No.54 2008年12月

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 鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (67)

ツバメ(ツバメ科) Hirundo rustica

巣材を集めるツバメ(湧き水公園)

ツバメは毎年春になると、日本へやってきて、人家の軒先などに巣を作ります。そして秋になるといつの間にか去っていきます。古来より夏の風物として、また軒下などに巣を作ることで親しまれてきたツバメは野性を維持したまま、積極的に人間社会の中に入ってきた数少ない野鳥です。

しかし、これほど人に身近なツバメも鳩ヶ谷市内からかなり減少しています。25年前に160巣あったツバメの巣が、現在は10巣ほどになりました。そして、孵化した雛鳥もカラスやヘビの害によって無事に巣立つ事ができるのは、ほんの僅かです。

ツバメが減少した大きな原因は、農地の減少と餌となる昆虫類の減少です。マンションやアスファルトの道路が増加して、東京砂漠化した鳩ヶ谷市内ではツバメも生きていくのは大変なようです。

自然の記録:

12月 4日 江川の合流点付近でカルガモ9羽、毛長川調節池付近の毛長川でオナガガモ雄14、雌4羽、カルガモ4羽が採餌していました。また、庭の片隅に褐色に変化したオンブバッタ2匹が跳ねていました。

12月 6日 庭の数カ所に猫の吐出物があったので中を見た所、長さ3cm〜5cmの猫回虫が4隻見つかりました。片隅で野良猫が苦しそうに吐いていたが吐出物の殆どが草であった。

子供達の遊び場である公園の砂場などで排泄した犬、猫のフンの中に出た回虫卵が人の口から入り、それが腸内でふ化し、幼虫がごくまれに体内の各所に迷入することがあります(幼虫移行症)。

人間の回虫症は減少しましたが、動物からの幼虫移行症が時々報告されています。犬や猫は可愛いが、排泄物の処理はきちんとしないと公衆衛生上問題があります。

今日も、江川と見沼用水の合流点付近でカルガモ4、オナガガモ雄2、雌1が餌を採っていました。

猫回虫 セイヨウタンポポ

12月10日 江川には相変わらずカルガモ10羽の群れやアオサギがいました。我が家の庭に珍しくメジロ13羽とシジュウカラ2羽の混群がカキやヒヨドリジョウゴの実を食べていました。

12月11日 17時過ぎに江川と見沼代用水の合流点付近を通ったところ、川の中が騒がしい。覗いてみるとカルガモ数羽が頻りに泳ぎ回って餌を探しているところであった。真っ暗のように見えても水面には僅かな光の照り返しがあり、結構明るいものである。

12月15日 今日は霜が降りてダイコンの葉がしなだれていました。江川では久し振りにセグロセキレイを観察。旧芝川の土手はまるで春を思わせるようにセイヨウカラシナ、ハコベ、クコなどの植物が青々と生育し、セイヨウタンポポが数株開花していました。

カモ類も例年の如く一通りそろいました。コガモ85、カルガモ23、オナガガモ93、キンクロハジロ17、ハシビロガモ3、ヒドリガモ2、マガモ1(233羽)、他の野鳥はカワセミ、イソシギ、モズ、アオジ、スズメ、ムクドリ、キジバト、オナガ、ハシボソガラス、コサギ、カワウなど。新芝川ではユリカモメ35、バン、ヒドリガモ14、コガモ5、などが観察されました。しかし、旧芝川へは工場排水や家庭雑排水が大量に流れ込んでおり、ヘドロの蓄積があるのが残念です。

オナガガモの群れ 清流ルネッサンス事業の旧芝川
工場や家庭からの雑排水の流入 羽ばたくオナガガモ

12月16日 玄関の前に体長3cm程のホシヒメホウジャクの幼虫がいました。12月も中旬だというのに何を食べているのか解りませんが、朝の内は死んだようにじっとしていましたが陽が昇り暖かくなると少しずつ動き出しました。庭の片隅の日溜まりではヒメオドリコソウの花が開花しました。小春日和とは言っても春の花が咲くとは驚きですね。

