)、ナミアゲハ、ヒメアカタテハ、コミスジ、モンシロチョウ、キチョウ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、ウラギンシジミ、イチモンジセセリ、ナツアカネ、ウスバキトンボ等の昆虫が見られました。また、近頃では珍しくモミジの枝でオオミズアオの幼虫を見ることが出来ました。

エゾヒタキ(1羽)、コサメビタキ(2羽)、キビタキ(雌1羽)、ヤマガラ(1羽)、カケス(1羽)いずれも移動途中、エゾビタキとコサメビタキはエノキなどの高木で頻りにフライキャッチを行い小さな昆虫類を捕らえていた。

10月 2日 庭にルリタテハ、ウラナミジャノメ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミ等が飛来しました。

10月 4日 ボタンクサギに寄生していたシモフリスズメの幼虫8匹が毎日減少して今日は0になりました。まだ蛹化するのは早いので、何者かにやられたものと思われます。ムベに寄生しているアケビコノハの幼虫も昨日までは6匹いましたが、今日は4匹になっていました。

10月 5日 アケビコノハの幼虫が何者かによって捕食されていたものと思っていましたが、今日は目の前でハラビロカマキリに捕食されている現場を確認しました。カマキリがアケビコノハの幼虫の体液を吸っているところでした。カメラのファインダーで拡大してみると、幼虫の体からカマキリの口の中へ吸引されているところを見ることが出来ました。アケビコノハの幼虫も黒っぽいのですが、アケビの葉に似せるために保護色になって身を守っているようですが残り3匹になりました。

カマキリに捕食  防鳥ネットの覆い 緑色に変化して身を守る

10月 6日 アケビコノハの幼虫を保護しようと思い様子を見に行くと2匹になっていました。防鳥ネットでムベ全体を覆いました。野鳥やカマキリは防げますがハチの場合は中に入る可能性があるので、まだ安心は出来ません。

ウマノスズクサにジャコウアゲハの幼虫8匹がいますが、精力的に食べており2本あるうちの1本では6匹が寄生して今週中にも丸坊主になりかねません。柑橘類の葉にはナミアゲハの終齢に近い幼虫が3匹、トゲを残して葉を食べ尽くす勢いですが、古くて堅い葉は残しています。

10月 7日 桜町2丁目のE氏よりアライグマ2頭が自宅庭に現れたとの情報を戴きました。昨日も1頭現れたようです。旧鳩ヶ谷市内でのアライグマの情報は3例目ですが、どういう訳か3例共にはとがやに里山をつくる会のメンバーの庭先に出現しています。

10月 8日 桜町6丁目を流れている水路沿いにツルボ、ヨメナ、チカラシバの小群が開花していました。この辺りは水路の壁面から昔の湧き水の流れが浸みだしてきており、人の手が余り入らないことから残っていたようです。チカラシバは湧水公園でも少しずつ増加の傾向にあります。防鳥ネットで覆ったムベにいたアケビコノハの幼虫は網の目から抜けて蛹化するために何処かへ移動したようです。ジャコウアゲハの幼虫もウマノスズクサを放れて2匹が家の壁にいましたが、いつの間にか消失しました。

ジャコウアゲハの終令幼虫 ジャコウアゲハの蛹

10月12日 家の壁にコカマキリが張り付いていました。鎌の裏側の赤と白の模様が際立っていました。ジャコウアゲハの幼虫は4匹に減少しました。

10月13日 毛長川調節池付近でキンクロハジロ雄1、雌2を初認、見沼代用水との合流点付近でカルガモ15羽、コサギ1羽などを観察しましたが、カモ類の飛来が遅いような気がします。

庭のジャコウアゲハの幼虫はイヌ走りの上を移動していました。ウマノスズクサの葉が殆ど食べ尽くされたので太いツルを食べていましたが、ツルもそろそろ無くなりつつあるので何とか全ての幼虫が蛹になりそうです。

