No.126 2014年12月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (139)

サンカノゴイ(サギ科) Botaurus stellaris

サンカノゴイは漢字で書くと「山家五位」。全長70pほどの大きなサギの仲間です。本州以南では留鳥または冬鳥で湿地や湖沼、河川のヨシ原などに生息します。繁殖期にはウシガエルに似たボーボーという低く野太い声で鳴くのでその存在がわかりますが、個体数が少なく、稀にしか見ることが出来ません。主にアシ原の中で生活するために体の色が枯れたアシの色とよく似ています。緑色のアシの中にいても首を伸ばすと胸のストライプが保護色となり見事な擬態になります。大きな体の割には、頸を伸ばして体を平行にすると、10p程に伸びた早稲田の中をあるいても見つけにくくなるほどです。飛ぶ時は鈍重に見えますが、意外と早く飛翔しアシ原の上などを低く飛んでいるとチュウヒやノスリなどのワシタカ類と誤認されやすい。

川口市周辺では、芝川第一調節池で時々観察・撮影されていますが、広い環境であるために見つけることは容易ではありません。

 

自然の記録

12月 2日 近所の庭の日溜りでヒメアカタテハやキチョウが飛び交っていました。湧水公園のヨシではコバネイナゴが数匹跳ねていました。また、細い水路ではメダカがたくさん泳いでいました。寒くなると子供たちも魚取りに来る頻度が少なくなるため安心していられるのでしょう。

12月 3日 旧芝川を青木水門から青木橋まで往復散策しました。カモ類の種類も個体数も増加し、カルガモ(6)、オナガガモ(雄16、雌12)、コガモ(雄8、雌15)、ヒドリガモ(雄11、雌7)、ハシビロガモ雌、キンクロハジロ雄、ホシハジロ雄、等78羽でした。これからもう少し増加することでしょう。その他アオサギ、コサギ、ゴイサギ、オオバン、カワウ、ユリカモメ、ジョウビタキ、シジュウカラ、ハクセキレイ、イソシギ、キジバト、スズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、オナガ、ハシボソガラス、ドバト、カワセミ等25種類でした。カワセミは各所で見ることが出来ました。最低3個体がいたようです。その他、ミシシッピアカミミガメ2頭、アキアカネは水面に尾をつけながら産卵していました。赤とんぼの仲間では一番遅くまで見ることが出来るトンボです。近年芝川筋で増加しているのはオオバンです。芝川筋の土手の草地で多い時には50羽以上のオオバンが群れてスカンポやギシギシ等の野草の葉を食べています。

嘴よりも大きな魚 魚を捕らえる ホバリング 飛んできたカワセミ
アキアカネ ゴイサギ オオバン

12月10日 テイオウダリア、あるいはコダチダリア(木立ダリア)とも呼ばれる大きなダリアが市内各地で咲いています。初めて見た時は何の木だろうと思いましたが、花がダリアにそっくりなのですぐに名前が分かりました。テイオウダリアはダリアの原種の一つで、草丈が2m以上になります。薄いピンク色の大きな花が沢山咲き、学名からダリアの皇帝、皇帝ダリアというという別名があります。隣家の庭では毎年綺麗な花を咲かせていますが、初めて見たのも隣家の庭でした。花の少ないこの時期に花を咲かせる数少ない植物です。

とある空き地ではホトケノザのピンクの花が満開となっていました。春に満開となるのはわかりますが、これから厳冬期に向かって満開になるとは驚きでした。

12月11日 雨戸をあけると外が鳥の声で騒がしい。我が家と隣家および後ろにある民家の庭のカキの木5本に野鳥が集まっている。ヒヨドリ、ムクドリ、ツグミの群れが賑わしく飛び交い、我が家の庭ではスズメの群れに混じって、メジロ、シジュウカラ、ウグイス、コゲラが入交り庭中を飛び回り熟柿をつついたり、木の小さな洞をつついたりしていました。コゲラが来たのは久しぶりです。まとめて50〜100羽の群れが来ているにもかかわらずカキの実は豊富ですので、それぞれに餌にはありついているようです。

小雨降る中で江川沿いに散策していたところ、久しぶりにオナガガモ(雄4、雌4羽)とカルガモ9羽の群れがいました。ほんの数メートルの距離ですが落ち着いて採餌していました。

12月12日 今朝はカキの木にメジロ15羽が集まっていました。我が家へ飛来したメジロの数としては一番多い個体数でした。アメリカスミレサイシンの紫色の花が開花しました。

コンフォール東鳩ヶ谷の敷地内で久しぶりにジョウビタキの雌を見つけましたが、体を膨らませて静かに尾を振っていました。今日は一日中外気温が低かったため野鳥にとっても暖房がほしいところでしょう?