12月21日 冬至というのに暖かく、園芸種のマルバスミレがいくつもの花や蕾をつけています。クズの枯れ葉の下にマルカメムシで数頭見つかりました。枯れ葉が風で飛ばされたため一緒に落ちてきたのでしょう。

ホシヒメホウジャクの幼虫 ジョウビタキ(♀)

12月22日 庭隅にある桜の幹の一本を電動鋸で切断しました。切りたくはなかったのですが隣家に落ち葉が落ちるのと、大きくなりすぎると剪定が難しくなるので(樹齢30年)。しかし、葉が落ちた後の枝には多くの蕾ができていました。

12月24日 庭の掃除をしていたら落ち葉の下からオオヒラタゴミムシが出てきました。イヌ走りの側溝ではヤチグモの仲間が3頭複雑な網の中にいましたが、掃除をしていたら慌てて動き出しました。隣家との境のヤブにオオカマキリの卵、風呂場の窓枠にハラビロカマキリの卵がそれぞれしっかりと付着していました。

本町3丁目の江川付近で久し振りにジョウビタキ(♀)を観察しました。渡来当初は、市内でも声や姿を見かけますが厳冬期になると個体数が減少するのか姿を見る機会がめっきりと減少します。

12月26日 今日は寒い日であったが、残り柿にムクドリ、ヒヨドリ、ツグミ、メジロ、ハシブトガラスが飛来し、そこら中に柿の種や皮が散乱していました。近くでコゲラとキセキレイの声もしましたが姿は見えませんでした。

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 18

イタチの足跡

 イタチ(ホンドイタチ・チョウセンイタチ)

昭和30年代から40年代にかけては市内にも多くの農地がありましたので、イタチを見かけることも多かったのですが最近は殆ど目にすることが無くなりました。小学生の頃は本町(旧旭町)に住んでおり夏の間、戸を開放していたところ、イタチが北から南へと家の中を走り抜けました。この頃は天井裏にクマネズミが沢山いたので、夜になるとイタチとネズミの運動会が毎晩のように行われていました。市内の川沿いを歩く時には、イタチやタヌキなどの足跡がないか探しながら歩いていますが、なかなか見つかりません。


地球温暖化を考える(10)

地球温暖化の影響のみならず、水を豊富に使用できない場所では各種の工夫が成されています。オーストラリアでも地域によっては長年の水不足対策のためにバイオトイレや雨水タンクを利用しているところが沢山あります。日本でも山岳地域や自然保護地域ではバイオトイレを利用しているところが増加しています。バイオトイレは水を節約するだけでなく、処理した物を堆肥や土壌改良用に使用しています。オーストラリアの自然保護区エコツアーで見たバイオトイレは3層構造になっており、ガイドの話では大きなタンクが満タンになると自動的に回転し空のタンクが設置され、満タンになったタンクは微生物によって分解されるまで放置し、その後は土壌改良材として土に返して植林をするということで、無駄になる物はないと言っていました。

同じバイオトイレでもカキ(牡蠣)殻を活用し、排水を循環させる自己完結型のトイレもあります。むき身処理をした後に残るカキ殻を利用して、殻の表面にある小さな穴が水を濾過する微生物の住処に最適で、これを利用して浄化槽に汚水を流して循環させる仕組みです。日本では、富士山の山小屋など各所で利用されています。

アデレードのバイオトイレと雨水貯水タンク 渡良瀬遊水池のバイオトイレ

バイオトイレはおが屑と体内(腸内)のバクテリアの働きだけで排泄物(糞・尿・トイレットペーパー)を分解して処理してしまう非常に画期的なコンポスト型のトイレです。基本原理は家庭用の「生ごみ処理機」と同じなのですが、その仕組みをトイレに応用し処理後のおが屑は土壌改良材になりますのでゴミが出ません。 

家庭の生ゴミも庭のある家では、コンポストを利用すると生ゴミの発生量が格段に減少します。ちなみに、我が家では通常のゴミの日に出すゴミの量は年間で25kg程度に減少しました。

2008年度に観察された記録

野鳥:

