No.135 2015年9月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (148) 

オオソリハシシギ(シギ科) Limosa lappnica

夏羽から冬羽への移行中

春秋の移動の時期に海岸の干潟に飛来する大型のシギの仲間で、内陸部の淡水性湿地に飛来することは少ない。オオソリハシシギは長い嘴が上に反り返っており、体が大きいところから名前が付けられている。同じシギの仲間に小型のソリハシシギがいるが、こちらは体の大きさや体型がかなり異なるが嘴は上に反っている。夏羽では下面が赤くなるが、冬羽や幼鳥では白っぽい。ゴカイ類やカニ等を好み、長い嘴で上手につまみ出して食べる。あまり鳴くことはないが「ケッケッ」という声で鳴く。学名の意味は、ラップランドの泥にまみれた鳥である。以前は、海岸の干潟などで100羽以上の群れを見ることも珍しくなかったが、近年は減少傾向にある。よく似た仲間にはオグロシギがいます

川口市内では見沼田んぼの芝川第一調節池で数例の記録がある。

 

自然の記録:

 9月 3日 久しぶりに晴れ間が見え暑くなりましたが、夜は涼しくアオマツムシとミツカドコオロギの共演が続いています。セミの声はアブラゼミとホウシゼミの声が時々聞こえますが、ミンミンゼミの声が少なくなりました。

 9月 4日 久しぶりに雨が止んで晴れ間が出たので市内を歩きました。市内中心部を流れる東縁見沼代用水には、部分的に川面を覆うようにアルゼンチン原産のオオカナダモが繁茂しウメのような白い花が沢山咲いていました。見た目には緑に覆われて白い花が咲いていてとても良い感じですが、外来種が増殖しすぎるのはちょっと良くないなと思って見ていたら、ハグロトンボが数匹オオカナダモに止まって産卵していました。

湧水公園ではツマグロヒョウモン、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ウスバキトンボ等が飛んでいました。

 9月 5日 今夜はアオマツムシに加え、ハラオカメコオロギ、マダラスズといったコオロギの仲間の声が良く聞こえています。

マダラスズ(小さなコオロギの仲間) セグロアシナガバチ

 9月11日 台風17、18号が去り、各地に多くの被害を残していきました。特に鬼怒川の決壊は甚大なもので、これから徐々に状況がわかってくるでしょう、人ごととは思えません。過去には旧鳩ヶ谷市でも大きな水害がありました。新芝川の工事が済んでからは被害はありませんが?昆虫類も嵐が過ぎると同時にツクツクボウシやアブラゼミが鳴きだし、ナガサキアゲハ、カノコガ、ウスバカゲロウ、ウスグモスズ等が活動を始めました。

 9月12日 台風後の天気が落ち着いたところで、秋ヶ瀬公園まで足を延ばしました。公園内の低いところは水たまりが多く、河川敷は80p近くまで増水したようです。久しぶりの晴れ間に昆虫類も活発に活動していました。

蝶・蛾の仲間:アゲハチョウ、キアゲハ、ナガサキアゲハ、アオスジアゲハ、ジャコウアゲハ、アカボシゴマダラ、コミスジ、キマダラヒカゲ、ツマグロヒョウモン、ヒメアカタテハ、ヒメウラナミジャノメ、ウラナミジャノメ、イチモンジセセリ、モンキチョウ、モンシロチョウ、キチョウ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、ウラギンシジミ、ルリシジミ、セスジスズメ、キイロスズメ、シモフリスズメ、ヨツボシノメイガ、コシロシタバ、ハスミエダシャク、キシタアツバ、クワゴ、テンシロツトガ

トンボの仲間:シオカラトンボ、ギンヤンマ、オニヤンマ、ウスバキトンボ

八チ・アブの仲間:セグロアシナガバチ、ヒメホソアシナガバチ、スズメバチ、クマバチ、ハラナガツチバチ、オオハキリバチ、ヒラタアブ、ヒメヒラタアブ

コオロギ・バッタの仲間:オオカマキリ、ハラビロカマキリ、コカマキリ、ショウリョウバッタ、ショウリョウバッタモドキ、クルマバッタ、ツチイナゴ、ヒシバッタ、ハラオカメコオロギ、マダラスズ、

セミ・カメムシの仲間:ホウシゼミ、アブラゼミ、クロナガカメムシ、ホオズキカメムシ、アカスジキンカメムシ

甲虫の仲間:マメコガネ、ハナムグリ、シロテンハナムグリ、カナブン、クロウリハムシ、ナナホシテントウ

クモの仲間:コガタコガネグモ、ナガコガネグモ、ジョロウグモ、イオウイロハシリグモ

野鳥:スズメ、モズ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、シジュウカラ、キジバト、コジュケイ、エナガ、キビタキ(♀)、ツツドリ、ムシクイsp.

