No.145 2016年7月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (158) 

サシバ(タカ科) Butastur indicus

サシバは頭部から体上面、翼上面が赤味のある褐色で、顔は灰色、目は金色をしている。喉に太い縦線が1本あり、胸は褐色で、腹には褐色の横斑がある。メスはオスに比べて、上面の赤味や顔の灰色味が薄く、白い眉斑が目立つ個体が多い。幼鳥は上面に赤味が少なく、首周りから腹にかけて黒褐色の縦班がある。顔は褐色で、バフ白色の目立つ眉斑がある。目は褐色。鳴き声はピックーイあるいはキンミ―と聞こえるような特徴のある声で鳴き、キンミ―鷹と呼ぶ地方もある。

主な食物は、田畑や草地、周辺の森林に生息するカエル類、ヘビ類、トカゲ類、モグラ類、昆虫類等である。サシバは見晴らしのよい場所に止まって獲物をさがし、地上や樹上に飛び降りて、それらを捕まえる。3月下旬から4月上旬に日本に渡来する。渡来するとすぐに求愛・造巣をはじめ、早いものでは4月中旬に、遅くても5月上旬には産卵して抱卵に入る。巣はアカマツやスギなど針葉樹にかけることが多いが、広葉樹にかけることもある。

川口市周辺では40年ほど前までは繁殖していたが、アカマツで営巣してヒナを育てていた時に途中から伐採されて、雛が持ち去られてしまった。これを最後に繁殖しなくなったが移動の時期だけは時々観察される。埼玉県南部ではサシバの繁殖は確認されていない。

 

自然の記録:

 7 月 1日 ブロック塀の隅に道路から入り込んできたと思われる、60pほどの長さのシマヘビがいました。塀をよじ登りアジサイの根元に消失しました。夜、風呂場にアトジロエダシャクという前翅が褐色で、黒色で細い内・外横線があり後翅が白い蛾です。雌では翅が細く淡色。触角は雄では櫛歯状、雌も櫛歯が非常に短く糸状に見える地味な蛾です。

 7月 2日 豊田の森でタケの間伐や草刈り作業中にタケトラカミキリを見つけました。竹に穴が開いていたので以前から探していたのですが、今まで見つかりませんでした。トラカミキリ類はカミキリムシとしては動作が敏捷で刺激にも敏感、気を付けないとすぐに飛んで逃げられてしまいます。飛び方も素早いのと黄色と黒の模様からハチと見間違えやすい。また、竹に止まって一生懸命タケの表皮を齧っているノコギリカミキリを見つけました。雌雄2匹を確認しました。その他、ハグロトンボ、アオスジアゲハ、クロアゲハ等がいました。

イチョウの木の根元では外来種のオオミスジコウガイビルという40pほどの長さのコウガイビルの仲間がいました。これは意外と身近な場所に住んでおり、都内の公園などでも見ることができます。大変乾燥には弱いので、普段は石の下などに隠れていますが雨が降った後などによく見かけます。

 7 月 5日 ハゼランの花に黒いハチの仲間が留まっていました。キオビツチバチという黒い胴の中間あたりに黄色い帯のあるハチです。家の周りではオナガがしきりに鳴いていました。庭のイチジクの実が大きくなってきたところで、オナガの家族に先を越されてしまいました。残りは遅まきながらネットをかけました。

 7月 6日 本町2丁目の道路上で体長40pほどのヒバカリが轢死していました。庭を歩いていたところ首筋に痛みを感じたので触ったところチャマダラゾウムシという5mmほどの茶褐色のゾウムシが首筋に止まっていました。ボタンクサギの花がかなり咲きだしましたが、葉上にはクサギカメムシの幼虫が数頭出ていました。各地の道路脇ではスベリヒユ、エノコログサ、ウラジロチチコグサが目立ち、アメリカオニアザミも目立ってきました。

 7月 8日 プランターのトマトが食害されており、いくつかはナメクジによるものでしたが、一つはオオタバコガという蛾の幼虫でした。ニジュウヤホシテントウやホオズキカメムシ等は葉についているので直接の害はあまりありませんが、大発生するとトマトが枯れてきます。カキの葉にはキイロテントウという小型のテントウムシがいました。

ノコギリカミキリ(雌) 竹をかじる(雄) タケトラカミキリ
 

 7月11日 最近、市内のキジバトの個体数が減少している印象がありますが、辻のバス停付近の畑で6羽のキジバトを見ることが出来ました。白菜などの栽培が終わり、畑が更地になっていましたが一生懸命に採餌をしていました。夕方になり自宅裏のカキの木でニイニイゼミの声が聞こええきました。昨年よりも2週間ほど早い初鳴きでした。