カワウ、ゴイサギ、ダイサギ、コサギ、マガモ、カルガモ(繁殖)、コガモ、オナガガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ツミ(繁殖)、コジュケイ、クイナ、バン、イソシギ、ユリカモメ、セグロカモメ、フクロウ、キジバト(繁殖)、ホトトギス、ヒヨドリ(繁殖)、コゲラ、モズ、カワセミ、ツバメ(繁殖)、ジョウビタキ、ツグミ、ハクセキレイ(繁殖)、キセキレイ、ウグイス、シジュウカラ(繁殖)、メジロ、ホオジロ、オオジュリン、アオジ、カワラヒワ、シメ、スズメ(繁殖)、ムクドリ(繁殖)、オナガ(繁殖)、ハシボソガラス(繁殖)、ハシブトガラス(繁殖)、バリケン、シナガチョウ、ドバト(47種類)

動物、等:

ハクビシン、タヌキ、ミシシッピーアカミミガメ、シマヘビ、ヒキガエル、ウシガエル、カナヘビ、ヤモリ、イエコウモリ、オカダンゴムシ、アメリカザリガニ、モクズガニ、ザトウムシ、ムカデ、ヤスデ、ミスジマイマイ、クロスジオトメマイマイsp、ナメクジ、オオミスジコウガイビル・クロイロコウガイビル、メダカ(21種類)

クモ類:オニグモ、ハナグモ、ササグモ、デーニッツハエトリ、シラヒゲハエトリ、ヨダンハエトリ、ゴミグモ、ヤサガタアシナガグモ、ジグモ、アズマキシダグモ、ナガコガネグモ、ヤチグモの1種、マダニの仲間(13種類)

昆虫類:

ナミアゲハ、キアゲハ、アオスジアゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハ、ナガサキアゲハ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、ツマキチョウ、アカタテハ、キタテハ、ルリタテハ、ツマグロヒョウモン、ゴマダラチョウ、サトキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、ヒメジャノメ、ヒメウラナミジャノメ、コミスジ、ムラサキツバメ、ムラサキシジミ、ルリシジミ、ミズイロオナガシジミ、ウラギンシジミ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、(クロコノマチョウ:西新井宿)、キマダラセセリ、チャバネセセリ、イチモンジセセリ、ダイミョウセセリ、アケビコノハ、ホソオビヒゲナガ、ハスモンヨトウ、アカハラゴマダラヒトリ、巻き蛾、ベニモンアオリンガ、ウメエダシャク、シロツバメエダシャク、チャミノガ、スジベニコケガ、ワタノメイガ、トビイロトラガ、ウスキクロテンヒメシャク、マエキトビエダシャク、ユウマダラエダシャク、ウスサカハチエダシャク、ニセオレクギエダシャク、オオスカシバ、ホウジャク、セスジスズメ、コスズメ、セスジスズメ、モモスズメ、エビガラスズメ、ブドウスカシクロバ、カノコガ、ヨツスジヒメシンクイ、フクラスズメ、モンクロシャチホコ、シリグロハマキ、ショウジョウトンボ、オニヤンマ、ギンヤンマ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、コシアキトンボ、チョウトンボ、ノシメトンボ、ナツアカネ、ウスバキトンボ、アジアイトトンボ、クサカゲロウ、アオクサカメムシ、カブトムシ、クワガタムシsp.、スジクワガタ、カナブン、アオドウガネ、クロコガネ、クリイロコガネ、マメコガネ、ヒメコガネ、アオオサムシ、ヤマトタマムシ、サビキコリ、カバイロコメツキ、オナガコメツキ、クロツヤハダコメツキ、センチコガネ、シロテンハナムグリ、ヒラタハナムグリ、キマワリ、ルリゴミムシダマシ、オオヒラタゴミムシ、オオマルガタゴミムシ、シロスジカミキリ、ノコギリカミキリ、アトシロサビカミキリ、ナガゴマフカミキリ、マルガタゴミムシ、ビロードコガネ、オオヒラタシデムシ、アカハナカミキリ、ナガメ、クロウリハムシ、チャバネツヤハムシ、キベリクビボソハムシ、ルリクビボソハムシ、アトボシハムシ、ダイコンハムシ、アカイロナガハムシ、ヒメカメノコハムシ、トビサルハムシ、ルリマルノミハムシ、ヤマイモハムシ、ウリハムシモドキ、サクラサルハムシ、テントウハムシの仲間、オオアメンボウ、ニイニイゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクホウシ、ヒグラシ、ツツジグンバイ、ケブカブチヒゲカメムシ、ツチカメムシ、アカシマサシガメ、ヨコヅナサシガメ、ホシハラビロヘリカメムシ、ツノカメムシ、ウシカメムシ、クサギカメムシ、ツヤマルシラホシカメムシ(ムラサキシラホシカメムシ)、オオメカメムシ、チャバネアオカメムシ、イトカメムシ、オオモンシロナガカメムシ、エサキモンツノカメムシ、ナナホシテントウ、ニジュウヤホシテントウ、ヒメカメノコテントウ、テントウムシ、キイロテントウ、シロジュウシホシテントウ、ダンダラテントウ、トウキョウヒメハンミョウ、チャバラマメゾウムシ、カオジロヒゲナガゾウムシ、クロフヒゲナガゾウムシ、ムネスジノミゾウムシ、コフキゾウムシ、スグリゾウムシ、クマバチ、コアシナガバチ、セイヨウミツバチ、アメリカミズアブ、ホソヒラタアブ、シオヤアブ、チュウレンジバチ、キオビベッコウ、オオシロフベッコウ、サキグロムシアブ、ハラナガツチバチ、オオクロバチ、クロアナバチ、ルリイロナガハナバチ、コンボウヤセバチ、ヨウロウヒラクチハバチ、チャイロハバチ、マガリケムシヒキアブ、ハラキンミズアブ、アシブトハナアブ、ハグロケバエ、クロオオアリ、クロヤマアリ、ヒメアリ、ツマグロオオヨコバイ、オオヨコバイ、ベッコウバエ、アシナガバエの仲間、キンバエの仲間、セマダライエバエ、クロゴキブリ、クサカゲロウ、ハサミムシ、オオカマキリ、ハラビロカマキリ、コカマキリ、エンマコオロギ、ショウリョウバッタ、オンブバッタ、カネタタキ、アオマツムシ、シバスズ、ツユムシ、カヤキリ、クビキリギス、マダラガガンボ、キイロホソガガンボ、(203種類)

