No.144 2016年6月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (157) 

コサメビタキ(ヒタキ科)Muscicapa dauurica 

コサメビタキはスズメより小型で、上面は灰褐色、下面は白い羽毛で覆われている。体側面は褐色味を帯び、眼の周囲に不明瞭な白い斑紋(アイリング)が入り、眼先も白い。嘴はやや長めで黒く、下嘴基部の色彩はオレンジ色をしている。止まっている枝から飛び立って、一瞬空中に停止して餌を捕らえるフライングキャッチという独特の採餌法で餌をとることが多く、チョウ・ガ・ウンカ・アブ等の昆虫類を嘴の先に加えて戻ってきます。このような行動を見ているだけでもヒタキの仲間であることがわかります。春と秋には都市公園などにも姿を見せるので見る機会はありますが、近年は渡来する個体数が少なくなっています。

 

自然の記録:

 6月 2日 庭のどこかでウメエダシャクが羽化したようで、エノキの周辺を飛び回っていました。キンモクセイの枯れ木ではキマワリが小さな穴に顔を入れて頻りに採餌していました。

 6月 3日 安行の花と緑の振興センターへ出かけました。ヒメトラハナムグリという後翅が黒色と茶色の縞模様で、体の周囲に淡黄色の毛がはえている小さなハナムグリが、アジサイの花の花粉を体中に着けて盛んに飛び回り、花の中にもぐりこんでいました。飛んでいるときはミツバチやハナバチなどと間違えるほどでした。クリの葉上ではハムシダマシという上翅が赤褐色で細かな毛が密生して、頭胸部が黒色のハムシに似た甲虫がいました。ハムシダマシは雑木林周辺の葉上でよく見られるようです。

キイロトラカミキリ、ベニカミキリ、アオカミキリモドキ、アオハナムグリ、ホリカワクシヒゲガガンボ、キイロガガンボ、ムネアカトゲコマユバチ、ツマグロキンバエ、クロベッコウハナアブ、キアゲハ、ウメエダシャク、ゴマフシロギバガ、チャエダシャク等が観察できました。

ヒメトラハナムグリ キイロトラカミキリ チャエダシャク

 6月 7日 昨年掲載するのを忘れていましたが、2015年10月29日に我が家の庭に落ちていたとても綺麗な蛾の仲間のシンジュキノカワガです。蛾のマニアの間では喉から手が出るほど珍しいという話もあるようです。幼虫がニガキ科のニワウルシ(シンジュ)を食べることから名前がついているようです。ニワウルシは街路樹や公園に植えてあるので時には2次発生で多数見つかることもあるようですが、私が見たのは初めてです。国内では1909年に熊本市で発見されて以来、北海道から九州まで広範囲で見つかっている迷蛾で中国から海を渡ってやってくるのではないかと言われています。

庭隅の枯れ木でキマワリ、枯れ木に絡んだクズの葉上にはホシハラビロカメムシがいました。

下面     シンジュキノカワガ   上面 ムネアカトゲコマユバチ

 6月 9日 雨がやみ、小さな光沢のある黒色のツチカメムシが地上を歩いていました。また、キンモクセイの枯れ木ではキマワリが毎日出現しています。

湧水公園では色とりどりのハナショウブが見ごろとなりました。朝方の雨のおかげで花の色がきれいに浮き出た感じでした。池の中ではショウブとコウホネが開水面を覆う如くに増加していました。

 6月10日 3日に続いてクリの花が咲いている間にと思い再度、安行の花と緑の振興センターへ出かけたところ、クリの花にメスアカミドリシジミ、モモの実にモモチョッキリゾウムシが3匹、その他カミキリモドキ、ムネアカトゲコマユバチ、ヒメトラハナムグリ、オオトビスジエダシャク、モンシロチョウ、ヒカゲチョウ、ツマグロヒョウモン、アオスジアゲハ、ヤマトシジミ、キタキチョウ、キマダラヒカゲ、コメツキムシ、マルガタゴミムシ、オオシオカラトンボ、ハラビロトンボ、等がいました。

 

オオトビスジエダシャク メスアカミドリシジミ モモチョッキリゾウムシ

 6月14日 赤山歴史自然公園および葬祭場の工事が進んでいます。大池の島の奥に見えるのが葬祭場建設現場です。多くのトラックが出入りしていますが奥の池ではカイツブリやバンなどが生息しています。トンボの仲間も多く飛び回っており湿地の環境はかなり良くなっています。

大池と完成した島 自然湿地(将来的に残るのか?)

 6月17日 雨が上がると我が家の庭ではアゲハチョウ、ヤマトシジミ、ハシハラビロカメムシなどが活動をはじめ、ハゼランとミズヒキソウが開花しました。

 6月19日 久しぶりに荒川河川敷にある秋ヶ瀬公園に昆虫を見に出かけました。林の薄暗い場所で翅を広げて、灰褐色の筋模様が前翅の両端をつないでいるように見える奇妙な蛾の仲間ギンツバメがいました。緑色の葉に白い蛾は良く目立つように見えますが意外と擬態しているようにも見えるから不思議です。日当たりの良い場所のミゾソバの葉が虫食いだらけだったのでよく見ると鮮やかな赤色のカツオゾウムシが葉を食べており、辺りのミゾソバにも複数見られた。サクラの葉裏ではリンゴカミキリを見ることが出来ました。また、ナナフシを至る所で見ることができました。見られた昆虫は、ツバメシジミ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、ミドリシジミ、キタキチョウ、モンシロチョウ、キタテハ、キアゲハ、クロアゲハ、ヒカゲチョウ、キマダラヒカゲ、ヒメジャノメ、カノコガ、ウスバミスジエダシャク、リンゴカミキリ(サクラの葉)、キボシカミキリ(クワの木)、カツオゾウムシ、ウスバキトンボ、シオカラトンボ、コシアキトンボ、ギンヤンマ、オオスズメバチ、コスズメバチ、セグロアシナガバチ、カマキリの幼生等、アオハナムグリ、セマダラコガネ、ノコギリカメムシ、ナナフシなど。