12月15日 昨日は東京都心で例年に比べ6日早い降雪・初雪となったようです。湧水公園でも池の水は凍りませんでしたが、池の周りは多くの霜柱ができて凍っていました。流石に生き物の気配はなくキジバトのペアのみ見かけました。

12月17日 今日も北風が強く寒い。時々自転車が押し戻されそうになりましたが、中居小学校近くの新芝川でヒドリガモ約50羽が風に押されるようにして岸辺へ流されていました。

12月19日 エノキの剪定をしていると大きなジョロウグモが下りてきました。この時期はクモの巣を張らないので庭から消えたものと思っていましたが、寒さにめげず頑張っていたようです。庭のムベの実が紫色に色づいてきました。我が家から見える民家の松の枝にハシボソガラスが営巣を始めました。今の処は針金でできたエモン掛けが大半ですが、どこから集めてくるのか、たいしたものだと感心しています。

12月20日 桜町湧水公園の水路や池の周りを、はとがやに里山をつくる会のメンバー5名で葦苅等の整備を行いました。作業終了後にカワセミが様子を見に来たのか池の周囲にある棒杭に渡してある紐の上に止まってくれました。餌をとらずに見沼代用水方面に飛び去りましたが、時々は来ている様子なので安心しました。その後、斜面林の竹林に入り作業を行いましたが、いつの間にかシュロの発芽が増えており100本以上の芽生えを確認しました。抜き取り作業を行わないと竹林がシュロ林になりそうです。

ジャガイモのような感じのムベの果実 エモン掛けで作られたカラスの巣

12月21日 庭のカキの木にメジロ、スズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、ツグミ等が群れていましたが、14時30分頃に急に騒ぎ出したと思ったらツミの雄が来てカキの木に止まりました。ツミはすぐに飛び去りましたが、ヒヨドリ以外の鳥は数分間近づいてきませんでした。小型とはいえ流石に猛禽類です。

12月22日 今日は冬至でしたが日中は暖かかったので、サクラの剪定をしました。庭のユズの木は植えたわけではありませんが、20年以上前から生えており、時々剪定しているので大きく成長しませんが実をつけてくれます。昨年は10個ほどでしたが、今年は50個以上の実がなりました。お陰様で今夜は湯船に浮かべることが出来ました。冬至と言えばユズ湯ですが、体を温めて風邪知らずということが昔から言われています。冬至というのは一年の始まりとも言われていたそうです、ユズの香りや薬効で体を温める禊(みそぎ)の意味があったようです。今日は夕飯にかぼちゃと小豆のいとこ煮も食べました。

窓ガラス越しで写したメジロ カキの実に頭まで入れて食べるヒヨドリ

 12月24日 庭の掃除をしていたところヒヨドリの羽毛が沢山飛び散っていました。羽毛のみで体はありませんでしたが21日にツミが来ていたことから、おそらくツミにやられたのではないかと思います。それでも、周りのカキの木には何事もなかったかのようにヒヨドリ、ムクドリ、ツグミ、スズメ、メジロに加えてハシブトガラスも集まっていました。

木の下にはカキの実を食い散らかした後の種子や皮などが沢山落ちており、それに混じってどこかで食べてきたのかキカラスウリの種子が沢山散乱していました。毎年キカラスウリが発芽していますが、今年は蔓が大きくなる前に数10本間引きをしたのですが来年も発芽しそうです。野鳥が運んでくる種子は発芽しやすく、今年はアオキ、ムラサキシキブ、サンショウ、マンリョウ、ピラカンサ、エノキ、等が発芽したので植木鉢で育てています。いずれは市内のどこかへ移植する予定でいます。

 

地球温暖化を考える(79)

 生態系にすでに異変が出始めている

 マダラヒタキという鳥をご存じですか? マダラヒタキ(Ficedula hypoleuca)はヨーロッパで繁殖し、冬をアフリカの熱帯地域で過ごす渡り鳥です。日本では1991年に石川県の輪島から約50q離れた離島の舳倉島で初めて記録され、その後は2007年の10月に仙台市の三神峯公園で記録されました。 

