No.80 2011年2月  

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (93)

タシギ(シギ科) Gallinago gallinago

全体に黄色みのあるシギ(鴫)で、嘴は長く真っ直ぐで足は短めです。オオジシギやハリオシギなどタシギの仲間はよく似ています。慣れないと識別が難しいが地味な美しさを持っています。田圃やアシ原などの草陰にいることが多く、1m近くまで近づいて足元から飛びたつこともあり驚かされることがあります。そのような時にはジェッと鳴いて飛びたちます。春と秋に日本を通過しますが、一部は越冬もします。タシギは狩猟鳥に指定されており、大日本猟友会が発行している狩猟読本には、『骨が柔らかくその食味は正に焼鳥の王者である』と記載されています。英名のスナイピング(sniping狙撃)はタシギ猟からの語源と言われています。

自然の記録:

 2月 6日 江川でオナガガモ(雄4、雌3羽)、コガモ(雌1)、キセキレイ、コサギなどがいました。

 2月 7日 庭の片隅でホトケノザ、キュウリグサ、コハコベ、スズメノカタビラなどが開花し始めました。ここ数日の温かさが影響したのでしょうか?

家の脇にある側溝では落ち葉の下からマルガタゴミムシが出てきました。

 2月 9日 朝から10時頃まで雪が降ったり止んだりしていましたが積雪には至りませんでした。今年2度目の降雪でした。

 2月10日 今日はかなり冷え込みが厳しくなりましたが、全国的に冷え込みが厳しく、北海道の幌加内町では、1月28日に最低気温マイナス29.6℃を記録したそうです。また日本海側を中心に大雪が降り、関東地方は明日から明後日にかけて降雪とのことですが、ジョウビタキやツグミなどが少ない餌を求めて庭の周りを飛び回っています。

 2月15日 昨夜から降り始めた雪が早朝には止んでいたが、7cmほどの積雪となりました。野良猫の足跡のみが庭中に残っていました。

 2月16日 昨日の積雪は殆ど融解していました。毛長川調節池ではキンクロハジロ(2羽)、江川ではオナガガモ(雄4、雌3羽)、カルガモ(3羽)等の常連さんが採餌していました。     

庭の梅の木にはメジロやシジュウカラが訪れましたが、めぼしい餌がないのでウメの枝などを突いていましたが餌を捕らえた感じがありません。

近くの道路脇ではナガミノヒナゲシが数本発芽していました。

水浴びをするオナガガモ(雄) 4匹で重なり合うヒキガエル

 2月18日 隣家のクリの枯れ木にオナガが20羽ほど飛来しました。この辺りには高い樹木が少ないため、各種の野鳥が止まり木として利用しています。

 2月22日 ヒキガエル(蟾蜍蝦蟇)は通称ガマガエル(蝦蟇)あるいはイボガエルと呼ばれていますが、今頃の季節、近くの池にどこからともなく沢山のヒキガエルが集まり交尾が始まります。

しかし、見ていると雄・雌かまわず背中に乗ったり、3匹も4匹もが重なり合っている光景をみます。通常は林や藪の中あるいは庭に住みついていおり、普段は水の中には入りませんが繁殖期には数百匹〜千匹ものカエルが池の中に集まります。カエルの交尾は正確には雄は雌にしがみついて単に刺激して雌に産卵を促せた後、精子を産卵された卵(のある水中)に放出するので、抱接という言葉が使われます。

       蟇歩く到りつく辺のある如く    中村汀女

       蟇ないて唐招提寺の春いずこ    水原秋桜子

       蟇鳴いて百里来しとも思われず   大野林火

(葛西臨海公園の鳥類園の池でも、沢山のヒキガエルが集まり、これを狙って猛禽類のノスリが飛び回り、ヒキガエルが餌食になっています)

近所の庭ではウメの花が満開となりましたが、我が家の垂れ梅は2〜3の花が開花しただけです。

 2月23日 14時30分頃、庭の上空をカラスに追われたオオタカが旋回していました。我が家でオオタカを見るのは昨年の夏以来2度目ですが、以外と普通に上空を舞っているのかも知れません。鳩ヶ谷市内でも、このような大型の猛禽類が飛んでいる姿が見られるのは良いことですが、それだけ周辺の環境が悪くなってきているのか、オオタカが市街化された環境に慣れてきているのか?この辺りのオオタカの餌はドバトやカラスの仲間が多いようです。

