No.164 2018年2月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (177)

ヒガラ(シジュウカラ科) Parus ater

日本に生息するカラ類では最も小さく、シジュウカラを小形にしたような感じで、同じ仲間のコガラにも似ている。シジュウカラとの違いは喉からお腹にかけての黒いネクタイがない代わりに、喉に蝶ネクタイをしたような三角形の黒い部分がある。また、頭には短い冠羽があるのが識別点となる。

頭から胸のあたりまで黒い頭巾を被ったように見えるところから黒腹面などと呼ぶ地方もある。

漢字で書くと日雀で「まつがら」という方言もある。日本全国の亜高山帯の針葉樹林に生息する。秋から冬には低地に移動し、他のカラ類やコゲラ、メジロなどと共に混群をつくって行動する。川口市内で見かけることは少ないが、中青木・差間・安行領家、等で数例の観察記録がある。

 

    日雀鳴くひねもす木曽の青の中   矢島 渚男

    日雀来てすぐ去る寒き日なりけり  水原秋櫻子

 

自然の記録:

 2月2日 昨日夜半より雪が降りはじめ、13時頃まで降っていたが積雪がなかったので、雪かきをせずに済んだ。流石に大寒の時期でもあり、気温も低く寒い日が続いている。久々にジョウビタキの雌が庭に飛来した。隣家の屋外に置いてあるネコの餌にはスズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、ハシブトガラスが日参しているというよりは、一日中我が家の庭と隣家の庭で生活している感じである。

 2月 3日 今日は節分、昔は季節の変わり目に当たる立春、立夏、立秋、立冬の前日が節分と言われていた。恵方巻を食べる習慣は30年以上前に大阪へ転勤したときに初めて知りました。恵方巻の起源は江戸時代末期、大阪の船場で商売繁盛の祈願をする風習として始まったと言われているが、正確な起源は不明のようです。庭隅では早くもヒメオドリコソウが小さなくちびる型のピンクの花をつけ始めました。

 2月 4日 今日は立春で、暖かい風が吹いて川や湖の氷が溶けだす頃と言われている。気温はかなり低いものの太陽が当たって風がないと暖かい。相変わらず、スズメやムクドリが集まっています。

 2月 5日 旧芝川を歩く。今日はモズがカワセミを獲り、さらに別のモズが自分より体の大きなツグミを狙って攻撃したがツグミのけたたましい声に圧倒されたのか、飛び去ってしまった。風もなく暖かかったのでアシ原ではメジロやオオジュリンなどが枯れアシに止まり採餌に夢中でした。今日の野鳥観察種数は30種類、種類は毎回ほとんど同じ顔ぶれで新しいものはなかなか見つかりません。家の庭では過去最大羽数となるスズメ35羽やムクドリ6羽、ハシブトガラス、メジロ、ジョウビタキの雌等が来ていました。

 2月 7日 朝、庭が騒がしいなと思って雨戸をあけるとオナガの群れが飛び交っていました。22羽の群れでした。以前は多い時には50羽ほどの群れが来たことがありますが、最近は減少したようで20羽以上の群れを見ることが珍しくなってきました。市内でも高齢化が進み大きな樹木の伐採が行われており、営巣場所が減少し餌となる昆虫類が激減しています。いつの日か市内からオナガの群れが消える日が来るかもしれません。

水浴び中のジョウビタキ(旧芝川) ハシボソガラスの行水(旧芝川)

 2月11日 庭隅でスノードロップが一輪開花しました。3年前までは玄関の前に5株ほどあったのが、消失したと思っていたところ5m以上も離れたところに出てきたので驚きました。クリスマスローズも鉢植えのものが花をつけ、地植えのものはようやく発芽してきました。近所の庭では紅梅や白梅が開花し始めましたが、我が家の枝垂れウメはようやく蕾が膨らみ始めたところです。

午後になって赤井地区へ用事があって出かけたところ、オナガ16羽が飛び回っていました。樹木の少ない、このあたりでオナガの群れを見るのは珍しいです。

 2月12日 今日は陽射しが暖かかったが風がかなり冷たく冷え込みました。買い物のついでに、旧芝川と新芝川の合流点付近を散策しました。ホトケノザとオオイヌノフグリが僅かですが開花していました。青木水門付近でオオセグロカモメとセグロカモメの成鳥が下流から上流へ飛んで行きました。オオセグロカモメは埼玉県内での記録が少なく、旧鳩ヶ谷市内では2014年4月7日に続いて2度目の記録になります。オートレース場裏の旧芝川ではイソシギも見ることができました。モズに追われたアカハラが土手の手擦りに止まりましたが、再度モズに追われて消失しました。獲れるのかどうかはわかりませんがモズは自分より大きなアカハラやツグミを襲っています。

新朝日橋下流では旧芝川で初記録となるヨシガモの雄が1羽休んでいました。今日の野鳥観察種数は30種類でした。

精悍なモズの顔 スノードロップ クリスマスローズの開花

 2月16日 旧芝川付近のカモ類の個体数が減っていました。今日の観察種数は27種類でしたが、イソヒヨドリの雄とヨシガモの雄が旧鳩ヶ谷市内の前田地区を流れる旧芝川で観察されました。旧鳩ヶ谷市内でのヨシガモの観察は初記録となります。タネツケバナが開花し、ヒカンザクラと思われるサクラの花も開花していました。甲羅干しするカメの姿も多くなり、ミシシッピアカミミガメが50頭以上、イシガメも10頭以上、交雑種とみられるカメも2頭見られました。餌が少ない時期なのでムクドリ、スズメ、ヒヨドリなどが草地におりて採餌していました。特にヒヨドリの食欲はすごいものです。数株生えていたギシギシの葉が、あっという間に食べつくされました。

