No.27 2006年9月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (40)

シロハラ(ツグミ科) Turdus pallidus

シロハラツグミ

ツグミとほぼ同じくらいの大きさで、ツグミは比較的開けた場所で見ることが出来ますが、シロハラは藪や林、あるいは林縁部に見られる事が多いようです。夏の間極東地方からシベリアなどで繁殖して、秋になると越冬のため日本へ渡ってきます。10月中旬から4月始め頃まで越冬し、ミミズや木の実などを食べて冬を越します。古い記録では対馬での繁殖記録もあるようです。日本海の離島(舳倉島、など)では渡りの時期になると島中がシロハラの群れで賑やかになることもあります。

特徴は雄の頭部が灰褐色で、体上面は茶褐色をしています。尾羽の先に白斑があり、飛んだ時にこの白斑がよく目に付くところから、シロハラであることが識別可能になります。鳩ヶ谷市内では数十年前までは屋敷林や植木畑が多かったので見ることが出来ましたが、近年は桜町6丁目、本町3丁目などで数例の観察記録がある程度で少なくなっています。

自然の記録:

 9月 3日   マルガタゴミムシ、ツチカメムシ、オオクロヒラタミムシが庭を徘徊していた、メヒジワ、オヒジワ、カヤツリグサが開花した(桜町6丁目)。

 9月 4日   ここの所毎日、コミスジ、ヤマトシジミが飛来し、ツクツクボウシが鳴いている(桜町6丁目)。三ツ和公園、小渕公園、辻公園ではツクツクボウシとアブラゼミがよく鳴いていた。天神橋付近でツマグロヒョウモン雄1を観察、芝川でカルガモ10羽が休息していた。

鳩ヶ谷市にもいたハクビシン:4月21日雌1頭、6月23日雄1頭が辻のお寺で捕獲された。天井裏に入って走り回るので迷惑であるということで捕獲された。ハクビシンは外来生物であるが、鳩ヶ谷市内で捕獲されるとは思わなかった。タヌキも出現、7月下旬から8月上旬にかけて本町3丁目付近の民家で確認された。近年の情報としては@鳩ヶ谷東公団と桜町5丁目から慈林にかけての江川沿い、A里中学校、などの観察記録がある。タヌキが増加しているのか、安行や見沼田圃あたりから移動してきているのか?今後の動向が注目される。

 9月 6日   雨が上がると蝶が飛び出す。アオスジアゲハ、キマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、コミスジなど、オオハラナガツチバチ、ルリチュウレンジバチ、オオモンクロベッコウ、ツマグロヨコバイ、スカシバハゴロモなどが飛び回り、オカダンゴムシも活発に活動している。家の中でシラヒゲハエトリ(クモ類)が動き回っていた。また、今年はじめてヒヨドリジョウゴが2株開花した。ツル性の植物が芽を出したのは知っていたが、ヒヨドリジョウゴとは思わなかった(桜町6丁目)。

鳥が運んできたクコの花 鳥が運んできたヒヨドリジョウゴの花
鳥が運んできたクコの花 鳥が運んできたヒヨドリジョウゴの花

 9月 9日   20時過ぎ玄関の窓にヤモリ2匹が張り付いており、光に集まる昆虫を狙っていた。

 9月11日 ミスジチョウが飛来し、クコが開花した(桜町6丁目)。

 9月12日 柿の木にコゲラ2羽、シジュウカラ3羽の群れが飛来し、オナガも飛来した。2年前に発芽したクコが沢山開花した。7月から8月にかけてはガの幼虫等によって殆どの葉が食べ尽くされていた。

天井裏で時々動物が走っている。以前はネコがよく入っていたが、ネコの出入りする場所を塞いでからはしばらく物音がしなかったが、ここの所頻繁になったため天井へ上がって調べたところ、イタチの足跡があった。おそらくネズミでも追って入ってきたのであろうが、侵入口が見つからなかった(桜町6丁目)。

 9月15日 3日間降り続いた雨がようやく止んで、コミスジが飛び回り、アブラゼミとツクツクボウシが鳴きだした。アブラゼミの声は昨年9月8日が終認であったが、今年は一週間長く鳴いている。いつまで鳴いてくれるであろうか?