普通はヨーロッパにいる鳥ですので日本ではお目にかかれない、いわゆる迷鳥です。 そのため、日本中からバーダー(鳥類愛好家)が集まったほどの珍鳥です。

「STOP THE 温暖化 2008 環境省」のパンフレットを見た方はご存じかも知れませんが、ここに出ています。

オランダで繁殖するマダラヒタキは、ここ20年間の春の気温の上昇とともに産卵期が早まったことが報告されています。そしてマダラヒタキがアフリカから渡りを開始するタイミングは日長によって決まっていることが知られており、気温の上昇にともなった変化は見られない。このためマダラヒタキは温暖化とともに、繁殖地に到着後の短期間で繁殖を開始することを迫られるようになっています。さらに、オランダにおける研究では親子の個体を識別し翌年の渡りの成功を調べたデータからは、マダラヒタキでは年を追うごとに早く繁殖を開始する方向へ強い選択圧がかかっていることが明らかとなっています。親子間で産卵開始日に相関が見られなかったことから、繁殖開始のタイミングは遺伝的な違いによるものではなく、繁殖地における環境条件によって可塑的に変化すると考えられる。

渡り鳥であるマダラヒタキは、アフリカ中部北部で冬を越し、春にオランダなどに渡ってきて繁殖し、秋にまたアフリカに戻ります。繁殖期にはヒナを育てるために大量に餌を与えなければなりませんが、餌はガの幼虫などです。このガの幼虫が地球温暖化の影響を受けて、早く発生するようになりました。                      

マダラヒタキ(仙台市内の公園にて)

そのため、マダラヒタキが渡ってきて、繁殖をはじめヒナが孵化した頃に、餌となるガの幼虫の発生のピークが過ぎてしまい、ヒナに十分に餌を与えられず、ヒナが死んでしまいます。そのため、マダラヒタキが減少していき、最大で90%減少した地域もあるとの事です。                       

マダラヒタキのみならず温暖化の影響以外にも、餌である昆虫類が何らかの影響で減少すると小鳥類への影響は大きくなります。

 

2014年度に観察された生物

 

野鳥: カワウ、ツミ、オオセグロカモメ、セグロカモメ、ユリカモメ、カイツブリ、オオバン、マガモ、カルガモ、コガモ、ハシビロガモ、ヒドリガモ、アメリカヒドリ、オナガガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、ゴイサギ、イソシギ、キジバト、コゲラ、モズ、ヒヨドリ、ツバメ、ハクセキレイ、ムクドリ、コムクドリ、スズメ、ジョウビタキ、ツグミ、シロハラ、イソヒヨドリ、アオジ、シジュウカラ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、カワセミ、メジロ、カワラヒワ、 ドバト(43種類)

 

動物:アライグマ、ハクビシン、タヌキ、イタチ、クマネズミ、ドブネズミ、シマヘビ、カナヘビ、ヤモリ、ミシシッピアカミミガメ、ニホンイシガメ、クサガメ、ドブガイ、クロベンケイガニ、アメリカザリガニ、コイ、ライギョ、ボラ、モツゴ、タップミノー(カダヤシ)、メダカ、ムカデ、ゲジゲジ、ミミズ、 ギンメッキゴミグモ、ササグモ、ジグモ、ジョロウグモ、ナガコガネグモ(27種類)

 