 2月19日 墓参の帰りに近くにある前野宿川調節池を散策、前野宿川が工事中のため中には入れませんでしたが、カルガモ、オオバン、ハクセキレイ、カワラヒワ、ハシブトガラス等がいました。日本の72候では、今日は「雨水」と言われ氷雪の溶けだす頃で雨水がぬるみ、草木の発芽を促す頃といわれています。

草を食べるヨシガモ ギシギシを食べるヒヨドリ

 2月21日 どんよりとして肌寒い一日でした。今日も新芝川と旧芝川周辺を散策した。青木水門近くの葦原でホオジロとアオジが出現、旧鳩ヶ谷市内でのホオジロの記録は久しぶりです。ホトケノザとタネツケバナの花が目立ち始めました。今日の野鳥は32種類で、カワセミ狙いのカメラマンが多くなりました。ウグイスの声もいくつか聞こえましたが地鳴きの状態で囀りはまだのようです。東京ではすでに初鳴きの囀りが始まっているところもあるようです。

家の廊下でツマグロオオヨコバイが観察されました。そろそろ昆虫も出はじめたようです。

● 1月5日〜2月21日までに観察したヒドリガモの個体数の変化を調べたところ、観察日によって個体数に変化が見られた。最大羽数は86羽、最小羽数は29羽であった。

雄の成鳥と幼鳥の個体数の変化を見ると、22%〜55%で高い数値を示していた。

バードリサーチよる全国調査では、幼鳥の比率が20%以下であることから、芝川の幼鳥の比率は高めであった。

青木水門から塩入橋付近の新芝川におけるヒドリガモ個体数の変化
 
ヒドリガモ(雄成鳥) 雄(幼鳥)

 2月26日 真冬の寒さが続いていますが、日脚は次第に伸び始め春の気配が見えてきました。近所の家ではマンサクが満開となり、我が家の枝垂れウメも開花して一分咲きとなりました。

今日も買い物のついでに2時間ほど、旧芝川を散策。往復8000歩ほどですが、カモ類の個体数がめっきり減少、カワセミは繁殖期に入ったようで雄雌が頻繁に追いかけっこをするかのように飛び回り、今日は4個体を観察しました。カメラマンも数を増し、川岸の各所に小枝をさしてカワセミを止まらせて写真を写しています。今日の目玉はイソシギでした。眼前3mほどの距離で餌を探しながら下を向いて歩いており、目の前を通り過ぎても全く気ずかずか、無視されていたのか?ゆっくり見ることができました。

 2月27日 近所の畑で菜の花が開花しました。近所の家の庭でもプランターの菜の花が満開状態でした。ウメの花は、どこも満開状態ですでに散り始めているところもあります。我が家の庭に置いてあるクンシランが枯死したと思っていたところ一株から花芽が出てきました。

 2月28日 朝庭に出てみるとキジバトの羽毛が散乱していました。我が家の周りを数頭の野良猫が徘徊しているので、おそらく野良猫のやられたものと思われます。

 

地球温暖化を考える(117)

 

埼玉県でサクラの外来害虫クビアカツヤカミキリの分布が広がっている

 

クビアカツヤカミキリ(学名:Aromia bungii、別名:クロジャコウカミキリ)

 本種は中国、モンゴル、台湾、朝鮮半島、ベトナム北部などを原産とし、成虫の体長は約2.5〜4pで全体的に光沢のある黒色、胸部が赤く(海外では胸部が黒い個体も存在)、別名のクロジャコウカミキリの名が示すように独特なじゃ香のような香りを放つのが特徴です。寄生した幹や主枝の樹皮の割れ目に産卵、8〜9日後に孵化した幼虫が2〜3年かけて材部を食害(多量のフラスを排出)し、6月中旬〜8月上旬頃に成虫となって樹木の外に出てきます。壮齢や老齢のサクラが被害を受け易いばかりでなく、セイヨウスモモ、ウメ、モモなど主にバラ科の植物に寄生すると言われ、本種が多数加害すると樹木を衰退・枯死させることもある。

 

日本での発生状況

 日本へは外国産梱包資材に紛れて侵入してきたと考えられ、2012年に愛知県のサクラ・ウメで初めて報告されました。2013には埼玉県のサクラ、2015年には群馬県、東京都、大阪府のサクラ、徳島県のサクラやモモ、2016年には栃木県のサクラでも確認されています。 本種の生態や分布が拡大している状況から国内の生態系への影響が危惧ざれ、2015年の「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(環境省及び農林水産省)」に総合対策外来種として記載され、2018年1月には、特定外来生物(環境省)に指定されました。

 

埼玉県では、

 2013年に草加市の小学生が採集したのが最初で、その後は越谷市、羽生市、行田市、熊谷市、深谷市、加須市などでサクラの樹木被害や成虫の生息が確認されています。羽生市ではスモモでの被害も報告されています。

 

特定外来生物とは、

外来生物法に基づき、146種類が指定されている。外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されます。特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけではなく、卵、種子、器官なども含まれます。飼育や譲渡、輸入が原則禁止され、違反すると懲役や罰金が科せられる。外来生物法は、もともと日本にいなかった外来種による生態系や農業への被害を食い止めるため、2005年に制定された。

 

クビアカツヤカミキリムシを発見した場合の注意点

@ 飼育や運搬は原則禁止

A 屋外へ放つことは原則禁止

B 譲渡や引き渡し、販売も禁止

C 特別に許可を受けて飼育する場合も、あらかじめ定められた「特定飼育等施設」以外では飼育禁止

 

埼玉県のクビアカツヤカミキリに関する、情報は

http://www.pref.saitama.lg.jp/cess/center/kubiaka.html で見ることができます。