 9月17日 本町3丁目鳩中西出口付近でルリタテハを観察、コゲラの声を聞く(桜町6丁目)。

 9月18日 台風の雨が止んだ後、門柱にシバスズとカネタタキが止まっていた、今日もコゲラの声を聞く(桜町6丁目)

 9月19日 久し振りに夏日となったためか、アブラゼミが鳴いている、昨年よりも11日長く鳴いている(桜町6丁目)。本町2丁目の路上でヒメアカタテハが休息し、近くの道端にアメリカ原産のダンドボロギクが咲いていた。

 9月20日 コバネイナゴ、ウスバカマキリが草むらに、カナヘビがブロック塀で日向ぼっこ、クコの花にはチャバネツヤハムシ、ルリマルノミハムシ、ハラナガツチバチなどが集まってきた。枯れたキンモクセイの幹でアブラゼミガ羽化した(桜町6丁目)。

 9月21日 17時過ぎに月下美人の蕾にツマグロヒョウモンが飛来し止まっていた、最近市内で観察されるようになったが、本町、桜町、南町などで観察されており、近い将来市内では普通に見られる種類になる可能性がある(桜町6丁目)。

 9月23日 秋晴れの中、桜町6丁目の民家数軒で各種の花の間をツマグロヒョウモン雄2、雌1、ナミアゲハ、クロアゲハ、ヤマトシジミ、ヒカゲチョウ、アキアカネなどが飛び交っていた。

ツマグロヒョウモン 雄

 9月24日 天神橋付近の芝川でギンヤンマ雄1、雌2が浮いているゴミに止まり交尾中、ツマグロヒョウモン雄1が土手の草花の上を飛び回っていた。ヒガンバナ、アレチウリも開花し、水辺ではアオサギ、カルガモが休息していた。

ナガサキアゲハの雄が芝川の天神橋からふれあい橋付近で飛んでいた。鳩ヶ谷市では初記録である。ナガサキアゲハは柑橘類の害虫といわれ、1940年頃までは山口県・愛媛県などより南に分布していましたが、1995年には近畿地方でも見られるようになり、近年では温暖化の影響により関東近県にまで分布が広がってきていました。見沼田圃にある川口市の自然の家では9月に入り数個体が観察されました。しかし、鳩ヶ谷市内でも観察されたのには驚きました。ツマグロヒョウモンが昨年から市内で見られるようになったと思っていたら、今年は市内の至る所で観察されるようになりました。

17時過ぎアブラゼミが鳴き出した(桜町6丁目)

 9月25日 本町2丁目4番地〜桜町6丁目およびふるさとの森「三光稲荷」周辺でツマグロヒョウモン雄7、雌1を観察した。ここ数日増加したような気がする。同地域でクロアゲハ、ナミアゲハ2、ノシメトンボ、アキアカネ、キイロテントウ等の昆虫が見られた。三光稲荷の林道ではヒガンバナの小群落が数カ所に見られた。暗い林の影に真っ赤な曼珠沙華の色が映えていた。また、周りの植木畑ではスベリヒユ、キュウリグサが開花していた。ラクダ坂脇の畑が放置された途端にアシ・タケニグサ・アレチノギクなどが生育始めたが、その上を覆うようにイシミカワの群落が生育してきた。植物の遷移は早いものである。桜町6丁目ではミンミンゼミの声も聞こえた。セミも明らかに温暖化の影響を受けているものと思われます。

中央病院の庭では桜の木にシジュウカラ5羽が飛来し、賑やかに餌を採っていた。益鳥としての役目を充分果たしてくれている、生物農薬の見本のようなものである。この様な野鳥がもっと増加してくれれば、殺虫剤などの散布ももっと減少することであろう。

● タンポポ調査の纏め

2004年と今年の春に行った市内のタンポポ調査の結果を纏めてグラフに示しました。2004年度は鳩ヶ谷市全体(5地区395本調査:除草された場所が多かった)でタンポポの種類の割合がセイヨウタンポポ89.6%、カントウタンポポ3.5%、両種の交雑タンポポ6.9%であり、市内のタンポポはセイヨウタンポポが優勢であった。

2年後の今年(6地区、1325本調査)は様相が変わり、セイヨウタンポポ59.1%、カントウタンポポ22.0%、交雑タンポポ18.9%という状況で、セイヨウタンポポが約30%減少し、カントウタンポポが約19%増加、交雑タンポポが約12%増加しています。

地区別で見ると旧市街地桜町・本町地区では関東タンポポと交雑タンポポが増加し、坂下町では交雑タンポポが優勢となり、区画整理が行われた辻・里地区は相変わらずセイヨウタンポポが優勢、八幡木地区では2004年度にカントウタンポポと交雑タンポポが僅かに観察されたが、2006年度はカントウタンポポが50%、交雑タンポポが10%、セイヨウタンポポは40%に減少しました。たかがタンポポではありますが、タンポポといえども環境の変化に敏感に反応し、市内における植物の生態系の変化を捉えています。ツバメの営巣の推移でもわかりますように、どのような生物も周りの環境の変化によって生息状況が大きく変化します。タンポポの変化も今後、どのように変わっていくのか継続調査を行う予定です。

タンポポの分布状況 2004年 タンポポの分布状況 2006年