10月14日 家の壁に薄緑色をした蛾が止まっていました。色は大分退化していましたがウスミドリナミシャクという1cm大の三角形をした蛾でした。

ウスミドリナミシャク

10月15日 庭の大根の葉にウラナミジャノメが止まっていました。羽根が奇麗なので羽化後間もない個体のようです。また、裏庭ではタマムシの遺骸がありました。

湧水公園ではアキアカネ、アオスジアゲハ、モンシロチョウなどがいましたが、さすがに昆虫類の数が少なくなりました。タコノアシは大分色づいてきましたが、茹で蛸のようになるにはまだ時間がかかりそうです。

10月16日 旧芝川を1時間ほど歩いてきましたが、カモ類の渡来は遅いようでコガモのみでした。アオスジアゲハ、ツマグロヒョウモン、クロイトトンボ、アジアイトトンボ等を見かけた程度でしたが河川敷内は秋景色となっていました。

10月17日 久し振りにナガサキアゲハの雄が飛来しました。ハゼランは赤い小さな珊瑚玉のような実を付けています。

10月21日 ダイコンの葉にオレンジ色の奇麗なナガメが留まっていました。庭で見るのは初めてです。カキの実が少しずつ色づいてきましたが、夕方になるとカキの樹上でアオマツムシの声が聞こえてきます。最盛期を過ぎ何となく弱々しい声になってきました。

アオマツムシは中国原産といわれており、明治以降に日本に入ってきて分布を広げている昆虫です。日本在来種のマツムシは草地に生息していますが、草地が宅地や舗装道路に変わってきたため減少しています。一方のアオマツムシは樹上生活をしていることにより都市生活に美味く適応し、植栽用の樹木と共に分布を広げ、さらには温暖化の影響もあって、現在は山形県辺りまで生息域が広がっているようです。

大阪に住んでいた頃、夏になると淀川の河川敷に集まるツバメの数を数えるために出かけましたが、帰り道の真っ暗な土手からチンチロリンというマツムシの声が良く聞こえてきました。淀川河川敷のマツムシは“音風景100選“にも選ばれています。

10月22日 庭の生物も少なくなってきましたが、ゲッケイジュの樹上でカネタタキの声が聞こえてきました。カネタタキは時々家の中に偲んでくるのを見かけますが、声を聞く機会はあまりありませんでした。

10月23日 鳩ヶ谷地域では人が住んでいない家や空き地などが目立っていますが、そのような場所ではアレチマツヨイグサ、セイタカアワダチソウ、ノゲシ、イヌタデ等の花が開花し、場所によってはヨウシュヤマゴボウの紫色の実が鈴なりになっているところがあります。本町通りにある御岳神社ではギンナンが落ちて足の踏み場もないほどでした。

庭では降雨の後にアオスジアゲハが飛び廻っていました。

10月25日 昨夕から隣家のキンモクセイでスズメの声が賑わしく聞こえるようになったので、今日確認したところ50羽前後のスズメのお宿になっているようです。道路上にはキンモクセイの花が散って絨毯のように敷き詰められています。

10月29日 今日は多少の風がありましたが暖かい良い天気でした。旧芝川を散策した所、コガモ16羽、ヒドリガモ雄1羽、オナガガモ雄2羽、雌3羽等のカモ類が爾来していました。これから増加していくものと思われます。小鳥類ではジョウビタキの雄3羽が初認となりました。10月も末ですが、モンシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミ、ウラナミシジミ、ウラギンシジミ、ベニシジミ等の蝶、アキアカネ、ナツアカネ等のトンボやクルマバッタなどが観察されました。川の中ではミシシッピーアカミミガメが泳いだり日向ぼっこをしていましたが、1匹だけ犬かき泳ぎをしており道行く人が見ていました。最近、タヌキが出現しておりカメラマンの間では餌付けをしてタヌキの写真を写しているようです

家庭用の雑排水の泡の中で採餌:コガモ ミシシッピーアカミミガメ

10月30日 庭のボタンクサギにクロメンガタスズメの幼虫が2匹、丸太棒のように太っており無我夢中という感じで葉を食べていました。同じ茎にシモフリスズメの幼虫がいましたが、こちらはまだ可愛いという感じでした。壁にベニカミキリが留まっていました。この時期に見るのは珍しいことですが、あまり動こうという気配が感じられませんでした。