その他の動物はイオウイロハシリグモ、ハナグモ、ササグモ、チュウガタコガネグモ、カナヘビ、アマガエル、等でした。

野鳥はカワウ、カルガモ、アオサギ、ツバメ、スズメ、ムクドリ、オオヨシキリ、ウグイス、ホトトギス、オナガ、ホオジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヒヨドリ、シジュウカラ、フクロウ、ガビチョウ等でした。特に目立ったのは、浦和レッズグランドの芝地でムクドリ200羽以上が集まって採餌していたことです。この時期はムクドリのヒナの巣立ちが多く、若いムクドリが大半を占めていました。

カツオゾウムシ リンゴカミキリ ギンツバメ
セマダラコガネ チュウガタコガネグモ キバネオオベッコウバチ

 6月20日 我が家の庭でヒシバッタを見ることが出来ました。ここ数年ヒシバッタを見る機会が少なかったので消失したのかと思っていました。トウキョウヒメハンミョウも姿を見せました。これから数を増やしていくことでしょう。

 6月21日 早朝に玄関前から50p程のジムグリが叢の中に入っていきました。ドクダミの葉にセマダラコガネが飛来していました。

 6月23日 キバネオオベッコウバチ(ベッコウバチ)が次から次へと忙しくボタンクサギの間を飛び回り餌となるクモを探していました。イチジクキンウワバ、チャドクガ、スジモンヒトリ等の蛾の仲間が飛び回り、早くもアキアカネ数頭がトマトの葉や物干し竿に止まっていました。

 6月25日 家の壁にあまり見かけない小さな黒い蛾の仲間が止まっていました。白い筋のある黒い蛾です。逃げられないように,そっと近付き写しました。画像を見ると立派な下唇鬚(かしんしゅ)がありました。シロスジアツバという蛾でした。

 6月26日 東京都心ではニイニイゼミが鳴きだしたと言う。昨年の鳩ヶ谷地域ではニイニイゼミとミンミンゼミが7月26日に同時に初鳴きでしたので、一か月近く早く鳴きだしたようです。

 6月27日 今年も我が家の庭にナガゴマフカミキリが飛来してくれました。髭が長く褐色の目立たないカミキリムシの仲間ですが、鳩ヶ谷地域からは減少しつつあるカミキリムシの一つです。

 6月29日 ヨツボシノメイガ、ウルマルモンノメイガ、ウスアオシャク等のあまり目立たない蛾の仲間がブロック塀に止まっていました。いずれも小型の蛾の仲間で、葉裏に止まることが多い蛾の中でも比較的表面に出てくれるものがいるので助かります。家の壁にはオオミノガの蓑虫が留まっていました。

ナガゴマフカミキリ イチジクキンウワバ アキアカネの顔

地球温暖化を考える(97)

21世紀の人類全体の大きな課題である『気候変動』

今年は、関東地方のダムの渇水が著しく、10%の取水制限が行われました。その一方で、35℃を超える真夏日が続いています。その影響は、世界を襲い、猛威を振るう強い台風や、熱波の来襲のニュースなどによって感じることができます。今、地球に何かが起きている。20世紀半ば以降に見られる地球規模の気温の上昇、すなわち現在問題となっている地球温暖化の原因は、人間活動による温室効果ガスの増加である可能性が極めて高いと考えられています。

大気中に含まれる二酸化炭素などの温室効果ガスには、海や陸などの地球の表面から地球の外に向かう熱を大気に蓄積し、再び地球の表面に戻す性質(温室効果)があります。18世紀半ばの産業革命の開始以降、人間活動による化石燃料の使用や森林の減少などにより、大気中の温室効果ガスの濃度は急激に増加しました。この急激に増加した温室効果ガスにより、大気の温室効果が強まったことが、地球温暖化の原因と考えられています。

人為的な起源による気候変動、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行い、とりまとめた報告書として、2013年〜2014年にかけて第五次評価報告書(AR5)が発表されました。IPCC AR5とはどのようなものなのでしょうか?

● IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change : 気候変動に関する政府間パネル)は、 1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織で、現在の参加国は195か国、事務局はスイス・ジュネーブにあります。IPCCでは、人為起源による気候変動、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行い、報告書としてとりまとめています。「第五次評価報告書」(2013年〜2014年)は、世界中で発表された9,200以上の科学論文を参照し、800名を超える執筆者により、4年の歳月をかけて作成されています。

2005年以降の予測部分は複数の気候予測モデルに基づく予測データです。

1986〜2005年の平均値を0.0℃としています。

赤の予測部分はRCP8.5(2100年における温室効果ガス排出量の最大排出量に相当するシナリオ)であり、青の予測部分はRCP2.6(将来の気温上昇を2℃以下に抑えるという目標のもとに開発された排出量の最も低いシナリオです。