No.1 2004年4月

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身近な自然を観察しよう

鳩ヶ谷市は都市開発に伴い年々自然が失われています。しかし、よく見れば身の回りに多くの生物の営みがあります。身近な自然の観察記録を蓄積することにより、環境の変化が理解できるようになってきます。

腐ったものに集まるシデムシ:掃除屋さん(4/26) ツツジで吸蜜するクロアゲハ(4/30)
腐ったものに集まるシデムシ:
掃除屋さん(4/26)
ツツジで吸蜜するクロアゲハ(4/30)

ツバメ来る

今年のツバメの初認(初めて姿を確認した日)は3月29日であった。4月に入り巣作りを始めたものもいるが、市内で観察した巣は6カ所で、ツバメの姿が見られたのは1カ所であった。5月になってから巣作りをするものもいるので、もう少し増えるかもしれない。

20年前、市内には100巣以上のツバメの巣があった。しかし、都市開発に伴う区画整理、道路の拡張、農家の減少などにより水田が90%以上も失われてしまった。夏の風物詩として水田の上をスイー、スイーと飛んでいるツバメの姿を見ることは、鳩ヶ谷市内ではもう見ることが出来なくなった。

営巣途中のツバメの巣 ドクダミに止まるホシベニカミキリ
営巣途中のツバメの巣 ドクダミに止まるホシベニカミキリ

市内のタンポポ調査をしました

タンポポは、野原や公園など私たちのまわりでよく見かける身近な植物です。

キク科の多年草で日本に20種あまり自生し、北半球の温帯を中心に広く分布するありふれた植物ですが、よく注意して観察すると、私たちを取り囲む環境の変化がよくわかります。

タンポポには、元々日本に自生する在来種(カントウタンポポ、シロバナタンポポなど)と明治のころ日本に入ってきた帰化種(セイヨウタンポポ、アカミタンポポ)があり、帰化種が近年都市部を中心に勢力を広げ、市街地では在来種がほとんど見られなくなりました。

その理由は、帰化種の環境適応能力の高さや乾燥地に強い性質によるものといわれています。このため、カントウタンポポなどの在来種は、川の土手や草原などの自然界境の豊かなところに育ち、セイヨウタンポポなどの帰化種は、開発された土地や都市化が進んだ市街地に多く見られます。また、近年はニホンタンポポTaraxacum platycarpumとセイヨウタンポポT. Officinalisの自然雑種が報告されています。これらの雑種と判断される植物は外総包片辺縁の毛の数、外総包片の突起長及び痩果の大きさにおいて、ニホンタンポポとセイヨウタンポポの中間的であると言われています。

調査場所 セイヨウタンポポ カントウタンポポ 両種の交雑 合計
桜町6丁目 12 0 0 12
里小学校 3 5 15 23
本町2丁目 20 0 0 20
坂下町 200 0 0 200
谷中公園 10 3 9 22
八幡木公園 9 6 3 18
小渕公園 100 0 0 100
合計 354 14 27 395

カントウタンポポ:3.5%、交雑雀:6.9%、セイヨウタンポポ:89.6%という結果でした。

鳩ヶ谷市内のタンポポは外来種であるセイヨウタンポポが勢力を伸ばし、カントウタンポポは住みにくい環境になっているようです。

セイヨウタンポポ シロバナタンポポの花
セイヨウタンポポ シロバナタンポポの花