 7月13日 家の壁にアブラゼミの抜け殻があり、時々カキの木で短めの小さな声でアブラゼミが鳴いています。昨年よりも5日早くなりました。夕方のニュースでも東京と横浜でアブラゼミが初鳴きしたとの報道がありました。ほぼ一斉に初鳴きが聞かれたようです。

 7月15日 我が家にウマノスズクサを移植して5年になります。今朝、雨戸をあけてびっくり、毎日見ていたのにどこを見ていたのかと思うほど、3cm〜5cm程度に育ったジャコウアゲハの幼虫が15匹もいました。鳩ヶ谷地域からジャコウアゲハが消失して数十年経ちますが、ウマノスズクサのお蔭でジャコウアゲハが生息していることを確認できました。そして、午後になって雨が止んだので庭へ出てみるとジャコウアゲハの雄が目の前を飛んでいました。 

雄は黒色、雌は黄灰色のアゲハチョウの仲間で、胴体に黄色〜赤色の毛があります。広い地域に分布しているが、見られる場所は、幼虫の食草であるウマノスズクサのはえてい    る草原やその周辺に限定されます。体内に毒を持っていて、鳥などに食べられるのを防いでいると言われています。葉の裏などを見ていると孵化したばかりの一齢幼虫や卵などがありました。これだけの数がいると、これから孵化してくる幼虫の餌となる葉が残っているか心配になりました。ジャコウアゲハの幼虫はウマノスズクサの葉や茎を食べて育ちます。全身に突起があり見るからにグロテスクな格好をしています。4回の脱皮を経て幼虫は蛹になり羽化して成虫になるが、交尾したメスは必ずウマノスズクサの葉に産卵します。ウマノスズクサには毒があり、この毒を作ることで昆虫による食害から身を守っていると言われています。ジャコウアゲハは毒に対する耐性を獲得し逆に利用している。ジャコウアゲハの幼虫はウマノスズクサのアリストロキア酸と言う毒のある葉をせっせと食べることで体内に蓄積して小鳥などの天敵から身を守っていると言われています。

ジャコウアゲハの幼虫 ウマノスズクサ
幼虫の顔 一齢幼虫 産卵された卵

 7月16日 久々に晴れ間が出たので、安行の花と緑の振興センターへ出かけました。建物の下にある駐車場わきに積んである伐採木の見回りから開始、ヨツスジトラカミキリ4匹が歩いていました。ムネアカトゲコマユバチが飛び回っているので、留まるのを待っていたところ、下の方から出てきたようです。コフキコガネ、マメコガネ、オオツヤハダコメツキ、イタドリハムシ等の甲虫類、アゲハチョウ、アオスジアゲハ、ナガサキアゲハ、キタテハ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、キタキチョウ、ヤマトシジミ、ウラギンシジミ、イチモンジセセリ等が飛び回り、サルトリイバラの葉ではルリタテハの幼虫が大きくなっていました。ベニカナメモチの木ではモンクロギンシャチホコの幼虫が一生懸命に葉を食べていました。

その他、シオヤアブ、ハラナガツチバチ、クマバチ、クロバネツリアブ、シオカラトンボ、ハラビロトンボ、ニイニイゼミ、アブラゼミ、クモヘリカメムシ、キバラヘリカメムシ幼虫、アミガサハゴロモ、ムネアカトゲコマユバチ等が見られました。

 7月17日 朝、台所の戸を開けるとコンクリートの上にヨツスジトラカミキリがいました。昨日、安行で見てきたところでしたが、まさか自宅で見られるとは思ってもみませんでした。ヨツスジトラカミキリは旧鳩ヶ谷市内では初記録で、カミキリムシ類では64種類目の記録となります。生息地域により背中の模様が若干変化します。

 7月18日 庭のジャコウアゲハの幼虫2匹が。犬走のコンクリートの上を歩いていました。蛹になる場所を探しているようです。幼虫は17匹になっていました。苔の生えた木の幹をカミキリムシに似たアオカミキリモドキが歩いていました。上翅は青緑色、頭部・胸部・脚はオレンジ色の綺麗なカミキリムシモドキですが、本種の体液は有毒成分であるカンタリジンが含まれており、体液に触れると皮膚炎を起こすそうです。別名はヤケドムシとも呼ばれています。カミキリムシに比べ、柔らかいので、本種を掴む時は潰さないよう気を付ける必要があります。

 7月19日 ジャコウアゲハの幼虫が残り4匹になりました。まわりを探してみるとボタンクサギの葉裏に3匹見つかりました。蛹になる場所を探すべく移動しているようです。ウマノスズクサがかなり食べられているので、小さな幼虫の餌が無くなるか心配していましたが、何とか持ちこたえそうです。今日庭に飛来した昆虫は、アゲハチョウ、クロアゲハ、ヤマトシジミ、セグロアシナガバチ、ホソアシナガバチ、アオカナブン、ホオズキカメムシなどが目立ちました。