昆虫類:アオスジアゲハ、アゲハチョウ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ、コムラサキ、アカタテハ、ヒメアカタテハ、アカボシゴマダラ、ゴマダラチョウ、ヒメウラナミジャノメ、ウラナミジャノメ、ヒカゲチョウ、サトキマダラヒカゲ、キチョウ、モンキチョウ、モンシロチョウ、ツマキチョウ、コミスジ、キタテハ、ルリタテハ、アカタテハ、ヒメアカタテハ、キマダラセセリ、ツマグロヒョウモン、イチモンジセセリ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、アオイラガ、アケビコノハ、アシブトクチバ、シモフリスズメ、シロマダラノメイガ、セスジスズメ、ドクガ、チャドクガ、ヒメシロモンドクガ、ホソオビアシブトクチバ、マエアカスカシノメイガ、ユウマダラエダシャク、ブドウスカシクロバ、マダラマルハヒロズコガ、アオバヤガ、アカウスグロノメイガ、ヒトリガ、マドガ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、コフキトンボ、コシアキトンボ、ハグロトンボ、ショウジョウトンボ、ウスバキトンボ、ギンヤンマ、クロスジギンヤンマ、オニヤンマ、ウスバキトンボ、アオイトトンボ、アジアイトトンボ、アオモンイトトンボ、オオツマグロヨコバイ、クロフヒゲナガコメツキ、ヤマトクロアリ、アカビロードコガネ、マルガタコガネ、ゴミムシ、クロコガネ、クロビロードコガネ、コガネムシ、クロコガネ、ドウガネブイブイ、コフキコガネ、カブトムシ、アカヒラタゴミムシ、タケトラカミキリ、キボシカミキリ、ナガゴマフカミキリ、テントウムシ、ニジュウヤホシテントウ、ナナホシテントウ、クロウリハムシ、ウリハムシ、ツユクサハムシ、アカクビハムシ、スグリゾウムシ、ヒメシロコブゾウムシ、トウキョウヒメハンミョウ、ホオズキカメムシ、オオモンシロナガカメムシ、オオホシカメムシ、ツチカメムシ、ナガメ、ベッコウガガンボ、ミカドガガンボ、キボシアシナガバチ、キイロスズメバチ、コスズメバチ、セグロアシナガバチ、チュレンジバチ、ハラナガツチバチ、キンケハラナガツチバチ、アメリカミズアブ、シオヤアブ、マガリケムシヒキ、ハサミムシ、ニイニイゼミ、ツクツクボウシ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、クマゼミ、アオマツムシ、ウスグモスズ、カネタタキ、ハラオカメコオロギ、オンブバッタ、ヒシバッタ、トノサマバッタ、ツチイナゴ、クルマバッタモドキ、オオカマキリ、ハラビロカマキリ、ムギワラギクオマルアブラムシ(127種類)

 

植物:アオアガヤツリ、アカバナユウゲショウ、アキノエノコログサ、アミガサユリ、アメジストセージ、アメリカイヌホオズキ、アメリカスミレサイシン、アメリカハナミズキ、アメリカフウロ、アレチウリ、アレチマツヨイグサ、安行桜、イシミカワ、イチョウ、イヌガラシ、ウシハコベ、ウラシマソウ、エノコログサ、エノキグサ、オオイヌノフグリ、オオカワジシャ、オッタチカタバミ、オオケタデ、オオマツヨイグサ、オシロイバナ、オニタビラコ、オモダカ、カタバミ、カラムシ、ガマ、カラスビシャク、ギシギシ、キズイセン、キンエノコロ、ゲンペイコギク、コバンソウ、コヒルガオ、セイヨウカラシナ、カラスノエンドウ、カワジシャ、カントウタンポポ、キクザキイチリンソウ、キンミズヒキ、キケマン、クサイチゴ、クサギ、クズ、交雑タンポポ、コオニタビラコ、コガマ、コブシ、サクラソウ、ザクロソウ、サンカクイ、ジギタリス、シキミ、シャガ、ショウブ、シロツメクサ、セイヨウアブラナ、セイヨウタンポポ、スズメノエンドウ、スズメウリ、スノウドロップ、スベリヒユ、ソクズ、タガラシ、タケニグサ、タタカサブロウ、タツナミソウ、タネツケバナ、チェリーセージ、チチコグサモドキ、テイオウダリア、ツクシ、ツツジ、ツユクサ、ツルウメモドキ、ドウダンツツジ、ナガエコミカンソウ、ナガミノヒナゲシ、ニシキソウ、ニリンソウ、ナズナ、ナンテン、ネコヤナギ、ニオイコブシ、ノゲシ、ノボロギク、ノミノフスマ、ハエドクソウ、ハギ、ハクモクレン、ハコベ、ハナニラ、ハナミズキ、ハハコグサ、ハルノノゲシ、ハンゲショウ、ハンノキ、パンジー、ヒイラギ、彼岸桜、ヒナタイノコヅチ、ヒメオドリコソウ、ヒメガマ、ヒメスミレ、ヒメジオン、ヒメミズバショウ、ヒルガオ、ヘビイチゴ、フトイ、ヘクソカズラ、ホシアサガオ、ホウキギク、ボケ、ホトケノザ、ポピー、マメアサガオ、マンサク、ミツマタ、ミモザ、ミズバショウ、ミズヒキソウ、ミモザ、ムサシアブミ、ムベ、ムラサキサギゴケ、ムラサキツユクサ、ムラサキサキハナナ、モクレン、ヤツデ、ヤブガラシ、ヤブカンゾウ、ヤブミョウガ、ユキヤナギ、ヨウシュヤマゴボウ、ラベンダーセージ、レンギョウ (138種類)