クロナガカメムシ ツマグロヒョウモン 吸水するキチョウの群れ

 9月14日 ハチによく似たヒメアトスカシバが桜町6丁目の民家の庭を飛んでいた。久しぶりにミンミンゼミの声を聞く。

 9月16日 久しぶりに旧芝川を散策、先日の台風の後で河川敷のゴミはきれいに流されていました。ハギの花やヒガンバナがきれいでした。

 蝶の仲間:アゲハチョウ、ツマグロヒョウモン、アカボシゴマダラ、モンキチョウ、モンシロチョウ、キチョウ、イチモンジチョウ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ウラギンシジミ

トンボの仲間:シオカラトンボ、ギンヤンマ、ウスバキトンボ、ナツアカネ、アジアイトトンボ、

コオロギ・バッタの仲間:エンマコオロギ、ツチバッタ、ショウリョウバッタモドキ

その他:クロベンケイガニ、アカテガニ、ミシシッピアカミミガメ等

野鳥:スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、カワセミ、ハクセキレイ、アオサギ、ダイサギ、カルガモ、ドバト

開花していた植物:ホシアザミ、セイバンモロコシ、スズメノヒエ、カヤツリグサ、アオガヤツリ、アキノエノコログサ、キンエノコロ、アレチマツヨイグサ、ユウゲショウ、ヒナタイノコヅチ、ホソアオゲイトウ、ヤブガラシ、オオケタデ、ヘクソカズラ、ヨモギ、ヌスビトハギ、イヌキヌイモ、サナエタデ、オオイヌタデ、ツルボ、アキノノゲシ、タカサブロウ、ハギ、センニンソウ、メヒシバ、アレチウリ、イタドリ、アメリカセンダングサ、ヒガンバナ、ヨウシュヤマゴボウ、オシロイバナ、オオアレチノギク、オオオナモミ等

川の中には、大きく成長したカルガモの親子がいました。体の大きさは殆ど親鳥と変わりませんが、脚の色は親鳥の方が鮮やかなオレンジ色なのに若鳥はくすんだ黄色。頭部には若鳥の特徴である産毛のような毛があります。翼の羽毛も、よく見ると若鳥では淡く太い縁取りがあります。

成鳥の羽毛 若鳥の羽毛(淡色の太い縁取りがある)
手前が親鳥 後ろ3羽若鳥 浮き寝のカルガモ
50m以上に亘ってハギの壁があります 橋の上のカワセミの雄

 9月20日 今日は各所でモズの高鳴きを聞きました。家の庭でもアンテナに止まり2分ほど滞在しました。ルリタテハも飛来してくれました。ちょっと足を延ばした芝川第一調節池では先週頃より来ているミサゴ(鶚)が午前中に2回大きなフナを獲りました。カメラマンが30人ほど来ていましたが、その後も情報を聞いて集まったようです。

 9月21日 庭のイチジクと月下美人にキボシカミキリが来ていました。またイチジクの葉にはビロードハマキ(蛾の仲間)が飛来し、それを狙ってハラビロカマキリがにじり寄っていました。

     夜はアオマツムシの合唱でにぎやかです。

 9月22日 庭のカニクサにスジモンヒトリ(蛾の仲間)の幼虫が3匹、一生懸命に葉を食べていました。その他、アオスジアゲハ、ルリタテハ、アカボシゴマダラ、ツマグロヒョウモン、ヒメウラナミジャノメ、ヤマトシジミ等の蝶が飛び回っていました。

 9月23日 今日もイチジクの木にキボシカミキリが3匹、うち2匹は交接中でした。イチジクの幹はキボシカミキリの幼虫によってかなりぼろぼろになっていますが、何とか実をつけています。その近くではアオドウガネが落ちていました。夕方になってアブラコウモリが家の周囲を飛んでいました。これから少しずつ増えてくることでしょう。

 9月26日 家の壁にクロフヒゲナガゾウムシとメスアカケバエが止まっていました。クロフヒゲナガゾウムシは毎年数個体が庭で見つかりますが今年は初めてでした。小さな庭ですが、アオオサムシ、コフキゾウムシ、ウシカメムシなどが見られなくなって寂しいなと思っていたところでしたので、今年も見られて喜んでいます。

 9月28日 久しぶりにアブラゼミの声を聞きました。ホウシゼミはまだ僅かですが声を聞くことができます。キボシカミキリは毎日、同じ個体かどうかはわかりませんがイチジクの木で交接が見られます。ヒカゲチョウも庭を飛び回っています。

フナを掴んだミサゴ ヒガンバナとナガサキアゲハ

地球温暖化を考える(88)

 

赤山歴史自然公園

赤山歴史自然公園予定地では、葬祭場の建設はいま動きがありませんが、公園予定地は少しずつですが工事が進んでいます。植木畑があった場所では道路建設工事が進んでおり、大きな鉄板が100m以上に亘って敷かれています。人が入らない湿地環境は良くなり、これからが楽しみですが、いずれはこの地も少しずつ整備のための工事が進行するでしょう。5月から7月までの間、埋め立てられた裸地ではコチドリが繁殖していましたが、子育ても終わり現在は胸の高さを超える雑草が所狭しと繁茂しています。全面が緑に覆われているので歩いていても涼しい風が渡ってくるので汗のかき方もだいぶ楽になりました。このまま放置しておいてくれた方が自然公園的には良いのかなと思います。 

行政の考える自然公園と、本来の自然公園とでは大きな違いがありますが、地表を緑で覆うことは良いことです。赤山調節池が無くなった現在の環境で大雨が降っても、すべてこの湿地で吸収されているので下流域に流れるのがストップされているようです。このような大規模な緑地のおかげで、周辺地域の気温も多少緩和されているのではないかと思われます。今後、樹林地が増えることによって更にクールアイランド化されると良いなと思っています。樹林地が増えれば昆虫類も増加してくることでしょう。今の処、珍しい昆虫はいませんが普通種はかなり増加の傾向にあります。

鉄板が敷かれている 奥に見えるのは大池予定地 雑草に覆われた埋め立て地
ヒメウラナミジャノメ モンキチョウ シオカラトンボの雌