 7月22日 雨が止んだので庭でジャコウアゲハの蛹探しを行ったところ、沢山生えているボタンクサギの葉裏に8つ、脚立に一つの蛹を確認しました。後の8匹はどこへ行ったのか見つかりませんでした。蛹を観察していたところ蛾の仲間のシモフリスズメの幼虫1匹も見つかりました。

アオカミキリムシモドキ ジャコウアゲハの雌 ヨツスジトラカミキリ(自宅)
ヨツスジトラカミキリ モンクロギンシャチホコの幼虫 ルリタテハの幼虫

 7月23日 川口市の青少年ボランティアスクールの希望者12名の中学生と共に、豊田の森の竹林整備を行いました。初めて使うノコギリと竹を切る難しさを実感していました。今回は枯れた竹を中心に伐採しましたが、間伐用に伐採した竹林内では3本のアミガサタケがありました。新しい竹の重さに驚いていた学生もいました。7月2日に続いて行った間伐で林内はかなり明るくなりました。湧水公園では久しぶりにカワセミが飛んできて小魚を銜えて飛んで行きました。

 7月24日 夕方からミンミンゼミが鳴きだしました。昨年よりも3日早い初鳴きでした。

 7月25日 友人から、北本自然観察公園では昨日ヒグラシが鳴いていたとの情報がありました。旧鳩ヶ谷市内では近年ヒグラシの声を聞くことが出来なくなりました。

 7月28日 2週間ぶりにジャコウアゲハの雌が庭に飛来しました。隣家との隙間にある一間ほどの隙間にあるウマノスズクサを見つけて飛来するのには感心します。ジャコウアゲハがいなくなってからウマノズズクサの葉を見たところ葉の面に卵が5個産み付けられていました。5匹の幼虫がいて、更に5匹が孵化するとウマノスズクサが殆どなくなって、蛹から羽化した蝶の産卵する場所が心配です。

 7月29日 遅ればせながら昨日から梅雨明けとの報道でした。青い空に浮かんでいる雲は夏の雲、アブラゼミやミンミンゼミも声が高くなってきました。安行慈林のセブンイレブン前の路上で自転車に轢かれたのかノコギリクワガタの遺骸がありました。羽の色は羽化したてのような感じでしたが、めったに見ることが無くなったクワガタがこのような形で見られたことは残念です。前川のSさんより、川口保健所でクマゼミが鳴いていたとの情報がありました。毎年市内のどこかでクマゼミの情報がありますが多くはないようです。
 

地球温暖化を考える(98) 

雨水を利用する 

近年、集中豪雨による都市型洪水がよくニュースになっています。その原因の一つは街がアスファルトやコンクリートに覆われてしまって、降った雨が一気に流れてしまうから。雨水をいったん貯めて、ゆっくり地面に返してやることが大切。各家庭で雨水を貯めることは、街に小さなダムをたくさんつくるということ。小さくても数が増えれば大きなダムのような役割を果たしてくれます。

それによって少しでも災害を防ぐことも可能になるかもしれません。特に今年は関東各所のダムの渇水が報道されていますので、降った雨は恵みの雨として無駄にしないようにする必要があります。

我が家の年間の雨水についてシミュレーションしたところ、川口市周辺の年間降雨日数が平均118日、雨水タンクを設置した場合に満タン量となる降雨日数が20日、雨水使用量が6894ℓで年間のCO2削減量が2482gになり、貯水できなかった雨水量が15229ℓとなることがわかったので樋から流れる水を貯水するために250ℓの雨水タンクを設置しました。

設置後8日目に降った雨で初めて250ℓが満タンとなりました。以前から設置していた雨水の容器では1p程度の貯留でしたが、樋からの集水力はかなりのものでした。以前からプランターや庭への水まきには雨水を使用しているので水道水や水道料金もかなり節約になります。

雨水タンクの設置には、各市町村で補助金制度がありますが意外と知られていないようです。川口市さいたま市では、設置費用の1/2で3万円、蕨市、戸田市では5万円など、差がありますが利用すれば半額程度で設置可能です。

気温の上昇スピードが比較的緩やかだった1955年~1960年と、近年(2010年~2014年)では明らかに異なります。更に、冬(1月・2月)と残暑が厳しい9月に着目すると、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)設立前の1980年~1984年との比較でも同様の傾向が確認できます。今後は、集中豪雨による都市型洪水や熱中症といった災害が増加してくる可能性があります。温暖化に歯止めをかけないと近い将来、大変なことになることでしょう。

雨水タンクを設置 正面 側面  蛇口拡大 樋とジョイント
雨水貯溜用容器 我が家の庭