植物:

ハルジオン、ハルノノゲシ、オニノゲシ、ハキダメギク、ホウキギク、コオニタビラコ、ノボロギク、カントウタンポポ、カンサイタンポポ、ダンドボロギク、オオイヌノフグリ、タネツケバナ、ナズナ、ハコベ、ムラサキハナナ、カラシナ、キュウリグサ、ザクロソウ、カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、クズ、ホトケノザ、オヘビイチゴ、ノイバラ、キンミズヒキ、ムラサキケマン、キケマン、カタバミ、ジシバリ、フキノトウ、カキドウシ、ツメクサ、ガガイモ、ヘクソカズラ、ヤエムグラ、ヤブガラシ、ヤマイモ、アレチウリ、アオゲイトウ、クサイチゴ、ムラサキツユクサ、ナガミノヒナゲシ、クサノオウ、ヘラオオバコ、スミレ、カラスウリ、ミズヒキソウ、ミソハギ、ドクダミ、ヒナタイノコズチ、シロザ、ヤブカンゾウ、ホウチャクソウ、ギンラン、タケニグサ、ウラシマソウ、マンリョウ、ツユクサ、ヤブコウジ、ツクシ、ゲンノショウコ、アメリカフウロ、アカバナユウゲショウ、アメリカオニアザミ、ハゼラン、ヨウシュヤマブドウ、スベリヒユ、セリ、タカサブロウ、エノキグサ、エノコログサ、メヒジワ、オヒジワ、カヤツリグサ、ジュズダマ、クワクサ、ヨシ、ダイコンソウ、シャガ、ラッパズイセン、フクジュソウ、ホオズキ、タマサンゴ、レンギョウ、ルピナス、ボタンクサギ、シラー・カンバニュラータ、シンビジューム、ソメイヨシノ、モモ、スダジイ、シャクヤク、クチナシ、垂れ梅、マンリョウ、ヒガンバナ、月桂樹、チャ、ドウダンツツジ、ハナミズキ、ホシアサガオ、ノビル、ビワ、テイオウダリア(103種類)