ベニカミキリは花に集まる赤くて綺麗なカミキリです。カミキリは木の皮を食べるものが多いが、本種は花の蜜を食べます。鮮やかな赤い体色をしており、前胸部には5つの黒い紋があります。幼虫は竹類を食べるようです。

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 64

ツルドクダミ(ツルドクダミ科) 蔓毒痛/生薬名:何首烏(かしゅう)

全国の山野に広く分布して自生する帰化植物。ツルドクダミの、つるは左巻き、まれに右巻きもあって、非常によく分枝して繁殖します。根茎(こんけい)が長く、土の中を横に走り大きな塊根(かいこん)をつけます。葉は、互生して柄があり、長さは3〜6センチの心形をしています。

花は、長い白色の小花が多数つき、花には、花弁(かべん)が無く、雄しべ8個で花糸が太く、直立しないで右か左に曲がっています。中国の中央・南部原産。ツルドクダミの塊根(かいこん)を、何首烏(かしゅう)といい、効果の程はわかりませんが、髪が黒くなり顔色がつややかとなり、精力が旺盛(おうせい)となって長生きができる不老長寿の薬草とされていました。鳩ヶ谷地域ではあまり見かけませんが、安行地域では場所によっては繁茂しているところもあります。

 

地球温暖化を考える(55)

 第29回全国都市緑化フェア TOKYO

第29回全国都市緑化フェアTOKYOは、都内6箇所のメイン会場を中心に、平成24年9月29日(土)から平成24年10月28日(日)までの30日間にわたり開催されました。9月26日に上野公園の竹の台会場を見学してきました。メイン会場と各会場のテーマ

会場ごとに設定したテーマに基づいて会場づくりなどの展開を行うメイン会場

  上野恩賜公園会場 「多様な文化と芸術の風」
    井の頭恩賜公園会場 「ふれあいとにぎわい、交流の風」
  日比谷公園会場 「都市を彩る生命(いのち)の風」
  浜離宮恩賜庭園会場 「現在(いま)に生きる伝統の風」
    海の森会場 「未来につなげる緑の風」
    国営昭和記念公園会場 「人間(ひと)をはぐくむ杜の風」

 

緑の回廊

メイン会場や協賛会場を相互に結ぶ道路や河川の緑を「緑の回廊」と位置づけ、都内全域に広がる緑のつながりを演出

基本方針

·  緑あふれる環境先進都市東京を次世代に継承する

·  東京の都市観光の創造につなげる

·  災禍を被った人々や地域に支援の輪を広げる

·  江戸の庭園・園芸文化や芸術を保存し継承する

·  緑のムーブメントを支える人材を育成する

·  「スポーツ祭東京2013」の開催機運の醸成を図る

展開方針

·   境先進都市東京を体感することが出来るフェア

·   のつながり、広がりを発信するフェア

·   しい緑・都市観光の創造につながる技術にこだわるフェア

·   禍を被った人々や地域に支援の輪を広げるフェア

·   緑のムーブメントへの参画と連帯・交流を図るフェア

·   「スポーツ祭東京2013」の開催について啓発を図るフェア

東京都では、「上野恩賜公園再生基本計画」に基づき平成21年度から竹の台エリアの再生整備を進めてきました。「竹の台広場」の一部が完成し、今回の会場となりました。元々、この付近は上野の森として良好な林が形成されていましたが、今回の会場では水田や畑などが創出されていました。それ以外は特に変わったところは目立ちませんでしたが、西洋美術館前に植栽された黄色とピンクのコスモスと花が綺麗でしたが、折角の緑の創出フェアですので、もう少し緑を表現するものが欲しいと感じました。そう感じるほど、緑のフェアとしてのイメージが感じられなかったというのが印象です。

上野駅前 森のオブジェ
入り口から国立博物館 入り口の両脇(縦に見えるのはミラー)
東北「農の庭」:奥の建物は国立博物館 水田より入り口方向