No.185 2019年11月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (198)

マガン(ガン科) Anser albifrons

 

マガンは、額から嘴にかけての白色が特徴で、英語名、中国語名、ロシア語名は「白いおでこ」という意味。体の上面は黒みのある茶色で尾羽に向かって黒色が強くなる。腹部は薄茶色で黒色の横縞が不規則にあり尾羽のつけ根あたりが白い。幼鳥は額が白くなく、腹部の横縞もない。V字型の隊列で飛ぶ「雁行」は昔から日本の冬の風物詩でした。カワウもV字の形で飛ぶのでガンと間違われることがあります。集団越冬地では、ガン類が群れて地上に降りてくる時に体をひねるようにして急降下してきます「落雁」。旧鳩ヶ谷市には昭和3年11月に選定された鳩ヶ谷八景があり、南5丁目の実正寺には「五反田の落雁」という碑があります。鳩ヶ谷八景が選定されたころにはガンは飛来していなかったが、江戸時代から大正時代には飛来していたようです。俗にカリ(雁)と呼ばれるのはガン類の総称である。芝川第一調節池では10月3日〜5日頃にかけて数年間続けて飛来していたが、最近は記録がない。

蔵の間にカリガネ仰ぐ里帰り 金子兜太

自然の記録:

11月 2日 ネズミモチの枝を剪定していたところ、カネタタキの雌が落ちてきました。ネズミモチは10年ほど前にヒヨドリが運んできたものと思われるが、ウメの木とブロック塀の間に生えてきたために伐採することが出来ず盆栽のように伸びてきた枝のみを剪定しています。

11月 4日 エゾギクトリバという十字架のような形をした蛾の仲間が台所の壁にとまっていました。いつ入り込んだのかわかりませんが数日前から天井のあたりで何かが飛んでいたような気がしていました。

11月 5日 隣家のツワブキ、ヤツデが開花し、葉影からシロオビノメイガが飛び出しました。庭の柑橘類の枝でナガサキアゲハの若齢幼虫が葉を食べていました。今頃の葉は固くなっている葉が多いので柔らかい葉を探すのが大変なようで鋭いトゲのある枝上を動き回っています。

11月 6日 モンシロチョウ、ヤマトシジミ、ヒメアカタテハが飛来、17時頃に隣家のカキの木に約40羽のオナガの群れが飛来しました。慈林方面よりにぎやかに飛んできましたが、今年飛来したオナガの群れでは最高羽数でした。過去には50羽を超える群れが来たことがありますが、近年は営巣する場所が少なくなってきたこともあり個体数が減少しているようです。

11月 8日 旧芝川を散策、漸くカモ類が飛来し、ヒドリガモ、コガモ、ホシハジロが数羽泳いでいました。冬の小鳥類は全く見ることは出来ませんでした。今年は小鳥類の飛来が遅いのかツグミの姿もまだ見ることが出来ません。

ヒドリガモ♂ ヒドリガモ♀ ホシハジロ
ホシハジロ♀ カンムリカイツブリ 冬羽

11月14日 日中は暖かかったのでキチョウ、ヤマトシジミ、モンシロチョウが飛び交い、イチジクの木にはキボシカミキリ4頭が集まり交接をしていました。

11月18日 一日中カキの木にメジロが来るようになりました。カキの実が熟してきて甘くなったようです。ベッコウバエも時々見かけるようになり、キボシカミキリもイチジクの木で活動していますが、イチジクの木はボロボロになって来年は実をつけるかどうか心配です。

11月21日 庭の月下美人の葉にウラギンシジミの雌が銀色の羽裏を見せて止まっていました。朝から夜まで一日中止まったままでしたが翌日には見られませんでした。

11月22日 一日中降雨の中、カキの実にメジロが集まっていました。23日も雨でしたがメジロ10羽以上の群れがひっきりなしに来ていました。カキの実が沢山あるのに1個の実に数羽が集まり争っている、よっぽど甘い柿なのか?メジロは漢字で書くと繍眼児で由来は目のまわりの白糸でかがったような白色からと言われている。古くから飼い鳥として愛好され、鳴き合わせも盛んにおこなわれていたが現在は原則的に野鳥を飼うことが禁止されている。

11月24日 3日間雨が降り続きました。21日に月下美人に止まっていたウラギンシジミが今日も一日中同じ場所に止まっていました。ボタンクサギの葉にはオオカマキリが止まり擬態しているかのように動きませんでした。

柿を食べるメジロ ベッコウバエ カネタタキ 雌

11月25日 ようやく晴れましたが、数日の雨で落ち葉が溜まり処理に時間がかかりました。カキの木にはムクドリ、オナガ、スズメ、メジロが飛来し、今年初認となるツグミがようやく庭に来たようで姿は見えなかったが声のみ聞こえてきました。

11月28日 26日から雨が降りはじめ、野外活動できずカキの木に集まる小鳥類を見るのが日課になっています。風呂場にブドウトリバが入り込んでいました、同一個体かどうかわかりませんが今年3度目の侵入です。

11月29日 久々に良い天気となりましたが気温はあまり上がりませんでした。夕方には庭隅でウグイスが藪伝いに移動していました。今冬の初認でしたが一声も発せず消去しました。

11月30日 今日は久しぶりに暖かくなりました。寒い寒いと思っていても9月から11月の3か月間の平均気温は例年に比べて1.5℃も高かったようです。墓参の途中でホトケノザ、ノゲシ、交雑タンポポ、ボケ、サザンカ、ヤツデ等が開花しており、冬の花と春の花が一緒に咲いていました。モミジも紅葉しているものと枯れているものと半々程度で季節感がずいぶん変わってきた感じがします。

地球温暖化を考える(137)

本田静六博士の森と見沼みちくさ道路(芝川第一調節池)

芝川第一調節池を挟んでこんもりとした林があります。東側の林は見沼みちくさ道路、西側にある林は本田静六博士の森と命名されている。みちくさ道路の植樹は、元々現地にあった樹木を一時他の場所に植栽してあったものが基本であったためにかなり大きな木がありこんもりとした状態になっています。その後、色々な樹種が植栽されるとともに、植栽されなかった場所には野鳥が運んできたクワやエノキが密生して現在の林になっている。一方、本田静六博士の森は、ボランティアによってクヌギ、コナラ、スダジイなどの苗木を植栽し、現在は数mの高さまで生育し、密生している場所では枯死し始めており林の中が歩きやすい状態になりつつある。5年もたてば武蔵野の雑木林のような環境になって行くのではないかと思われます。調節池内の周遊道路には樹木が植栽されていないために暑さ凌ぎの休息場所として、小鳥類の移動のためのコリドーとしての役割を果たしています。

先日発表された国連環境計画の2018年の世界の温室効果ガスの排出量が、二酸化炭素(CO2)に換算して過去最大の553億dに上ったという。排出量は過去10年間で毎年平均1.5%ずつ増え、削減の見通しは立っていないという。報告書では毎年7.6%ずつ温室効果ガスを減らさないと2015年に採択された「パリ協定」の目標を達成できないと警告している。日本においても経済優先の社会となり各地で都市化が進み、従来の町並みはマンションが立ち並び、大規模な緑地が減少しているために今後も温暖化は進んでいくことでしょう。一方では過疎化が進み農地や里山など人の手が入らなくなったために自然回帰が進んでいます。見沼田んぼのような大規模緑地があることは人間の生活にとって重要な場所でもあります。

本田静六博士の森
コナラやクヌギの林
木々に覆われた見沼みちくさ道路