 2月26日 庭の日溜まりにヨコジマオオヒラタアブが飛来しました。数日来の温かさで昆虫類も少しずつ活動を始めたようです。

 2月27日 今日は暖かかったので新芝川から旧芝川を歩いてきました。水門付近の工事は続行中でしたが、カワセミ撮影を目的としたカメラマンが15名ほどいました。しかし、今日は出現率が悪かったようです。

カモ類はカルガモ(17)、コガモ(雄16、雌19羽)、オナガガモ(雄12、雌16羽)、ヒドリガモ(雄19、雌16羽)、キンクロハジロ(雄2、雌2羽)、その他ユリカモメ、カワウ、コサギ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、アカハラ、ムクドリ、スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、キジバト、ドバト(21羽)等がいました。植物はタネツケバナが僅かに開花していたほか、タガラシやセリの芽が伸びていました。

 2月28日 冷たい雨の降る中、白い小さな蛾の仲間がいました。近づいてみると半透明の白い翅に、前翅の前縁に赤褐色の筋が入っていました。マエアカスカシノメイガといい、漢字で書くと「前赤透野螟蛾」となります。平地〜山地に普通に生息している蛾で、幼虫はネズミモチやキンモクセイなどの葉を食べるので、おそらく庭のネズミモチで羽化したものと思われます。立春を過ぎたとはいえまだ厳冬期ですので、出てくるのが早すぎるのではないかと思います。

マエアカスカシノメイガ 上空を飛ぶオオタカ

                        

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 43

タンポポの変遷

2004年度の調査では、鳩ヶ谷市内全域をセイヨウタンポポが占めていましたが、2010年度の調査では桜町・本町・坂下町・里および辻地区までの地域では交雑タンポポが95%〜100%を占めていました。この地域で特にタンポポが多かった地域は、コンフォール東鳩ヶ谷敷地内、桜町や本町の公園あるいは駐車場などでした。緑町では調査の前に公園内の下草刈りが行われたため開花しているタンポポの調査場所が少なかったこともありますが、旧芝川沿いの地域で交雑タンポポが100%でした。                      

三ツ和から八幡木では三種類のタンポポが確認できましたが、三ツ和地区では交雑タンポポが約83%、カントウタンポポが18%、セイヨウタンポポも僅かですが生育していました。

八幡木地区では他の地区と異なりカントウタンポポが75%を占めていました。この地区でカントウタンポポが多かった場所は、八幡木中学校および八幡木公園の周囲でした。

 また、数年後にはどのように変化しているか楽しみです。

 

地球温暖化を考える(35)

茨城県土浦市 宍塚大池

常磐自動車道の土浦北と桜土浦の丁度中間地点に存在する宍塚には「宍塚大池」を囲むように雑木林や草原、田んぼや畑、小川や湿地などさまざまな地形の100haほどの「里山」が広がり、多くの生物たちをはぐくむ自然の宝庫となっています。大池は谷津の一部を堰き止めて、斜面林からのわき水を蓄えた2haほどのためです。いつ頃作られたのかは定かでないようですが、付近には上高津貝塚や宍塚古墳群などがあり相当古い時代から人々が暮らしていた地域です。

何十年か前までは周囲の谷津田の水源として活用されてきました。また,斜面林はアカマツやクヌギなどが植栽され,里山として近隣の人々の生活に密着した所だったようです。

野鳥の種類も多く、オオタカを初めとした猛禽類、越冬期にはヤマシギ、ミヤマホオジロ、マヒワ、ベニマシコなどが比較的よく観察できる場所です。

宍塚大池は自然の宝庫でもあり、かつては「オニバス」の自生地でもありました。現在は、宍塚の自然と歴史の会(NPO法人)が1989年の発足以来、開発計画もあるこの貴重な里山を保全し、各種の保全活動を行っています。特に、地元の人々も参画して行われているため池や周辺の里山保全活動が盛んで、地元小学校などの環境学習の場としても活用されています。

里山を保全することは生物多様性を守ると共に、地球温暖化防止にも繋がります。里山は日本の原風景でもあり、豊かな自然によって多くの生物が育まれてきました。このような自然を未来へ残していこうという試みが多くの場所で行われています。

宍塚大池はカモ類など水鳥の越冬地にもなっています。
オニバスが生育している湿地
林に囲まれた谷津